大阪高裁判決 滋賀県の同和対策地域総合センターの名称・住所等について公開命令が出されました

滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧を公開させるための裁判について、遅くなりましたが本日判決書が届きました。以下をご覧ください。


大阪高裁判決-H24-10-19.pdf

先日の速報で「ほぼ原告勝訴」と報じてしまいましたが、正しくは正反対でした。99%私の敗訴です。主文は以下のとおり。「被控訴人」を滋賀県、「控訴人」を鳥取ループと読み替えて下さい。

1 原判決を次のとおり変更する
(1)滋賀県知事が、平成21年5月8日付けで控訴人に対してした公文書一部公開決定処分のうち、同和対策地域総合センター要覧の「目次」部分(最初の2行を除く。)及び本文1,2頁の「同和対策地域総合センター一覧表」の「センター名」、「電話」、「郵便番号」(1,3,4及び7行目)及び「所在地」の各欄を非公開とした部分を取り消す。
(2)滋賀県知事は、控訴人に対し、同和対策地域総合センター要覧の上記取消に係る部分を公開せよ。
(3)控訴人のその余の取消請求を棄却し、その余の義務づけを求める請求に係る訴えを却下する。
2 訴訟費用は、第1,2審を通じ、これを100分し、その1を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。

当初から「センターの位置≒同和地区の場所」であることを双方が主張しており、裁判所の判断もその通りなので、これは実質的に同和地区の場所を公開するのと同じことになるのですが、もっと直接的な同和地区名は非公開とされました。分量で言えば非公開部分が多いため、そこが私の敗訴部分をされているわけです。

判決理由を読んでいくと分かりますが、「同和地区名一覧は部落地名総鑑のようなもので差別になるから公開してはいけない。同和対策地域総合センターの位置一覧は同和地区名一覧のようなものだけど、公開しなければならない」というのが裁判所の判断なわけで、誰が得するのかよく分からない判決となっています。しかし、考えてみると「同和地区の場所はタブー、しかし同和地区施設の場所は公開」という世の中の矛盾をそのまま文章にした判決と言えます。

詳細は、明日発売の同和と在日電子版で詳しく解説します。

速報・大阪高裁で判決が言い渡されました

滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧を公開させるための裁判について、本日、大阪高等裁判所で判決が言い渡されました。

情報筋によれば、大阪高裁は大津地裁の判決を変更し、ほぼ原告勝訴となったようです。しかし、一部敗訴の部分がまだ不明で、詳細は遅くとも判決文が届く日曜日には判明すると思います。

大阪高裁の判決言い渡し日が変更されました

滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧を公開させるための裁判大阪高裁では第1回の口頭弁論で結審し、本日9月28日に判決の予定でしたが、裁判所から連絡がありまして、以下の日時に変更されました。

10月19日 13時15分

判決は結審の日から2ヶ月以内に出されるのが原則で、それが延期されたということは、判決が複雑なものになるか、あるいは何か別の事情があるものと考えられます。

鳥取地裁第4回口頭弁論

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、昨日9月26日に第4回口頭弁論が行われました。

いつも通り、双方が事前に提出した書面のとおりに陳述、各証拠書類が提出されたことが確認されました。

書類はこちらにアップロードしています

まず、裁判官から指摘されたことは文書提出命令の申し立てについてです。これは、鳥取市は下味野の小集落改良事業の文書を提出するように原告が申し立てていたものです。

しかし、「存否応答拒否をすると非公開情報を公開することになる事例」の記事で説明した通り、鳥取市が小集落改良事業は同和対策事業であることを事実上認めてしまいました。この鳥取市による開示請求拒否処分決定通知書は甲28号証として裁判所に提出しています。この点について裁判官は次のように述べました。

「甲28号証から、開示命令の申し立ての対象となっている文書の内容がどのようなものか窺い知れるようになっています。小集落改良事業の文書は結局は同和減免の文書と同じような物なので、裁判所としてそこまで踏み込むことはできないなと思います。」

つまり、小集落改良事業の文書を提出させると事実上同和減免の文書を開示させたのと変わらなくなってしまうので、文書提出命令は出せないということです。これは確かに裁判官の言うとおりでしょう。下味野に同和地区が存在するということが公知であることを証明するという意味でも、文書の提出は無意味になってしまいました。

次に、裁判官が指摘したのは、市の提出した文書では不十分だということです。

「条例を被告から提出してもらいましたが、同和減免の要綱から参照されている鳥取市税条例が欠けています。これは被告から提出していただきたいと思います。また条例の運用に関する規定集のようなものがあればお願いします。」


「それから、これはどの地区でということではなく、市全体として一般的な資料として、住民への説明資料などを出してください。そこに「○○地区の皆様へ」と書いてあるならマスキングしても構いませんので。同和減免がどのような制度なのか理解するために必要ですので。」

結局のところ、住民に向けての同和減免の説明資料は次回までに出てくることになります。

そして、原告からは次回までに下味野に同和地区が存在することが公にされている、さらなる証拠を提出する予定です。

次回の口頭弁論は11月14日 13時30分からとなりました。

さて、この日にさらに訴状を提出してきました。これは、8月28日付の住民監査請求結果に対して、さらに住民訴訟を提起するものです。住民訴訟では、同和減免の資料の公開の是非だけでなく、そもそも同和減免が適法かというところにまで踏み込みます。

