行政が見解書のテンプレートを用意して行われる糾弾会

同和と在日9月号でレポートした「糾弾ビジネスの正体見たり!総力取材 「同和と企業」解放同盟に狙われたエイブルとパナホーム」。糾弾された企業、業界団体、そして行政は「見解書」を用意させられました。こちらにそれをアップロードしております。

パナホーム&エイブル事件行政見解書.pdf

パナホーム見解書.pdf

これらを見て、最初に思ったことは、妙に立派な見解書だということです。滋賀県と始めとする行政に関しては、この手の「差別事件」は初めてではないですし、人権擁護局からも支援を得られるので手馴れたものでしょう。しかし、民間団体である宅建協会、全日本不動産協会、さらにパナホームの見解書までもが、言ってみればベタベタの文章になっているのは不思議な事です。

これには裏がありました。これら民間企業や団体に対しては行政側から「テンプレート」が用意され、この文例に沿って見解書が作られるわけです。

見解書テンプレ.pdf

ちなみにこの見解書、本ブログでも以前に紹介したオイレスECO株式会社の「従業員差別発言事件」のものです。こうやって、作成された見解書はまた後々の「学習資料」として使われます。

さて、糾弾会の中盤になって企業側が見解書の作成や糾弾会への参加を徹底拒否したらどうなるのでしょうか? 当然、解放同盟の面子は立たないし、解放同盟の矛先は企業から行政に向かうことになります。そこで、行政としてはこのようにわざわざ「テンプレート」を用意してでも、何とか見解書を書いて下さいとなるわけです。

しかし、これがどのように「部落解放」につながるのか、地区住民の権利利益につながるのか、そういう視点は全く無いように思われます。全ては「差別事件の処理」というマニュアルに従って、行政と運動団体のメンツを立てるために、形式的に事が進められていくのが現状です。

同和減免された税の徴収を求めた裁判の争点

鳥取市下味野で同和減免された固定資産税を徴収するように求めた裁判の次回弁論に向けた準備書面を提出しております。

原告第1準準備書面.pdf

今回の争点は明治4年太政官布告第449号、すなわち「解放令」です。

そもそも、同和減免は租税法律主義に反していて、憲法84条違反だ、地方税法367条違反だという考えもありますが、今回の件に関してはそんなことは瑣末な問題で、一般論で終わらせては意味は無いので、具体的に下味野の旧穢多地に対して税を減免したことが違法だと主張することにしました。

住民監査結果で伏せ字にされた解放令や、下味野という具体的な地域について、ちゃんと説明してもらうには、そうするしかありません。

東京地裁第2回口頭弁論

人権侵犯事件の証拠開示と人権侵犯事実不存在の決定を求めて国を提訴した件、12月11日に2回めの口頭弁論がありました。被告(国)と原告(私)が提出した書面はこちらです。

被告準備書面(2).pdf

原告第2準備書面.pdf

法務省の書面によれば、法務省は「個人情報開示制度において、本人がその情報を知り得ているかどうかは開示情報であるかどうかに関係がない」「国立国会図書館で閲覧できても、公開されていることにはならない」としています。これに対して総理府の所管する情報公開・個人情報保護審査会は既に逆の判断、つまり「大阪市部落マップは本人がブログに載せているのだから、知り得ているとどまらず、既に拡散されている」「大阪市部落マップは国立国会図書館で誰でも閲覧でき、公開されている」という趣旨の判断をし、それを情報を開示するべき理由としています。

重要なことは、このように個人情報に関する見解は政府機関の間でさえ食い違うことがあり、役所がそう言っているからと言って、必ずしもそれが真の答えとは限らないということです。法律を解釈する最終的な権限は裁判所にありますから、とことん争ってみないと分かりません。

今回は特に目立ったやりとりはなく、双方の書類を確認後、結審されました。

判決は来年、2013年2月7日1時15分に言い渡される予定です。

同和地区の場所を公開させるための上告理由書

滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧等を公開させるための裁判、上告理由書と上告受理申立理由書を提出しました。最高裁は多忙で熟読してはもらえないということなので、いずれも3ページにまとめました。こちらにアップロードしています。

上告理由書.pdf
上告受理申立理由書.pdf

一昨年の9月以来、ブレずにひたすら同和地区の場所を公開させることを目的とし、大阪高裁では、同和地区の場所は非公開ながらも、同和対策地域総合センターの名称や位置等の公開を命ずる判決が出ています。

この件のいったい何がおかしいのか、一番下にある今回の裁判の最大の成果物である表に凝縮されているでしょう。この表のうち「センター名の類型」「施設名の類型」は私が調べたものですが、それ以外の情報は既に行政が公開しているか、大阪高裁の判決で公開が命じられた情報です。

