現在、鳥取県を相手として行っている情報公開裁判について解説をしていますが、私は弁護士ではないため、法律的な知識については保証できません。ご質問、ご要望、ご指摘はコメント欄でお願いいたします。素朴な質問は歓迎します。
裁判では、事実関係を証明するため、あるいは裁判官が分かりやすいように証拠を提出します。証拠は裁判の途中でいつでも追加できますが、なるべく早いうちに提出するに越したことはありません。
証拠の追加はどのようにすればいいか裁判所に電話で問い合わせたところ、「証拠説明書を作ってもらえると助かる」とのことなので、早速証拠説明書というのはどんなものなのか調べて作成しました。これは、提出した証拠1つ1つについて号証(裁判では原告が提出する証拠を甲号証と言い、甲1号、甲2号…と番号を付けて識別します。ちなみに被告が提出する証拠は乙号証と言います)、品目、原本か写しか、作成年月日、作成者、その証拠で何を証明するのか、といったことを表にしてまとめたものです。
比較的新しい制度で「当事者照会」というのがあります。これは裁判所を経由せずに、原告が被告に対して、あるいは被告が原告に対して直接「当事者照会書」というものを送って期限を設けて(2週間が一般的なようです)質問に回答させるものです。当事者照会書の様式は決まっていてこういったもののようです。当事者照会は裁判をスムーズにすすめるために、あくまで事実関係を問い合わせるものなので、質問できることは限られています。
鳥取県に対して聞いてみたいことはたくさんあるので、当事者照会をしようかと思ったのですが、口頭弁論が丁度2週間後なので、「準備書面」で質問することにしました。準備書面は口頭弁論で主張したいことを記述したもので、これを裁判所と被告に提出して、なおかつ口頭弁論で読み上げる(と言っても必ずしも全て読む必要はなく「書面のとおり」と述べるだけで終わる場合が多いようです)ことで初めて書面の内容の主張をしたと見なされます。準備書面も早めに用意することに越したことはありません。口頭弁論の場で被告に手渡してもよいのですが、大抵は回答が次回口頭弁論に持ち越され、裁判が長引いてしまいます。
準備書面の提出の手続きは、被告と裁判所の両方に同じ書面を送り、被告から裁判所に受領書を送ってもらうだけです。提出方法は郵送でもファックスでも構いません。もちろん、裁判所に2通送って、1通を裁判所から被告に送ってもらうこともできます。最初に被告にファックスして、「副本直送済」とスタンプを押した書面を裁判所に提出するというのが一般的なやり方のようです。
ということで、証拠説明書、準備書面を裁判所に提出して県側担当の弁護士さんにファックスしました。しかし裁判所から「弁護士から受領書は届いたけど、まだ委任状が届いていない」「証拠書類も被告に送って欲しい」と連絡がありました。ファックスする時に「裁判所に受領書を送ってほしい」と連絡したのですが、弁護士が訴訟を担当する手続きが完了していないまま受領書を送ってしまったようです。また、証拠書類は200枚以上あるのですが、さすがにこれはファックスできないので、直接送らないといけません。昔の弁護士は、風呂敷に大量の書類を詰め込んで裁判所に通ったそうですが、こういうことなのだと思います。
証拠説明書、準備書面提出
鳥取県部落解放鳥取県企業連合会(企業連)への優遇とは
現在、鳥取県を相手として行っている情報公開裁判について解説をしていますが、私は弁護士ではないため、法律的な知識については保証できません。ご質問、ご要望、ご指摘はコメント欄でお願いいたします。素朴な質問は歓迎します。
企業連は任意団体、つまり法人格のない団体です。県建設業協会のような社団法人ではありません。従って加入条件等その運営の詳細について県は一切関知していないとされていました。しかし、県はこの団体が「部落解放同盟の関連団体」であること、「同和地区の企業で構成される」ことを認めています。
企業連の理事長は松田秋夫八頭町議会議長、また会計役等が解放同盟員であることが分かっています。所在地は鳥取市幸町の解放センターで、部落解放同盟鳥取県連の事務所も同じところにあります。その他、詳細を企業連から直接聞こうとしたのですが、完全に取材拒否されてしまいました。
鳥取県の入札制度で企業連が優遇されていることは前回の記事で説明していますが、具体的には次の事実が分かっています。
企業連の主催する研修は企業連の会員だけ受講できる
このことは企業連自身が認めていますし、県側もかなり前から知っていたようです。従って、加点研修の実績報告書の参加者の所属企業は、例外なく企業連の会員企業ということになります。
入札の参加資格に関する格付けについて、研修による加点を3点余計に受けられる
