鳥取市下味野の同和減免関係の書類が非公開となった件で異議申し立てしました

鳥取市下味野の同和対策減免関係の書類が非公開にされた件、処分は撤回しないということなので、例によって異議申し立てしました。以下が異議申立書です。

鳥取市異議申立てH22-10-28.pdf

ポイントは、鳥取市がインターネットで盛大に公開している鳥取市地区会館管理規則に列挙されている地名と、同和減免の対象地域名に違いがあるのかといったところだと思います。

同和地区を対象とした固定資産税減免措置の対象地域の「下味野」は住民が差別対象になるとされる同和地区であるのに、同和地区における集会の場を提供するための鳥取市地区会館が存在する「下味野」はそうではないと言えるでしょうか?常識的に考えれば非常に釈然としない話です。

「同和地区における集会の場を提供するための鳥取市地区会館」の一覧は以下のとおりです。某同和問題の専門家も、このリストは鳥取市の部落の一覧だというようなことを書いておりました。もとから隠すことになっていないのだから、いい加減に覚悟を決めればよいのではないかと思います。

名称
位置
鳥取市宮長地区会館
鳥取市宮長
鳥取市馬場地区会館
鳥取市馬場
鳥取市倭文地区会館
鳥取市倭文
鳥取市高殿地区会館
鳥取市吉岡温泉町
鳥取市西品治6区地区会館
鳥取市西品治
鳥取市古海5区地区会館
鳥取市古海
鳥取市下味野5区地区会館
鳥取市下味野
鳥取市下味野源太地区会館
鳥取市源太
鳥取市山ケ鼻地区会館
鳥取市古海
鳥取市中村地区会館
鳥取市中村
鳥取市嶋地区会館
鳥取市嶋
鳥取市西品治7区地区会館
鳥取市西品治
鳥取市西品治地区会館
鳥取市西品治
鳥取市千代八千代地区会館
鳥取市西品治
鳥取市元品治地区会館
鳥取市西品治
鳥取市国府町南広西地区会館
鳥取市国府町広西
鳥取市河原町下曳田地区会館
鳥取市河原町曳田
鳥取市河原町上山手地区会館
鳥取市河原町山手
鳥取市気高町寺前地区会館
鳥取市気高町宝木
鳥取市青谷町西町地区会館
鳥取市青谷町吉川
鳥取市青谷町下蔵内地区会館
鳥取市青谷町蔵内

鳥取県人権救済条例が廃止されました

「鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正等する等の条例」が昨日の鳥取県議会で賛成多数で可決されました。この条例は鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例を廃止することを定めたものなので、これにて鳥取県人権救済条例は完全に廃止されました。
鳥取県人権尊重の社会づくり条例の一部を改正等する等の条例の内容は以下のPDFをご覧ください。
http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/327136/44.pdf

「人権侵害の救済に関する法律」の制定のために鳥取市から岩美町に働きかけ?

「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書の提出のついて

画像は、平成17年2月24日付けで岩美町議会に出された一通の陳情書です。件名は『「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書の提出のついて』となっています。(議長名の部分は資料提供者の希望で消しています。)
ご存知の通りこれは国会で審議された「人権擁護法案」のことで、鳥取県下の自治体はほぼ例外なくこの法律の制定を推進してきました。もちろん、この陳情は岩美町議会で可決され、次の意見書が提出されています。
「人権侵害の救済に関する法律」の早期制定を求める意見書

提出者は「部落解放・人権政策確立要求鳥取県実行委員会」です。以前の記事でもご紹介したとおり、竹内功鳥取市長が会長をつとめています。
ところで、住所の部分が鳥取市尚徳町116番地となっていますが、ご存知の通りこれは鳥取市役所のことです。鳥取市同和問題企業連絡会のような例もあるので、「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」であればあり得る話ですが、「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」も鳥取市役所の中にあるということなのでしょうか。
早速、鳥取市の人権推進課・同和対策課に問い合わせてみました。

私) 「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」は市役所内にあるのか?
鳥取市) 鳥取実行委員会の事務局は鳥取市役所にある。
私) 関連団体の「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」もそうか?
鳥取市) 「県連」にある。
私) 県連とは?
鳥取市) (解放センターの)部落解放同盟鳥取県連。
私) 岩美町議会に提出された陳情書には「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」の名前があり、住所は鳥取市尚徳町116番地となっていた。県連であれば幸町ではないのか。
鳥取市) 互いに協力関係があるのでどちらということもないが、正式には尚徳町ということなのだろう。