そして、滋賀県はこの表は同和地区一覧と同等である旨を裁判で主張しました。私もそれに同意しました。事実、これらの施設は例外なく同和地区内か同和地区近辺にあるのですから。そして、そのことを裁判所も認めています。民事訴訟で両者の意見が一致していることを、勝手に裁判所が違うと言うことはできないですから。

ところが、裁判所の判決は「同和地区の場所を特定する情報は差別につながる情報だから非公開情報だ」「地域総合センターの一覧は個人の権利利益を侵害せず、公開しなければならない情報だ」というものでした。しかし、「地域総合センターの一覧は同和地区の一覧と同じようなもの」なわけです。滋賀県に至っては「滋賀県版部落地名総鑑」とまで言っておりました。これでは、裁判所はいったい誰の権利利益を守りたいのか分からないわけです。

この判決が確定したら、滋賀県は「同和地区の場所を晒すのは許されない差別行為だ」と相変わらず言い続けることができるでしょうし、一方で私は「裁判所も差別される場所と公式に認定した、滋賀県版部落地名総鑑が公開されました」と言うことができます。裁判所によれば、どちらも正しいのです。

一方でまた、裁判所は今の時代一度流布された情報は取り返しがつかないとも言っています。これは正確には誤っていて、部落解放運動や同和対策事業により何十年も前から同和地区の場所の情報は流布されていて、特に滋賀県の場合は解放同盟が滋賀県と一緒になって同和地区の一覧表を出版したわけですから、半永久的に情報が消えることはないと考えられます。

そのような中で「建前だけの秘密」を貫くことが、差別解消のために何の役にも立たないことに気づくべきではないかと思います。過去に公表され、図書館にも所蔵されているような情報を今さら知るな、言うなということは表現の自由、学問の自由に反することはもちろん、知っているのに知らないふりをして白々しい議論をすることを強制するのは、非常に気持の悪い世の中です。

だからこそ、今の時代になっても同和は気持ち悪がられるわけです。

もし、大阪高裁の判決のまま最高裁で確定して、何かいい事があるとすれば、「最高裁判例」ということを錦の御旗にして同和対策事業で作られた公共施設の場所を、各地の自治体に情報公開請求しまくれるということくらいでしょうか。それでいて、同和地区は差別される場所だから公開できないので、施設の意義や事業の成果を自治体が説明するのは難しいでしょうね。

「同和と在日」電子版2012年12月号発売

同和と在日」電子版2012年12月号を発売しました

同和と在日23

今回の同和と在日の見所は、本誌史上最大級の電波物件、岩美町の人権地蔵・糾弾地蔵です。

人権地蔵糾弾地蔵

また、例の週刊朝日「ハシシタ 奴の本性」騒動について、本誌が橋下徹市長に直撃、問題の現場八尾市安中にも行って参りました。

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胸に荊冠を抱く岩美町の「糾弾地蔵」とは!?
週刊朝日「ハシシタ 奴の本性」騒動とは何だったのか、本誌が徹底検証、
ほか

●鳥取県琴浦町・日韓友好交流公園「風の丘」に民団特権は実在した!
・琴浦町の風の丘の今
・韓国一押しからなぜか恋人の聖地に
●ひっそりと“小西”の名を留める「飛鳥会」の今を追う
●同和事業の黄昏を見つめる怨念の「糾弾地蔵」―鳥取県岩美町
・糾弾を目にして解放同盟を離れた民青同盟員
・小箱にハエの死骸と共に「朝鮮奴隷」の紙切れが
・解放同盟支部の解散と田中氏の転落
・糾弾地蔵周辺物件写真館
・石碑や看板の撤去を求めて町から裁判を起こされる
●メディアの暴走 VS 同和タブー 週刊朝日「ハシシタ 奴の本性」の『本性』
・ハシシタ奴の本性という名のアジテーション
・10月18日、橋下市長会見は喧嘩名人の証
・同和という日常を逆手に朝日を屈服
・梯子を外された佐野さん。正解なき同和報道のワナ
・もどかしさばかり感じるハシシタ報道
・名前を出さないで! 摩訶不思議、八尾市の対応
・橋下vsジャーナリストの理はどっち?
・橋下市長「同和地区を書くことはNGではない」
・同和ムラの大騒ぎに日本全体が巻き込まれた!?
●同和行政3方面バトル日記④
・双方上告、舞台は最高裁に移るか!?
・鳥取市が陥った情報保護の罠
・情報公開・個人情報保護審査会と
法務省の法解釈の違い