法務省側も控訴してきました

人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、現在は東京高裁に控訴していますが、法務省側も控訴しています。控訴状と控訴理由書はこちらです。

法務省控訴状-H25-2-20.pdf
法務省控訴理由書-H45-4-10.pdf

それに対する、私の答弁書はこちらです。

答弁書.pdf

一審東京地裁では大阪市同和地区マップ以外の情報について開示命令が出ており、その部分については法務省側の敗訴となっています。そのため、法務省側は開示請求対象の文書は不可分のものなので、部分開示はできないと、過去の判例を2つ出して主張しているわけです。

それに対して私は、次の主張をしています。

1つ目の判例については、大阪府情報公開条例に関するものである一方、今回の裁判で問題となっている行政機関個人情報保護法とは部分公開の条件が異なっていることがあります。情報公開条例(あるいは情報公開法)の部分公開では、非公開部分を除いたときに「有意の情報が記録されていない」場合は部分公開をしなくてもよいのに対し、行政機関個人情報保護法では非公開部分を除いた情報が有意かどうかを問題にしていません。また、大阪の判例では、府知事の交際費に関する情報が問題となって、表形式で書かれた交際費の支出先の個人名、日付、金額などを合わせた1行の情報が不可分とされたもので、文書1枚がまるごと不可分とされたわけではありません。

2つ目の判例については、学校でのいじめに関する報告書に関するもので、その性質上個人名だけを除外しても誰が誰なのか推測できるし、報告書全体がプライバシーに関わることなので不可分のものとされた事例です。これは逆に一部を除外しても他の部分が他人のプライバシーに関する情報として意味があるものになってしまうからということで、これも今回の件とは違います。そもそも、私が開示請求した文書は私自身が作ったものなので、他人のプライバシーに関する情報など最初から入っていません。

また、ここでも同和地区云々の話があったので、以下のとおり主張しました。

大阪市の同和地区の位置は公然のものであることが誰の目から見ても明らかであるにもかかわらず,大阪市の同和地区の位置情報の開示を拒み「裸でのパレード」を続けることがむしろ法務省の人権擁護機関の信頼を失墜させることである。法務省の人権擁護機関は,行政の継続性の名のもとに,同和問題の本当の実態を直視することなく漫然と前例踏襲を続け,真理よりも場の空気や心情に流され,耳障りの良い言葉だけを並べながら困難な問題から逃げ続けて,同和問題の解決を遅らせてきたことを猛省するべきである。

次回口頭弁論は5月27日14時30分、東京高裁424法廷で行われる予定です。

鳥取地裁に提出した文書提出命令申立書

鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判で、文書提出命令申立書を提出しました。

これは、裁判所から鳥取市に対して下味野の同和減免の対象区域の地図を提出するように命令して欲しいと、原告から申し立てたものです。この申し立てが必要な理由は、この裁判は12日で4回目の口頭弁論が行われるにも拘らず今だに「下味野で同和減免が行われていた」という重要な事実がぼやかされており、また情報公開請求・個人情報開示請求に対しても鳥取地裁が非公開とする判決を出してしまったからです。

それなら、情報公開請求・個人情報開示請求でもなく、裁判所の文書提出命令ならどうなるかということです。

そもそも住民監査請求でも、住民訴訟でも、原告(鳥取ループ)側は下味野の同和減免の違法確認を求めています。もし、下味野で同和減免があるという事実をぼやかしたまま違法確認をするのであれば、鳥取市内の全ての同和地区に行われた同和減免を違法としなければならず、これはおかしなことになります。裁判所が原告の請求を越えるような判決を出して、しかもその影響による不利益が他の人(ここでは下味野以外の同和地区の属人)にも及ぶ例というのは、たぶん他にないと思います。

