黒塗りの条例

八日市市隣保館条例黒塗り八日市市隣保館条例
東近江市の同和地区関係施設を情報公開請求した件で、本日部分公開された文書が東近江市人権政策課から送られてきました。実は去る9月7日付けで部分公開決定通知書が送られてきて、施設の名称及び位置は公開しないとされました。
本当に条例が黒塗りで公開されるのか半信半疑だったので、郵便代とコピー代を支払って部分公開されたものが到着するのを待っていたところ、本当に黒塗りされた条例が送られてきました。
部分公開された全ての文書はこちらです(PDF)
隣保館、教育集会所のような公の施設は、地方自治法244条の2により、設置及びその管理に関する事項を、条例で定めなければなりません。そのため、名称や位置について定めた条例が必ず存在します(鳥取市の地区会館のように、なぜか規則で定められていて条例が見当たらない例もありますが…)。条例は画像にもあるように首長によって公布され、ほとんどの市町村では市役所や役場の掲示板に貼り出されます。
ということは法令により公開が予定されている(というより既に公開された)ものです。常識的に考えても、条例が情報公開請求され、しかも黒塗りで開示されるというのは前代未聞と思われます。

部分公開の理由

今回、黒塗りにされた理由は東近江市情報公開条例第7条第1号です。しかし、同じ部分のただし書きを見ると「法令若しくは条例(以下「法令等」という。)の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」は適用除外となっています(普段から公開されていたものが、情報公開条例を理由に非公開とされるなら本末転倒ですからね)。
一部黒塗りで公開したことは違法な処分ということになるため、対応を検討中です。

湖陵高校で行われた朝鮮総連委員長による人権問題講演

朝鮮新報に、今年6月24日鳥取県立湖陵高等学校で在日朝鮮人の人権問題について講演が行われたという記事が掲載されました。そのことについて、地元の方から県庁に問い合わせたことが県民の声に掲載されていましたが、その詳しい内容が送られてきました。
以下にその内容を掲載します。
問い合わせ

先日、インターネットで、北朝鮮政府指導傘下におかれている朝鮮総連機関誌「朝鮮新報」を読んでいましたところ、大変気になる記事(http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2009/01/0901j0721-00002.htm)を見ましたので、是非とも、この高校と関連する窓口である県民室に質問と調査の要請をお願いしたいと、存じます(6月24日湖陵校人権問題講演記事)。
ごらんの通り、その記事の内容は、在日朝鮮人の人権問題として企画されたもののように推察されます。しかしながら、この記事の内容を読んでみると、奇妙なものとして受け止めざるを得ません。たとえば、▲ア、「日本が拉致問題に固執して六者会談が破綻した」▲イ、このことをうけて「朝日関係が類をみないほど硬直化し」ている▲ウ、「民族差別に関する啓蒙も大切だが・・「朝日平壌宣言」の実現のために尽力すること」等が、あげられます。
この内容のどれをとってみても、こん日の殆どの日本人から見ればとうてい納得できるものではありません。そもそも、万景号を使い日本人拉致の指示を受けて、多数の日本人拉致に手を貸してきたとされるのは総連であり、また六者会談の協議を、核の開発、ミサイル発射等で、日本人を恐怖に陥れているのは、総連を指揮指導している北朝鮮であります。これらこそ日本側にとって喫緊の重大な人権侵害問題ではないでしょうか。
ところが、この記事には、総連の機関誌であることを割り引いたとしても、それらしき形跡はまったくなく、いったい日本の教育機関に従事する、教師達が企画したものとは到底信じがたい内容であります。
こういったことから、このたびの湖陵校の人権に対する取り組みは、なんとも奇妙で不可解としか言いようがありません。つきましては、本当に、朝鮮新報に報道された通りなのかどうか、下記に示しますので、8月末日までに、質問と調査を致したく、頂きたくお願い申し上げます。
なお、重ねて申し上げますが、この質問した私の名前が特定されないよう、とりわけ総連並びにその関係者には、いかなることがあろうとも絶対に解らないよう、伏してお願い申し上げます。

