1960~1980年代の風景

※鳥取県内のとある同和地区近隣住民のお話をもとに構成しています。
1960年代、今学校で行われている同和教育のようなものは存在しなかった。ましてや、誰が部落出身だと明らかにするようなことはない。ただ、社会科の授業で身分制度について習うことはああった。私は「江戸時代には士農工商えた非人といった身分制度があったが、明治になってから解放令により四民平等になった」と教えられていたので、被差別部落はもう存在しないと思っていた。
当時、子供たちの間では鳩を飼うのが流行していた。被差別部落の子供とも、お互いに鳩を見せ合ったり、普通に遊んでいた。祖母も、隣村の住人とは仲がよかった。もちろん、当時はどこが被差別部落なのかと言ったことは知らなかった。
それから私はしばらく県外に出ていて、1975年ごろ、鳥取に帰ってみると、様子が変わっていた。PTAの集まりなどで、隣の村が被差別部落で、同和教育が行われていることを初めて知った。今になって思えば、以前に隣の村の子供たちの態度がよそよそしくなったので、その頃から部落内の子供は教わっていたのだと思う。
学校で差別事象があったということで、糾弾が行われたことがある。そのころ私はPTAの同和教育推進の役員をやっていた。座談会で差別があるといったことを言われたが、では具体的に何があったのか聞いてみても、はっきりと答えてもらうことはできなかった。
確かに隣の村は貧しい人が多かった。あばら家のようなところが多いのでそれは見れば分かった。しかし、同和対策事業が始まってからはみるみるうちに変わっていった。隣村には幅6mの道路が出来、建設業者が増えて公共事業で大いに潤った。
今、同和対策事業をやめろと言ってもそれは無理だと思う。特に鳥取のような田舎ではこれといった産業もないのだから。
結婚や就職差別は本当にあるのかも知れない。ただ、本当に部落差別なのか、人間の内面の問題であるから他人には知る由もない。
人間は昔から差別してきたし、これからも差別はあると思う。被差別部落内にだって差別はある。実際に就職などで、親族をえこひいきする者がいる。

被害者が救済されなかった具体的事例

「鳥取県人権侵害救済条例の制定について」
部落解放同盟鳥取県連合会
06年2月「部落解放」561号
一九九九年、卒業式を目前にひかえた鳥取県立A高校に通う鳥取市内の被差別部落の三人の生徒から、一九九八年ごろより、この高校のB講師より差別的な言動を受けたとの告発があった(三人の生徒は、やっとB講師から離れられるという思いから卒業式の直前での告発となった)。
この告発を受けて市教委が生徒から聞き取りを行った結果、三人の生徒から、それぞれB講師によるA高校での英語の授業の際の発言内容、B講師の自宅塾での発言内容など、生徒に対する差別的言動の内容が告発された。
その事実を確認するために、県教委、市教委がA高校に出向き、B講師から聞き取りを行うとともに、その後、報告を受けた部落解放同盟も加わり事実確認を行おうとした(この聞き取りは、あくまで三人の生徒の告発内容をもとにすすめられてきた。しかも、B講師から事実関係を語ってもらうため、B講師にも配慮しながら話し合いの場をもつなど、時間をかけた聞き取りが行われた)。
しかしながら、B講師は、教育者でありながら、三人の生徒が傷ついていること自体を真筆に受け止めようとせず、それどころか、聞き取りによって、自らの人権が侵害されたとしてその後の聞き取りや話し合いを拒否した。
一方、生徒たちはその後卒業し、それぞれの進路を歩んではいるが、大切な「思い出」としてあるはずの高校三年生の時に、しかも卒業式直前までB講師によって心を傷つけられたことがいまでも心に重く残っている。
その中の一人の生徒は、卒業後、街でB講師と顔を合わせた際、B講師ににらみつけられたため、当時のことがふたたび思い出され、衝撃を受けた。
その後、事実確認も進展せず、卒業した三人の生徒もその保護者も、心に深い傷をもったままとなり、この問題は解決されなかった。
さらに、生徒の告発内容だけでは事実確認ができないままとなり、結局、事実関係については、B講師への配慮もあり、公表されることはなかった。
 