原告と被告が実質的に今回の裁判と同じなので、おそらく併合されるのではないかと思われますが、現時点では未定です。

ちなみに、訴訟書類をネットに載せないように鳥取市が求めた意見書については、スルーでした。

26日11時から鳥取地裁第4回口頭弁論です

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、9月26日11時から鳥取地裁で第4回口頭弁論が行われます。双方から提出された書類は次のとおりです。

被告意見書-H24-7-26.pdf

原告意見書-H24-9-3.pdf

被告意見書・準備書面-H24-9-19.pdf

その他、全ての書類はこちらです

7月26日の意見書では、鳥取市から「原告らに対し、被告の同意なく被告が提出する準備書面、書証その他の訴訟書類をホームページ上に公開することを直ちに中止するよう求める」との意見が出されています。理由は民事訴訟法91条1項、3項だそうです。しかし、これは裁判所内部の事務手続きの話で、原告が裁判所の外で何をするかには全く関係ありません。よって無視します。

また、前回、下味野の小集落改良事業の書類の提出命令を申し立てていましたが、市側が「裁判所を通して請求して欲しい」と言っていたのに、なぜか釈明を求められました。一応原告も反論していますが、法廷外において小集落改良事業は同和事業であるということを事実上市が認めているので、確かに文書はもう必要ないのかも知れません。

さて、一番重要な部分である、「下味野には同和地区がある」という点について開示できない理由は「ある地域が同和地区に該当するかどうかといった事項は、当該地区に居住する者や当該地区を出身地とする者にとって秘密にしたいと考えるのが一般というべき」ということだそうです。

平たく言えば、同和地区住民にとっては「同和地区住民と思われたくない」と思うのが普通なのだそうです。しかし、同和地区外住民が「同和地区住民と思われたくない」と思うことは、それこそ差別で、同和地区住民も出自を隠さないように教えられてきました。

また、原告に開示した場合は書籍やホームページに公開される可能性が高いことも問題なのだそうです。

だったら、情報公開制度って何なんでしょう? 情報を公開するための制度なのに、公開された情報が多くの人に見られると問題だというのは矛盾しています。うちの自治体はガラス張りですと見栄を張るためでしょうか。

実は、情報公開制度に限らず、そういった矛盾した制度は世の中にはたくさんあります。例えば裁判所の掲示場にはベタベタと個人名が書かれた公示送達が貼ってあります。あれは郵便で連絡が取れないから公示して本人からの連絡を求めるためにあるものなのですが、裁判所の掲示板なんて見る人はほとんどいません。それより裁判所のホームページに掲載してサーチエンジンにひっかかるようにした方がよほど効果的なはずですが、なぜそれをしないのかは推して知るべしでしょう。

本当は公開したくないのに公開したという名目作りのための公開というものがあります。別の理由として、あまり情報が簡単に共有されるとマスコミの仕事が減ってしまうというのもあるでしょう。

東京地裁第1回口頭弁論

人権侵犯事件の証拠開示と人権侵犯事実不存在の決定を求めて国を提訴した件、前回は期日を忘れて欠席してしまいましたが、今回は本当に初回口頭弁論です。

まず、型どおりに双方が書面の通り陳述。実は「人権侵犯事実不存在」の決定の求めは取り下げて、証拠の開示だけに絞るように請求を変更しました。理由は訴訟の手数料が余計にかかるためです。

先に被告(法務省)から書面が提出され、それに対して反論しています。

被告準備書面(1).pdf
原告第1準備書面.pdf

その他の書面はこちらです

ここで、裁判官から「原告の反論は以上でいいのか?」と何度も聞かれました。これでよいと答えましたが、よくよく考えてみると、私は言う必要もないのに「本件情報は紛れもなく同和地区の場所だ」と、これでもかとばかりに書いておいたので、不審に思われたのかも知れません。

次回口頭弁論は12月11日10時30分です。

大阪高裁第1回口頭弁論そして結審

滋賀県が保有する同和対策地域総合センター要覧を公開させるための裁判、今回は大阪高等裁判所で第1回目そして最後の口頭弁論がありました。被告・滋賀県から出された答弁書はこちらです。

答弁書-H24-7-13.pdf

例によって原告は控訴状および控訴理由書のとおり陳述、被告は答弁書のとおり陳述。証拠書類などが大津地裁から引き継がれた旨が確認されました。

そして、あっけなく今回で結審することが言い渡され、判決日は9月28日となりました。

いわゆる1回結審と言われるもので、特に今回のように口頭弁論以外何も行われなかった場合は、控訴が棄却(つまり原告敗訴)されてしまう可能性が非常に高いです。

すると、次は最高裁ということになるのですが、最高裁の壁はさらに鉄壁です。

鳥取地裁第3回口頭弁論

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、7月20日に第3回口頭弁論が行われました。今日は傍聴席が静かで、市の職員が3人来られてました。

