同和枠と言えば、公共事業の入札制度に関してはそれに近い実態(正確には同和団体関連企業を特別に優遇する制度)があることが分かっていますが、今回は県内で囁かれている、「雇用の」同和枠をテーマとして採り上げます。
私は当初、「鳥取市同和対策総合計画」(平成14年3月 鳥取市)の以下の記述に目を付けました。
…鳥取市同和対策雇用促進協議会を中心に引き続き、新規学校卒業者及び中高年齢者の雇用促進、就職差別の解消に向けて事業主および従業員に対する同和教育の推進等の諸施策に取り組んでいきます。
具体的には、新規学校卒業者の雇用が図られるよう、事業主に対して、採用協力を要請するとともに、鳥取市としても就職支度金制度を継続して新規学校卒業者の就労がスムーズに行われるよう努めます。また、中高年者の終了が促進されるよう、職業安定行政機関等との連携により、就労情報や職業訓練情報の入手が容易に行われるための支援機能の構築を検討していかなければなりません。
地区住民の就労にあたっては、当然のように企業の理解や協力が必要であることからも、企業訪問の際に事業主をはじめ人事担当者等に対して、啓発・要請を行っていくとともに、適正な応募書類の仕様や公正な選考体制の確保を要請していかなければなりません。
この「採用協力」というのは同和枠を意味するのでしょうか?鳥取市に電話で問い合わせたところ、この文書に出てくる同雇促(鳥取市同和対策雇用促進協議会)については、同和地区住民について採用協力を要請することはない、ということでした。では「他の団体ではそういったことはあるのか?」と突っ込んだところ、「文書で質問してほしい」ということでした。
早速文書で問い合わせてみたところ、現在も過去においてもそのような実態はなく、同雇促以外の民間団体等でもそういった実態は把握していないという答えが返ってきました。しかし、同和地区住民の雇用の促進は「同和対策審議会答申」でも触れられており、地区住民を積極的に雇用するよう各種通達が国からも出ていたはずなので、現在はともかく過去にもないというのは眉唾物でした。
やはり、過去には鳥取市自体が行っていました。以前の記事で採り上げた、保育園の同和加配保母を地区出身者から採用するという制度です。この制度は1973年から始まったもので、解放同盟の推薦を受ければ、事実上無試験で採用されるというものでした。しかし、この制度は市議会で問題になり、2000年頃には廃止されています。
民間企業においてはどうでしょうか。倉吉市のとある企業を電話取材した際に、同和枠なるものはあるのかついでに聞いてみたところ、地区出身者を特定しないような選考を行っているので、そんなことはできない、ということでした。当然と言えば当然のことで、同和枠を設けるなら地区出身者を特定しなければならず、採用選考にあたって身元調査をしないという大原則と矛盾してしまいます。
やはり、同和枠は単なる噂に過ぎないのではないか…と思いかけていたところ、新たな情報を得ることができました。結論として、県内の民間企業でもそう遠くない過去にありました。また、公務員については現在も続いているものがあるということです。
(次回に続く…)