「鳥取県建設工事入札参加者格付審査要綱」に「平成19年度及び平成20年度の格付においては、第4条第3項第3号中「30点」とあるのは「30点(部落解放鳥取県企業連合会の会員である有資格建設業者にあっては、33点)」とする。」という附則があります。第4条第3項第3号というのは、研修受講による加点のことです。
指名業者の選定基準で、地域貢献度による加点を5点余計に受けられる
「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱」に書かれている地域貢献度による加点は10点が限度ですが、「同和問題解決への積極的な取組」をした業者は15点まで加点を受けられます。「同和問題解決への積極的な取組」というのは、企業連の研修を受講して、同種の工事を未受注であること(前者はともかく、後者は同和問題とは全く関係ないと思うのですが…)が各総合事務所の規則で定められています。
格付けのランク外の業者であっても指名競争入札に参加できる
鳥取県東部総合事務所県土整備局管内では「建設業者指名選定にかかる審査項目のうち「地域貢献度」の採点基準」という文書で、事実上企業連の会員企業だけが、対象の工事の種類について、格付けのランク外の企業であっても指名を受けられる規則が定められています。
企業連会員の1社あたりの発注金額は他と比べて多い
企業連の会員企業の発注金額は会員以外の企業に比べて多いです。以下はその比率を企業連と県との交渉資料から計算したものです。
平成12年 135%
平成13年 144%
平成14年 137%
平成15年 137%
平成16年 154%
平成17年 123%
年毎にばらつきがありますが、企業連の会員企業は他の企業と比べて3,4割ほど金額が大きいことが分かります。なお、当然のことですが上記は県に申請をして入札への参加資格を持っている業者だけを対象とした数字です。
企業連の会員が分かる情報は一切公開されない
これが今回の裁判のポイントです。根拠となる法令や規則は皆無なのですが、研修の受講者や加点を受けた企業など、通常は公開されているものが、企業連に関するものは一切公開されません。県は「県民の声」で私に対して「同和地区の企業のリストを作成し公開することはもちろん、そのための情報を、当該企業の知らないところで入手する行為自体、許されないものと考えます。」と答えています。県とは関係ないはずの任意団体に対して県が取材制限をしているということなので、尋常な隠し方ではありませんね。
今回の裁判は上記のうち情報公開に関する部分だけの違法性を争点としたものです。
加点研修の実績報告書とは
現在、鳥取県を相手として行っている情報公開裁判について解説をしていますが、私は弁護士ではないため、法律的な知識については保証できません。ご質問、ご要望、ご指摘はコメント欄でお願いいたします。素朴な質問は歓迎します。
今回開示を求めている「加点研修の実績報告書」がどういった意味を持つものなのか、県外の方や自治体の入札制度をよく知らない方(実のところ私もそうなのですが)にはなかなか分かりにくいと思いますので、基本的なことから説明します。
県が公共工事や物品を発注する業者は、通常は競争入札によって決めます。競争入札は県が発注しようとしている仕事に対して、複数の業者に請負金額などの条件を出させて、県にとってもっとも有利な条件を提示した業者に仕事を発注するしくみです。競争入札にはどのような業者でも参加できるというわけではなく、例えば指名競争入札では県が指名した業者だけが参加することができますし、一般競争入札の場合は事前に県が提示した条件を満たす業者だけが参加することができます。指名理由や入札の条件、指名した業者名や落札業者、落札金額といった情報は「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」により公開しなければならないことになっています。
入札に参加する条件として、工事を行うために必要な免許や資格、営業許可といったものが当然必要になります。それ以外の条件は、鳥取県の場合はランク分けによります。ランク分けは工事の種類によって決められていまて、例えば土木工事の場合はA,B,C,Dの4ランクおよび「ランク外」があります。入札への参加条件としてランクが限定されることがあり、一般にはAに近いランクであるほど、発注額の大きな工事を受注しやすくなります。
ランク分けの基準、また指名競争入札で業者を指名する基準は原則として点数制になっています。例えば、過去の工事成績がよければそれだけ点数が加点されます。また、工事成績が悪かったり、違法な事をすれば当然減点されます。また、県が認定した団体が主催する研修に参加した場合も加点対象となります。研修の内容は施工技術や会社の経営に関するもの、そして鳥取県の特徴として人権研修、同和研修があります。原則として点数の高い業者ほど上のランクに置かれ、指名競争入札では点数の高い業者が優先して指名されます(なお、指名競争入札と一般競争入札では加点の基準が違います)。そのため、公共事業で食いつないでいる業者は1点でも点数を上げるために必死です。