ちなみに、「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」には、鳥取市から補助金が出ています。つまり、以下のような構図になっているということです(端が切れる場合は、図をクリックしてください)。
鳥取市-岩美町相関図

この件は、さらに実態を解明すべく取材継続中です。
追記2006年11月10日
鳥取市役所の中の方から指摘がありました。2002年の特措法切れ以降は行政関係者でも「いわゆる」を付けることがあるそうです。「それでは、陳情書は市の職員が書いたのか?」という指摘には「当時の経緯はよく分からない」ということだそうです。
「記述を消して欲しい」なんて言われましたが、消してしまうのなぜ消したのか分からなくなってしまうので、ここでフォローしておきます。それにしても、鳥取市もオープンになってきました。
追記2006年11月23日
徐々に実態が分かってきました。
「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」の事務局は、実際のところ解放センターにあるようです。
「部落解放・人権政策確立要求鳥取実行委員会」は市役所内にあります。
岩美町に出された陳情書の住所がなぜ尚徳町なのかは…謎です。

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八頭町広報で条例の早期施行を推進 小中学校で学習会?

「広報やず」平成18年9月号より

差別撤廃を考える基本的視点
差別撤廃は、人権確立の基である。差別は社会の平穏と世界の平和を脅かすものである。そして、差別は差別される人ばかりでなく、差別している人も傷つけるということを、友永さん自身がかかわった、大阪の「住吉結婚差別事件」を例に話されました。この事件で差別を受けた女性は自殺に追い込まれました。30年ほど経って、差別をした男性のその後を調べてみると、結婚もできずに心に傷をもったまま生活しているとのことでした。まさに、差別は双方ともに被害を受けるという現実です。
差別撤廃の基本方策
「差別は被害者の心に深い傷を負わせることになり、人を死にも追いやる犯罪であるので、法律で禁止する必要がある。
今、わが国では、差別を禁止する法律もなければ、被害を救済する手立てもないのが現実である。『人権擁護法案』が国会に提出されたが、人権委員会のあり方などについて意見の対立があった。そして、衆議院の解散により廃案となってしまった。
昨年10月、鳥取県では、議員提案による『鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例』が可決され、6月1日施行となっていた。しかし、これもいまだ施行にいたっていない。一日も早く、差別の禁止や被害の救済ができる法律や条例の制定が求められている。」と話されました。
条例をもっと身近に
「町民全体に『八頭町部落差別撤廃及び人権擁護に関する条例』があまり知られていないのではないかと思われる。そこで、小学校6年生と中学校3年生のそれぞれ卒業前に条例について学習する機会をもってはどうだろう。条例の文言はあまり難しいものではなく、先生が説明されれば理解できると思われる。小学校と中学校で2回学習をすることで家庭にも広がり、もっと浸透するであろう。そのことで、町民がもっと身近なものとして受け止められるだろう。」と提案されました。

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加害者に対する啓発・指導とは何を意味するのか

鳥取県人権救済条例の特徴として、被害者の救済だけではなく、加害者に対して行われる措置というのがあります。条例の中で、そのことに関するのは以下の部分です。
第21条の2号

人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為を行う者及びその関係者(以下「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をすること。

第24条の1項

委員会は、生命若しくは身体に危険を及ぼす行為、公然と繰り返される差別的言動、ひぼう若しくは中傷等の重大な人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該人権侵害による被害を救済し、又は予防するため必要があると認めるときは、第21条に規定する措置を講ずるほか、次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 加害者等に対し当該人権侵害をやめ、又はこれと同様の行為を将来行わないよう勧告すること。
(2) 加害者等に対し人権啓発に関する研修等への参加を勧奨すること。

この加害者等に対して行われる啓発、指導、研修は、「糾弾」ではないかということが条例が出来た当初から危惧されていました。それは、部落差別に関する問題に絡んで、啓発というよりは、単なる報復や吊るし上げに近い糾弾が行われてきたためです。一般のマスコミではほとんどタブーになっていますが、行過ぎた糾弾による自殺者も出ています過去の記事でも触れた通り、吊るし上げに近い糾弾は鳥取でも行われていました。糾弾を行っていたのは、部落解放同盟です。部落解放同盟は、鳥取県連を含め、この糾弾という行為を未だ否定していません。
鳥取で行われた糾弾に居合わせた複数の人物から話を聞いたところでは、共通して、ある人物の名前が挙がってきました。鳥取県人権尊重の社会づくり協議会委員の椋田昇一氏です。椋田氏は、2002年頃まで部落解放同盟鳥取県連の書記次長として、糾弾会では指導的立場であったと言います。
確かに、人権条例に啓発、指導といった内容を入れるように主張していたのは椋田氏です。例えば平成15年9月11日の人権救済制度についての会議録に、次の発言が書かれています。