1、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、この湖陵校が企画した、人権教育を事前に知らされていましたか。
2、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、この湖陵校が企画したこの人権教育についての報道について、どのように評価されるのでしょうか。
3、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、湖陵校が企画したこの人権教育についての報道に関して、事実確認、実態調査されますか。
4、本報道からすれば、「・・サインした「朝・日平壌宣言」の実現のため尽力することだと強調・・」と講演されたようですが、これは政治的発言であり、地方公務員の政治活動に觝触する可能性があります。写真字幕の標題に「・・人についてどのように取り組むか」となっていることから、つまり政治的「取り組み」であり、許されますのでしょうか。
5、この人権教育を企画した主体は、どなたでしょうか。
6、この講演会で配布された資料の写しは情報公開の見地から、頂けますでしょうか。
以上

県の回答

ご質問いただいた件について次のとおりお答えいたします。
1 事前通知について
 今回の研修会に係る事業計画書は事前に人権教育課が受理していました。
 いじめ等がない人権に配慮された学校づくりは人権教育の柱の一つであり、教職員は自校のすべての生徒が安心して学校生活がすごせるよう配慮する必要があります。
 現在、鳥取県立学校では、外国籍の生徒、同和地区出身の生徒、障害がある生徒、病気にかかっている生徒、一人親家庭の生徒など、配慮が必要な生徒が増えつつあり、色々な立場の方からお話を聞く教職員研修は必要と考えています。
 しかしながら、社会情勢、国民感情などから見て講師選定に配慮が足りなかったものと県教育委員会としても反省しており、校長会等を通じて、今後は適正な講師選定を行うよう指導しました。
2 報道の評価及び事実確認について
 7月22日に湖陵高校を訪問し事実確認をしたところ、当日の研修においては報道にあるような一方的な見解による政治的な話はなく、報道に誤りがあることが判明しましたので、7月23日に校長とともに朝鮮総連を訪問し、抗議の上、記事の訂正を申し入れました。
3 地方公務員の政治活動及び標題について
 教職員に政治活動を促すことを目的にした研修会ではありません。
 演題の「在日外国人問題についてどのように取り組むか」は人権に配慮された学校づくりに向けてどのように取り組んでいくかということを意味しています。
4 企画主体について
 校内で実施される教職員研修はそれぞれの学校で企画します。
5 講演会資料の提供について
 鳥取県情報公開条例に基づく開示請求手続をされた場合、審査の上開示の可否について決定します。
 ○公文書開示 
6 校長の感想について
 校長からは、「色々な立場の方からお話を聞くという主旨に沿って、在日外国人の方から福祉・教育などの面で困難な状況にあったことやその改善のための取組についてお話を聞くことができ、人権に配慮した学校づくりについて改めて考える機会になった」、「今回のケースについては、社会情勢、国民感情などからみて講師選定に配慮が足りず、反省している」と聞いています。

講演を行ったのは朝鮮総連鳥取県本部委員長の朴井愚氏です。朴氏と言えば、人権尊重の社会づくり協議会に参加して、人権条例の制定に関わっていた人物です。今は協議会の委員ではありません。
今回は湖陵高校の校長が講師を選定した経緯があって、教育委員会が校長会等を通じて、今後は適正な講師選定を行うよう指導したとありますが、朴氏のことは以前から「とっとり県民学習ネット」に、在日外国人の人権に関する諸問題の講師として掲載されています。
とっとり県民学習ネット
どのような基準で人権問題の講師として掲載されているのか、問い合わせ中です。

愛荘町は同和対策固定資産税減免をしているのに書類がない?

愛税第168号
愛荘町の同和対策固定資産税減免関係の書類を情報公開請求をした件で、9月11日付けで通知書が届きましたが、画像の通り対象公文書は不存在とのことです。
しかし、愛荘町は間違いなく同和対策固定資産税減免を行っており、公文書を公開しない理由は虚偽の可能性が高いと考えられます。なぜなら、愛荘町の平成20年3月定例町議会の議事録によれば、小杉勝三税務課長の発言として、同和対策減免について次のような答弁をしています。