「人権救済条例」が、まさにこの事例のような被害者を枚済するために必要であり、迅速かつ適切な救済が求められる。

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制度化された同和地区の存在

今回は、同和地区とはなにか、ということを採り上げます。
同和地区は、「旧同和地区」と言うこともあります。それは、2002年に地対財特法が失効になったことで、同和対策関連の特措法はなくなり、当然法律の対象となる地域もなくなったからです。
しかし、鳥取県においては同和地区は今でも確かに存在します。行政側も同和地区および同和地区関係者が誰であるのかを把握しています。
県同和対策課によれば、鳥取県における同和地区とは、旧特措法における同和地区のことです。つまり、鳥取県では未だに失効した法が、エリア設定という点では実態として生きているということになります。
原則として、「同和関係者」とは同和地区住民を指します。しかし、例えば同和地区にワンルームマンションができ、そこで外から来た人間が一人暮らしをしている、というケースは同和関係者には含めません。つまり、同和地区人口と同和関係者の人口は必ずしも一致しません。そして、誰が同和関係者かといった判断を行うのは、市町村であり、地区の隣保館です。
鳥取市を例に挙げると、市が作成した部落問題はいま…という冊子に詳しく書かれています。一部引用します。

各地の自治体では「部落差別が現存する限り同和行政を積極的に推進する」「同和地区の現状を把握し、課題を整理し、一般施策を活用して、人権行政の重要な一環として同和行政を今後とも推進する」など、「法」失効後における同和行政についての基本姿勢を示しています。しかし、同和地区の差別の実態が把握できなければ、どのようにして「同和地区の現状を把握し、課題を整理」するのでしょうか。同和地区のエリア設定ができないという認識であれば、いくら立派な決意を表明していても、客観的には同和行政の放棄となってしまいます。そこには大きな矛盾が生じています。

つまり、誰が同和関係者で、だれがそうではないかと言う振り分けを行う根拠は、同和地区の実態調査の必要性にあるということです。鳥取市に関しては、市が同和地区の実態調査を行う義務があります。鳥取市の「鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例」から引用します。

(施策の総合的かつ計画的推進)
第4条 市は、部落差別をはじめとするあらゆる差別の根本的かつ速やかな解決を図るため生活環境の改善、社会福祉の充実、産業の振興、職業の安定、教育文化の向上、人権擁護等の施策を総合的かつ計画的に推進するよう努めるものとする。
2 市長は、同和問題の早期解決を図るため同和対策総合計画を策定するものとする。
3 市長は、前項の同和対策総合計画を策定する場合には、必要に応じて、実態調査等を行うものとする。

結果として、この条例がある限り、実態調査のために、市民は同和地区関係者か、そうでないかを証明するIDカードを知らず知らずのうちに持たされているのに等しい状態となります。
「部落差別」条例は同和地区の存在を制度化し、固定化しているという根拠はここにあります。

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県立東高で行われた人権同和研修

KN ◆.E2Y/4Nums :
平成17年10月13・14日に鳥取県立東高等学校のPTA同和教育部主催で
同校体育館にて行われた「人権同和研修」について。
この研修の講師は在日韓国2世のチョ・バク氏。
この人選は、事前のPTAからの推薦を受け、校内の人権・同和教育推進委員会や職員会議を経て
学校長が決定したとのことです。
この講演内容が凄まじい。以下は抜粋。
1、竹島問題について、近代国家なのに領土問題になると目くじらを立てる(日本のことらしい)
  歴史的に竹島は「韓国の入り口」だった。
2、日本は、イギリスがインドを植民地にしたように、同じ事を朝鮮半島にした。
3、日本は戦後、韓国を含む戦後処理をしていない。
4、北海道も沖縄も、もともと日本ではない。
5、国鉄民営化の時、国は1047名もの職員をクビにしたのは人権侵害。
6、ストライキは基本的人権であり、日教組が近年ストライキをしていない。
  今、ストライキをするような組合の先生がおられたら、尊敬し、私が学校に銅像を建てる。
7、小泉政府は「ヒトラー」であり、莫大な国の借金返済のため、「憲法9条を改正して戦争がしたくてしょうがない」
8、ファシズムにだまされてはいけない

鳥取市同和対策総合計画(2)