(朴委員)被害者の救済ということばかりではなく、加害者への啓発、人権侵害が許されない罪悪であるかということを分からせることも大事なことであると思う。
(椋田委員)朴委員の意見に賛成である。人権侵害のものによってそれぞれ対応も異なるだろうが、単に物や形で解決したり、言葉で謝罪しただけでは駄目である。加害者に対する是正指導も権限を持ってやっていく必要があるのではないか。第二第三の侵害を起こさせないよう是正指導、啓発教育とそして救済という三位一体でやっていく必要がある。多くの人権侵害の場合、対処療法だけで終わっているがそれだけでは不十分な場合もある。
もう一点は、私間の人権侵害については、民間レベルの取り組みを最大限尊重するべきであるということ。こうゆう制度を作ることで民間レベルの取り組みを逆に押さえつけることになってはならない。加害者の駆け込み寺になるようなものにしてはならないということ。
もう一点は、公というか官というか、行政レベルの人権侵害については、知事が議会答弁で答えられていたようにオンブズパーソン的な制度がいいのではないか。官の中で起きた問題を官が設置する機関で本当に救済できるかということ。
どちらにしても、行政レベルでの取り組みと、民間レベルの取り組みと、そしてこことの連携、協働という視点もふまえて検討していく必要があると思う。

これは、「糾弾」という私的救済を念頭に入れた発言のように取れます。
なおウェブ上で収集済みの議事録の全文は以下をご覧下さい。
社会作り協議会議事録詰め合わせ.zip
実は、椋田氏には2回に渡って直接会う機会がありました。当然、人権条例や糾弾について率直な疑問をぶつけてみました。それについては、次回採り上げることとします。

過料や氏名の公表まで県外を対象にしたのは県側のミス?

元社会作り協議会委員の松田章義氏に、条例の県外適用について電話取材しました。以下は、その要旨です。

私) 条例の県外への適用を強く主張されていたようですが?
松田氏) 鳥取県民が県外に出かけて差別や人権侵害を受け、鳥取県に帰ってから申し出た場合に、県外のことだから門前払いするのは、なんとなくつれないのではないかと。せめて、県外の行政機関や人権擁護のしかるべき機関や団体に問い合わせをして、調査するくらいのことはあってもいいと言った記憶がある。
しかし、県外の該当者を追いかけて処分するとか、問いただしたり処断することまでは、できないという趣旨で発言した。
私) 結果としては、県外まで対象になるととらえられて、県外から批判されることになったが、どのように思われますか?
松田氏) 私が委員会で申したときには、県外まで出かけていって強権的にどうこうしようという考えは持ち合わせていませんでした。せめて問い合わせてみるという程度の準備をしていてよいのではという程度のことでした。
私) 条文には県外の事案も申し立てできるるようになっていますが、それは松田さんが想定されたことだったのですか?
松田氏) 県がどこまで対応するという文言になっていたでしょか?
私) 調査であるとか、応じない場合は過料や氏名の公表となっています。
松田氏) そんなことまで?
私) 条文の上では県外のことは排除されていません。
松田氏) 私どもも最終段階まで責任もって見届けるという形にならなかったですね。県が委員の意見を聴取するが、あとは県の方にお任せ下さいというやり方でした。それで作成委員の方には不満が残った。
委員長の國歳氏もそのことは最後まで言っていました。7割がたの意見が採用されて、3割は県の事務局に任せる形になりました。
私) 確かに過料や氏名の公表は人権局が入れてきた部分です。
松田氏) 私は当初から氏名の公表には異議をとなえていました。それから、過料というようなことが県の条例のレベルでできるのか疑問を発していました。やりすぎというか、無理でないかといったことは当初から言い続けていた。県外まで捜査するとか、過料とか氏名の公表ということは毛頭なかったですね。
私) 県外も対象にするような主張をした趣旨は、あくまで過料や氏名の公表まではしないという前提であったということですか?
松田氏) もちろんそうです。その上で県外の事案で申し出があった場合に受理せず門前払いというのは冷たすぎはしないかと強く主張したつもりです。
松田氏) 私はここまで強権的なものを作ることを片山知事が了承したのか疑問をもっていた。