いつも通り、提出した書面についての確認がありまして、今後のやりとりついて裁判官から説明がありました。

今回は原告から市に対して、下味野に小集落改良事業の書面を出すように文書提出命令申立書を出しているので、これについて7月27日までに市が意見書を出すことになります。そして、市から釈明を求められるなど、原告から反論する必要がある場合は、次回期日までに原告からさらに書面を提出します。その後、裁判所が実際に市に対して文書の提出を命ずるか判断することになります。

さらに、今回原告が提出している準備書面に対する反論を、市が9月14日までに出します。これに対して原告が再反論するのは、次回期日以降になります。

次回口頭弁論期日は、9月26日(水) 11時 です。

ところで、同日に以下の住民監査請求書を鳥取市監査委員事務局に提出してきました。

鳥取市職員措置請求書-H24-7-20.pdf

これは明治4年太政官布告、いわゆる「解放令」を根拠に、同和減免は無効だと主張して徴収を求めるものです。明治初期の太政官布告も法律として有効だという最高裁判例もありますし、地方自治法により税の徴収を求めるように住民監査請求を出すことは可能なので、この住民監査請求は適法なはずです。

現在、日本国憲法の下で裁判などで有効とされた最古の法律は明治6年太政官布告「絞罪器械図式」だそうで、解放令が法律として有効と判断されたら、2年ほど記録を更新することになります。

しかし、住民監査請求というのは99%棄却されるようです。

鳥取地裁に提出した、同和地区の場所が積極的に公開されていた証拠資料

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、7月20日10時30分の口頭弁論に向けて書面を提出しました。

原告第1準備書面・証拠説明書.pdf
文書提出命令申立書.pdf

提出した証拠書類はこちらにあります。

原告の主張は、一言で言ってしまえば、「下味野同和地区があるということは誰も隠している様子がない」ということです。鳥取県公文書館で地元の部落史を誰でも見られるようになっています。

文書提出命令申立書を提出したのは、地元に石碑があり、公知となっている下味野の小集落改良事業関係の文書を提出してもらうためです。これは同和対策事業として行われたものなので、事業の内容が分かれば、1つの同和対策事業の区域が判明するということになります。もし、文書が提出されなければ、いずれ提出しない理由を答えなければならなくなるので、少なくとも小集落改良事業は同和対策事業だったということを認めなくてはいけなくなるという仕組みです。

そして、一番の見所は1977年12月の「部落解放」です。この号は鳥取特集のため、鳥取の部落マニアなら必見の号です。もちろん国立国会図書館で公開されています。

当時、美和小学校で行われていた教育の内容が、学校名地名の実名入りで生々しく書かれております。こんな具合でした。

児童 同和地区の人はあまりいい職業についていない。
児童 地区外の人たちはいい銀行とか大きな銀行についている。
児童 同和地区の人は日雇労働の人がいちばん多い
教師 日雇労働が50%に近いな、一番少ないのは?
児童 公務員です。
教師 公務員というのは市役所や県庁、学校の先生たちです。
児童 これでは憲法に違反しています。
教師 こんな差別を受けている所が美和の校区にもあるだろうかな。S君どうだ?
児童 あると思います(少しの間立ったまま)
児童 (次々に「あると思う」「ほとんどあると思う」と挙手)
教師 堂々と言える人(まず四人+一人+二人)
児童 美和では下味野倭文東で昔から差別されてきた村です。
教師 このことをはっきり知っとったひと?
児童 挙手十数名。(内、地区外の児童三名のみ)
教師 Mさん、今言った時の気持どうだった?
児童 ちょっと言いにくいなと。
教師 その言いにくいことをはっきりと言えるように。
児童 何んで部落差別が…

このように、当時は同和地区の場所が隠されるどころか「その言いにくいことをはっきりと言えるように」と同和地区の場所を言うことが推奨されています。正確に言えば、言うことが強制されていました。それが、同和事業が終わった今は正反対に「言わないこと」が強制されているわけです。

学校で何が行われているかは外部からは見えないので、当時を知っているのは当時児童だった世代(現在の30~40代)と、教育関係者くらいでしょう。それでも、こうして記録は残っているわけです。

そもそも「自由に任せよう」という発想がなく、いつの時代も「強制」なのは、自分の考えに合わないことを他人が考えていることが気に入らないから、他人の考えも自分のコントロール下に置きたいという度量の狭さが人権教育者を標榜する人たちにはあるのではないかと思います。

鳥取地裁第2回口頭弁論

鳥取市下味野地区の固定資産税の減免要件の公開を求め鳥取市を提訴した件、6月8日に第2回口頭弁論が行われました。鳥取市から提出されている書面はこちらです。

鳥取市-第1準備書面-H24-6-6.pdf

乙1-4号証.pdf

口頭弁論では裁判から鳥取市側に条例の文面を提出するように求められ、乙1から4号証はそれを受けて提出されたものです。

鳥取市の主張は、要は「同和地区は個人に関する情報」だというものです。これに対して、原告が次回の口頭弁論までに再反論するということになります。

次回口頭弁論は7月20日 10時30分です。

← 前のページ次のページ →