同和地区建設業者対する指名競争入札の加点情報を県が隠蔽

鳥取県が発注する公共工事の指名競争入札の指名業者の選定で、部落解放鳥取県企業連合会(企業連)の同和研修を受けた企業の加点情報を、県の各総合事務所が隠蔽している実態が明らかになりました。
鳥取県の指名競争入札の指名業者の選定基準は点数制となっており、点数の高い業者ほど指名の機会が増える仕組みになっています。採点基準の中に「地域貢献度」という項目があり、その中には「同和問題解決に向けた取り組み」という基準があります。しかし、この加点は企業連会員企業だけしか受けられないようになっており、企業連は同和地区外の企業を排除していました。
県が開示した文書によれば、鳥取県内の全ての総合事務所で企業連会員企業に対する加点が行われています。地域貢献度の加点は優良工事やボランティア活動への参加といった実績に対して1~3点が加点されますが、企業連に対しては同種工事を未受注の企業に対して5点が加点されています。また、通常は10点が上限となっている加点について企業連会員は例外的に15点まで加点されるしくみになっています。
通常、加点情報は業者名、項目、点数が県土整備局の閲覧室に掲示されますが、中部総合事務所では「企業連加点」だけが除外される規定となっています。西部総合事務所、東部総合事務所にも実態を確認したところ、明文化されてはいないものの、企業連会員に対する加点情報だけが掲示されていませんでした。ある職員はその理由について「業者名が特定されると同和地区の業者かどうかということが分かる」と説明しました。

鳥取県県土整備部管理課は以前
、企業連が事実上同和地区企業しか加入できなくなっていることについて「県は把握していない」としていましたが、改めてこの事実を指摘したところ、「企業連加点」を受けられる業者が同和地区企業であることを認めました。また、加点情報が掲示されていないことについて、全ての総合事務所で同様の実態があるということです。
なお、東部総合事務所では格付け対象となっていない工事に対しても5点以上の加点のある業者は「建設工事の指名に当たり配慮することができる。」とされており、企業連会員に対して他にも不透明な優遇が行われている疑いがあります。
[開示資料]
各県土整備局が定めた地域貢献度に係る加点基準


地域貢献度の加点を受けた業者はこのように掲示されます。これは東部総合事務所のものですが、「企業連加点」に関する掲示はありませんでした。
地域貢献度加点業者一覧表(管内の県工事を優良に施工)

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鳥取県と企業連の過去の交渉記録

鳥取県と部落解放鳥取県企業連合会の協議会と同和地区建設業者育成連絡協議会の資料のうち、未掲載だったものをアップロードしました。以下のPDFファイルをご覧ください。
[2001.4.26]企業連役員との協議会
[2001.5.27]同和地区建設業者育成連絡協議会
[2001.10.22]企業連役員との総括会議
[2002.5.13]企業連役員との協議会
[2002.8.28]企業連役員との協議会
[2002.9.25]企業連役員との協議会
[2002.12.13]企業連役員との協議会
[2004.5.20]企業連役員との協議会
[2005.6.6]企業連役員との協議会

低価格入札防止のために企業連から県に圧力

県により情報公開された資料によれば、遅くとも2003年(平成15年)以降、部落解放鳥取県企業連合会(企業連)から低価格入札を防止するよう県に対して要請されていました。
2003年5月15日に鳥取市解放センターで行われた、県県土整備部、農林水産部と企業連との協議会で、企業連側から次の協議事項が出されています。

近年、県発注工事において低価格・同額入札による抽選落札が急増している事を踏まえ、低価格入札防止のための履行保証割合の引き上げや前払い金の引き下げなどの導入が図られているところであるが、導入後においても低価格入札が相変わらず続いている。これらの現状についての報告と今後の対応について明らかにされたい。