前回に引き続き、鳥取市同和対策総合計画について採り上げる。
第3章の「総合同和対策の推進」という部分では、同和教育・啓発について書かれている。
市民に対する啓発を行っているのは1959年に結成された鳥取市同和教育協議会(市同教)である。2001年3月現在で684団体が加入と書かれているが、現在は731団体となっている。会員が増えたのは、主に市町村合併の影響によるものと考えられる。
市同教の会員は年間一律3000円の会費を支払い、運営費に当てられるが、多くの部分は市の一般財源から出ている補助金でまかなわれている。平成17年度の運営費用は686万2千円であるが、そのうち427万7千円を市が補助金として交付予定となっている。
市同教の役割は、その名の通り、鳥取市における同和教育の推進である。そのために、市内外での集会や研修会、公民館における人権講座といった研修を行っている。
ただし、その成果については次のように書かれている。

しかし、これらの啓発活動にもかかわらず、企業内における差別事象、市民による差別発言、公共施設への差別落書き等数多くの差別事象が発生してきています。このことは、市民の中に差別意識が根深く残っていることを示すものであり、より一層同和問題に対する正しい理解と認識を深め、人権意識を高めていかなければなりません。

市同教のうち、企業の加入する「企業部会」には490社が加入しているとある。この数は、現在でもさほど変わっていないようで、会員の67%という割合である。
もう1つ、企業の加入する啓発推進組織は、中国電力の鳥取支社長が代表幹事を務める鳥取市同和問題企業連絡会(同企連)である。同企連に参加する企業は現在85社で、加入企業は従業員規模(資本金によるという情報もあり)に応じて5千~5万円の会費を支払っている。同企連にも市の一般財源から補助金が交付されており、平成17年度は運営費用350万8500円のうち、140万4千円が市からの補助である。同企連は鳥取市内で相次いだ企業内の差別事象をきっかけに設立され、「研修会や会員相互の交流事業などをとおして、各会員企業の取り組み等を情報交換し、自社の取り組みに活かす」活動をしているとされる。
市同教、同企連ともに、管轄課は鳥取市の人権推進課である(市同教、同企連の事務局は人権推進課内にある)。総合計画には「企業訪問等により推進組織への加入を促進」することが示されている。
実情については必ずしも全ての会員企業が活動しているというわけでもないようである。総合計画では、そのことを率直に認めている。

また、推進組織へ加入していても、自社研修はもとより、組織が主催する研修会へすら参加しない企業も多く、このような取り組み姿勢の不十分さもあって、市内の企業においても、部落差別の解消はおろか、今なお就職差別につながるような不適切な面接や差別事象が発生しています

市に問い合わせたところ、「同企連についてはそのような事はない」ということであるが、市同教については「実態はいろいろありますけど」と漏らすなど、一筋縄では行かないようである。

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人権意識調査について聞いてみました

ということで、この調査の中身について鳥取県人権局に聞いてみました。
Q. この調査票を作ったのはどなたですか。
A. 県です。
Q. (問4-①の公的機関への相談希望の有無について)選択肢の中に「自分で解決したい」という項目がないですよね。
A. B(2番目の選択肢)の前段がそうなると思いますけども。あるいは、C(3番目の選択肢)もですね。
Q. 「ふらっと」などには相談を希望する方が64.1%となっていますが、この中には自分で解決したいという人が含まれていますね。
A. はい、この53.2%(2番目の選択肢を選んだ人)も含まれています。
Q. それでは、相談を希望する、というのは正確ではないのでは。
A. こちらとしては、県に相談したいということでAとBを取ったということです。そういった希望が潜在的にあるということです。
Q. 自分で解決したいという人は2を選ぶしかないのでは。
A. そこは調査票には出てこないか、あるいはC(3番目の選択肢)に出てくるものと思います。
Q. それでは64.1%というのは、とても信頼できる数字とは思えないのですが
A. 私どもは相談・支援を受けたいという潜在的需要があるものと取っています。
Q. なぜ、自分で解決するという選択肢がないのか。
A. 積極的に自分や家族だけで解決するという選択肢を入れることもあり得たけども、公的機関に相談希望があるかどうかということをお聞きしたかったので、こういった設問になっている。
Q. であれば、選択肢の2は必要ないと思いますが。何か誘導しようという意図があったのか。
A. それはないと思います。あくまで公的機関に相談希望があるかどうかということですので。公的機関への相談希望が非常に強くある方が10.9%、その後に自分で解決したいけども支援を受けたいという人が53.2%であろう、ということです。
Q. 鳥取県内において社会の仕組みとしてアイヌに対する差別があると答える人が10%もいるので驚いています。県内にあるアイヌを差別する社会のしくみとは何のことなのでしょうか。
A. おそらく偏見として意識の面でとらえられていたことが、社会の面でも出てきたのではないかと思います。具体的にどういったことかということは不明な点があります。
Q. 10人に一人と言うのは大きな数字ですが、人権局では具体的な内容は把握していないのですか。
A. この内容については意識の面が社会の面で出たのかなぁと…
Q. そもそも、鳥取にアイヌの人が何人いるのでしょうか?
A. それは把握しておりません。

