制度化された同和地区の存在

今回は、同和地区とはなにか、ということを採り上げます。
同和地区は、「旧同和地区」と言うこともあります。それは、2002年に地対財特法が失効になったことで、同和対策関連の特措法はなくなり、当然法律の対象となる地域もなくなったからです。
しかし、鳥取県においては同和地区は今でも確かに存在します。行政側も同和地区および同和地区関係者が誰であるのかを把握しています。
県同和対策課によれば、鳥取県における同和地区とは、旧特措法における同和地区のことです。つまり、鳥取県では未だに失効した法が、エリア設定という点では実態として生きているということになります。
原則として、「同和関係者」とは同和地区住民を指します。しかし、例えば同和地区にワンルームマンションができ、そこで外から来た人間が一人暮らしをしている、というケースは同和関係者には含めません。つまり、同和地区人口と同和関係者の人口は必ずしも一致しません。そして、誰が同和関係者かといった判断を行うのは、市町村であり、地区の隣保館です。
鳥取市を例に挙げると、市が作成した部落問題はいま…という冊子に詳しく書かれています。一部引用します。

各地の自治体では「部落差別が現存する限り同和行政を積極的に推進する」「同和地区の現状を把握し、課題を整理し、一般施策を活用して、人権行政の重要な一環として同和行政を今後とも推進する」など、「法」失効後における同和行政についての基本姿勢を示しています。しかし、同和地区の差別の実態が把握できなければ、どのようにして「同和地区の現状を把握し、課題を整理」するのでしょうか。同和地区のエリア設定ができないという認識であれば、いくら立派な決意を表明していても、客観的には同和行政の放棄となってしまいます。そこには大きな矛盾が生じています。

つまり、誰が同和関係者で、だれがそうではないかと言う振り分けを行う根拠は、同和地区の実態調査の必要性にあるということです。鳥取市に関しては、市が同和地区の実態調査を行う義務があります。鳥取市の「鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例」から引用します。

(施策の総合的かつ計画的推進)
第4条 市は、部落差別をはじめとするあらゆる差別の根本的かつ速やかな解決を図るため生活環境の改善、社会福祉の充実、産業の振興、職業の安定、教育文化の向上、人権擁護等の施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めるものとする。
2 市長は、同和問題の早期解決を図るため同和対策総合計画を策定するものとする。
3 市長は、前項の同和対策総合計画を策定する場合には、必要に応じて、実態調査等を行うものとする。

結果として、この条例がある限り、実態調査のために、市民は同和地区関係者か、そうでないかを証明するIDカードを知らず知らずのうちに持たされているのに等しい状態となります。
「部落差別」条例は同和地区の存在を制度化し、固定化しているという根拠はここにあります。

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県立東高で行われた人権同和研修

KN ◆.E2Y/4Nums :
平成17年10月13・14日に鳥取県立東高等学校のPTA同和教育部主催で
同校体育館にて行われた「人権同和研修」について。
この研修の講師は在日韓国2世のチョ・バク氏。
この人選は、事前のPTAからの推薦を受け、校内の人権・同和教育推進委員会や職員会議を経て
学校長が決定したとのことです。
この講演内容が凄まじい。以下は抜粋。
1、竹島問題について、近代国家なのに領土問題になると目くじらを立てる(日本のことらしい)
  歴史的に竹島は「韓国の入り口」だった。
2、日本は、イギリスがインドを植民地にしたように、同じ事を朝鮮半島にした。
3、日本は戦後、韓国を含む戦後処理をしていない。
4、北海道も沖縄も、もともと日本ではない。
5、国鉄民営化の時、国は1047名もの職員をクビにしたのは人権侵害。
6、ストライキは基本的人権であり、日教組が近年ストライキをしていない。
  今、ストライキをするような組合の先生がおられたら、尊敬し、私が学校に銅像を建てる。
7、小泉政府は「ヒトラー」であり、莫大な国の借金返済のため、「憲法9条を改正して戦争がしたくてしょうがない」
8、ファシズムにだまされてはいけない

鳥取市同和対策総合計画(2)