この部分は、実は手書きで修正されています。修正前の文章は次の通りです。

近年、県発注工事において低価格・同額入札による抽選落札が急増している事を踏まえ、低価格入札防止のための履行保証割合の引き上げや前払い金の引き下げなどの導入が図られているところであるが、最近これら制度に抵触している業者がいるにもかかわらず、何ら行政指導がなされていない現状が報告されているが、これら現状についての報告と指導について明らかにされたい。

原文は、以下のファイルをご覧ください。
[2003.5.7]企業連役員との協議会
[2003.10.31]企業連役員との総括協議会
手書きで修正された経緯は不明ですが、県側の回答書は修正後の文面で作られていることから、協議事項が県庁に送られた後、協議会の前に修正されたものと考えられます(低価格入札が何らかの制度に「抵触」するわけでもなく、県が「指導」するわけにもいかないからでしょう)。
それに対する県側の回答は以下の通りです。

低価格落札への対応策としては、昨年5月に「配置技術者増員制度」を、本年2月に「履行保証割合の引き上げ及び前払い金の引下げ制度」を導入しましたが、御指摘のようになかなか効果が出ていないのが現状です。
本年4月に新たに設けた「地域貢献度」の制度において、県内業者を活用できるのに活用しなかった場合は減点対象とすることとしていますが、著しく安く工事を請け負う県外業者を下請けに使うことが低価格落札を可能にする一因となっていることから、当該制度も低価格落札への防止策としての効果が期待できると考えています。
今後とも、低価格落札への対応については、国や他の都道府県の事例も参考にしながら、積極的に取り組んでいきたいと考えます。

実際に県側は対策を講じており、2004年(平成16年)5月27日の協議会では倒産防止策として次の回答をしています。

特に、過度の価格競争が建設業者の体力喪失に拍車をかけ、倒産を促進している現状に鑑み、低価格入札防止のために、経営診断指導など様々な対策を講じた結果、平成15年度は、その発生率が平成13年度なみに低下したところであるが、今後も機動的に対応してその抑止に努めてまいりたい。

同様に2005年(平成17年)6月15日には次の回答をしています(原文のママ)。

過度の価格競争が建設業者の体力喪失に拍車をかけ、倒産を促進している現状に鑑み、低価格入札防止のために、経営診断指導など様々な対策を講じており、低入札の状況は平成15年に比して平成16年は減少しいる。今後も機動的に対応してその抑止に努めてまいりたい。

さらに、2006年(平成18年)5月25日の回答は以下の通りです。

県土整備部では、新たな対策として、本年度、経営診断要領を見直すこととしている。
これは、経営診断の基準を厳しくすることにより、低価格入札の抑止に努め、倒産になることを未然に防ぐよう考えている。

(次回に続きます…)

鳥取県による企業連会員への公共工事の優先発注

部落解放鳥取県企業連合会との協議会は県においても毎年定例で行われていることが、県が開示した資料より分かりました。以下は、本年度の協議会資料です。
[2006]企業連協議会.pdf
協議会は県土整備部、農林水産部との間で行われている他、鳥取市同様「同和地区建設業者育成連絡協議会」という名前で各総合事務所においても行われています。同和地区建設業者育成連絡協議会の参加要請は松田秋夫・企業連理事長に加えて、中田幸雄・部落解放同盟鳥取県連委員長の名前で出されています。
鳥取市同様、企業の倒産防止策、会員企業への積極的な指名発注、職員への同和研修について質問が出されています。
そして、実際に県土整備部でも農林水産部でも、会員企業1社辺りの指名件数は非会員より多くなっており、指名されない業者は少なくなっています。鳥取市と異なり、こちらは仕組みが分かっていて、県土整備部の回答では「指名選定における地域貢献度の部分で5点加算をすることにより、積極的な指名発注につながっていると考えている。」としています。
以前の記事でも指摘したとおり、「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱の施行について」という文書に次の記述がありました。さらに、この記述は今年の4月10日に「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱」に組み入れられています。