「加点研修の実績報告書」の加点研修というのは、上記の研修のことです。県が認定する研修の中に、部落解放鳥取県企業連合会(企業連)という団体が主催する同和研修があり、その研修の実績報告書を開示請求したところ、参加者や企業の名前が黒塗りされていたため、その部分を公開するように求めたのが今回の裁判です。
あえてこの文書の全面公開を求める大きな理由は2つあります。
1つめは、この加点研修で受けられる加点が、企業連の会員企業だけが受けられる特別なものだからです。単に研修には企業連の会員しか参加できないだけでなく、この研修により文字通り「特別に加点」されるのです。例えば、企業連の会員でなければ30点までしか加点されないところを33点まで加点されたり、10点が限度のところを15点まで加点されるという規則になっています(もっとあからさまな優遇もあるのですが、それについては次回解説します)。
2つめは、この文書を含め、企業連と関係する企業が明らかになるような情報が不自然にシャットアウトされていることです。例えば除雪作業やボランティアなど地域に貢献するような行為を行った企業は指名競争入札の基準で加点対象となり、なおかつ総合事務所(県内各所にある県庁の出張所みたいなところ)の閲覧室に企業名が掲示されるます。地域に貢献する行為の具体例として「同和問題への取り組み」があり、それは企業連の研修に参加することを意味するのですが、同和問題への取り組みをおこなった企業だけはなぜか掲示されません。中部総合事務所ではそのことが規則として定められているのですが、他の総合事務所では規則も何もないまま、実態として掲示していませんでした。そのため、そういった種類の情報の1つとして、まずは加点研修の参加者を公開させようということです。この情報が公開されてしまえば、他の同種の情報についても県が公開を拒む理由がなくなります。
鳥取県内には企業連以外にも「鳥取県建設業協会」といった事業者団体がありますが、そちらに関しては上記のような実態はありません。つまり、数ある事業者団体の中で企業連だけが特別だということです。
第1回口頭弁論準備中
私も訴訟の経験は初めてですし、自分へのメモ書きと、行政裁判をされる方の参考のために、裁判の経過や説明を逐次行うことにしたいと思います。何か疑問がありましたら、素朴な質問でも構いませんのでコメント欄をご利用ください。なお、私は弁護士でも何でもありませんので、法律的な知識については何ら保証できません。あくまで参考ということでお願いいたします。
行政裁判は民事裁判と同じく、原告(今回の場合は鳥取ループ)が裁判所に、裁判所に求める判決や、事実関係を説明した訴状を提出することから始まります。平成19年11月16日付けで裁判所に提出した訴状はこちらかからご覧になれます。行政裁判の場合、訴状を提出す裁判所は、被告の自治体(今回は鳥取県)を管轄する地方裁判所か、または原告の住所を管轄する地方裁判所のいずれかです。今回は鳥取県を管轄する鳥取地方裁判所に提出しました。
後で知ったことですが、訴状などの書面は裁判所に提出すると同時に、被告と原告の間で直接やりとりするのが一般的なようです。訴状は裁判所で受理されて被告に届けられるまで若干の日数がかかるので、裁判書に提出すると同時に被告(今回は鳥取県)にファックスしておくと、被告は自分が訴えられているということと、訴状の内容をいち早く知ることができます。こうすることで、被告はいち早く弁護士を選任したり、答弁書(訴状に対する応答)を準備することができ、裁判がスムーズにすすみます。
また、裁判が開始した後も、訴状のミスを訂正したり、主張や反論のための書面(準備書面)を裁判所に提出します。準備書面は2通用意して裁判所に提出し、1通を裁判所から被告に送ってもらうということができますが、郵送のための費用や時間がかかるので、1通だけ裁判所に郵送すると同時に被告にファックスした方が経済的です。
ということで昨日、県側の担当となる予定の弁護士さん(まだ正式決定ではないそうです)に書面をファックスで直接やりとりしたい旨を伝えました。
最初の口頭弁論で訴状のミスをいくつか訂正する予定です。訂正は逐次
訴状のページに反映します。
第1回口頭弁論
期日 平成20年1月29日午後1時30分
場所 鳥取地方裁判所民事部32号法廷
ぜひ傍聴にいらしてください。
倉吉東高の同和教育
つい最近倉吉行われた同和教育の内容が分かるウェブサイトを見つけました。
部落出身を自称する講師による講演会がおこなわれており、以下が講師のプロフィールです(リンク先のサイトに書かれていたので、そのまま載せます)。
橋本智洋さんプロフィール
1967年 岩美町に生まれる。
1990年 小学校教職員として勤務。
