大阪高裁に控訴理由書を提出しました

大津地裁は敗訴となった滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧などを巡る訴訟ですが、大阪高裁に控訴し、本日控訴理由書を提出しました。控訴理由書と一緒に最近入手したいくつかの証拠書類を提出しました。主に国や他の自治体の同和地区名や同和地区の区域が掲載された文書です。

控訴理由書と付属文書はこちらで見ることができます

最後に滋賀県に対して次の質問をしています。

「同和対策地域総合センター要覧」を被控訴人と共に作成した「財団法人滋賀県解放県民センター」と,「滋賀の部落」の発行者である「滋賀県同和事業促進協議会」はどのような関係にあるのか説明されたい。

これはどういう意味かというと、つまりは「財団法人滋賀県解放県民センター」と「滋賀県同和事業促進協議会」は実質的には同じ団体で、「同和対策地域総合センター要覧」も「滋賀の部落」も作成者は同じなのではないか、ということです。

大津地裁判決ではセンター要覧よりも滋賀の部落の方が信用性が低いかのようなことが述べられているので、この点は重要です。

訴訟の進行状況

現在、同和地区の場所を公開させるための行政訴訟は、3方面作戦が進行しています。現在の状況をまとめます。

大津地裁から舞台は大阪高裁へ

大津地裁では敗訴となった滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧などを巡る訴訟は、去る4月20日に控訴しました。次の審理は大阪高等裁判所で行われます。

高裁での事件番号は平成24年(行コ)第82号(大阪高等裁判所第4民事部)です。初回口頭弁論の期日は未定です。おそらく、7月~8月くらいになるものと予想されます。

近いうちに、控訴理由書を提出します。新証拠として、同和地区の区域や、地区名リストが公開されている事例をいくつか提出することを計画しています。

鳥取地裁

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、4月27日に第1回口頭弁論が行われました。鳥取市は全面的に争う意向ですが、まだ詳細な主張は提出されていません。

現在までに鳥取市から提出された書面はこちらです

次回口頭弁論は6月8日10時30分からです。

現在、鳥取市下味野の被差別部落の正確な区域に関する資料収集と分析を行なっています。

東京地裁

人権侵犯事件の証拠開示と人権侵犯事実不存在の決定を求めて国を提訴した件なのですが、実は人権侵犯事実不存在の決定についての請求は取り下げました。理由は追加で手数料がかかることと、行政の不作為について決定を求めるというのはハードルが高いためです。FC2から移転したので大阪市同和地区リストはほとんど消される心配のない状況となっており、いまさら人権侵犯事実不存在の決定を求める意味があると裁判所を説得するのは難しいでしょう…。

ということで、人権侵犯事件の証拠開示だけが今回の争点となります。

初回口頭弁論は6月5日11時30分東京地裁703号法廷で開かれます。まだ法務省から答弁書は届いていません。最初の口頭弁論では、詳細な主張は出てこないものと考えられます。

吹田市の新町について

P.N. 勃起少年隊さんからお便りを頂きました。

大阪府の地区一覧で「機械的にマーキングしている」との記載は糾弾に値する。吹田市新町→吹田市役所になっている。図書館に都道府県ごとの地名大辞典(角川)がある筈じゃ。そこには吹田市高浜町の一部と書いてある。(昔の日本灯火用硝子工業があった辺りに浄土真宗本願寺派の寺があったぞ。)よく調べなさい。ここに書いてあることが確認できたら、速やかにホームページを訂正し謝辞を掲載しなさい。

確かに、角川地名大辞典で吹田市高浜を調べると、かつての旧吹田町の字新町から改名したことが書かれています。というか、よく見つけますね。

情報提供ありがとうございました。早速マークを移しておきました。

6/9 追記

さらに情報をいただきまして。米軍が作成した日本地図を調べていくと、吹田の地図の市街地に SHIMMACHI という表記が見られます。

同和地区を持つ学校における指導の実際

今から50年近く前の同和教育研究資料です。当時は同和地区の児童生徒に対する学力保障、地区内外での仲間づくりということが重視されていました。今の「人権教育」とはかなり違っていると思います。

同和地区を持つ学校における指導の実際1964.pdf

校区内に同和地区があるからと言って、学校名を伏せるというような発想も当時はありませんでした。以下の学校での取組が報告されています。

  • 奈良県大和郡山市立 矢田小学校
  • 長野県長野市立 大豆島小学校
  • 滋賀県高島郡安曇川町立 安曇小学校
  • 群馬県群馬郡倉淵村村立 倉淵小学校
  • 大阪府富田林市立 第一小学校
  • 長野県長野市立 山陽中学校
  • 和歌山県和歌山市立 東和中学校

とっとり県政だより2月号「人権が尊重される社会へ」

とっとり県政だより2012(平成24)年2月号より。

本サイトを「差別行為」と名指しで批判して、昨年末から年を越しながら匿名で自作自演の批判サイトを立ちあげていた人の言葉が載っています。

新しい課題に、インターネットによる人権侵害があります。現在、わが国には差別行為を禁止する法律がなく、ネット上では匿名性を悪用した人権侵害が野放しに行われ、被害者は泣き寝入りの状態です。冷やかしやからかいの情報が掲載され、画面上のイメージが偏見や差別意識を植え付けます。県民や行政が長い時間をかけて築いた施策や教育の成果が安易に壊され、悔しいです。部落差別をはじめ、あらゆる差別をなくすために法律の整備が望まれます。

誰でも分かること、誰でも知るべきことについて、黙ったり、嘘をついたり、ごまかしたり、白々しいことを言ったりして、しかもそれを他人にも強要するような施策や教育が壊されるのは当然のこと。

「法律の整備が望まれます」というのは、要は反論できなくて悔しいから、自分らの考えと相容れない人間を警察に逮捕してもらって、罰金を取るか刑務所に入れたいということなのでしょうが、それのどこが「人権が尊重される社会」なんだと思うわけです。

昭和45年の北九州市の同和行政と各地の同和事業予算

国の同和対策事業が始まって2年後の昭和45年の福岡県北九州市の同和行政の資料を入手しました。以下にアップロードしています。

部内資料同和行政の概要昭和45年北九州市民生局.pdf

この資料は、当時の北九州市の同和行政に関する、財政データ及び関係例規集です。14~17ページには同和対策のために設置された施設の名称、所在地の一覧が掲載されています。

個人給付的な事業としては、地区住民の職業訓練、住宅修繕、高等教育の学費、中小企業、農業・漁業のために公金が支出されていました。

8ページに予算の推移が出ていますが、昭和45年度の同和対策予算は6億99万8000円。前年の2倍近くになっていますが、実は国の事業が始まる前にも、それなりに事業が行われていたことが分かります。

同和対策事業に国が支出した予算は33年で15兆円と言われますが、このように地方自治体独自の事業もあるので、実際の金額はもっと大きいわけです。

107ページ以降にある、国や他の自治体のデータも興味深いです。ダントツなのはやっぱり大阪市で、昭和45年の予算が109億2793万5000円となっています。2番手の神戸市の23億9563万2000円を大きく引き離しています。

大阪市ではその予算の大部分が、今でも残っている同和地区の学校、同和地区解放会館(現在の市民交流センター)、公営住宅の建設に使われました。