そうでなければ、裁判所は原告の請求を棄却せざるを得ないので、結果が分かっている裁判を続ける意味がありません。

以下が、文書提出命令の関係書類です。
文書提出命令申立書.pdf
鳥取市-証拠意見書(1)-H250501.pdf
原告証拠意見書.pdf

また、鳥取市からは以下の書面が提出されています。要は、同和であれば固定資産税を減免する特別な事情になるということです。
鳥取市-被告第2準備書面-H250426.pdf
鳥取市-証拠説明書-H250430.pdf
鳥取市-乙4~5-H24(行ウ)6.pdf
鳥取市-乙6~10-H24(行ウ)6.pdf

他の自治体で固定資産税の減免が認められる場合というのを調べてみていますが、類型としては生活保護受給者の居住する固定資産、火事などの災害にあった固定資産、公園や公民館のような公益のために供出されている固定資産があります。特定の地域だけ減免がされるというのは、過疎地減免くらいで、しかもこれは自治体の条例ではできないと解されているようで、国による特別立法がされています。

大阪府内の解放会館と部落解放同盟支部の関係

昭和56年11月26日に、大阪府解放会館連絡協議会が発刊した「大阪府解連協設立10年のあゆみ」という本があります。この文献の中に、「大阪府解放会館名簿」というものがあります。この名簿では、大阪府内の解放会館(隣保館、あるいは人権文化センター)と部落解放同盟支部との対応関係が一覧表示されています。

部落解放同盟という組織は、中央本部-県連-協議会-支部という階層構造になっていまして、最小単位である支部は原則として同和地区に結成されます。地区が小さい場合には、複数の地区で1つの支部が結成されることもあります。いずれにしても、解放同盟の支部は同和地区と関係が深く、支部名は同和地区名を冠していることが多いです。

ということは、以下の資料からは大阪府の解放会館のほとんどが解放同盟支部と対応関係にあり、必然的に同和地区と対応関係にあることが分かります。

kk1

kk2

kk3

大阪市同和地区解放会館条例

大阪市の同和地区といえば解放会館、解放会館と言えば同和地区なのですが、正式には「同和地区解放会館」という、まさにそのまんまの名前でした。当然、施設の存在は秘密でもなんでもなく、施設の位置、その周辺が同和地区であることは公然のことでした。

これらの施設はその後「人権文化センター」と名前を変え、現在は「市民交流センター」となり、徐々に廃止されているところです。

以下は、昭和52年当時の「大阪市同和地区解放会館条例」です。

昭和45年3月31日条例18号
最終改正・昭和52年9月29日条例39号

大阪市同和地区解放会館条例を公布する。

大阪市同和地区解放会館条例
(設置)
第1条 本市に同和地区解放会館(以下「館」という。)を設置し、その名称及び位置は、別表のとおりとする。
(目的)
第2条 館は、基本的人権尊重の精神に基づき、同和地区住民(以下「地区住民」という。)の社会的、文化的、経済生活の向上を図り、同和問題のすみやかな解決に資することを目的とする。
(事業)
第3条 前条の目的を達成するため、次の事業を行なう。
(1)同和問題の調査、研究及び啓蒙に関すること。
(2)地区住民の各種講習、相談及び指導に関すること。
(3)地区住民の自主的、組織的活動の促進に関すること。
(4)地区住民並びに関係機関及び団体との連絡調整に関すること。
(5)その他市長が必要と認める事業。
(使用の許可)
第4条 館の施設を使用しようとする者は、市長の許可を受けなければならない。
(使用の制限)
第5条 次の各号の1に該当するときは、使用を許可せず、又は使用の許可を取り消し、若しくは使用を停止することがある。
(1)第2条の規定の趣旨に適合しないと認められるとき。
(2)公安又は風俗を乱すおそれがあるとき。
(3)営利を目的とするとき。
(4)建物又は附属設備を損傷するおそれがあるとき。
(5)その他管理上支障があると認めるとき。
(使用料)
第6条 館の使用は、無料とする。
(附属設備の使用)
第7条 使用者は、市長の許可を得て、附属設備を無料で使用することができる。
(管理の委託)
第8条 大阪市住吉同和地区解放会館の管理については、社団法人大阪市同和事業促進協議会に委託する。
(施行の細目)
第9条 この条例の施行について必要な事項は市長が定める。

