毎日新聞によれば、指名競争入札で部落解放鳥取県企業連合会を優遇する制度が廃止されました。
県は6月から建設工事の入札制度を改め、部落解放県企業連合会(企業連)への優遇措置を廃止する。入札で同様の措置をとっているのは全国でも鳥取県だけだった。行財政改革で公共工事の受注が減少する中、公平性を重視したという。
続きはこちらをご覧ください。
毎日新聞によれば、指名競争入札で部落解放鳥取県企業連合会を優遇する制度が廃止されました。
県は6月から建設工事の入札制度を改め、部落解放県企業連合会(企業連)への優遇措置を廃止する。入札で同様の措置をとっているのは全国でも鳥取県だけだった。行財政改革で公共工事の受注が減少する中、公平性を重視したという。
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度々このブログでとりあげてきた、部落解放鳥取県企業連合会の入札制度の問題が、鳥取県議会で採り上げられました。質問に立ったのは、共産党の錦織議員です。
鳥取県議会のインターネット放送でご覧ください。30分頃から本題に入ります。
ちなみに、ぱっと出てきた資料というのはこれのことだと思います。
[2001.4.26]企業連役員との協議会
[2001.5.27]同和地区建設業者育成連絡協議会
[2001.10.22]企業連役員との総括会議
[2002.5.13]企業連役員との協議会
[2002.8.28]企業連役員との協議会
[2002.9.25]企業連役員との協議会
[2002.12.13]企業連役員との協議会
[2004.5.20]企業連役員との協議会
[2005.6.6]企業連役員との協議会
市町村で行われている協議会の資料というのがこれです。これは鳥取市の分ですが、米子や倉吉など他の市町村でも公文書開示請求すれば出てくると思います。
[2002]鳥取市と企業連の協議会
[2003]鳥取市と企業連の協議会
[2004]鳥取市と企業連の協議会
[2005]鳥取市と企業連の協議会
[2006]鳥取市同和地区建設業者育成連絡協議会-参加要請
[2006]鳥取市同和地区建設業者育成連絡協議会-回答書
[2006]鳥取市同和地区建設業者育成連絡協議会-添付資料
私の知らない事実もあったようで、解放センター(企業連と部落解放同盟鳥取市協)で勤務していた商工会議所職員の給料は国から補助されていて、平成18年度から補助が打ち切られてからは市協がほとんど活動できない状態になっているようです。職員への給料の補助の打ち切り→市協が活動不能に→鳥取市の補助金が執行不能に…といろいろな事柄がリンクしてきました。
現在、鳥取県を相手として行っている情報公開裁判について解説をしていますが、私は弁護士ではないため、法律的な知識については保証できません。ご質問、ご要望、ご指摘はコメント欄でお願いいたします。素朴な質問は歓迎します。
企業連は任意団体、つまり法人格のない団体です。県建設業協会のような社団法人ではありません。従って加入条件等その運営の詳細について県は一切関知していないとされていました。しかし、県はこの団体が「部落解放同盟の関連団体」であること、「同和地区の企業で構成される」ことを認めています。
企業連の理事長は松田秋夫八頭町議会議長、また会計役等が解放同盟員であることが分かっています。所在地は鳥取市幸町の解放センターで、部落解放同盟鳥取県連の事務所も同じところにあります。その他、詳細を企業連から直接聞こうとしたのですが、完全に取材拒否されてしまいました。
鳥取県の入札制度で企業連が優遇されていることは前回の記事で説明していますが、具体的には次の事実が分かっています。
企業連の主催する研修は企業連の会員だけ受講できる
このことは企業連自身が認めていますし、県側もかなり前から知っていたようです。従って、加点研修の実績報告書の参加者の所属企業は、例外なく企業連の会員企業ということになります。
入札の参加資格に関する格付けについて、研修による加点を3点余計に受けられる
「鳥取県建設工事入札参加者格付審査要綱」に「平成19年度及び平成20年度の格付においては、第4条第3項第3号中「30点」とあるのは「30点(部落解放鳥取県企業連合会の会員である有資格建設業者にあっては、33点)」とする。」という附則があります。第4条第3項第3号というのは、研修受講による加点のことです。
指名業者の選定基準で、地域貢献度による加点を5点余計に受けられる
「鳥取県県土整備部建設工事指名業者選定要綱」に書かれている地域貢献度による加点は10点が限度ですが、「同和問題解決への積極的な取組」をした業者は15点まで加点を受けられます。「同和問題解決への積極的な取組」というのは、企業連の研修を受講して、同種の工事を未受注であること(前者はともかく、後者は同和問題とは全く関係ないと思うのですが…)が各総合事務所の規則で定められています。
格付けのランク外の業者であっても指名競争入札に参加できる