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平成16年度鳥取県人権意識調査

追記2006年1月15日意識調査の報告書が公開されました。
平成16年度鳥取県人権意識調査は以下のアドレスから見ることができる。
http://www.pref.tottori.jp/jinken/ishikichosa.html
この意識調査について、非常に奇妙な部分がある。以下の調査項目を見ていただきたい。
問4-①(公的機関への相談希望の有無)
あなたは、自分や家族が差別や人権侵害を受けたとき、公的機関(国や県、市町村の相談機関)に相談したいと思いますか。(○は1つだけ)
その結果の内訳は

  • 公的機関へ相談し支援を受け解決したい: 10.9%
  • できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい: 53.2%
  • 公的機関には相談したくない: 13.0%
  • わからない: 14.2%
  • 無回答: 8.7%

である。
そして、結果について。
「自分や家族が人権侵害を受けたとき公的機関に相談したいか聞いたところ、約64%の人が支援を求めたいと考えている。」
という見解が述べられている。
奇妙な点は「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答もこの64%に加えられていることである。「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢がないのである。
鳥取県人なら、鳥取には郊外や郡部で寄り合いの習慣が残っており、仲間内で物事を解決するしくみがあることをご存知だろう。にもかかわらず、「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢が外されるのは不自然である。
仮に「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答者のうち、本当に公的機関への相談を希望している人がごく少数であれば、「公的機関には相談したくない」という回答が「公的機関へ相談し支援を受け解決したい」を上回ることになる。
すなわち、人権救済条例の制定を意識して、わざと誘導的な設問にしたか、結果が歪曲されている可能性が高い。
2006年1月15日「誘導的な設問にした」が正解です。詳しくは追記を参照。
この意識調査には他にも不自然な点(例えば、鳥取県内にアイヌに対する差別が存在すると答える人が11.7%もいるなど)が多くあるが、ここでは詳しい説明は省略する。
詳しい説明はこちら→

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鳥取市同和対策総合計画(1)

鳥取市においては、平成14年に同和行政の指針として第三次鳥取市同和対策総合計画が策定されており、鳥取市のホームページから見ることができる。前書き部分には当時の西尾迢富市長のメッセージが書かれているが、その内容は同和地区と地区外に格差が見られるということと、県民の差別意識は根深いといったお決まりのものである。
現在問題となっている人権救済条例の国版である人権擁護法については、次のように述べられている。

一方、国においては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の施行及び「人権擁護法(案)」の検討が行われており、また地方公共団体では、部落差別の撤廃と人権尊重の社会づくりを目的とする条例がすでに施行されております。
鳥取市においては、これらの状況を十分に認識し、「市条例」及び人権に関する諸法をふまえ、部落差別が現存する限り同和行政を積極的に推進していきます。

しかし、以前にも指摘した通り、西尾前市長もこれらの動きを推し進めた張本人である。西尾前市長のもうひとつの肩書きは部落解放基本法制定要求国民運動鳥取県実行委員会会長であって、しかもそれは名目上のものではなく、実際に部落解放基本法制定要求国民運動の大会でスピーチするなど、積極的に活動している。
この文書の「同和問題の現状と課題」を見てゆくと、興味深い事実が分かってくる。
まず、「差別の実態」について次のように書かれた箇所がある。

教育については、「学力・生活実態調査」の結果をみると、5段階評定での二極分化の傾向や学力の低い層が地区外生徒に比べて多く見られるなど、学力の問題は依然として解決していません。また、高校進学率においては、長い期間で見れば地区と地区外の較差はほとんどなくなってきていますが、この2年間はひらく傾向にあります。そして、大学や短大などへの進学率においては、較差はだんだん縮小しているものの、まだ大きな較差があります。このことは、経済的諸問題のほか、学力の問題、子どもたちの進路について展望を持たせていないことなどに課題があると考えられます。