固定資産の同和対策減免につきましては、小集落地区改良事業あるいは環境改善事業によって地区の環境が改善されてきましたけれども、このことに伴いまして、家屋や土地の売買が生じまして、特に新築家屋における固定資産税の負担が大きいというようなこともございまして、昭和53年から固定資産税の減免を実施してきているところでございます。
しかしながら、合併を機に一度見直すというような声もありまして、その方法、手法について、今日まで検討をしてきたわけでございますが、即やめようということになりますと、急激に納税者の負担が大きくなるということにもなりますので、やはり、減免率の激変緩和を考えていくべきと考えている次第でございます。そうした中、昨年来、地元関係者の方々と会議を開催させていただき、ある一定の方向性を見い出すことができました。
しかし、地元住民への啓発による期間も必要であると考えなければなく、平成20年度から新たなスタート、50%ですけれども、からスタートするということとし、時限的、段階的に同和対策減免の激変緩和を行うべきと、町としては考えております。そうしたことから、新年度4月には、再度、地元関係者の方々と協議の場をもち、最終的な結論を見い出したいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
また、同和減免の影響額と言いますか、どのぐらいの額になるかというようなご質問でございますけれども、平成19年度の固定資産税の減免の額ですけれども、件数に直しますと402件、金額に直すと1,770万円程度になっております。平成20年度も同額であります。よろしくお願いをいたします。以上をもちまして答弁とさせていただきます。

町議会の録画(31:45あたりから)を見ても、確かに議事録の通りの発言をしています。
同和対策固定資産税減免の具体的な件数と金額を答えているので、少なくとも件数、総額等の統計資料は存在していなければこのような答弁はできません。また、同和対策固定資産税減免は今年の3月定例会でも話題になっているので、減免が行われていることは間違いありません。
通常、税金関係は自治体が非常に気を遣うところで、必ず条例をつくって、規則や要綱を定めてはじめて課税の条件が変更されます。憲法84条で租税についての条件は法律によらなければいけないこと、地方税法3条で地方税の税目、課税客体、課税標準、税率等は条例によらなければいけないことが定められているからです。同和対策固定資産税減免は愛荘町税条例の71条を根拠にしているようですが、同和対策であることや、議会での発言にあるような50%という減免率や、激変緩和措置のことは条例のどこにも書かれていません(このこと自体危険なことで、住民監査請求や住民訴訟をされると、おそらく非常にまずいことになります)。さらに、実際に減免を行うには、具体的な減免対象や対象者の要件、申し込み方法を実務を行う職員や住民に説明しないといけないので、要綱や要領がないと、そもそも事務手続きができません。
この件について昨日から愛荘町税務課に問い合わせていますが、担当者不在のためコメントを得られていません。

愛荘町の同和対策固定資産税減免の資格要件を情報公開請求しました

町内の同和地区の場所を公文書としては把握していないとしている愛荘町ですが、同和対策固定資産税減免という制度があり、去年は一部の町民だけ固定資産税が半額になっていたようです。同和地区の場所を把握しないで、どのように減免対象者を決めていたのか興味がでてきたので、公文書公開請求しました。
対象文書は以下の通りです。

平成19年度、20年度の同和対策固定資産税減免措置に関する次の文書
・減免対象資格の要件、事務手続きについて記載された書類(要綱、要領、マニュアル等)
・減免対象地域
・減免が行われた件数、総額等の統計資料

今度は所管が税務課なので、違った結果になるかも知れません。

東近江市の同和地区関係施設が存在した場所を情報公開請求しました

表題そのまんまです。以下の文書の公開を求める公文書公開請求書を東近江市に提出しました。

合併前の旧市町(八日市市、永源寺町、五個荘町、愛東町、湖東町、能登川町、蒲生町)の同和地区関係施設(隣保館、教育集会所、人権啓発センター)の名称あるいは位置を定めた例規の、平成14年1月1日現在の全文。

