大阪法務局が収集した証拠の開示部分

大阪法務局と争っていた、東京高裁での裁判の結果が確定しましたが、その結果追加で開示された文書が大阪法務局から送られてきました。

開示文書.pdf

とは言っても、本ブログの一部をコピーしただけのもので、一部が黒塗りにされています。

削除される前の状態は以下で見ることができるので、どこが黒塗りにされたのか比較してみましょう。

大阪市内の同和地区一覧
法務省に対して審査請求しました
人権擁護局は質問に答えられず
「人権侵犯事件」の被害者は「同和地区住民」

甲13 部落地名総鑑.pdf について

このようなお便りをいただきました。

さっそく本題ですが,「部落地名総鑑」と検索すると,「甲13 部落地名総鑑.pdf」と題されたページがトップに表示されます。
「甲13」と書かれていることから,訴訟で用いたものということは法律をかじった者であればわかりますが,何も知らない一般の方がこのページを見た場合,これが真実であると誤解を与えかねません。
同和地区を公表することに関しては何とも言えませんが,間違った情報が流布することには反対です。

そこで,「甲13 部落地名総鑑.pdf」が単体では見ることができないようにするか,間違った情報であることを同ページに明記するよう求めます。

よろしくお願いいたします。

まず、本当に何も知らない一般人であれば「部落地名総鑑」が何なのか分からないでしょう。

また、現在のところ法務省や裁判所の見解によれば内容が真実であるか否かに関わらず、同和地区の地名っぽいものが羅列してあれば部落地名総鑑だそうなので、この公式見解に従えば「甲13 部落地名総鑑.pdf」が「部落地名総鑑」であることは真実です。

文句があれば、「部落地名総鑑」について誤った知識を広げている法務省等に言ってくださいませ。「未だに根強い部落差別が」と言いふらす金があるなら、「ネット上の部落地名総鑑なんていい加減なものだ」、「本物の部落地名総鑑も元ネタは同和団体が作った資料や行政文書だ」と、正しい知識を広めることもできるはずです。

法務省が再び個人情報保護審査会の答申を無視

以前お伝えしたとおり、内閣府情報公開・個人情報保護審査会は大阪市同和地区一覧は公開情報であり、開示すべきと判断しました。しかし、今月1日付けの裁決書で、法務省は答申を無視し、大阪市同和地区一覧を不開示としました。以下がその裁決書です。

裁決書-H23-12-1.pdf

裁決書の5ページでその理由が説明されています。

 それらは、その内容が事実であるか否かを問わず、差別を助長するおそれのある情報として、人権擁護機関が長年にわたしその排除に取り組んできた対象そのものである。そのような情報を開示することは、それ自体上記取組と相反するものであって、人権擁護機関に対する国民からの信頼が失われ、人権侵犯事件の処理において、関係者からの情報提供、調査への協力を得ること等が困難になることが明らかである。このような事態は、人権擁護行政に係る事務の適正な遂行に対する重大な支障となるものである。

さて、審査会の答申では、この情報を開示すべき2つの理由が示されていました。1つは、これは情報公開ではなく個人情報の開示であるので、本人がブログに掲載している情報を本人に開示してもこれ以上の情報の拡散はあり得ないことです。もう1つは、大阪市同和地区一覧は個人情報ではない上、既に大阪市人権協会が出版頒布し、図書館でも閲覧できるものなので、開示することで誰かの権利利益が侵害される余地はないことです。

法務省はこの2点を完全に無視しました。人権救済法の議論がされている中で、法務省としてはメンツを潰したくないのでしょうが、個人情報保護制度や情報公開・個人情報保護審査会の権威を犠牲にしてまで守るべきものなのか、気になります。

そもそも、法務省は最初の段階で何度も対応を誤りました。まず、大阪市人権協会の出版した本をブログで引用したことを人権侵犯事件として扱ったことが理解に苦しみます。個人情報開示請求された後も、鳥取県みたいに全部開示しておけば、私は審査請求できないので、知らん顔をしていても全く問題はありませんでした。どうせ同和がらみということで、めったに表沙汰にはならないでしょうし。