また、松田氏は「知事がOKしたのか?」と聞いたのは、こういった強権的なものまで知事が了承したのか疑問を持っていたのだと話していました。
確かに、松田氏は先の議事録で、氏名の公表といった処分に疑問をはさんでいます。

松田委員 勧告に従わないとき、住所・氏名を公表。公表はできると規定し、県広報への掲載とか云々。このあたりは、しっかり詰めておられるのか。
安田委員 かえって人権侵害になるのでは。
中島局長 よほどのことだ。
松田委員 いろんな方法があるなかで、ここまで書かれるということは、相当の覚悟のうえということで受け止めていいのか。
中島局長 よほど悪質で、故意で止めそうにないという場合には、ここまでするつもりで制度を作っていきたい。
松田委員 公務員の不祥事でも、その者の名前や職名や年齢について出すか出さないかということで大きく意見が分かれる時代のなかで、住所、氏名まで公表というとこまでするのは、法的な根拠ができているのか。今度聞きたいと思います。

松田委員をはじめとして、対象範囲を広げる方向での議論がある一方で、実質的な罰則など強権的な条例にしようとする動きもありました。最終的な調整を誤り、強権的でなおかつ違法なまでに対象範囲の広い条例になってしまったのは両者に齟齬があったと言えそうです。条例を適法なものとするには、強権的な部分については範囲をしぼる条項が必要であったはずです。

片山知事「県外のことは仕方ないなと」

引き続き各委員から、条例の県外適用の問題に限らず、社会作り協議会の意見が十分に反映されていないという不満が出されました。例えば、福間委員からは「検討委員会や協議会の意見が八割以上、八割が適当かわからないが、入っていないと検討委員会や協議会の意味が無くなってしまうと思う。」という発言がされています。
そして、松田委員が再び県外も対象とするべきだといった趣旨の主張を行っています。

松田委員 私が最初に問題提起したことは、条例の適用外の県外で発生したものについて、それを拾い上げるような正に救済の申し出があった場合には、当該県と連絡、調整し協議するということを運用として残しておかないと、県外の人権侵害は対象外だという文言を示されたり、知事が納得したとか、パブリックコメントにこれを出しますとか言うことになれば、大騒動になる。我々も責任はもてない。運用上のこととしてそういう考え方を持っていてほしい。
中島局長 それは分かりますが、先ほどから言っていますように、本来の制度というものをちゃんと県民に理解してもらわないと、できないことまでできるように期待されていてもそれは困る。制度がはじまって、どれくらいの相談が上がってくるのか、それに対して、相談員なり、事務局がどんな対応をするのかそれは動かしてみないと分からない部分もある。その時点で県外で発生したものまで人権委員会が対象にして動きますよとは今の時点ではそこまではいえない。

そして、条例の県外適用が不可能であることを知事が認識していたことを示す発言が、中島局長よりされています。

松田委員 これは知事さんが、OKしているのですか。
中島局長 既に、見てもらっている。基本的な考え方で、細かいところまではまだだが、これに沿って了解はもらっています。
松田委員 こんなことを、OKしているのですか。
中島局長 知事も制度は分かっていますから、県外のことは仕方ないなと。
松田委員 だから、さっきから言うように、条例外のことだけども申立てがあった場合は、人権委員会が運用上その世話をするということを残しておいたらどうですかということで、無理なことではない。

条例の県外適用は松田委員がくりかえし要請したことにより、条例に組み込まれました。そして、皮肉にも松田委員の予想とは正反対に、県外からの苦情が殺到し「大騒動」になったのはご存知の通りです。
松田氏は、なぜここまで強硬に条例の県外適用を主張したのか?これについては追って取材予定です。

社会作り協議会が暴走 「県外条項」が入ってしまった過程

検討会議事録の原文をアップロードしました
人権侵害救済検討会(情報公開請求による資料).pdf
(2~5回目の議事録は開示されていません)
条例の県外への適用について、不可能であることを説明した中島人権局長(当時)ですが、さらに松田委員が食い下がります。

松田委員 条例の効力が及ばないことは、委員のみなさんは知っているところだ。ただ、運用で、県外での県民の被害に対して、該当県に対しての問い合わせ、調整、あっせんなど、場合によっては出向いていくようなことを、運用としてできるという認識を持つ必要がある。
中島局長 実務上は、可能な場合もあると思われる。それはケースバイケースだと思う。