前回に引き続き、鳥取市同和対策総合計画について採り上げる。
第3章の「総合同和対策の推進」という部分では、同和教育・啓発について書かれている。
市民に対する啓発を行っているのは1959年に結成された鳥取市同和教育協議会(市同教)である。2001年3月現在で684団体が加入と書かれているが、現在は731団体となっている。会員が増えたのは、主に市町村合併の影響によるものと考えられる。
市同教の会員は年間一律3000円の会費を支払い、運営費に当てられるが、多くの部分は市の一般財源から出ている補助金でまかなわれている。平成17年度の運営費用は686万2千円であるが、そのうち427万7千円を市が補助金として交付予定となっている。
市同教の役割は、その名の通り、鳥取市における同和教育の推進である。そのために、市内外での集会や研修会、公民館における人権講座といった研修を行っている。
ただし、その成果については次のように書かれている。

しかし、これらの啓発活動にもかかわらず、企業内における差別事象、市民による差別発言、公共施設への差別落書き等数多くの差別事象が発生してきています。このことは、市民の中に差別意識が根深く残っていることを示すものであり、より一層同和問題に対する正しい理解と認識を深め、人権意識を高めていかなければなりません。

市同教のうち、企業の加入する「企業部会」には490社が加入しているとある。この数は、現在でもさほど変わっていないようで、会員の67%という割合である。
もう1つ、企業の加入する啓発推進組織は、中国電力の鳥取支社長が代表幹事を務める鳥取市同和問題企業連絡会(同企連)である。同企連に参加する企業は現在85社で、加入企業は従業員規模(資本金によるという情報もあり)に応じて5千~5万円の会費を支払っている。同企連にも市の一般財源から補助金が交付されており、平成17年度は運営費用350万8500円のうち、140万4千円が市からの補助である。同企連は鳥取市内で相次いだ企業内の差別事象をきっかけに設立され、「研修会や会員相互の交流事業などをとおして、各会員企業の取り組み等を情報交換し、自社の取り組みに活かす」活動をしているとされる。
市同教、同企連ともに、管轄課は鳥取市の人権推進課である(市同教、同企連の事務局は人権推進課内にある)。総合計画には「企業訪問等により推進組織への加入を促進」することが示されている。
実情については必ずしも全ての会員企業が活動しているというわけでもないようである。総合計画では、そのことを率直に認めている。

また、推進組織へ加入していても、自社研修はもとより、組織が主催する研修会へすら参加しない企業も多く、このような取り組み姿勢の不十分さもあって、市内の企業においても、部落差別の解消はおろか、今なお就職差別につながるような不適切な面接や差別事象が発生しています

市に問い合わせたところ、「同企連についてはそのような事はない」ということであるが、市同教については「実態はいろいろありますけど」と漏らすなど、一筋縄では行かないようである。

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人権意識調査について聞いてみました

ということで、この調査の中身について鳥取県人権局に聞いてみました。
Q. この調査票を作ったのはどなたですか。
A. 県です。
Q. (問4-①の公的機関への相談希望の有無について)選択肢の中に「自分で解決したい」という項目がないですよね。
A. B(2番目の選択肢)の前段がそうなると思いますけども。あるいは、C(3番目の選択肢)もですね。
Q. 「ふらっと」などには相談を希望する方が64.1%となっていますが、この中には自分で解決したいという人が含まれていますね。
A. はい、この53.2%(2番目の選択肢を選んだ人)も含まれています。
Q. それでは、相談を希望する、というのは正確ではないのでは。
A. こちらとしては、県に相談したいということでAとBを取ったということです。そういった希望が潜在的にあるということです。
Q. 自分で解決したいという人は2を選ぶしかないのでは。
A. そこは調査票には出てこないか、あるいはC(3番目の選択肢)に出てくるものと思います。
Q. それでは64.1%というのは、とても信頼できる数字とは思えないのですが
A. 私どもは相談・支援を受けたいという潜在的需要があるものと取っています。
Q. なぜ、自分で解決するという選択肢がないのか。
A. 積極的に自分や家族だけで解決するという選択肢を入れることもあり得たけども、公的機関に相談希望があるかどうかということをお聞きしたかったので、こういった設問になっている。
Q. であれば、選択肢の2は必要ないと思いますが。何か誘導しようという意図があったのか。
A. それはないと思います。あくまで公的機関に相談希望があるかどうかということですので。公的機関への相談希望が非常に強くある方が10.9%、その後に自分で解決したいけども支援を受けたいという人が53.2%であろう、ということです。
Q. 鳥取県内において社会の仕組みとしてアイヌに対する差別があると答える人が10%もいるので驚いています。県内にあるアイヌを差別する社会のしくみとは何のことなのでしょうか。
A. おそらく偏見として意識の面でとらえられていたことが、社会の面でも出てきたのではないかと思います。具体的にどういったことかということは不明な点があります。
Q. 10人に一人と言うのは大きな数字ですが、人権局では具体的な内容は把握していないのですか。
A. この内容については意識の面が社会の面で出たのかなぁと…
Q. そもそも、鳥取にアイヌの人が何人いるのでしょうか?
A. それは把握しておりません。

