鳥取県人権救済条例が廃止されました

「鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正等する等の条例」が昨日の鳥取県議会で賛成多数で可決されました。この条例は鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例を廃止することを定めたものなので、これにて鳥取県人権救済条例は完全に廃止されました。
鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正等する等の条例の内容は以下のPDFをご覧ください。
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/327136/44.pdf

愛荘町に電話とメールで同和地区を問い合わせました

愛荘町に同和地区の場所を問い合わせた人が糾弾されている件に関連して、去年の12月8日の解放新聞滋賀版に次の記述がありました。

今回の東近江市行政の「差別する意図がないから同和地区を問い合わせることは差別でない」と言う見解を踏まえて県・愛荘町行政に対して県内や愛荘町の同和地区名を公開する情報公開請求が行われていることが判明した。

また、今年の3月2日の解放新聞滋賀版には次の記述がありました。

この事件は、東近江市行政が「差別する意図がないから同和地区問い合わせは差別ではない」「同和地区や同和地区住民の名前をかたったことは個人のモラルの問題」「今回の同和地区問い合わせにおいて被害者は誰もいない」などの見解を公表するなど事件の真相解明に逆行する姿勢をとることにより、新たな同和地区問合わせが発生するなど問題は全国化している。

愛荘町や滋賀県に同和地区の場所を問い合わせる情報公開請求をしたのは私のことですが、私は東近江市の見解には最初から関心はありません。愛荘町と滋賀県と部落解放同盟滋賀県連の見解が、あまりにも酷かったので愛荘町と滋賀県を狙って情報公開請求しただけのことです。
さすがに、いつまでも曲解されたままなのはよくないことなので、去る11日に愛荘町人権政策課に電話で書面で問い合わせることを通告した後、以下のメールを送りました。メールは滋賀県人権施策推進課にも同時に送り、私の住所氏名連絡先と、地元の市役所の連絡先を書いておきました。

愛荘町人権政策課 御中
(滋賀県人権施策推進課にもCcさせて頂いております。)
お世話になります。先日お電話させていただきました宮部です。
メールにて大変不躾な質問で申し訳ありませんが、愛荘町のウェブサイトで公開されております、同和対策関連の施設が集中している長塚、川久保、山川原という地域は今現在同和地区なのでしょうか。
以下のアドレスの内容を参考にさせていただきました。
http://www.town.aisho.shiga.jp/reiki_int/reiki_honbun/r3040425001.html
質問の趣旨は、特に部落問題の解決という目的ではありません。まず、先にお電話でお伝えしたとおり、公式にはどういった回答になるのかということに興味を持っております。
また、愛荘町や滋賀県、部落解放同盟滋賀県連によれば、同和地区の場所を問い合わせると差別事件として扱われるそうなので、私も一昨年の8月16日に愛荘町役場に電話で同和地区の場所を問い合わせた方と、差別なく同様に取り扱われるのか確認させていただくためです。
部落解放同盟愛知郡協や、私の住所地の自治体に、私の連絡先をお伝えいただくことは構いません。
ご回答につきましては、メールでも書面でも構いませんので、下記連絡先までよろしくお願いいたします。

上告受理申立て理由書

平成21年(行ノ)第1号 公文書不開示処分取消等請求上告受理申立て事件
第1  はじめに
1  事案の要旨
本件は申立人が鳥取県知事に対し、鳥取県情報公開条例(以下「本件条例」という)に基づき、部落解放同盟の関係団体である部落解放鳥取県企業連合会(以下「企業連」という)が行った、公共工事の指名競争入札に係る加点研修の実績報告書、受講者名簿(以下「本件文書」という)を開示請求したところ、鳥取県知事が受講者名、所属企業名等を開示しないとした処分が本件条例および憲法14条に違反するとして、処分の取消しと本件文書の全ての内容について開示処分の義務付けを求める事案である。
2  原判決の要旨
原判決は、本件文書の内容のうち、受講者の合否と役職は本件条例により開示するべき情報であるとして申立人の訴えを認めたが、受講者については同和地区出身者と認識されるおそれがあるため、個人の権利利益を侵害するおそれがあるとし、所属企業名については同和地区出身者が経営する企業と認識されるおそれがあり、法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある、なおかつ本件処分は門地による差別をしたものではないとして、申立人の訴えを却下したものである。
第2  理由要旨
原判決には、法人不利益情報(本件条例第9条2項3号のア)の解釈について過去の判例と相反する判断がある。また、判決について民事訴訟法247条の違反がある。また、同和地区出身者であると認識されるおそれを理由とした処分は本件条例第1条の趣旨に反し、明治4年太政官布告第448、449号に反するもので違法である。従って、民事訴訟法318条1項の上告受理申立ての理由に該当する。
(1) 過去の判例と相反する判断
 東京高等裁判所平成17年(行コ)第315号行政文書不開示決定取消請求控訴事件判決は法人不利益情報(本件条例第9条2項3号のア)について、利益を害するおそれが客観的に認められることが必要であり、かつ、利益を害されることの単なる可能性があるというだけでは足りず、利益を害されることの蓋然性が高いことが要求されるとしている。しかし、本件において原判決で示された証拠は、いずれも本件とは直接の関連性がないものである。推論された理由も、差別意識といった主観的なものである。事実関係については、むしろ蓋然性が低いことを示す証拠が存在している。
(2) 民事訴訟法247条の違反
 判決で本件文書に記載された受講者(以降「本件受講者」という)と受講者の所属企業の経営者(以降、本件受講者とあわせて「本件関係者」という)が同和地区出身者であるかどうか、本件受講者が部落解放同盟の支部員であるかどうかという重要な事実についての判断を避けたことは、事実についての判断の不備であり、違法である。
(3) 本件条例第1条の違反
 「同和地区出身者であると認識されるおそれ」は事実に反する風評であり、それを正さないまま処分理由としたことは、本件条例第1条にある県民への説明責任を放棄することであり、違法である。
(4) 明治4年太政官布告第448、449号の違反
 明治4年太政官布告第448、449号は現在でも法令として有効であるから、穢多非人等と関連性のある同和地区出身者という身分を理由とした本件処分は、穢多非人等の称えを蒸し返すもので違法である。