附則(略)

別表

名称 位置
大阪市立浪速同和地区解放会館 大阪市浪速区東1丁目
大阪市立加島同和地区解放会館 大阪市淀川区加島1丁目
大阪市立南方同和地区解放会館 大阪市東淀川区南方町
大阪市立日之出同和地区解放会館 大阪市東淀川区西淡路町1丁目
大阪市立飛鳥同和地区解放会館 大阪市東淀川区山口町
大阪市立生江同和地区解放会館 大阪市旭区生江3丁目
大阪市立両国同和地区解放会館 大阪市旭区清水5丁目
大阪市立浅香同和地区解放会館 大阪市住吉区杉本町
大阪市立住吉同和地区解放会館 大阪市住吉区帝塚山東6丁目
大阪市立矢田同和地区解放会館 大阪市東住吉区矢田矢田部町本通7丁目
大阪市立平野同和地区解放会館 大阪市平野区平野市町3丁目
大阪市立西成同和地区解放会館 大阪市西成区中開3丁目
大阪市立西成同和地区解放会館 大阪市西成区北津守2丁目

4月21日「映画・八鹿高校事件」上映会を東京都中野区で開催します

示現舎は4月21日(日曜日)、東京都中野区において「映画・八鹿高校事件」上映会を開催いたします。参加は自由でなおかつ無料ですが、参加ご希望の方は右下のメールフォームから参加表明をお願い致します。人数を把握したいだけなので、匿名(名前、メールアドレス空欄)で構いません。

開催日:2013年4月21日(日)15:00
場所:桃園区民活動センター 洋室3
〒164-0011 東京都中野区中央四丁目57番1号
JR中野駅南口から徒歩10分
http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/174200/d002444.html

八鹿高校事件とは?

1974年11月22日、兵庫県養父郡八鹿町(現在の兵庫県養父市)の兵庫県立八鹿高等学校の教員役60名が部落解放同盟員に監禁・暴行され負傷者48名を出した事件です。日本教育史上最悪と言ってもいい事件なのですが、同和事業・同和教育の黒歴史ということもあって、事件の存在自体が長らくタブー視されてきました。しかし、同和マニアの間では非常に有名な事件でしょう。

Wikipediaに詳しい記事があります。

今回上映する「映画・八鹿高校事件」は、その翌年に兵庫県高等学校教職員組合但馬支部により被害者側の視点で作られた、約1時間のドキュメンタリー映画です。示現舎はこの貴重なフィルムを入手することができました。

4月14日「第十六回文学フリマin大阪」に出店します

示現舎が4月14日(日曜日)に堺市産業振興センター イベントホールで行われる「第十六回文学フリマin大阪」に出店します。当日は示現舎の出版物を特別価格で発売します。ぜひおいでくださいませ。

第十六回文学フリマin大阪
開催日 2013年4月14日(日)
開催時間 11:00~16:00
会場 堺市産業振興センター イベントホール
アクセス 地下鉄御堂筋線「なかもず駅」、南海高野線「中百舌鳥駅」徒歩3分
※詳細は交通アクセスをご覧下さい
主催 文学フリマ事務局

広島高裁松江支部に控訴しました & 次回口頭弁論準備書面

鳥取市下味野の旧赤池部落の同和減免の関連文書の公開について争っていた件で、鳥取地裁で全面敗訴してしまいましたが、3月29日に広島高裁松江支部に控訴しました。控訴状は以下の通りです。

控訴状-H24-3-29.pdf

控訴の目的ですが、鳥取地裁の判決によれば、地域を対象とした税の減免であっても、対象地域を公開しなくてもよいという判断がありまして、これが判例として確立されれば地方自治体の税務担当者はかなり楽になるので、ぜひ高裁判例にして最終的には最高裁判例にしてみようということです。これで、市町村がこっそりと特定の地域の固定資産税を減免できるようになり、地方自治体の権限が広がります。