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平成16年度鳥取県人権意識調査

追記2006年1月15日意識調査の報告書が公開されました。
平成16年度鳥取県人権意識調査は以下のアドレスから見ることができる。
http://www.pref.tottori.jp/jinken/ishikichosa.html
この意識調査について、非常に奇妙な部分がある。以下の調査項目を見ていただきたい。
問4-①(公的機関への相談希望の有無)
あなたは、自分や家族が差別や人権侵害を受けたとき、公的機関(国や県、市町村の相談機関)に相談したいと思いますか。(○は1つだけ)
その結果の内訳は

  • 公的機関へ相談し支援を受け解決したい: 10.9%
  • できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい: 53.2%
  • 公的機関には相談したくない: 13.0%
  • わからない: 14.2%
  • 無回答: 8.7%

である。
そして、結果について。
「自分や家族が人権侵害を受けたとき公的機関に相談したいか聞いたところ、約64%の人が支援を求めたいと考えている。」
という見解が述べられている。
奇妙な点は「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答もこの64%に加えられていることである。「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢がないのである。
鳥取県人なら、鳥取には郊外や郡部で寄り合いの習慣が残っており、仲間内で物事を解決するしくみがあることをご存知だろう。にもかかわらず、「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢が外されるのは不自然である。
仮に「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答者のうち、本当に公的機関への相談を希望している人がごく少数であれば、「公的機関には相談したくない」という回答が「公的機関へ相談し支援を受け解決したい」を上回ることになる。
すなわち、人権救済条例の制定を意識して、わざと誘導的な設問にしたか、結果が歪曲されている可能性が高い。
2006年1月15日「誘導的な設問にした」が正解です。詳しくは追記を参照。
この意識調査には他にも不自然な点(例えば、鳥取県内にアイヌに対する差別が存在すると答える人が11.7%もいるなど)が多くあるが、ここでは詳しい説明は省略する。
詳しい説明はこちら→

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鳥取市同和対策総合計画(1)

鳥取市においては、平成14年に同和行政の指針として第三次鳥取市同和対策総合計画が策定されており、鳥取市のホームページから見ることができる。前書き部分には当時の西尾迢富市長のメッセージが書かれているが、その内容は同和地区と地区外に格差が見られるということと、県民の差別意識は根深いといったお決まりのものである。
現在問題となっている人権救済条例の国版である人権擁護法については、次のように述べられている。

一方、国においては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の施行及び「人権擁護法(案)」の検討が行われており、また地方公共団体では、部落差別の撤廃と人権尊重の社会づくりを目的とする条例がすでに施行されております。
鳥取市においては、これらの状況を十分に認識し、「市条例」及び人権に関する諸法をふまえ、部落差別が現存する限り同和行政を積極的に推進していきます。

しかし、以前にも指摘した通り、西尾前市長もこれらの動きを推し進めた張本人である。西尾前市長のもうひとつの肩書きは部落解放基本法制定要求国民運動鳥取県実行委員会会長であって、しかもそれは名目上のものではなく、実際に部落解放基本法制定要求国民運動の大会でスピーチするなど、積極的に活動している。
この文書の「同和問題の現状と課題」を見てゆくと、興味深い事実が分かってくる。
まず、「差別の実態」について次のように書かれた箇所がある。

