「大手企業も名を連ねる同和問題企業連絡会(同企連)の謎」に引き続き、同企連の話題です。
同企連と言えば気になるのはその会費で、私が今のところ知っているのは鳥取市同企連と大阪同企連で、以下の通りとなっています。
鳥取市同企連の年会費
社員数29人まで 5000円
社員数99人まで 10000円
社員数199人まで 20000円
社員数299人まで 30000円
社員数300人以上 50000円
大阪同企連の年会費
社員数100人まで 160000円
社員数500人まで 190000円
社員数1000人まで 210000円
社員数3000人まで 220000円
社員数3001人以上 230000円
これが高いのか安いのか。参考までに東日本大震災の時のポポポ~ンのCM等で有名になったACジャパンの正会員の年会費が一口120000円です。ACジャパンの会費収入が1億8000万円、会員数が1200社と言われていますので、1社あたりの会費の平均は150000円ということで、ほとんどの会社は一口だけの加入と考えられます。
そう考えると、大阪同企連の年会費は若干高いと言えるのかも知れません。
謎が多いのが東京人権企業連で、ここは会費を完全に非公開にしています。どのくらい非公開なのか、それを調べるために「株主総会に出て質問してみればよいのでは」というアイデアが出されたので、去る2013年6月に会員企業のうちの1社である「大林組」の株主総会に行ってみました。
株主総会の前に、以下の質問内容をすることを事前に通告しました。
1. 2011年に子会社となった新星和不動産株式会社が、それと同時期に大阪同和・人権問題企業連絡会に加入していますが、その理由と加入にあたっての社内決裁の経過、昨年度の会の年会費および研修費用などの関連する支出の内訳、人員の延べ動員数、活動内容をご説明ください。
2. 大林組本体は東京人権啓発企業連絡会に加入していますが、そもそもの加入した経緯、昨年度の会の年会費および研修費用などの関連する支出の内訳、人員の延べ動員数、活動内容をご説明ください。
3. 2005年4月22日に御社の戸塚武彦氏が東京人権啓発企業連絡会第26回定期総会で、「現在、各党において議論の行われている人権擁護法案としての人権侵害救済制度の法制化に向けた動きには、特に注目し、企業の立場から制定に向けた取り組みを継続して参ります」と発言したと東京人権啓発企業連絡会のホームページに掲載されておりますが、大林組は今現在でも会社として人権擁護法案あるいは人権救済法案を推進しているのでしょうか。
4. 御社が東京人権啓発企業連絡会に加入していることは、経営上どのようなメリットがあるのか、その費用対効果について貸借対照表あるいは損益計算書のどの部分に反映されるのか説明ください。
そして、大林組からの回答は次のとおりでした(回答に立ったのは同社原田昇三副社長)。
1について:
当社は、かねてより人権を尊重し差別の根絶に取り組むことは企業の社会的責任であると認識し、グループをあげて取り組んでいる。また、大阪同和・人権問題企業連絡会(以下、「大阪同企連」)は、人権尊重の企業づくりに取り組むとともに、企業の立場から人権が確立した社会の実現を目指して活動している団体であると認識している。
したがって、新星和不動産は平成23年6月に当社の子会社となったが、同社においても当社グループの一員として人権問題に真摯に取り組むため、平成24年4月に大阪同企連に入会したものである。
また、大阪同企連の啓発講座や研修会に対し、昨年、新星和不動産から5名参加している。
会費については、具体的な金額は回答を差し控えるが、大阪同企連への入会が人権問題に取り組んでいくために有益であることから、適正な額であると認識している。
2について:
東京人権啓発企業連絡会(以下、「東京人企連」)は会員各社が社内の研修・啓発に取り組み、人権意識を高め、差別のない企業づくりを通じて、人権尊重を企業文化として定着させることを目指し、研鑽することを目的として活動していると認識している。当社はそうした活動が当社における人権啓発活動にも有効であると判断して、昭和57年12月に東京人企連に入会した。
会費については、大阪同企連と同様に適正であると認識しているが、具体的な支出額は回答を差し控える。
3について:
当社は、人権を尊重して差別の根絶に取り組む企業として、人権が養護される住み良い社会が構築されることについては大いに歓迎する。しかし、そのための方法論や法制化される場合の法案の内容については、当社はコメントする立場にないため、回答を差し控える。
4について:
当社は企業の社会的責任、CSRを果たしていくことを経営の根幹に据え、その重要な基盤の一つとして、人権の尊重を位置づけている。活動に伴う費用については、一般管理費として会社の損益の中に含まれているが、その効果は損益計算書や貸借対照表に直接的に数値として表れるものではなく、当社の社会的信用につながり、ひいては業績に貢献していると認識している。
と、このようにほとんど「ゼロ回答」でした。核心部分である会費についてはやはり秘密ということです。そこで、さらに以下の質問をしました。
大阪同企連及び東京人企連の会費の額について、原田副社長が回答を差し控えるとのことであったが、本件は事前に質問状を送付しており、会社法第314条に基づき説明義務があると考える。説明を拒否するということであれば、同法施行規則第1号から第4号のいずれに該当するのか説明して欲しい。
しかし、それに対して白石達社長から次の回答があっただけでした。
本質問は会議の目的事項と直接の関係がないため、説明を差し控えるものである。
この時は、会場が少しどよめきました。
確かにこの種の質問にどこまで会社側に回答義務があるのかというと微妙ですが、大林組では過去の株主総会で政治献金の額(例えば平成18年に自民党の関連団体に1575万円を支出している)を回答しており、その一方で「企業の社会的責任」に関わる支出について答えないというのは、それだけ同和と企業の関係がタブーであると言えるでしょう。