滋賀県に同和地区の場所を情報公開請求した件で、人権施策推進課の説明には、地域総合センターの場所が分かると同和地区の場所が分かるといった趣旨の説明がされていたのですが、ご存知の通り地域総合センターの位置は市町村の条例に記載されています。条例というのは、改廃されたとしても、過去の条例そのものがなくなるわけではないので、未来永劫事実上の同和地区の位置が記録として残り、公開され続けることになります。つまりは、同和地区の場所を公開することが不適切なことであるというのであれば、既に取り返しのつかないことになっているということです。今回の公文書公開請求にはそのことを確認する意味があります。
なぜ東近江市なのかというと、東近江市は2007年8月16日に愛荘町に同和地区の場所を問い合わせる電話があったことについて同和地区を問い合わせることは差別ではないという見解を出したのですが、なぜか最近になって以下の内容のマニュアルが庁内で配布されているようだからです。

電話や来庁による問い合わせの場合
「東近江市に同和地区はありますか」「○○町は同和地区ですか」「○○は部落ですか」「教育集会所はどこにありますか」「昔、隣保館のあった町はどこですか」などの問い合わせの場合
■ 名前を言われたとき
① はい 私は○○課の△△です。
② 失礼ですが、お名前をお願いします。
③ 東近江市には同和地区はあるのですか・・・などの問い合わせ
④ そのことにつきましては折り返し電話でお答えいたしますので電話番号をお聞かせください。
⑤ ありがとうございました。
⑥ 電話を切り 録音できるようにしてから 回答へ進む。
■ 名前を言われないとき
① 何で名前をいうのや。
② ご用件は何ですか。
③ 東近江市には同和地区があるのか。どこですか。それが聞きたいのや。
④ 失礼ですが、お名前と電話番号をお聞かせください。
⑤ 何で言わないといけないのや これだけが知りたいだけや。
⑥ 回答へ進む。
■ 回答
① 同和地区があるかどうか聞きたい。○○町は同和地区か。
② どのような理由でお聞きになるのですか。
③ 聞きたいだけや・・・・。
④ 聞いて何に使われるのですか。(相手が尋ねようとした理由、動機、意図をつかむ)
⑤ 何で・・・聞きたいだけや。(理由を言われる場合もある)
⑥ このような同和地区があるとか、被差別部落がどこかなどの問い合わせることは、人権侵害、部落差別になりますのでお答えできません。
■ 説明
   ★ このような問い合わせは同和問題の解決の妨げになります。その町に住んでいる人、その町の出身者であるだけで不合理な差別を受けてきた被差別者の気持ちをわかってほしい。これを問い合わせることは、差別行為です。
   ★ 問い合わせは人権啓発の機会です。なぜ、差別につながるかなど、わかるように説明してください。できれば、来庁していただくようにお願いしてほしい。
■ 報告
   ★ 問い合わせを受けた方は、時間、内容などくわしく記録して人権政策課へ連絡してください。

滋賀県の説明によれば、地域総合センターというのは具体的には教育集会所や隣保館の総称ということですが、東近江市にも確かにそれらの施設の位置を定めた条例があります。改廃されたとはいえ、過去の条例が書かれた文書を廃棄するということはまずあり得ないので、国の同和対策が行われていた当時(つまり平成14年以前)の状態が分かると思います。

鳥取工業高校の糾弾会の後日談

以前、鳥取工業高校と鳥取西工業高校の差別事件という記事でご紹介した事件の当事者の後日談と考えられる記事をコメント欄でご紹介いただきました。
おそらくは鳥取工業高校で、「世界を征服したら何をするか」という話題で「お前の住んでいるところを被差別部落にするぞ」と発言した生徒の事を解放同盟に報告した人だと思います。後日談の概要は次の通りです。
解放同盟の救いようのない糾弾会を見て不信を抱く → 自分の報告が原因で友人の家族が失業したことに責任を感じて解放同盟を離れる → 民青と人権連に加入
以下は引用です。