教育については、「学力・生活実態調査」の結果をみると、5段階評定での二極分化の傾向や学力の低い層が地区外生徒に比べて多く見られるなど、学力の問題は依然として解決していません。また、高校進学率においては、長い期間で見れば地区と地区外の較差はほとんどなくなってきていますが、この2年間はひらく傾向にあります。そして、大学や短大などへの進学率においては、較差はだんだん縮小しているものの、まだ大きな較差があります。このことは、経済的諸問題のほか、学力の問題、子どもたちの進路について展望を持たせていないことなどに課題があると考えられます。

鳥取県、そして鳥取市は同和地区の児童生徒に対して多額の学費補助を行っている。そして、地区児童を抱える学校には同和加配教員を配置し、さらに「地区学習会」という同和地区の児童生徒向けに特別の学習の機会を設けているのである。にもかかわらず、学力の低い層が依然多く、しかも高校進学率の差が開いているということは何を意味しているのであろうか。それは、このような施策による効果は既に飽和状態だということである。つまり、これ以上施策を続行すことは無意味であり、根本的にやり方を変えるか、徐々に打ち切るべき時期に来ていることを意味する。
次に、「差別意識」について次のように書かれている。

県が平成12年(2000年)に実施した「同和地区生活実態調査(鳥取市分)」では、「同和地区の人である」ということで、約4割の人が人権侵害を受けているという調査結果が示されました。また、同時に実施した「同和問題についての県民意識調査」においても、部落差別についての正しい理解はある程度進んできましたが、同和対策事業など利害に関する部分や、同和地区出身者との結婚問題など、具体的な態度や行動を問われる問題に関しては、否定的もしくは消極的な回答がかなりの高率を占めており、これに関連して「ねたみ意識」や「寝た子を起こすな論」が地域、年齢、職業を問わず、かなりの高率を示しております。また、学校で同和教育を受けてきた若年層に、「同和問題・人権問題」の解決に向けての積極的な態度形成がなされていないものが少なからず見られ、これまでの同和教育の不十分さを示しています。また、「同和問題の解決のために何を行ったらよいか」との設問に対し、「自然になくなる」や「同和地区の人々が差別されないようにする」が、かなりの高率を示しており、近年の啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない状況があります。

「ねたみ意識」というのは、いわば同和地区への過剰な利益誘導に対する批判のことで、「寝た子を起こすな論」は共産党の言う国民融合論のことである。どちらも全国的には普通に議論されているものである。特に同和地区への過剰な利益誘導に対する批判を押さえ込むことが腐敗を生んだ例は、大阪、京都、高知などで明らかになっている。それを挙げて「啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない」としている辺りから、鳥取市で行われる啓発の内容と、その達成基準が非常に偏向していることが分かる。
そして、「同和地区の人である」という理由で約4割の人が受けていると言われる人権侵害の中で、最も深刻と思われる差別事象にについては次のように書かれている。

鳥取市においても近年、学校、企業、地域等で数多くの差別事象が発生しています。最近の特徴としては、学校現場での生徒間の差別発言、職場上のつきあいの中での差別発言、公衆の場での差別落書き等、特に、特定の同和地区と個人を名指しした、あからさまな差別事象が目立ちます。

しかし、私が何度も指摘している通り、どこが同和地区で、誰が同和地区関係者かを明らかにすることを行っているのは他でもない行政側である。現在でも「立場の自覚」という指導の下に同和地区児童生徒のカミングアウトが行われているという実態が鳥取市にはある。

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同和関連補助金(鳥取県、智頭町)