鳥取県、そして鳥取市は同和地区の児童生徒に対して多額の学費補助を行っている。そして、地区児童を抱える学校には同和加配教員を配置し、さらに「地区学習会」という同和地区の児童生徒向けに特別の学習の機会を設けているのである。にもかかわらず、学力の低い層が依然多く、しかも高校進学率の差が開いているということは何を意味しているのであろうか。それは、このような施策による効果は既に飽和状態だということである。つまり、これ以上施策を続行すことは無意味であり、根本的にやり方を変えるか、徐々に打ち切るべき時期に来ていることを意味する。
次に、「差別意識」について次のように書かれている。

県が平成12年(2000年)に実施した「同和地区生活実態調査(鳥取市分)」では、「同和地区の人である」ということで、約4割の人が人権侵害を受けているという調査結果が示されました。また、同時に実施した「同和問題についての県民意識調査」においても、部落差別についての正しい理解はある程度進んできましたが、同和対策事業など利害に関する部分や、同和地区出身者との結婚問題など、具体的な態度や行動を問われる問題に関しては、否定的もしくは消極的な回答がかなりの高率を占めており、これに関連して「ねたみ意識」や「寝た子を起こすな論」が地域、年齢、職業を問わず、かなりの高率を示しております。また、学校で同和教育を受けてきた若年層に、「同和問題・人権問題」の解決に向けての積極的な態度形成がなされていないものが少なからず見られ、これまでの同和教育の不十分さを示しています。また、「同和問題の解決のために何を行ったらよいか」との設問に対し、「自然になくなる」や「同和地区の人々が差別されないようにする」が、かなりの高率を示しており、近年の啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない状況があります。

「ねたみ意識」というのは、いわば同和地区への過剰な利益誘導に対する批判のことで、「寝た子を起こすな論」は共産党の言う国民融合論のことである。どちらも全国的には普通に議論されているものである。特に同和地区への過剰な利益誘導に対する批判を押さえ込むことが腐敗を生んだ例は、大阪、京都、高知などで明らかになっている。それを挙げて「啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない」としている辺りから、鳥取市で行われる啓発の内容と、その達成基準が非常に偏向していることが分かる。
そして、「同和地区の人である」という理由で約4割の人が受けていると言われる人権侵害の中で、最も深刻と思われる差別事象にについては次のように書かれている。

鳥取市においても近年、学校、企業、地域等で数多くの差別事象が発生しています。最近の特徴としては、学校現場での生徒間の差別発言、職場上のつきあいの中での差別発言、公衆の場での差別落書き等、特に、特定の同和地区と個人を名指しした、あからさまな差別事象が目立ちます。

しかし、私が何度も指摘している通り、どこが同和地区で、誰が同和地区関係者かを明らかにすることを行っているのは他でもない行政側である。現在でも「立場の自覚」という指導の下に同和地区児童生徒のカミングアウトが行われているという実態が鳥取市にはある。

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同和関連補助金(鳥取県、智頭町)

以下にウェブ上で収集した、鳥取県と八頭町の平成17年度の補助金交付状況をまとめておきます(決算額ではないので、若干変わる場合があります)。
鳥取県
部落解放同盟鳥取県連合会運営補助金 807万5千円
鳥取県同和対策協議会運営補助金 35万円
全国人権同和行政促進協議会運営補助金 20万円
財団法人鳥取県部落解放研究所運営補助金 1784万8千円
反差別女性国際フォーラム開催費補助事業 100万円
これらははっきり言って氷山の一角です。同和問題県民意識等調査事業費として2532万3千円、同和問題啓発推進事業費として448万3千円、専修学校等奨学資金貸付事業費として3221万8千円…といった予算が計上されています。それらの中には部落解放同盟が講師を派遣する講演会で講演費用が計上されていたり、「見直しの実施には、関係団体等(註:部落解放同盟関連団体のこと)との協議が不可欠」といった注意書きがされているものがあります。
智頭町
部落解放同盟智頭町協議会交付金 540万円
同和教育推進協議会委託料 279万円
智頭町保育園・学校同和教育推進協議会 30万円
小学校同和地区進出費交付金 45万円
小学校同和教育研究費交付金 59万5千円
中学校同和地区進出費交付金 45万円
中学校同和教育研究費交付金 17万円
同和地区中小企業特別融資貸付金 1千万円
以上は全額町の一般会計から出ているものです。
部落解放同盟智頭町協議会交付金の540万円というのは異例に大きな額です。例えば智頭町商工会の交付金額は2260万1千円ですが、そのうち町費は480万円だけで、他は県の補助や会員の支払う会費でまかなっています。
ちなみに同和地区中小企業特別融資については、ここ数年貸付実績がありません。