(規定例1)
部落解放鳥取県企業連合会が実施する建設業者のための研修(○○県土整備局長が指定するものに限る。)を受講した同会の会員である有資格者については、歴史的・社会的事情によりその中でなければその者は受注が困難と認められる区域(その者について○○県土整備局長が指定する区域とする。)内で施工される対象工事に限り、5点を加点する。
(規定例2)
部落解放鳥取県企業連合会が実施する建設業者のための研修(○○県土整備局長が指定するものに限る。)を受講した同会の会員のうち、当該年度において同種県工事の請負契約を未だ締結したことがない有資格者については、5点を加点する。

企業連が同和地区企業の団体であることを考慮すると、この規定の意味するところが明らかになります。「規定例1」は、同和地区を対象とした公共工事は企業連に優先して発注されるということです。「規定例2」は、さらにそういった工事が持ち回りに近い形で発注されるということです。
結果、同和地区の建設業者が同和対策の公共工事を受注するためには、企業連に入会せざるを得ない状態となっています。
なお、県からは「建設業新分野進出研究調査事業補助金」の実績が示されており、平成17年では県全体で15件、うち会員企業2件となっています。件の資料では土木工事の有資格業者は県全体で733、うち企業連会員は200なので、企業連会員に対する新分野進出事業はあまり進んでいないようです。
(次回に続きます…)

鳥取市と部落解放鳥取県企業連合会との交渉

今年の8月10日、鳥取市解放センターにおいて、鳥取市と企業連との協議会が行われました。市関係者によれば、企業連側からは松田秋夫企業連理事長(八頭町議会議長)が、市側からは綾木修都市整備部長が挨拶に立っています。
以下が情報公開条例に基づいて開示された資料です。
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-参加要請
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-回答書
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-添付資料
なお、この協議会は毎年行われており、鳥取市からは過去5年間分の資料が開示されました。
今年の協議会では、企業連からは建設業者の倒産防止策、指名発注状況、同和研修の実施状況について質問が出され、さらに会員企業への積極的な指名発注が要請されています。それに対し、市側からは会員企業と会員外企業の指名発注状況を比較した資料と、同和研修の実績資料が出されています。
どのような仕組みになっているのか詳細は不明ですが、2005年度の公共工事は実際に企業連会員企業に優先して発注されています。別の市関係者によれば、2002年に同和対策の特措法が切れるまでは、特に同和対策の公共工事は企業連に対してほぼ独占的に発注され、「規模の小さな企業があぶれないように」持ち回りに近い形で発注が行われていたと言います。しかし、過去の指名発注状況資料によれば、少なくとも2004年度までは同和地区を対象とした公共工事の指名発注は、ほとんど企業連会員に対して行われていました。
協議資料の質問事項に「わけても企業連建設業者に倒産が相次ぎ深刻な状況となっている」とありますが、実際にそのような状況のようです。ある企業連会員企業によれば、公共工事は明らかにに激減しており、営業努力で民間の工事を受注してなんとか持っている状況ということでした。また、別の県内関係者によれば、企業連役員の関連企業でさえ特措法が切れたことの影響は深刻で、財務状況は2003年以降急激に悪化し、ピーク時の半分ないしは3分の1程度の売り上げしかない状況ということです。
県の実態調査によれば、県全体の事業所のうち建設業の占める割合は10.9%(平成16年)に対し、県下同和地区に限れば49.0%(平成17年)と異常な高率を示しており、同和地区の産業構造の再編が遅れた結果、国の緊縮財政が同和地区を直撃していると言えます。
なお、このような状況でも鳥取市では要請通りに全職員(1,769人)同和研修が行われています。
(次回に続きます…)

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鳥取県による「部落解放鳥取県企業連合会」に対する加点制度は事実上の同和対策

以前の記事でご紹介した、「部落解放鳥取県企業連合会(企業連)」に関連する件の入札制度が事実上の同和対策、同和地区企業優遇であることが明らかになりました。企業連については、企業連の主催する研修は企業連会員企業しか受講できないことが分かっていますが、それではなく企業連には同和地区企業しか入会できないということです。
県内関係者から企業連には同和地区企業しか入れないのではないかという声が聞かれたのと、企業連に電話で問い合わせたところ「住所を明かさないと入会方法などは答えられない」という対応をされたため、前々から疑惑はありましたが、鳥取市に対する情報開示請求の結果から明らかになりました。
企業連名簿-不開示決定通知書