以下にウェブ上で収集した、鳥取県と八頭町の平成17年度の補助金交付状況をまとめておきます(決算額ではないので、若干変わる場合があります)。
鳥取県
部落解放同盟鳥取県連合会運営補助金 807万5千円
鳥取県同和対策協議会運営補助金 35万円
全国人権同和行政促進協議会運営補助金 20万円
財団法人鳥取県部落解放研究所運営補助金 1784万8千円
反差別女性国際フォーラム開催費補助事業 100万円
これらははっきり言って氷山の一角です。同和問題県民意識等調査事業費として2532万3千円、同和問題啓発推進事業費として448万3千円、専修学校等奨学資金貸付事業費として3221万8千円…といった予算が計上されています。それらの中には部落解放同盟が講師を派遣する講演会で講演費用が計上されていたり、「見直しの実施には、関係団体等(註:部落解放同盟関連団体のこと)との協議が不可欠」といった注意書きがされているものがあります。
智頭町
部落解放同盟智頭町協議会交付金 540万円
同和教育推進協議会委託料 279万円
智頭町保育園・学校同和教育推進協議会 30万円
小学校同和地区進出費交付金 45万円
小学校同和教育研究費交付金 59万5千円
中学校同和地区進出費交付金 45万円
中学校同和教育研究費交付金 17万円
同和地区中小企業特別融資貸付金 1千万円
以上は全額町の一般会計から出ているものです。
部落解放同盟智頭町協議会交付金の540万円というのは異例に大きな額です。例えば智頭町商工会の交付金額は2260万1千円ですが、そのうち町費は480万円だけで、他は県の補助や会員の支払う会費でまかなっています。
ちなみに同和地区中小企業特別融資については、ここ数年貸付実績がありません。

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鳥取市の人権対策関連補助金

鳥取市には「総務部 人権政策監」という組織がある。これは2003年4月に発足したもので、人権教育、同和対策、男女共同参画といった人権問題に対処する専門の部署である。人権政策監の役職は部長級である。

この部署が扱う平成17年度の補助金額は6366万2千円である。この額は、総務部の他の部署(危機管理、総務、職員、収税)の合計(4964万2千円)よりも大きい。

以下はその内訳である。

名称 金額(円)
研究集会等開催事業補助金 250,000
市同和教育協議会補助金 4,277,000
世界人権宣言推進負担金 754,000
市人権情報センター補助金 35,047,000
鳥取市同和問題企業連絡会運営補助金 1,404,000
部落解放同盟鳥取市協議会補助金 18,000,000
同和地区学習活動事業補助金 840,000
同和地区青年・女性研修派遣及び学習活動事業補助金 900,000
部落解放・人権政策確立要求市実行委員会補助金 900,000
市男女共同参画登録団体補助金 1,200,000
鳥取県婦人大会開催費補助金 90,000

ご覧の通り、同和対策の補助金額が大きい。額が3504万7千円と突出している「市人権情報センター」は鳥取市解放センター内にあり、理事長は林由紀子副市長であるが、副理事長が徳田秀雄鳥取市同和教育協議会会長、理事に山田幸夫部落解放同盟鳥取市協議会議長が名前を連ねるなど、やはり同和団体と関わりの深い団体である。予算の用途の内訳を見ると、人件費が2448万8154円となっており、他は消耗品の購入費や印刷製本費用などである。

そして、1800万円もの金額が交付されている部落解放同盟鳥取市協議会については言うまでもないであろう。これについては、平成17年度の用途の内訳は示されておらず。前年度の内訳を見ると「女性啓発研修事業」「子ども会等を対象とした啓発活動」「全国人権・同和教育研究大会」の割合が大きくなっている。ちなみに前年度の額は460万であり、大幅に増額になっているのは、市町村の合併によるものである。合併により鳥取市の人口は約15万人から20万人に増えたのであるが、人口比率から考えて旧郡部(国府町、福部村、河原町、用瀬町、佐治村、気高町、鹿野町、青谷町)の補助金額がいかに大きかったかが分かる。

もう1つ、忘れてはいけない部署がある。教育委員会の人権・同和教育課である。教育委員会事務局が扱う補助金総額は3億1188万6千円であるが、そのうちの約20%、6356万2千円が人権、同和教育(というよりは、全て同和教育関連)に使われている。