2000年 自分が被差別部落出身であることを同僚、こどもたちに語る。
2001年 第9回岩美町部落解放文化祭で自分の生い立ちを語り、唄う。
以来、自分と部落差別の問題とのかかわりを、振り返ることを通して考えつづけている。
現在、鳥取市立末恒小学校勤務
鳥取県部落出身教職員連絡会所属
部落解放同盟岩美町恩志支部同盟員
人権教育講演会
参加された方の感想を1つピックアップします。全ての感想はこちらからご覧になれます。
隠しても隠しても逃げても逃げても苦しくて仕方がない、もやもやした苦しみを率直に語ってくださったのが、新鮮だったというか納得できたというのが素直な感想です。今まで差別に対する怒りや差別に立ち向かっている方の強い生き方を聞くことが多かったので、自分の生い立ちの中でその都度感じられたことや考えられたことを振り返りながら語ってくださったことがありがたかったです。
自分自身を振り返りながら聞きました。差別は私とあなたの具体的なかかわりの中でなくしていくもの、自分自身を見つめ振り返ることを通してなくしていくものということはその通りだと思います。しかし、一方で「自分自身を振り返る力」をどう育てていくかということが大きな課題となってきているのではないかと思います。各家庭での子育ての中で、また学校生活のさまざまな体験の中で「振り返る力」は育てられていくのではないかと思います。
いじめた子に振り返らせることは難しいという言葉に一番どきっとしました。自分の中にある差別意識に気づかない限り差別はなくならないとすると、部落問題の解決をはじめ、人と人とのかかわりの中で生まれてくる差別をなくしていくためには今まで以上に努力や本気の取り組みがなければいけないのではないかと思います。
まず自分自身が「振り返る力」をと思うので、また講演会等に参加していきたいと思います。
歌詞の中にたくさんの本音の言葉があり、自分も詩を書いてみると本心に気づくかもしれませんね。きれいごとでなく…
訴状
ということで、以下の訴状を鳥取地裁に提出してみました。
平成19年11月16日
鳥取地方裁判所 御中
〒680-8570 鳥取市東町1丁目220
被告 鳥取県
上記代表者知事 平井伸治
処分行政庁 鳥取県知事
平井伸治(甲事件)公文書不開示処分取消請求事件
(乙事件)公文書開示義務付け請求事件
訴訟物の価額 160万円
貼用印紙額 1万3000円
予納郵便切手 6120円
第1 請求の趣旨
(甲事件)
1 被告は原告宮部慎太郎に対し、平成18年11月29日付けで行った、公文書部分開示決定(第200600119607号)処分のうち「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」に関する部分を取り消す。
2 被告は原告宮部慎太郎に対し、平成19年5月30日付けで行った、公文書部分開示決定を求める異議申し立ての棄却決定(第200700029687号)処分を取り消す。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
(乙事件)
1 被告は原告に対し、「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」の全ての内容を開示する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
企業連は、規約上、同和地区内の「中小商工、農林水産業者で組織する任意団体」
以前に質問してみた内容ですが、6月28日付で回答が来ました。以下がその内容です。
1 「なぜ同和地区出身者と推定されるのか」について
県が収集する受講者の名簿は、研修に参加した会員企業に属す役員や職員の名簿
であり、地区出身の事実の有無を明記した情報ではありません。従って、個人情報
保護条例第7条第2項第2号の「収集が禁止されている個人情報の収集」には抵触
しません。
一方、企業連は、規約上、同和地区内の「中小商工、農林水産業者で組織する任
意団体」であり、県が公文書開示決定する際には、平成19年5月7日付けの鳥取
県情報公開審議会答申書(答申第19-1号)でも判断されているように、「企業
連加入企業の役員等は必ずしも同和地区出身であるとは言えないものの、ある程度
そのように推定されてしまう」ため、企業連の企業名とともに、その研修参加者名
は公開しないこととしたものです。
県職員の発言については、前後の経緯等が不明ですが、上記のような事情から「
同和地区と関連のある企業」という意味ではないかと思われます。
2 企業連加入企業の情報を入手することについて
繰り返しになりますが、同和地区の企業のリストを作成し公開することはもちろ
ん、そのための情報を、当該企業の知らないところで入手する行為自体、許されな
いものと考えます。
3 「企業連による加入企業の選別」について