今までの経緯を以下にまとめました。

2010年2月15日 当時FC2ブログを使用していた鳥取ループに、「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」は「ざる法」という記事を載せる
2010年2月20日 同様に大阪市の消滅した同和地区(中津・舟場)を載せる
2010年4月21日 FC2から大阪法務局から上記の2つの記事に対して削除要請があったと警告が来る、こちらから大阪法務局に電話して要請を拒否
2011年1月11日 大阪法務局に「人権侵犯事件記録」を個人情報開示請求
2011年3月28日 事件記録を部分開示。記録内にある大阪市同和地区一覧が黒塗りにされる
2011年4月11日 黒塗りにした大阪市同和地区一覧の開示を求めて審査請求

個人情報開示制度というのは比較的新しい制度ですが、この制度ができた背景も、実は同和がらみだったりします。どのようなものかは、こちらをご覧ください。

大阪市同和地区一覧は公開情報と内閣府情報公開・個人情報保護審査会が判断する

大阪法務局が人権侵犯事件記録のうち大阪市の同和地区一覧を不開示にした件と、大津地方法務局が人権侵犯記録の利用停止に応じなかった件で審査請求していたのですが、情報公開・個人情報保護審査会の答申が出ました。

平成23年度(行個)102.pdf
平成23年度(行個)103.pdf

内閣府のサイトでも同じ文書が公開されています。

利用停止については認められませんでした。しかし、大阪市の同和地区一覧の開示については認められました。注目すべきはその理由です。

諮問庁は,特定ブログの写しの内容は,法14条2号にも該当すると説明するが,特定ブログの写しには特定地区に係る情報等が具体的に掲げられているものの,それ自体から特定個人の氏名等特定の個人を識別できる情報は記載されておらず,また,特定地区に係る情報等については,特定図書館において誰でも閲覧できることとされていることからすると,当該部分を公にしても個人の権利利益を害するおそれがあるとまでは認められず,同号に該当しないと認められる。

「特定ブログ」というのは鳥取ループのことで、「特定地区」というのは大阪市内の同和地区のことです。「特定図書館において誰でも閲覧できる」というのは、大阪市人権協会が同和地区一覧を載せた「50年のあゆみ」が国立国会図書館に置いてあるということです。

「法14条2号」というのは行政機関個人情報保護法のことで、「開示請求者以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」は非開示とすることが定められているのですが、審査会はこれには該当しないと言っているわけです。

個人情報保護法と情報公開法は表裏一体のもので、情報公開法5条1号が非公開にする情報として同様のことを定めています。従って、審査会が「当該部分を公にしても個人の権利利益を害するおそれがあるとまでは認められず」と判断したことは、大阪市の同和地区一覧は行政機関個人情報保護法の開示情報であるだけでなく、情報公開法上の公開情報であると判断したわけです。

少なくとも大阪市内に関して言えば、同和地区の一覧(しかも地番まで書かれたもの)が公になっても「個人の権利利益を害する」ことはないと政府の審査会が判断したわけで、非常に画期的なことです。

しかも、同和地区一覧について「特定個人の氏名等特定の個人を識別できる情報は記載されておらず」としているので、審査会の判断は「住民票その他と結合することにより、特定個人が旧同和対策事業対象地域の出身者であることが判明する」という大阪府の解釈とは正反対です。つまり、同和地区の場所は、法律上の個人情報ではなく、個人情報保護法による規制対象ではないわけです。

ある意味「解放令」のようなもので、大阪市の同和地区住民にしてみれば喜ぶべきことかも知れません。

数ヶ月以内に法務省(おそらく判断をするのは人権擁護局)による決定が出されると思います。審査会の決定に反してあくまで「同和地区が分かると個人が権利利益を侵害される」と判断するのかどうか注目です。それによって、人権擁護局がどのような役所なのかまた1つ明らかになるでしょう。

大津地方法務局の人権侵犯事件記録利用停止について法務省の理由説明書と意見書

大津地方法務局が人権侵犯記録の利用停止に応じなかった件で、審査請求をしておりましたが、理由説明書が来たので、意見書を提出しておきました。それぞれの文書はこちらです。