以下がその内訳である。

名称 金額(円)
通学費補助(同和教育課) 302,000
市地区同和教育推進協議会連合会補助金 10,648,000
同和奨学生研修補助金 630,000
同和地区保護者育成事業補助金 1,300,000
高校大学等進学奨励補助金 47,022,000
大学入学支度金補助金 2,895,000
部落解放全国子ども集会派遣補助金 360,000
部落解放全国識字経験交流会派遣補助金 405,000

突出しているのは「高校大学等進学奨励補助金」である。この補助金の目的は、次のように説明されている。

同和地区の生徒は、長年の厳しい差別のため教育の権利が奪われ、高校・大学への進学率はきわめて低い状態にあった。この制度は、この状態を改善するために設けたものです。

具体的な進学奨励金の給付額は以下の通りである。

高校

月額9千円

大学

月額3万3千円

専修学校

月額2万円

大学院進学予備校

月額1万8千円

ちなみに前々年度の給付総額は2604万9千円であったが、合併後は4702万2千円になっている。これも人口比率から考えると、旧郡部の給付金依存度が高かったことが伺える。

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条例制定ありきで進んできた県教委

人権救済条例について、鳥取県庁から聞こえてくる声は、「議会が決めたこと」である。条例の可決前後に人権局に問い合わせたところ、「解放同盟からの圧力はあったのか」という問いに、職員は議会の方に要請があったようだが、特定団体から県庁に対して圧力があったということはないと答えている。
人権局に関しては最初から条例制定のために動いていたことを伺わせる事実が分かっているが、もう1つ条例制定ありきで動いてきた部署がある。鳥取県教育委員会である。
鳥取県人権教育基本方針には、次の記述がある。

人権教育とは、人権問題を解決し、すべての人の人権が尊重され、保障される社会を築くためのものです。
人権教育施策の立案に当たっては、誰のどんな人権が侵害されているのか、その原因、背景にある要因は何かについて、具体的に把握し分析することが必要です。
そのためには、人権侵害を明確に把握するための実態調査を実施したり、人権相談または人権侵害の申立窓口を設置したりすることが重要です。これらの窓口では、人権侵害の救済に取
り組むと同時に、一定期間に寄せられた相談・申立の個々のケースの背景をさまざまな角度から分析し、その結果を人権教育の課題としてフィードバックしていく必要があります。
したがって、人権侵害の相談を日常的に受けている機関と教育・啓発担当組織との連携を積極的に図っていくことが必要です。
国においては、平成9(1997)年3月に「人権擁護施策推進法*」が5年間の時限立法として施行され、同法に基づいて法務省に人権擁護推進審議会が設置されました。この審議会では、
法務大臣の諮問に応え「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策」及び「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策」について
審議されました。そして、救済に関しては、平成13(2001)年5月に「人権救済制度のありかた」、12月には「人権擁護委員制度の改革について」の答申が出されましたが、人権侵害事例
に対する現行制度の対応は十分なものとはいえません。
現在、女性に対する暴力や子ども、高齢者、障害者への虐待をはじめ、人権に関する相談件数が増加し、相談内容も多様化するのに伴い、相談機関の一層の充実や実効ある救済制度の創
設が求められており、県独自の救済制度の創設について検討しているところです。
鳥取県教育委員会としても、他部局と連携して具体的な人権侵害の実態の把握に努め、そこから明らかにされた課題を人権教育に明確に位置づけた取組の充実を図ります。

このように、県教委は露骨に条例制定を推進している。この基本方針は県下の各市町村にも通達されるため、当然、現場の教員もこれに従った教育を行う。つまり、こういうことである。
県教委が救済制度が必要であると県民を教育する

人権局が意識調査で救済制度が必要という結果を出す

救済制度を作り、県教委が人権教育に反映する

以下永久ループ
人権局は条例制定の根拠として「県民意識調査で、公的機関への相談を希望すると回答した人は約65%に上る」ということを挙げているが、実態はこのようなものである。
しかし、なぜ県教委がここまで露骨に条例制定を推進するのか?その背景は特定団体との癒着である。鳥取県のとある教育関係者は次のように語る。