企業連は任意団体であり、その設立運営については公的な許認可を受けていない
ため、加入条件等について県が指導監督する立場にありません。
「加入企業を選別する」とありましたが、任意団体が加入企業を選別(制限)す
ることは、他の事業者の取引における競争を制限することではなく、独占禁止法に
規定されている不当な取引制限に抵触するとは考えておりません。
また、企業連加入企業への加点については、本年1月に回答したとおり、部落差
別の解消のための必要な施策の一環と考えており、独占禁止法に規定する不当な取
引制限に抵触するとは考えていません。
ここまできて、ようやく核心に触れる答えが返ってきました。重要な事実は次の2点です。
・企業連会員は(企業連)の規約上同和地区の業者で構成されるということになっている。
・いわゆる「企業連加点」は同和対策である。
再度「県民の声」に単刀直入に質問してみました
今更回りくどい言い方をしてもしょうがないので、そのものズバリな質問を投げてみました。
今回は質問内容を以下のとおり事前に公開いたします。
企業連の受講者名簿は「同和地区の出身である事実の有無等に関する情報」ではない、ということと「必ずしも同和地区出身者であるとは言えないものの、ある程度そのように推定される」ということは矛盾していると思います。企業連の会員が、同和地区の出身である事実の有無とは無関係であるなら、なぜ同和地区出身者と推定されるのでしょうか。また、県の職員が企業連の所属企業について「同和地区の企業」と言ったのはどういう意味なのか説明してください。
税金の使い道に関わる入札の加点対象となっている企業を知ることは、国民の権利であり、そのことを「社会的に許されない」と公務員から指摘されるのは異常なことです。社会的に許されないのは同和地区の企業のリストを作成し、公開する行為ではないでしょうか。誰も同和地区の企業という理由で差別したくないし、どこが同和地区の企業か言いふらすようなことはしないと思います。しかし、そのことを逆手にとって、公共工事の加点対象企業を公開できなくすることは、納税者の善意を裏切る反社会的な行為ではありませんか。
また、企業連が問い合わせをしてきた企業に対して住所等を聞いて、同和地区以外の企業を排除している事実は私個人としては確認済みです。しかし、県も企業連も同和地区企業であるという理由で不利益を受けている実態を把握しておらず、合理的な理由もなく加入企業を選別することは独占禁止法で禁止されている不当な取引制限に抵触しないでしょうか。県はその事実について名言を避けているような印象を受けますが、あくまで県が把握していないという立場であるなら、なぜ企業連の企業は「同和地区の企業」と分かるのか説明してください。
同和地区の出身である事実の有無等に関する情報ではないが、ある程度そのように推定される
要約するとタイトルの通りです。
先日の県民の声への質問に対する県の回答を掲載します。
まず、受講者名簿が鳥取県個人情報保護条例施行規則第5条第4号の「同和地区の出身であることに関する情報」に抵触しないかについてですが、同条例の運用・解釈において、当該情報は「同和地区の出身である事実の有無等に関する情報」と解釈されています。
お尋ねの受講者名簿は研修参加者の名簿であり、研修参加者が同和地区の出身かどうかがわかるものではありませんので、当該名簿の収集は同条例第7条第2項第2号の「収集が禁止されている個人情報の収集」には該当しません。
情報公開審議会の答申で当該名簿の所属企業名が非開示とされた理由については、鳥取県情報公開条例(以下「条例」と略します。)第9条第2項第2号及び第3号アに該当するとされたためです。
条例第9条第2項第2号に該当するとされたのは、当該企業名の開示により、企業の役員等個人が特定され、これらの役員等は必ずしも同和地区出身者であるとは言えないものの、ある程度そのように推定されることにより当該役員等の権利利益を侵害するおそれがあるとされたためです。
また、条例第9条第2項第3号アに該当するとされたのは、当該企業名の開示による企業の権利利益の侵害のおそれを否定できず、当該規定への該当性は否定できないとされたためです。
なお、以前お寄せいただいていた、「受講者が同和地区の出身かどうかわからないのであれば、受講者の所属事業者を非開示としたことと矛盾するのではないか」というご質問については、上記説明のとおり、矛盾するものではありません。
次に、「個人が取材目的のために具体的に企業が特定できる情報を入手することの違法性」についてですが、違法性の有無について県は判断する立場にはありません。
前回もお答えしたように、会員企業を特定できる内容をウェブサイトに掲載することは、その企業の権利利益を不当に害するおそれのある行為であり、当該企業の知らないところで、そのために情報を入手する行為自体、社会的に許されないものと考えます。
平成19年6月7日