理由説明書-H23-6-7.pdf

意見書-H23-6-13.pdf

法務省の理由説明は型通りのものです。あくまで記録は人権侵犯事件の処理のために適法に取得したものだというわけですね。

一方私は、「人権侵犯事件」自体が無かったのではと主張しています。というのも、事件記録には被害者が同和地区住民とされているわけですが、法務局は私自身が同和地区住民かどうかということさえ答えられていません。ということは被害者の「同和地区住民」が誰を指すのか法務局は把握してないわけで、そんないい加減なことでよいなら、法務局はいくらでも人権侵犯事件の被害者をでっち上げられるということになってしまいます。そもそも、「同和地区住民」というのは実際のところ穢多や非人と同じような概念なので、そんなものの存在を国の機関が認めてもよいのかという問題もあります。

また1年くらいかかるでしょうが、情報公開・個人情報保護審査会がどう判断するのか注目されます。

大阪法務局の人権侵犯事件記録について法務省の理由説明書と意見書

大阪法務局の人権侵犯事件記録が一部不開示(主に、私が掲載した同和地区一覧)となった件で、開示を求めて審査請求したのですが、一部不開示の理由説明が届いております。例によって、人の権利利益を害するおそれがあるということと、事務事業に支障が出るということが理由とされています。

理由説明書-H23-5-24.pdf

それに対して、次の意見書を出しておきました。

意見書-H23-5-30.pdf

大津地方法務局のケースと同じような流れで進みつつあるのですが、今回のケースは以下の2点が異なります。

  • 大津地方法務局のケースでは「偽物」であった同和地区一覧が今回は「本物」であること
  • 同和地区一覧を作った人物が匿名ではなく、大阪市人権協会であることがはっきりしていること

この違いが情報公開・個人情報審査会の判断にどのように影響してくるのかが見所です。いずれにしても、「前例踏襲」ということで非公開になる可能性が高いのですが。

法務局が人権侵犯事件記録の利用停止をしなかった件で審査請求

大津地方法務局に個人情報の利用停止請求をしたところ、認められなかった件で法務省に審査請求をしました。理由は次のとおりです。

本件個人情報は法務省設置法(平成十一年七月十六日法律第九十三号)第4条第26号にある「人権侵犯事件に係る調査並びに被害の救済及び予防に関すること。」のために収集されたものであるが、人権侵犯事件が生じたあるいは生ずるおそれがあった事実がない。従って、処分庁は法令の定める所掌事務を遂行するため必要な範囲を超えて本件個人情報を収集しており、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(行政機関個人情報保護法)(平成十五年五月三十日法律第五十八号)第3条第1項、第2項への違反がある。

処分庁は本件個人情報を利用して、審査請求人に対して審査請求人がインターネット上に掲載した情報の削除の要請をし、さらに啓発のための冊子の送付を申し出たが、審査請求人はいずれも拒否した。一方、行政手続法(平成五年十一月十二日法律第八十八号)第32条は、行政指導は行政機関の任務又は掌握事務の範囲を逸脱してはならないこと、相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることを定めている。削除の要請と啓発は掌握事務の範囲を逸脱している上、審査請求人は協力しない旨を表明しているので、処分庁が本件個人情報を利用して今後事務を遂行することは不可能であり、本件個人情報を利用する必要はない。従って、処分庁は本件個人情報を保有し続けることは行政機関個人情報保護法第3条第2項により違法である。

上記の理由から、本件個人情報は処分庁により適法に取得されたものではなく、行政機関個人情報保護法第3条第2項に反して保有されているものであり、行政機関個人情報保護法第36条第1項第1号に該当するため、審査請求人による本件個人情報に対する利用停止請求は正当である。従って、本件個人情報を利用停止をしないとした処分は違法である。

ポイントとなるのは、行政機関個人情報保護法と行政手続法です。

行政機関個人情報保護法は必要のない個人情報を行政機関が収集したり保有したりしてはならず、もしそうであれば当事者は個人情報の削除または利用停止を求めることができるというものです。そして、行政手続法は法律によらない勧告や指導には強制力がなく、拒否できるというものです。そこで、後半部分は「行政手続法により今回の啓発・要請に強制力がないので、相手方が拒否しているのに相手方の個人情報を保有し続けることは違法」と主張しているわけです。