広島高裁松江支部が本当にこれを高裁判例とするのか、あるいはどんな屁理屈をこねて判断を避けるのかが注目されます。

また、鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判について、次回の口頭弁論は5月15日になりますが、準備書面を提出しました。

原告第2準備書面.pdf

前回の書面で、鳥取市が同和減免の件数と総額を答えていますが、これがどうも下味野だけではなくて、鳥取市全体のもののようなので、裁判の対象であるところの下味野の総額を答えるように求釈明しています。また、平成20年3月の鳥取市議会で田中克己総務庁調整監が言っている「属地・属人」というのは具体的にどういう意味なのか、固定資産税の減免の申請書に人権福祉センター所長の署名捺印が必要なのはなぜなのか、それぞれ求釈明を求めています。

鳥取市がどのように釈明するのか、あるいは釈明を回避するのかが注目されます。

東京高裁に提出した控訴理由書と大阪市の同和地区

人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、2月7日に同和地区マップについては不開示とする判決が出されましたが、控訴しました。控訴理由書はこちらです。

控訴理由書-H25-3-25.pdf

私の控訴理由の論点は数多くありまして、主要なものを列挙すると次のとおりです。

  • 同和地区一覧は「真実であるか否かにかかわらず同和地区の住民や出身者に対するいわれなき差別を助長するおそれのある情報ということができる」と東京地裁は言うが、真実でなければ同和地区の住民や出身者は無関係なので、文章としておかしい。
  • 開示を求めている同和地区一覧は大阪市行政が公表している同和地区一覧と一致するので、間違いなく真実。
  • 同和地区一覧は「当該地区の住民又はその出身者の人格権その他の権利利益を著しく害するおそれのある情報」と東京地裁はいうが、法務省や裁判所が「権利利益を著しく害する」と認定するような場所なら、関わりたくないと思って当然ということになる。
  • 図書館で公表するのとインターネットで公表するのは違うというが、インターネット云々は裁判所の外の話で、話が脱線している。
  • 個人情報開示請求権は法律によるものである一方、法務局の人権擁護活動は訓令による役所の内規に過ぎないので、前者の方が優位にある。
  • 行政機関個人情報保護法14条2号イの「法令の規定により又は慣行として」知ることができるというのは、開示請求者が当然に知り得ていれば足りるので、個人に関する情報だからというのは開示しない理由にならない。
  • 同和地区一覧を開示したら「大阪法務局長が結果的に差別行為に加担したとの誤解を国民に与え」ると東京地裁は言うが、誤解まで考慮しないといけないなら事実や法律の判断ではない。誤解されないように説明すれば済む話。
  • 同和地区一覧を開示したら「部落地名総鑑事件と同様の問題が発生しても,任意の提出や自主廃棄等の協力を受けることができな」くなると東京地裁は言うが、既にFC2もGoogleも応じていないし、私も応じるつもりはないし、どんな判決が出ようと関係ない。
  • 法務局が同じ事を出版社にやったら間違いなく検閲で、ネットのブログだからと舐めている。

特に重要なのは、やはり大阪市と部落解放同盟大阪府連合会が1度ならず、何度も、しかも部落地名総鑑事件の後も大阪市内の同和地区名を公表していることでしょう。

私が証拠として提出したのは以下の資料です。

この資料は国立国会図書館にありました。大阪市の行政文書で、地区ごとのデータが分かりやすくまとめられています。当然ですが、同和地区名は「50年のあゆみ」の記述と一致しています。

甲24 大阪市の同和事業昭和44年度.pdf

こちらは大阪市立図書館で借りることができる資料です。もとは昭和43年に1000円で売られていたものですが、部落地名総鑑事件の直後の昭和54年にわざわざ復刻出版されました。発行所は「大阪市同和対策部」となっており、どう考えても大阪市が行政ぐるみで多くの人に読んでもらうために発行したものです。

甲25-1 大阪市同和事業史復刻.pdf

いきなり中表紙に同和地区マップが印刷されており、文中にはしつこいほど同和地区一覧が繰り返し出てきます。

WS000000

大阪市民にとっては、もはや常識のレベルかと思いますが、いわゆる同和校の一覧もありました。他の地域ではあまり見られないのですが、同和地区についてはとにかく何でも一覧にするのが大阪市の方式のようです。