「県自体が解放同盟の影響を受けていることは間違いのない事実です。これは、ある意味偏向ではありますが、むしろ県教委は『全同教』といった教育運動団体の影響も強く受けています。」

実際に鳥取の市町村の教育委員会が全同教大会に職員を派遣しているという実態がある。全同教は、解放同盟、自由同和会と共に「人権政策の確立を求める連絡会議」を構成しており、人権救済制度の設立を推進してきた団体である。
鳥取県下の全同教加盟団体と言えば「鳥取県同和教育推進協議会」である。そして、会長の宇山眞氏は、「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」の委員として、人権救済条例の制定に関与している。

誤認された事実に基づく鳥取の同和教育

前回鳥取県人権教育基本方針について朝鮮総連関係者が教育に関わっていることを採り上げたが、今回は同和教育について採り上げる。
まず、この鳥取県人権教育基本方針にも書かれている通り、鳥取の人権教育は同和教育の延長にあるものである。そして、鳥取の同和教育は「解放教育」、つまり部落解放同盟の主張に沿った教育である。そのことは、「差別の現実から深く学ぶ」ということについて「被差別の子どもの生活と願いを読み取り、教育の課題を発見してくと同時に、それを実現していく教育力を今まで顧みられることのなかった被差別民衆の中に見いだし、組織していくこと」という、全く持って解放同盟の主張を取り入れていることからもうかがい知れる。
そして、差別の現実について、人権教育基本方針では、私が問題点を指摘した鳥取県人権意識調査よりもさらに現実離れした見解が出されている。例えば、

また、結婚・就職における差別、差別発言や差別落書き、インターネットを利用した誹謗や中傷等の差別事象も依然として発生するなど、差別意識は根強く存在しており、部落差別はいまだ解消されていません。

と書かれているが、鳥取県の同和対策課の調べでは平成9年度から13年度までの結婚差別の報告例は0である。そして、平成16年度に人権局が行った意識調査では、インターネットの掲示板等への書き込みで人権侵害を受けたと答えた人は0.8%である。そのうち、部落差別に関するものがどれだけ含まれているかは不明であるが、とても「根強い差別がある」と言える状態ではない。
結婚差別については、

結婚における差別については、差別事象としては表面化しにくいものですが、結婚差別は依然として厳しいものがあります。同和地区と同和地区外の人との結婚は、婚姻率は高まってきてはいるものの、そこに差別が内在していたり、また、結婚後も家族や親戚との付き合いができない状況などがあります。

と書かれているが、「差別が内在」するという事の意味が不明であるし、「結婚後も家族や親戚との付き合いができない状況」といった、客観的に検証することがどう考えても不可能な問題が持ち出されている。
幾分か報告のある差別発言についても、こう記述されている。

学校においては、特に中学校や高等学校において、同和問題学習で知りえた言葉を、自分たちの人間関係の中で序列付けや相手を攻撃・排除するために使用した差別事象が発生しています。

そして、就職差別についての記述は、こうである。

就職における差別については、高校卒業時の公正採用選考に向けた学校、企業、行政が協力した取組が定着し、現状把握のもとでの指導・啓発等により具体的な改善が図られてきまし
た。しかし、就職時の面接における違反質問など、差別につながる恐れのある事象やプライバシーの侵害等人権侵害の事象は後を絶ちません。

この記述を見たところ、結婚や就職に関しては差別の実態があるという根拠は何一つ示されていない。インターネットを利用した誹謗や中傷の実態については事実を誤認しており、差別発言に至っては同和教育が原因となっている。結局のところ、差別があるという結論を出す拠り所は、差別落書きだけ、ということになる。しかし、便所の落書きのようなものは加害者が誰で、被害者が誰で、本当に差別が目的なのか検証のしようがない。
このような乏しい根拠で、鳥取の教職員は「差別の現実から深く学ぶ」という指導をしているのである。
あなたがもし、鳥取で「差別の現実」を探して来いと言われたら、いったい何を採り上げるだろうか。静まり返った研修室で、一人だけ立ったまま、周囲の視線を集め、講師から期待の眼差しで見つめられているとき、あなたはどう答えるか、想像していただきたい。

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