前回は鳥取県人権教育基本方針について朝鮮総連関係者が教育に関わっていることを採り上げたが、今回は同和教育について採り上げる。
まず、この鳥取県人権教育基本方針にも書かれている通り、鳥取の人権教育は同和教育の延長にあるものである。そして、鳥取の同和教育は「解放教育」、つまり部落解放同盟の主張に沿った教育である。そのことは、「差別の現実から深く学ぶ」ということについて「被差別の子どもの生活と願いを読み取り、教育の課題を発見してくと同時に、それを実現していく教育力を今まで顧みられることのなかった被差別民衆の中に見いだし、組織していくこと」という、全く持って解放同盟の主張を取り入れていることからもうかがい知れる。
そして、差別の現実について、人権教育基本方針では、私が問題点を指摘した鳥取県人権意識調査よりもさらに現実離れした見解が出されている。例えば、
また、結婚・就職における差別、差別発言や差別落書き、インターネットを利用した誹謗や中傷等の差別事象も依然として発生するなど、差別意識は根強く存在しており、部落差別はいまだ解消されていません。
と書かれているが、鳥取県の同和対策課の調べでは平成9年度から13年度までの結婚差別の報告例は0である。そして、平成16年度に人権局が行った意識調査では、インターネットの掲示板等への書き込みで人権侵害を受けたと答えた人は0.8%である。そのうち、部落差別に関するものがどれだけ含まれているかは不明であるが、とても「根強い差別がある」と言える状態ではない。
結婚差別については、
結婚における差別については、差別事象としては表面化しにくいものですが、結婚差別は依然として厳しいものがあります。同和地区と同和地区外の人との結婚は、婚姻率は高まってきてはいるものの、そこに差別が内在していたり、また、結婚後も家族や親戚との付き合いができない状況などがあります。
と書かれているが、「差別が内在」するという事の意味が不明であるし、「結婚後も家族や親戚との付き合いができない状況」といった、客観的に検証することがどう考えても不可能な問題が持ち出されている。
幾分か報告のある差別発言についても、こう記述されている。
学校においては、特に中学校や高等学校において、同和問題学習で知りえた言葉を、自分たちの人間関係の中で序列付けや相手を攻撃・排除するために使用した差別事象が発生しています。
そして、就職差別についての記述は、こうである。
就職における差別については、高校卒業時の公正採用選考に向けた学校、企業、行政が協力した取組が定着し、現状把握のもとでの指導・啓発等により具体的な改善が図られてきまし
た。しかし、就職時の面接における違反質問など、差別につながる恐れのある事象やプライバシーの侵害等人権侵害の事象は後を絶ちません。
この記述を見たところ、結婚や就職に関しては差別の実態があるという根拠は何一つ示されていない。インターネットを利用した誹謗や中傷の実態については事実を誤認しており、差別発言に至っては同和教育が原因となっている。結局のところ、差別があるという結論を出す拠り所は、差別落書きだけ、ということになる。しかし、便所の落書きのようなものは加害者が誰で、被害者が誰で、本当に差別が目的なのか検証のしようがない。
このような乏しい根拠で、鳥取の教職員は「差別の現実から深く学ぶ」という指導をしているのである。
あなたがもし、鳥取で「差別の現実」を探して来いと言われたら、いったい何を採り上げるだろうか。静まり返った研修室で、一人だけ立ったまま、周囲の視線を集め、講師から期待の眼差しで見つめられているとき、あなたはどう答えるか、想像していただきたい。