WS000004

なぜか、厚生省が指定した全国のモデル同和地区一覧も掲載されていました。実は私は昭和36年に厚生省が発行した「同和行政の手引き」を持っているのですが、それにも同じ一覧があります。

WS000002

WS000002

細かくて見づらいですが、大阪府の同和地区マップもありました。何でも地図に落としこむのも大阪市の方式のようです。

WS000003

以下が続編ですが、同じように同和地区のデータを表にまとめたものが何度も出てきます。

甲25-2 大阪市同和事業史続編.pdf

次回に続きます。

同和減免関連の資料の公開についての鳥取地裁判決

鳥取地裁では同和減免の資料の公開と、同和減免した分の固定資産税・都市計画税を徴収しなかったことについて違法確認を求めているのですが、ひとまず、同和減免の資料の公開についての判決が出ました。

結論から言ってしまうと、原告の全面敗訴です。判決文はこちらです。

判決-H24-3-15.pdf

お約束ですが、裁判所の判断によれば、鳥取市下味野の旧赤池集落が同和地区だということが分かると、その住民は権利利益を侵害されるということです。国立国会図書館がネットで公開している古文書から、「部落解放」「鳥取市誌」まで出して説明したのですが、それでもまだ下味野に同和地区が存在されていることは公開されている状態にないというのが裁判所の判断でした。

また、この判決のおそらく最も重要な点は、固定資産税の減免の条件について、その条件が首長が定めた地域であっても、明らかにする必要はないということです。ということは、過疎地減免のようなものも、対象地域を公示しなくてもよいということになるので、ぜひこれは最高裁判例にしてみたいところです。

また、判決は小集落改良事業が行われても、それをもって同和地区が公にされたとは言えないとしています。しかし、少なくとも鳥取市においては、ある地域で小集落改良事業が行われたことを明らかにすることは、同和地区があることを明らかにすると変わらないと鳥取市は事実上認めているので、その辺りとの整合性が気になります。とすると、小集落改良事業についても深く追求してみる必要がありそうです。

鳥取県議会で鳥取県の部落マップのことが話題になる

3月12日、鳥取県議会の本会議で、私が掲載している鳥取県内の同和地区(被差別部落)のことが話題になりました。

こちらのページの下の方で公開されている、長谷川稔議員の質問です。40分ころから、この話題が出てきます。

http://www.pref.tottori.lg.jp/207483.htm

議論されたのは、いかにしてグーグル等に対して働きかけて、この地図を消させるかという事柄だけでした。これは全く意味のない議論です。

まず、技術的に言えば、グーグルに働きかけても消えません。今はたまたまグーグルのサーバー上に全てのデータを置いていますが、グーグル以外のサーバー上にデータを置くことも可能だからです。実際、隣保館.comはその方式で運営しています。そして、あちこちのサーバーにコピーしまくってしまえば、グーグルに削除要請をして仕事しているふりをすることも、“ガス抜き”も出来なくなります。

また、社会的な視点で見てもこれは消せないでしょう。「国民は同和対策で作られた施設のあった場所を公言してはいけない」という法律を作ることは現実的には無理です。大阪府のいわゆる興信所条例でさえ、業者以外の一般国民は対象としていません。同和施設について公言することを例外なく禁止するならば、同和行政も部落解放運動も巻き添えにして、完全に再起不能にするしかありません。

平井知事は部落マップについて「社会病理」と言っていますが、本質的な議論を避けて、全く現実的でなく、何の解決にもならない、削除のための議論を延々と続けざるを得ないことこそが社会病理ではないのかと思います。

たぶん、こんなことを続けても無駄だということは、多くの人が気付いていると思うのですが、言えないんでしょうね。多くの人のメンツに関わりますし、「場の空気」を乱すことにもなりますし。何より、同和が絡むことなので、下手なことを言うのは恐いという意識があると思います。

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