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上告理由書

本日付で、最高裁判所宛の上告理由書・上告受理申し立て理由書を送付しました。上告理由書の文面を掲載します。上告受理申し立て理由書は後日掲載予定です。

平成21年(行サ)第1号 公文書不開示処分取消等請求上告事件
第1  はじめに
1  事案の要旨
本件は上告人が鳥取県知事に対し、鳥取県情報公開条例(以下「本件条例」という)に基づき、部落解放同盟の関係団体である部落解放鳥取県企業連合会(以下「企業連」という)が行った、公共工事の指名競争入札に係る加点研修の実績報告書、受講者名簿(以下「本件文書」という)を開示請求したところ、鳥取県知事が受講者名、所属企業名等を開示しないとした処分が本件条例および憲法14条に違反するとして、処分の取消しと本件文書の全ての内容について開示処分の義務付けを求める事案である。
2  原判決の要旨
原判決は、本件文書の内容のうち、受講者の合否と役職は本件条例により開示するべき情報であるとして上告人の訴えを認めたが、受講者については同和地区出身者と認識されるおそれがあるため、個人の権利利益を侵害するおそれがあるとし、所属企業名については同和地区出身者が経営する企業と認識されるおそれがあり、法人等の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある、なおかつ本件処分は門地による差別をしたものではないとして、上告人の訴えを却下したものである。
第2  理由要旨
1  民事訴訟法312条1項に係る上告理由
原判決で鳥取県知事は本件文書に記載された受講者(以降「本件受講者」という)と受講者の所属企業の経営者(以降、本件受講者とあわせて「本件関係者」という)の個人の門地を把握していないとしたことは、憲法14条1項の解釈の誤りである。また、同和地区出身者と認識されるおそれを理由とした行政処分は憲法14条1項の違反である。また、意識調査や落書き、投書を処分理由としたことは、憲法19条、21条1項の違反である。また、民間団体が同和地区出身者を自称することで第三者に不利益処分が行われることは憲法12条の違反である。従って、民事訴訟法312条1項の上告理由に該当する。
(1) 憲法14条1項の門地の解釈の誤りについて
 本件関係者が近世の被差別身分と系譜関係があるかどうかを鳥取県知事が把握していなかったとしても、本件処分における同和地区出身者の定義によれば、同和地区出身者であるかのように一般に認識された者は、そのことが子孫にも影響することが明らかであるから「同和地区出身者と認識されるおそれ」は門地である。
(2) 憲法14条1項違反について
 同和地区出身者を理由とした処分は、本件関係者の子孫にも影響するため、世襲による特別な権利を生むことになり、法の下の平等に反する。
(3) 憲法19条違反について
 本件条例による情報公開請求権を持つ鳥取県の住民等(以降、住民等)に対する意識調査の結果を理由とした不利益処分は、思想及び良心の自由の侵害である。
(4) 憲法21条1項違反について
 落書きや投書の内容だけを問題として情報公開に係る不利益処分の理由とすることは言論の自由、知る権利の侵害である。
(5) 憲法12条違反について
 事実関係を調査することがはばかられるような門地を自称し、それによって第三者が不利益処分を受けることは信義に反し、権利の濫用である。
2  民事訴訟法312条2項6号に係る上告理由
本件関係者が同和地区出身者であるかという事実関係について理由不備と理由齟齬があるため民事訴訟法312条2項6号の上告理由に該当する。
(1) 企業連会員企業が取引を忌避される理由の不備
 原判決の文章は、あまりにも曖昧な文章の上、落書きや結婚問題に関する意識が、どうして企業の取引の忌避につながるのか説明されていない。
(2) 同和地区出身者と認識されるおそれがあるという判断の理由齟齬
 同和地区出身者と認識されるおそれを処分理由とすることは、同和地区出身者と認識されるおそれを生じさせるのであるから、循環論法である。

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同和地区の場所を公開請求した件で滋賀県情報公開審査会の答申が出ました

滋賀県の人権施策推進課が保有している同和地区の場所を把握するための文書を情報公開請求したところ、公開されなかったため、異議申し立てをした件で、今日付けで滋賀県情報公開審査会の答申が出ました。
要約すると、滋賀県情報公開条例では、まず公文書を特定することが原則になっているけれども、申立人が出した情報公開請求書は公文書を特定できず形式に不備があるので、実施機関が文書を特定するために補正を求めなかったのは手続きの不備だ、ということです。同和地区の場所を公開するべきかどうかは、その情報が記載された文書が特定されて公開・非公開の決定が行われないと判断できないので、まずは前の非公開決定を取り消して、手続きをやり直しなさいということになりました。
これで、愛荘町に続いて滋賀県も、公開する・しない以前の問題である手続き上の不備を指摘されることになりました。法律で手続きが決まっているのだから、他の情報公開請求と同様に粛々と処理すればよいのに、それが出来ないということは、同和地区を特別視しているのは行政側ではないかと思わせる結果ですね。
滋賀県情報公開審査会答申(答申第42号)の全文は滋賀県のウェブサイトで見ることが出来ますので、ご覧ください
なお、教育委員会関係の審査請求が残っていますので、この件はまだ続きます。