鳥取市同和対策課によれば、企業連会員はすなわち同和地区企業である、ということです。(上記の文書には開札筆記を閲覧できるとありますが、個々の同和地区企業を特定して洗い出すわけにもいかないので、企業連に限っての受発注状況の詳細は不明です。概要については、追ってレポートします。)市関係者によれば、こういったことは県内の建設業者、公共事業に携わる役所関係者であればほとんど周知のことであろう、ということでした。
なお、鳥取県管理課によれば、そのような実態は把握していないということです。2004年7月13日の「県民の声」でも、県は以下の回答をしていました。

部落解放鳥取県企業連合会の配点についての御質問にお答えします。部落解放鳥取県企業連合会は、任意団体なので、その設立運営について公的な許認可や監督は受けず、加入条件等は専ら同団体自身が定めています。当該団体は、社会的に弱い立場に置かれがちな同和地区業者の経営の安定・強化を促進して同和問題の解決を図ることを目的として、様々な活動を行っています。建設業者を対象とした同和地区建設業者育成連絡協議会の開催も、そうした活動の一つですが、県の格付においては、当該協議会に出席した建設業者について、格付点数を加点しています。
これは、当該団体の会員に対する加点ではなく、あくまで当該協議会に出席し、同和問題や零細業者の育成等について理解を深めようとする建設業者に対する加点なので、会員であっても当該協議会に出席しない者は加点されません。同和問題の解決を図るためには、当該協議会を会員でない者の意識啓発の場にもすることの方が効果的と思われますので、会員ではない企業が当該協議会へ出席した場合にも、加点するかどうかについて関係者と相談してみたいと思います。いずれにしましても、地域改善対策に関する特別措置法は失効しましたが、同和問題が完全にはなくなっていない現状においては、その解消のため、ソフト面を中心とした特別な対策もある程度必要だと考えています。これについては、特別な立法措置がなくてもできることはあり、当該協議会の受講加点もそうした施策の一つと位置づけています。

しかし、実態は「会員でない者」どころか、同和地区企業しか加点研修に参加できない状態が続いています。
このことについて、企業連に電話取材を申し込みましたが、受付担当者によれば、「執行部とも協議したが一切コメントできない」と答えています。
(次回に続きます…)

部落解放鳥取県企業連合会による加点研修

部落解放鳥取県企業連合会(企業連)による研修の内容が分かってきました。詳細は鳥取県より開示された研修実績報告書をPDFファイルにしたものをご覧ください。
企業連については、会員企業が県や鳥取市の入札で非常に優遇されていること、鳥取市解放センターにあり、鳥取商工会議所から職員が派遣されていることが分かっています。さらに、取材をすすめると、部落解放同盟鳥取市協議会の肩書きを持つ人物が事務を行っているなど、解放同盟との関係が非常に強い団体であることが分かってきました。
開示された文書でも、部落問題についての研修は鳥取市人権課推進課職員によるものを除き、解放同盟鳥取県連の中田幸雄執行委員長または山田幸夫書記長が講師を務めています。つまりは、企業関係者が出席せざるをえない加点研修の場でも、教えられるのは解放同盟の主張です。
また、企業連の研修に度々出席しているという県内企業関係者からは、次のような話を聴くことができました。
「部落問題の研修もあるけど、自分は税務だとか経営についての研修に出ている。ただ、そういった研修の最後に、自分は部落出身で苦労してきたというような話をする講師がいる。あちこちの企業から、何も事情を知らないような人も集まってくるのに、言わないでもいいことを言う。」
その後、かなり憤慨した様子で、あいつは頭がおかしいと講師をこき下ろしていました。
それはさておき、確かに研修の内容は部落問題だけではありません。「鳥取県の公共工事の動向について」「環境問題と施工管理について」さらには「取引先の倒産から自社を守る方法」といったものまであります。
なお、出席者の名簿も開示されましたが、プライバシーの問題があり、全ての欄は塗りつぶされていました。受講者の部分に書き込まれている数字は、分母が出席者、分子が合格者を表しています。見る限り、出席すればよほどのことがない限り合格、といったもののようです。