法律上は利用停止できるはずなのですが、法務省にもメンツがあるので、たとえ情報公開・個人情報保護審査会で利用停止すべきという答申が出ても従わないことが予想されます。それ以前に情報公開・個人情報保護審査会の答申がどうなるかも注目です。

こういった争い方をしたのは実は私だけではなくて、最近では君が代不起立個人情報保護裁判というのがあります。個人情報保護法ができた背景の1つに同和絡みのことがあるのですが、一方でこんな法律の利用法もあるということを知っておくと何かと便利です。

大津地方法務局は個人情報の利用停止をせず

大津地方法務局に個人情報の利用停止請求をしていましたが、利用停止をしない旨の決定書が送られてきました。

保有個人情報の利用停止をしない旨の決定についてH23-4-22.pdf

理由は「人権侵犯事件の調査処理の過程において適法に取得したもの」だからということです。そもそも人権侵犯事件が起こってなければこの説明は崩れるわけですが、あくまで人権侵犯事件ががあったということなので、被害者の「同和地区住民」とはいったい誰なのか情報公開・個人情報保護審査会に対して説明してもらおうと思います。

既にそのための準備をすすめています。

大阪法務局の人権侵犯事件記録の一部不開示について審査請求しました

一部不開示とされた大阪法務局の人権侵犯事件記録ですが、法務局が証拠として取得した大阪市の同和地区一覧等を開示するように審査請求しました。今回の審査請求の理由として書いたことは次のとおりです。

これらの情報は、審査請求人が大阪府の条例について論評するために、社団法人大阪市人権協会(旧大阪市同和事業促進協議会)の出版物により公にされた情報を国立国会図書館で複写し、著作権法上認められる範囲で引用したものである。従って、開示ないしは公開しても処分庁の事務事業に影響しない。

また平成22年度(行個)答申第81号(平成22年12月3日)により、同和地区一覧を模した文書について「当該情報を開示すると,そのような誤解を通じて,国民からの信頼を失い,その結果,人権擁護行政事務に支障が生ずるとして,法14条7号柱書きの不開示情報に該当するとした諮問庁の説明を認めることは困難であることから,当該部分は開示すべきである。」との判断が示されている。

以前、偽の部落地名総鑑については、情報公開・個人情報保護審査会が開示すべきという判断を示したものの、「法務局が排除に取り組んできた情報である」として法務省がそれに反して不開示にしました。

これが本物の部落地名総鑑だとどうなるのか、興味が尽きないところです。

大阪法務局の人権侵犯事件記録

大阪市人権協会の冊子を引用したもの大阪法務局から削除要請された件で、大阪法務局の事件記録が届きました。

開示文書-H23-3-28.pdf

ほとんど黒塗りなのですが、いくつか興味深いことが読み取れます。

まず、例によって被害者は同和地区住民です。要はこの区域に住んでいる人ということでしょう。それから「非行政文書担当者メモ」という印に×印がしてありますが、形式的に非行政文書としたものの、やっぱり情報公開法や行政機関個人情報保護法の上では行政文書だったということだと思います。黒塗りにされたメールや聴取書は、通報者や、法務局と本省の間のやりとりと考えられます。

さて、問題は大阪市人権協会の「50年のあゆみ」に載っていた地図なども黒塗りにされていることです。以前、大津地方法務局で同様に部落地名総鑑のような文書が黒塗りにされたことがあったのですが、その理由がこうでした。

当該部分には特定の地域に関する情報が多数掲げられ、その内容からして、それが事実であるか否かを問わず、差別を助長する可能性のある情報として、人権擁護機関が長年にわたりその排除に取り組んできた対象となるものと認められる。当該部分の情報は、削除要請の対象であるから、同部分を開示することは、それ自体上記取組と相反するものと言わざるを得ない。

今回も開示決定書に事務事業情報であることが書いてあるので、おそらく同じ理由でないかと考えられます。ということは、大阪市人権協会は「50年のあゆみ」には大阪法務局が「排除に取り組んできた対象」となる地図を載せていたということになるのでしょうか。例によって審査請求して、はっきりとしたことが判明するまで1年ほど待つことになりそうです。

次のページ →