鳥取市同和対策総合計画(2)

前回に引き続き、鳥取市同和対策総合計画について採り上げる。
第3章の「総合同和対策の推進」という部分では、同和教育・啓発について書かれている。
市民に対する啓発を行っているのは1959年に結成された鳥取市同和教育協議会(市同教)である。2001年3月現在で684団体が加入と書かれているが、現在は731団体となっている。会員が増えたのは、主に市町村合併の影響によるものと考えられる。
市同教の会員は年間一律3000円の会費を支払い、運営費に当てられるが、多くの部分は市の一般財源から出ている補助金でまかなわれている。平成17年度の運営費用は686万2千円であるが、そのうち427万7千円を市が補助金として交付予定となっている。
市同教の役割は、その名の通り、鳥取市における同和教育の推進である。そのために、市内外での集会や研修会、公民館における人権講座といった研修を行っている。
ただし、その成果については次のように書かれている。

しかし、これらの啓発活動にもかかわらず、企業内における差別事象、市民による差別発言、公共施設への差別落書き等数多くの差別事象が発生してきています。このことは、市民の中に差別意識が根深く残っていることを示すものであり、より一層同和問題に対する正しい理解と認識を深め、人権意識を高めていかなければなりません。

市同教のうち、企業の加入する「企業部会」には490社が加入しているとある。この数は、現在でもさほど変わっていないようで、会員の67%という割合である。
もう1つ、企業の加入する啓発推進組織は、中国電力の鳥取支社長が代表幹事を務める鳥取市同和問題企業連絡会(同企連)である。同企連に参加する企業は現在85社で、加入企業は従業員規模(資本金によるという情報もあり)に応じて5千~5万円の会費を支払っている。同企連にも市の一般財源から補助金が交付されており、平成17年度は運営費用350万8500円のうち、140万4千円が市からの補助である。同企連は鳥取市内で相次いだ企業内の差別事象をきっかけに設立され、「研修会や会員相互の交流事業などをとおして、各会員企業の取り組み等を情報交換し、自社の取り組みに活かす」活動をしているとされる。
市同教、同企連ともに、管轄課は鳥取市の人権推進課である(市同教、同企連の事務局は人権推進課内にある)。総合計画には「企業訪問等により推進組織への加入を促進」することが示されている。
実情については必ずしも全ての会員企業が活動しているというわけでもないようである。総合計画では、そのことを率直に認めている。

また、推進組織へ加入していても、自社研修はもとより、組織が主催する研修会へすら参加しない企業も多く、このような取り組み姿勢の不十分さもあって、市内の企業においても、部落差別の解消はおろか、今なお就職差別につながるような不適切な面接や差別事象が発生しています

市に問い合わせたところ、「同企連についてはそのような事はない」ということであるが、市同教については「実態はいろいろありますけど」と漏らすなど、一筋縄では行かないようである。


中国電力と言えば昔、就職面接に関連して糾弾会に召喚されていたと思います。調べてみましょう。
追記2006年2月1日
中国電力は部落地名総鑑を買っていますね。
太字にしたのは、これが噂に聞いていたあれか、と思ったからです。
文書を読む限り、成果を出せていないようですし、これらの団体の存在価値があるようにはとても思えないんですけどね…
「市民の中に差別意識が根深く残っている」とか「今なお就職差別につながるような不適切な面接や差別事象が発生しています」という微妙な表現は相変わらずです。本当に差別があるんでしょうか?
追記2006年1月24日
市同教、同企連ともに窓口は鳥取市人権推進課にあります。市同教の窓口は以前は市教委の同和教育課でしたが、変わりました。

コメント

コメントを受け付けておりません。