男女共同参画にも広がる入札優遇制度

先日採り上げた鳥取県の公共工事に関する特定団体の優遇制度ですが、鳥取県建設工事入札参加資格者格付要綱にはもう1つ興味深い記述があります。
以下は、その第4条第3項第5号からの引用です。

(5) ISO認証取得等による加点
…(省略)…
ウ 格付日の属する年度の前年度末において、鳥取県男女共同参画推進企業として認定を受けている者について、5点(平成19年度以降の格付から適用)

同和研修だけではなく、こういった制度は男女共同参画まで広げられています。では、鳥取県男女共同参画推進企業とは何なのでしょうか?その答えは鳥取県のホームページにあります。
鳥取県では「鳥取県男女共同参画推進企業認定要綱」が制定されており、そこに定められている認定委員会により認定されたものが鳥取県男女共同参画推進企業ということになります。
実際にやまこう建設株式会社、株式会社山陰放送、鳥取三洋電機株式会社といった企業が認定を受けています。やまこうと言えば先の入札制度の格付けでもトップにある企業で、鳥取市同和問題企業連絡会にも加入し、社内で熱心に同和教育を行っています。「人権・同和研修に熱心な」企業は、こういった特典もあるということです。
しかし、同和対策事業関連の特措法の期限切れにより、同和問題によって恩恵を受けられなくなってきた同和団体が、男女共同参画などの別の人権問題に手を伸ばし始めているのでは、といった県内関係筋の声も聞かれます。
それをうかがわせるものとしては、例えば鳥取市の「男女共同参画プラン策定委員会」議事録を見ると「男女共同参画を同和教育の中で外部講師を招いて行っているということもある。」など、同和教育との関連が高いという実情が述べられています。また、『鳥取市男女共同参画かがやきプラン(案)』には「平成15年(2003年)4月、男女共同参画課を企画部から総務部人権政策監に組織改変し、男女共同参画は人権問題であり、人権施策として総合的に推進することを明確にしました。」と書かれています。
なお、鳥取市でも男女共同参画に関する入札での優遇制度が検討されているようですが、関係部署との調整が進んでいないのが実情のようです。

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鳥取市の入札制度と部落解放鳥取県企業連合会

前回に引き続き、入札制度に関する問題について採り上げます。
実は、同様の入札制度について、最初に私が目をつけたのは鳥取市の方でした。鳥取市にも鳥取県と同様の制度があり、こちらは平成17年2月1日に施行されています。
「鳥取市建設工事入札参加資格者格付要綱」の第4条3項3号を以下に引用します。

(3)次に掲げる研修受講による加点(30点を限度とする。)
格付日の属する年度の前年度及び前々年度に行われた下記の研修について、次式のとおり算定を行う。
研修受講点数=(前年度点数+前々年度点数)÷2
…(省略)…
ウ 企業内人権・同和問題研修(研修時間が1時間以上のものに限る。)を実施した者
当該研修の内容に応じ次の表の左欄の点数と右欄の点数を合計した点数
研修の講師   役職員の参加率
外部講師 5点 80%以上 2点
内部講師 3点 50%以上80%未満 1点
        50%未満 0点
エ 市長が指定する研修を役職員に受講させた者 別に定めるところにより算定した点数(13点を限度とする。)