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鳥取市の人権対策関連補助金

鳥取市には「総務部 人権政策監」という組織がある。これは2003年4月に発足したもので、人権教育、同和対策、男女共同参画といった人権問題に対処する専門の部署である。人権政策監の役職は部長級である。

この部署が扱う平成17年度の補助金額は6366万2千円である。この額は、総務部の他の部署(危機管理、総務、職員、収税)の合計(4964万2千円)よりも大きい。

以下はその内訳である。

名称 金額(円)
研究集会等開催事業補助金 250,000
市同和教育協議会補助金 4,277,000
世界人権宣言推進負担金 754,000
市人権情報センター補助金 35,047,000
鳥取市同和問題企業連絡会運営補助金 1,404,000
部落解放同盟鳥取市協議会補助金 18,000,000
同和地区学習活動事業補助金 840,000
同和地区青年・女性研修派遣及び学習活動事業補助金 900,000
部落解放・人権政策確立要求市実行委員会補助金 900,000
市男女共同参画登録団体補助金 1,200,000
鳥取県婦人大会開催費補助金 90,000

ご覧の通り、同和対策の補助金額が大きい。額が3504万7千円と突出している「市人権情報センター」は鳥取市解放センター内にあり、理事長は林由紀子副市長であるが、副理事長が徳田秀雄鳥取市同和教育協議会会長、理事に山田幸夫部落解放同盟鳥取市協議会議長が名前を連ねるなど、やはり同和団体と関わりの深い団体である。予算の用途の内訳を見ると、人件費が2448万8154円となっており、他は消耗品の購入費や印刷製本費用などである。

そして、1800万円もの金額が交付されている部落解放同盟鳥取市協議会については言うまでもないであろう。これについては、平成17年度の用途の内訳は示されておらず。前年度の内訳を見ると「女性啓発研修事業」「子ども会等を対象とした啓発活動」「全国人権・同和教育研究大会」の割合が大きくなっている。ちなみに前年度の額は460万であり、大幅に増額になっているのは、市町村の合併によるものである。合併により鳥取市の人口は約15万人から20万人に増えたのであるが、人口比率から考えて旧郡部(国府町、福部村、河原町、用瀬町、佐治村、気高町、鹿野町、青谷町)の補助金額がいかに大きかったかが分かる。

もう1つ、忘れてはいけない部署がある。教育委員会の人権・同和教育課である。教育委員会事務局が扱う補助金総額は3億1188万6千円であるが、そのうちの約20%、6356万2千円が人権、同和教育(というよりは、全て同和教育関連)に使われている。

以下がその内訳である。

名称 金額(円)
通学費補助(同和教育課) 302,000
市地区同和教育推進協議会連合会補助金 10,648,000
同和奨学生研修補助金 630,000
同和地区保護者育成事業補助金 1,300,000
高校大学等進学奨励補助金 47,022,000
大学入学支度金補助金 2,895,000
部落解放全国子ども集会派遣補助金 360,000
部落解放全国識字経験交流会派遣補助金 405,000

突出しているのは「高校大学等進学奨励補助金」である。この補助金の目的は、次のように説明されている。

同和地区の生徒は、長年の厳しい差別のため教育の権利が奪われ、高校・大学への進学率はきわめて低い状態にあった。この制度は、この状態を改善するために設けたものです。

具体的な進学奨励金の給付額は以下の通りである。

高校

月額9千円

大学

月額3万3千円

専修学校

月額2万円

大学院進学予備校

月額1万8千円

ちなみに前々年度の給付総額は2604万9千円であったが、合併後は4702万2千円になっている。これも人口比率から考えると、旧郡部の給付金依存度が高かったことが伺える。

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