… 略…
 高校時代は解放運動一色で解同とともにあった気がします。日常的に解放運動に触れるなかで解同や同和教育の強い影響を受け、自分の中で「差別はまだ残っている」、「自分は差別されている側の人間なんだ」、「部落外の人は皆、差別者だ」という歪曲した意識だけが独走し始めます(これは後に、事件を起こす種となっていく)。
 ある時、私と友達二人の計三人で下校途中に、「自分が権力者になったら何をするのか」という話で盛り上がっていました。友達の一人が私たちが想像できないことをするという趣旨の話をしたあと、もう一人の友達が、「そんなのできるはず無い、無理だ」と言ってお互いに笑いながら他愛も無い話をしていました。話を否定された友達が否定した友達に対して、「そんなこと言うなら、お前の住んでるところを被差別部落にしてやる」と笑い話の流れでいいました。  
 当時の私はその言葉を聞いた瞬間、冗談話ながら思考が停止し、間接的に差別をされたと思い込み、解放研と解同に相談するにいたります。
 このほかにも、高校において差別発言や差別落書きがおこなわれていたことから、解同が高校の先生方を引っ張り出し、糾弾会をおこないました。百人以上の解同側にたいして先生方は二十人程度と少ない状況でした。解同による言葉の暴力、言葉のリンチが激しくおこなわれ大変でした。このとき解同の攻撃的な部分と、物事を客観的に捉えることなく感情をむき出しにする性格をはじめて知りました。
 解同が差別をなくす、差別をしてはいけないと理想を掲げている団体なら、建設的に、どうしたらよいのか、どうしていかなければ現状を変えられないのかと、学校(事柄がおきた場所が学校であったため)、当事者等と時間がかかっても、まずは協議及びフォローしていく姿勢を打ち出し、取り組んでいかなければいけないのではないかと疑問を覚えました。そして、私の相談がもとで、友達の家族が職を失う結果となってしまったことに責任を感じて解放運動から身を引きました。
 以来、部落差別・差別というキーワードは自分の中で最大の関心事項でありながら蓋をしましたし、信じたものに裏切られるのは怖いと人間不信になり、内面的な人との関わりも拒絶して暮らしてきました。
 私の転機になったのは日本民主青年同盟(以下 民青)と人権連に出会ったことです。
… 略…

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最近の鳥取市の結婚差別の実情

「とっとり市報」に載っていた記事があまりに凄まじかったので転載します。

部落差別は今 若者たちが語る
市内在住のAさんは社会人2年目。悩みがあるということで高校の恩師に相談したら、先生と同級生のBさん、Cさんが集まってくれました。
恩師 さすが、学生の時に部落問題について一緒に学習した仲間だけあって、ちゃんと来てくれたなあ。
本人A ほんと、ありがとう。 友人B そんなの当たり前だって。
恩師 A君、さっそくだけどみんなに話してみたら?
本人A 大学時代からつきあっている彼女がいて、最近「結婚」を意識するようになったんだ。そろそろお互いの家族にきちんと話をした方がいいだろうということになって、彼女が自分の家族に僕が被差別部落出身だということを話したんだ。そうしたら、彼女は、家族に「部落の人と一緒になったら幸せになれない」と言われたらしい。
友人C 彼女はなんでそのことを家族に話したの?
本人A 家族にきちんと伝えてほしいと僕が言ったからね。
友人B A君は家族に反対されるとは思わなかったの?
本人A 不安は多少はあったけど…。
友人B A君の彼女は何って言ってるの?
本人A 家族の言うことは間違いだと思ってる。でも、「Aのことは大好きだけど、今まで育ててもらった親を裏切ることはできない」と、泣きながら電話してきた。それを聞いてから、僕はもうつらくて。まさか自分がこういうことになるとは思わなかったから。
恩師 それで私に電話してきたんだね。
本人A そうなんです。職場の人にも相談できないし、分かってくれる友達も近くにいなくて。1人で悩んでいたらどんどんつらくなってきて。
友人C オレの彼女も、部落差別の歴史とか、全く知らなくてね。話してみたら興味を持ってくれたから安心してたんだけど、A君の話を聞いて、すごく不安になってきた。
友人B 私も、実は最近つきあいだした人がいて、私が被差別部落出身だということを話したの。そうしたら、彼氏は「ふーん、それがどうしたの?」っていう反応で。気にしてないのか、興味がないのか分からないけど。彼氏には親にそのことを話すように頼んだんだけど、彼氏の母親が、「つきあうのはいいけど、結婚はだめ」だって。A君の場合と全く同じ。
恩師 結婚したいのにできないなんて、どちらにとっても不幸だね。A君やBさんがつきあっている人は、同和教育を受けているんでしょ?
本人A いえ、ほとんど知らずに大人になってるみたいで。
友人B 昔の話という感覚みたいですね。
本人A 家族はもっとひどくて。部落の人は生活や文化が違うとか、執念深いとか思っているらしい。
友人C それはひどいね。
恩師 なぜA本人を見てくれないんだろうね。憤りを感じるね。差別は見えにくくなっているという人もいるけど、やっぱりなくなってないんだなあ。
友人C でも、被差別部落出身だということで悩んでばかりというわけでもないですよ。もちろん差別を受けるのはつらいけど、実際に差別を受けているからこそ見えることや考えられることもあるし。
友人B 私もそう思います。差別がある人間関係も、やさしさとぬくもりのある関係に変えることができるんじゃないかって…。だから、被差別の当事者である自分を積極的に受け入れようという自分もいるんです。
本人A うん、2人に元気づけられた。やさしさとぬくもりのある地域社会を、僕たちの世代が作り上げていくっていうことかなあ。まずは、彼女の親としっかり話ができるように頑張ってみます。
これは数カ月前に実際にあった話です。人生の節目である結婚で、今でも差別を受けている人々がいるのです。
差別を解消し、やさしさとぬくもりのある関係をつくるために、「気づくこと」「思いをはせること」を大事にし、今一度「自分の問題とする」ことを考えてみる必要があるのではないでしょうか。