部落解放鳥取県企業連合会の名前は、「市長が別に定めるもの」という文書に出てきます。その中の「4 第4条第3項第3号エ関係(指定研修の加点)」という部分です。平成16年度指定研修の主催者名として「部落開放(ママ)鳥取県企業連合会」と書かれており、加点については「常勤役員(監事は含まない)が受講した場合3点」となっています。
会員企業に余計に加点している鳥取県に比べると、優遇の度合いは低いです。しかし、この研修は企業連の会員しか受けられないため、非会員の企業が不利になるのは確かです。
この件について、鳥取市都市政策課に問い合わせてみました。
私) 格付要綱の「市長が別に定めるもの」にある部落解放鳥取県企業連合会について、所在地を教えていただけますか?
都市政策課) 鳥取市幸町151番地です。
私) 解放センター内ですよね。
都市政策課) はい。
私) この団体は、鳥取商工会議所の同和対策課の窓口も兼ねてないですか?
都市政策課) 解放センターは同和対策課の所管なので、そちらの方が詳しいと思います。
…ということなので、同和対策課に問い合わせてみました。
私) 部落解放鳥取県企業連合会とは、どういった団体でしょうか?
同和対策課) 市とは別個の団体でして、こちらではちょっと…
私) 直接この団体に電話したのですけど、市の方に聞いて欲しいと言われたんですよ。この団体について、鳥取商工会議所の同和対策課の窓口にもなっていると思うのですが、どうでしょうか?
同和対策課) 少しお待ちください… 問い合わせをメールでしていただければありがたいです。
私) えーと、どうしましょうか…こちらから…
同和対策課) 企業連さんは、同和対策課が所管というわけではないです。
私) 所管ではないんですか?
同和対策課) 鳥取市とは別個の団体です。補助金を出しているというわけではないです。
私) ただ、入札の制度に関することであれば得体の知れない団体というわけはないので、把握していると思ったのですが。
同和対策課) 問い合わせ事項を書類で出していただけるとありがたいですが。
私) 以前、お送りしてちゃんと答えていただけなかったことがあるので、できればこの場で答えていただきたいのですが。市としてはどういった団体か把握していらっしゃらないのでしょうか。
同和対策課) 答えるべき立場でないというかね。
私) お答えしてはいただけない。
同和対策課) 把握していないという立場になると思いますけどね、別個の団体ですので。その団体の方に問い合わせしていただいた方がよろしいと思います。
さて、市が把握していない団体が入札制度に関わっているのはどういうことでしょうか?
同和対策課の名誉のために注意しておきますと、文書で質問してちゃんと答えなかったというのは鳥取市の別の部署のことです。
ところで、企業連の所在地と鳥取商工会議所の同和対策課の窓口について私が質問しているのが気になったと思います。実は、企業連については、鳥取市の企業支援制度に関しても、奇妙な事実があります。それについては、次回お話します。

公共工事の入札で特定団体を優遇する制度

つい最近、今年の2月1日から2月3日に鳥取県が施行した入札制度に、特定団体を優遇する内容が盛り込まれていることが明らかになりました。平成18年2月3日付けで施行された、「鳥取県建設工事入札参加資格者格付要綱」(以降「格付要綱」)に関連する要綱がそれです。
公共工事の入札に参加できる企業の格付けは点数制になっています。当然、点数の高い業者は入札に参加できる機会が多くなり、公共工事を受注できる機会も多くなる、ということになります。
鳥取県の場合、この加点条件の中に「人権問題や同和問題に関する研修」というのがあります。以下、格付要綱から関連する部分(第4条第3項第3号)を引用します。

(3) 研修受講による加点(30点を限度とする。)
格付日の属する年度の前年に行われた次のいずれかの研修(県土整備部長が指定するものに限る。)の受講者(別に定めるところにより受講効果が認められた者に限り、イの研修にあっては、有資格者の常勤役員(有資格者が個人の場合は、代表者)に限る。)の所属する有資格者について、別に定めるところにより算定した点数
…(省略)…
ウ 人権問題や同和問題に関する研修、その他建設業者の経営幹部と実務従事者の両方が受講するのが効果的な研修

