鳥取市に意見書を提出しました

鳥取市人権施策基本方針(案)について意見書を提出しました。

1. 人権施策基本方針(案)の修正・削除を求める箇所
1.1. 鳥取市内の差別や人権侵害の実態を正しく記述していない
2ページ目の「現状と課題」にある「21世紀を迎えた今日、部落差別や在日韓国・朝鮮人に対する差別をはじめ、社会的差別の実態は未だ解消するに至っていないばかりか、子どもや女性、障害のある人や高齢者への差別や暴力、虐待など、重大な人権侵害や人権問題が生じています。」ということの例として差別落書や戸籍謄本等の不正取得が挙げられているが、「社会的差別」や「暴力、虐待」の例になっていない。差別落書や戸籍謄本等の不正取得によって、具体的に誰が「重大な人権侵害」を受けたのか不明である。また、5ページ目には「結婚に対する差別意識も依然として存在します」と書いてあるが、あくまで「差別意識」であって、差別が存在するとは書かれていない。
市が真に重大な人権侵害の例を把握しているなら、それを例示すべきであるし、「差別落書や戸籍謄本等の不正取得」といった例しかないのであれば「重大な人権侵害や人権問題が生じている」という認識が誤りであり、この記述を削除するか、市が認識している実情に合わせて表現を改めるべきである。
13ページ目の「9 そのほかの人権問題」は「日本社会には」として現状と課題が列挙してあるが、鳥取市の基本方針には無関係なことである。「アイヌに対する偏見や差別、格差」など、鳥取市の実情とはかけ離れたことが書かれており、誤解を招く恐れがある。
1.2. 意識調査のデータの解釈に矛盾がある
3ページめの最初の部分では、鳥取市が人権施策の推進が必要とする根拠として、多くの市民が「差別が存在していると感じている」ということを挙げているが、これを問題視することは県の同和教育と矛盾する。
平成14年3月に鳥取県教育委員会が発行した「人権・同和教育の指導のあり方」には、同和問題等に関する指導で「偏見や差別があることに気づく」という記述が各所にある。実際に「差別に気づく」という指導は鳥取市においても学校や社会研修の場で行われており、「差別が存在していると感じている」市民が多いことは、今までの人権施策の結果が反映されたものである。
しかも、基本方針案自体も5ページでは同和問題と自分自身とのかかわりについて、「同和問題と自分自身とのかかわりについて自分とは関係ない」と捉えている人が多いことを問題視している。
従って、3ページ目で「人権施策の推進が必要」という結論を出すことは循環論法であり、鳥取市は部落差別の有無に関わらず同和教育を継続しようとしていると受け取らざるを得ない。以上の理由から、2ページ目と3ページ目にまたがる段落と、5ページ目の「しかし、本市が」で始まる段落を削除することを求める。
1.3. 被差別集団を指定するような内容がある
人権問題の例として「女性、障害のある人、子ども、高齢者」といった記述はあたかもある集団が一方的に人権侵害を受けているような表現であり、中立性を欠いている。また、「障害のある人」といっても程度や種類は様々であり、ひとくくりにすべきでない。全体についても、「性別、身体的特徴、年齢」といった中立的な表現を用いても矛盾がないものに改めるべきである。
1.4. 「民間団体」などの文言について
文章中に出てくる、「民間団体」や「地域住民団体」といった文言について、鳥取市の実態として「部落解放同盟鳥取県連合会」および「部落解放同盟鳥取市協議会」が大きな役割を担っていることは明らかなことであるから、今後とも同様の状態が継続されるのであれば、そのことを周知できるよう、はっきりと団体名を明記していただきたい。


2以降の内容は個人のプライバシーに関わる部分があるので、公表は控えます。

コメント

コメントを受け付けておりません。