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7月6日付の理由説明書に対する意見書を提出しました

去る7月6日付の滋賀県人権施策推進課の理由説明書に対する意見書を提出しました。以下に内容を掲載します。

平成21年7月6日付滋人推第170号に対し、次のとおり意見いたします。
1 用語の定義
実施機関の理由説明書には、一般的でない用語があるため、先に申立人の解釈により定義する。
同和地区
同和対策事業の対象地域。事業が終わった現在でも一般的な意味での「被差別部落」として事実上県が把握している。
同和地区出身者
同和対策事業の対象者で、「属地・属人」あるいは「同和関係者」と同義。事業が終わった現在では一般的な意味での「被差別部落民」と同義。
部落地名総鑑
昭和50年頃のいわゆる「部落地名総鑑事件」で結婚・就職差別に使われたとされる同和地区の一覧か、それにする類する情報。

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滋賀県から同和対策関連文書の非公開理由の理由説明書が届きました

滋賀県の同和対策関連文書の公開を求めて異議申し立てをしていた件で、去る7月6日付けで理由説明書が送られてきました。全文は以下をご覧下さい。
平成21年5月8日付け滋人推第100号による公文書一部公開決定に係る理由説明書
情報公開請求関連の理由説明書としては、かなり長文です。私もこれほど長文のものを見るのは初めてですが、要約するとおおよそ次の通りです。
・地域総合センターの名称、住所電話番号、地区名、同和対策事業関係の地図は非公開情報である。
・同和問題についての解説(鳥取でもよく目にした、同対策答申に始まって意識調査に終わる、ほぼ定型化した内容です)。
・地域総合センターの位置が分かると同和地区住民や出身者が分かるので、個人情報である。
・個別に公開されている地域総合センターの情報と違い、集合させたものは部落地名総鑑になる。
・同和対策関係の地図は一般的な地図よりも具体的に同和地区の位置を推定できる。
・愛荘町の3地区については大字を明らかにしただけで、同和地区であると認めたものではない。
このサイトをご覧の方ならお気づきの通り、同和地区住民はともかく出身者は特定できないし、地域総合センターは個別ではなく市町ごとにまとまった情報が公開されています。
ということで、上記の説明には、事実誤認があるので、反論の意見書を送付予定です。

愛荘町に同和地区を問い合わせた件、回答なし

去る3月13日に愛荘町に電話とメールで同和地区を問い合わせた件ですが、回答がないので放置状態だったのですが、6月19日に愛荘町に電話で確認したところ、回答せずとのことでした。
私の所へは、解放同盟からも地元の市役所からも何の連絡も来ていません。ということで、電話とメールで堂々と同和地区を問い合わせれば回答を拒否されるけれども、別に差別事件として扱われることはないということのようです。

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