そして、附則として次のことが書かれています。

3 平成19年度及び平成20年度の格付においては、第4条第3項第3号中「30点」とあるのは「30点(部落解放鳥取県企業連合会の会員である有資格建設業者にあっては、33点)」とする。

つまり、「部落解放鳥取県企業連合会」の会員企業には通常の点数よりもさらに3点加点することができる、ということです。
では、「県土整備部長が指定する」研修とは何なのでしょうか?「鳥取県建設工事入札参加資格者格付要綱における県土整備部長が別に定めるものについて」という文書には、人権・同和研修は「部落解放鳥取県企業連合会」によるものが指定されています。加点数については、「常勤役員(監事は含まない)が受講した場合3点、その他の職員が代理受講した場合1点」とされています。
さて、度々出てくる「部落解放鳥取県企業連合会(以降「連合会」」とはいったい何なのでしょうか?
当の団体に問い合わせたところ、入札に関する研修は連合会の会員のみに対して行っているということでした。では、「会員になるにはどうすればよいか?」という問いに対しては、「住所とか企業名とかをお聞きした後でのお話になります。」とのことでした。
複数の県内企業関係者などの話では、この団体は鳥取市幸町の中央隣保館(解放センター)にあります。会員になった企業は同企連同様、規模に応じて会費を支払う仕組みになっている、ということでした。
そこで、取材目的であることを明らかにし、再び連合会に問い合わせてみました。
私) 所在地は幸町の解放センターなのでしょうか?
連合会) ちょっとお待ちください… (保留) その取材の目的は何でしょうか?
私) 入札制度の文書に貴団体の名前があったので、どういった団体か確認したいのです。
連合会) そういうのは行政がやってることですし、そちらの方にお尋ねください。
もちろん、行政に問い合わせてみました。それに関しては次回お話するとして、鳥取県の入札制度をもう少し見てみましょう。
県土整備部の指名競争入札に関する「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱」の採点基準には、「地域貢献度」という項目があります。以下、それに関する別表の第8項を引用します。

8 地域貢献度(-10以下は-10とし、10以上は10とする。ただし、所管県土局の長が次の④の加点項目について5点以内の加点を行う場合は、当該加点に限り、10を超えて行うことができる。)

そして、その加点項目というのは以下の通りです。

①緊急時の除雪、災害復旧への協力
②公共的な活動への主体的な参画
③発注工種と同種の工事の良好な施工
④同和問題解決への積極的な取組
⑤その他公共の福祉や地域の振興に貢献する行為

ご覧の通り、「同和問題解決への積極的な取組」をしている企業には余計に5点が加点されるしくみになっています。
では、「同和問題解決への積極的な取組」とは何を意味するのでしょうか?そのことは「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱の施行について」という文書に詳しく書かれています。

6 別表の第8項関係
地域貢献度による採点は、各発注機関が、その地域の年々の実情に応じて定めるものなので、発注機関により内容に差異があっても差し支えはなく、必ずしも全項目について網羅的に定める必要もない。ただし、できるだけ客観的な基準により採点することとし、独自の取扱いも合理的に説明できる範囲で行うこと。なお、加点項目の④については、例えば次のような基準が考えられる。
(規定例1)
部落解放鳥取県企業連合会が実施する建設業者のための研修(○○県土整備局長が指定するものに限る。)を受講した同会の会員である有資格者については、歴史的・社会的事情によりその中でなければその者は受注が困難と認められる区域(その者について○○県土整備局長が指定する区域とする。)内で施工される対象工事に限り、5点を加点する。
(規定例2)
部落解放鳥取県企業連合会が実施する建設業者のための研修(○○県土整備局長が指定するものに限る。)を受講した同会の会員のうち、当該年度において同種県工事の請負契約を未だ締結したことがない有資格者については、5点を加点する。

またも「部落解放鳥取県企業連合会」が出てきました。
実は、鳥取市の公共工事にも同様の制度があります。これについても、次回で引き続き採り上げます。

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