前回まで検討会の座長を務めてきた國歳委員、さらに椋田委員も松田委員を擁護する発言をします。

國歳委員 条例が、その範囲内でしか効力がないことはみんな知っているところ。ただ、そのことを、こういう形でどこかに書き表すことが必要かどうかということ。当然必要な対応はするのだろうと思うが、ここにこうしてきちんと書かれると、何もできないのではないかと思われてしまうのではないか。松田先生は、そういうことをわざわざ書く必要がないのではないかということ。
中島局長 条例の条文上は、でてこない。ただこの制度の基本的な考え方そのものは、県民の人にパブリックコメントの時に理解してもらわないと、県外で発生したものについても、この条例が適用になると誤解されると、期待を裏切ることになる。法制と協議をするが条文上は出てこないことになると思う。
椋田委員 局長が言われたことは、我々は認識していることだ。認識したうえで、松田委員の発言があったもの。それを国の法律は国内、県の条例は県内でしか通用しませんというのは、血の通った制度になっていないのではないか。(以下略)

その後、椋田委員からは、県の資料に「不当な差別」と書かれていることについて「差別に不当なものも不当でないものはないということで、『差別』とすることで、基本合意がされたと思う。」とした上で、検討会の意見を反映しない県の市政を批判する意見が述べられました。
しばらく、検討会の位置づけについて、椋田委員と中島委員の間で議論が交わされますが、再び松田委員は県外への適用に固執します。

松田委員 これまで議論を重ねてきて、それを踏まえて条例をつくることは専門家に任せればいいが、出来上がったものがパブリックコメントにでて、それが我々が協議してきたものと違うということになれば、我々は責任がもてない。これまで意見を聞いてきたのであとは事務局でしますよという考えもあるかもしれないが、出来上がったものを示していただいて、これで出しますよという機会がもう一度あるのが当然ではないか。今日のこの基本的な考え方は、これが出てしまってはやばいですよ。幾つか指摘したい箇所はあるけれど、この県内で発生したものが対象というようなことが一人歩きしては困る。そんなことを話し合ってきた覚えは無い。
中島局長 ただ、これは法制度うえの当然のことでありどうしようもいないこと。法律や条令の制度というものは、我々が行政をやっていくうえで、根本、基本になるもの。
松田委員 ただ、一般県民にそういうことを行っても総攻撃を受けるのでは・・・
中島局長 だからこそ、しっかりと説明をしなければならない。
松田委員 例えば制度の運用として、県外で起こったものについて、連絡、斡旋、調整をやるということは考えていたのか。
中島局長 事実上は可能なこともあろうが、基本的に条例で作る救済制度では及ばない。法制度上、効力の及ばないものを規定して県民にいかにもできそうな期待を与えるということは、本来のあるべき姿ではない。できること、できないことをしっかり認識してもらうことは、制度を県民に有効活用してもらう上で大前提である。

そして、藤村委員がさらに強硬な主張をします。

藤村委員 正直言って委員を辞めたい。余りにもひどい。今まで話をしたことが全然はいっていない。まず、事務局の対応が今まで話したことを採り上げてそれを?するならいいが、事務局で作ったものをこれでやりますからと言われて、これまでの話が全然入っていないような感じを受ける。これまでは、もらったこの案(3月までの条例素案)で、文言等も議論し、こういうものができるんだと思いながら話し合いをしてきたが、いきなりそんなものは知りませんよ、これでいきますよと言われて、はいそうですかでは私たしが委員である意味が全然ない。
西村係長 これまでは条例の素案をともにしてきましたが、それを基本的な考え方にまとめさせてもらったという認識をしています。
藤村委員 例えば素案では、何人も県民の人権に関する問題について人権委員会に相談することができる、となっている。県民のとは書いているが、県内のとは書いていない。そのへんのことは福間先生も言われたが、枠のなかだけでは難しくできないこともあるので枠を超えなければならないところもでてくるけど、やってみようという気持ちできたと思う。そういうことで一生懸命話をしてきたけど、枠の中でしかできませんよと言うことなんですね。
中島局長 そのとおりです。
藤村委員 それだったら、委員を辞めたい。これをだされて、委員会で話し合ってきたと言われたら、私は堪えられない。話を聞きましたから事務局が勝手に作くりましたというのであればそれでかまわないが、やり方が余りにもひどい。いままでのことが意味がない。

(次回に続きます)

人権局は「県外条項」が無効であることを早くから認識していた

鳥取県人権局が早くから人権救済条例を県外の事案に適用することは不可能であることを認識していたことが分かりました。人権救済条例の県外適用に関する条文は以下の通りです。

第17条 何人も、本人が人権侵害の被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、委員会に対し救済又は予防の申立てをすることができる。
…略…
3 第1項の申立て又は前項の通報(以下「申立て又は通報」という。)は、当該申立て又は通報に係る事案が次のいずれかに該当する場合は、行うことができない。
…略…
(5) 申立て又は通報の原因となる事実が本県以外で起こったものであること(人権侵害の被害を受け、又は受けるおそれのある者が県民である場合を除く。)。

この県外適用の規定が地方自治法上無効であることは、条例の成立後の批判を受けて片山県知事が認めています。しかし、県人権局と片山知事は平成15年から平成16年にかけて鳥取県人権尊重の社会づくり協議会の一部委員による「人権救済制度検討委員会」が行われていた段階で、既にこのことを認識していました。
県が公開した平成16年6月22日の第6回人権救済制度検討委員会議事録から、県外への適用は不可能であることを主張する人権局と、あくまで県外の事案への適用を主張する協議会委員とのやりとりを読み取ることができます。
なお、この検討会の委員は以下の通りです(肩書きは平成17年の「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会名簿」によるものです)。

椋田昇一 (財)鳥取市人権情報センター
安田寿子 特定非営利活動法人女性と子どもの民間支援みもざの会
相見寿子 レディースあすか鳥取
光岡芳晶 特定非営利活動法人「すてっぷ」
松田章義 (財)とっとり政策総合研究センター
福間裕隆 鳥取県断酒連合会
國歳眞臣 鳥取大学名誉教授
藤村梨沙 (性同一性障害者の問題に関する取組)

県からは、当時の中島人権局長、堀部人権推進課長、西村人権推進課企画調整係長が参加していました。
会議では以前の検討会をもとに県側がまとめた資料が配布されますが、松田委員から異議が出されます。

松田委員 読ませていただいて、今までの委員会で協議していないことやこういう議論だったかなと思うところがある。たとえば、県外で発生した人権侵害で、県民が被害者・加害者の場合は対象外などいう(ママ)ようなことは話し合っていないと思う。事務局のほうでまとめられたと思うが、冷たいのではないか。さきほど、発生県での対応が原則であると説明されたが、県民が県外で差別被害を被った場合に、県外の役所に申し出ることはないと思う。県内に帰ってきてから、県や人権委員会などに申し出るのが普通ではないか。そのときに、県外の人権侵害は対象としないので、そこの役所に行ってくれというのは実際どうなのか。やっぱり、県民が県外で被害を受けた場合、人権委員会に申し出た場合は、それを受けて、県外の役所にこういう申し出があったが調べてくれないかというような、県外の役所との調整とか斡旋とかいうことを進めていかないと、被害者の救済などできないのではないか。特に、調査が困難だから適用外などというのは冷たい。こんな文言が出てきたらふくろ叩きにあるのでは。ほかにもたくさんある。こういうことを我々がいままでの議論の中で話したかなという疑問を持ちながら、もし我々が話しをしていたとするならば、えらい不見識なことをしたと思う。お尋ねと意見表明ということで、以上。

このことについて県側の西村係長は、県外の事案まで調査するのは手間も時間がかかるので対象外としたと説明しますが、中島局長がそれを遮り、改めて法律上の問題であることを説明します。

中島局長 今の説明は違う。県の条例というものは、基本的に鳥取県の中でしか効力が及ばない。だから、県外で発生したものは、基本的にこの条例の効力が及ばない。ただ、言われたように鳥取県が他県に対し、県民の人権侵害の相談を受けて必要な対応をとるように言うなどの事実上の行為は行うが、条例にしても、法律にしても、法律なら国の区域内、県の条例なら県の区域内、市町村の条例なら市町村の区域内にしか及ばない。だから限界がある。そういう意味で県外のものは対象としないとしたもの。

しかし、これがきっかけで、県側は他の委員からも集中攻撃を浴びることになります。
(次回に続く)

人権条例の早期施行を求める署名が提出される

以前、本サイトで紹介した「人権条例の早期施行を求める署名」(参考:「自治労鳥取による条例推進署名は3倍増し」)が提出されました。
以下は日本海新聞の速報です。詳細は明日の朝刊で。

人権救済条例早期施行の署名15万人
部落解放同盟鳥取県連合会の友好団体などが16日、見直しが進められている県人権侵害救済条例の早期施行を求め、全国から集まった15万人分の署名を鳥取県と県議会に提出した。

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