鳥取県東部総合事務所県土整備局管内では「建設業者指名選定にかかる審査項目のうち「地域貢献度」の採点基準」という文書で、事実上企業連の会員企業だけが、対象の工事の種類について、格付けのランク外の企業であっても指名を受けられる規則が定められています。
企業連会員の1社あたりの発注金額は他と比べて多い
企業連の会員企業の発注金額は会員以外の企業に比べて多いです。以下はその比率を企業連と県との交渉資料から計算したものです。
平成12年 135%
平成13年 144%
平成14年 137%
平成15年 137%
平成16年 154%
平成17年 123%
年毎にばらつきがありますが、企業連の会員企業は他の企業と比べて3,4割ほど金額が大きいことが分かります。なお、当然のことですが上記は県に申請をして入札への参加資格を持っている業者だけを対象とした数字です。
企業連の会員が分かる情報は一切公開されない
これが今回の裁判のポイントです。根拠となる法令や規則は皆無なのですが、研修の受講者や加点を受けた企業など、通常は公開されているものが、企業連に関するものは一切公開されません。県は「県民の声」で私に対して「同和地区の企業のリストを作成し公開することはもちろん、そのための情報を、当該企業の知らないところで入手する行為自体、許されないものと考えます。」と答えています。県とは関係ないはずの任意団体に対して県が取材制限をしているということなので、尋常な隠し方ではありませんね。
今回の裁判は上記のうち情報公開に関する部分だけの違法性を争点としたものです。
今年の8月10日、鳥取市解放センターにおいて、鳥取市と企業連との協議会が行われました。市関係者によれば、企業連側からは松田秋夫企業連理事長(八頭町議会議長)が、市側からは綾木修都市整備部長が挨拶に立っています。
以下が情報公開条例に基づいて開示された資料です。
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-参加要請
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-回答書
[2006]同和地区建設業者育成連絡協議会-添付資料
なお、この協議会は毎年行われており、鳥取市からは過去5年間分の資料が開示されました。
今年の協議会では、企業連からは建設業者の倒産防止策、指名発注状況、同和研修の実施状況について質問が出され、さらに会員企業への積極的な指名発注が要請されています。それに対し、市側からは会員企業と会員外企業の指名発注状況を比較した資料と、同和研修の実績資料が出されています。
どのような仕組みになっているのか詳細は不明ですが、2005年度の公共工事は実際に企業連会員企業に優先して発注されています。別の市関係者によれば、2002年に同和対策の特措法が切れるまでは、特に同和対策の公共工事は企業連に対してほぼ独占的に発注され、「規模の小さな企業があぶれないように」持ち回りに近い形で発注が行われていたと言います。しかし、過去の指名発注状況資料によれば、少なくとも2004年度までは同和地区を対象とした公共工事の指名発注は、ほとんど企業連会員に対して行われていました。
協議資料の質問事項に「わけても企業連建設業者に倒産が相次ぎ深刻な状況となっている」とありますが、実際にそのような状況のようです。ある企業連会員企業によれば、公共工事は明らかにに激減しており、営業努力で民間の工事を受注してなんとか持っている状況ということでした。また、別の県内関係者によれば、企業連役員の関連企業でさえ特措法が切れたことの影響は深刻で、財務状況は2003年以降急激に悪化し、ピーク時の半分ないしは3分の1程度の売り上げしかない状況ということです。
県の実態調査によれば、県全体の事業所のうち建設業の占める割合は10.9%(平成16年)に対し、県下同和地区に限れば49.0%(平成17年)と異常な高率を示しており、同和地区の産業構造の再編が遅れた結果、国の緊縮財政が同和地区を直撃していると言えます。
なお、このような状況でも鳥取市では要請通りに全職員(1,769人)同和研修が行われています。
(次回に続きます…)
以前の記事でご紹介した、「部落解放鳥取県企業連合会(企業連)」に関連する件の入札制度が事実上の同和対策、同和地区企業優遇であることが明らかになりました。企業連については、企業連の主催する研修は企業連会員企業しか受講できないことが分かっていますが、それではなく企業連には同和地区企業しか入会できないということです。
県内関係者から企業連には同和地区企業しか入れないのではないかという声が聞かれたのと、企業連に電話で問い合わせたところ「住所を明かさないと入会方法などは答えられない」という対応をされたため、前々から疑惑はありましたが、鳥取市に対する情報開示請求の結果から明らかになりました。
鳥取市同和対策課によれば、企業連会員はすなわち同和地区企業である、ということです。(上記の文書には開札筆記を閲覧できるとありますが、個々の同和地区企業を特定して洗い出すわけにもいかないので、企業連に限っての受発注状況の詳細は不明です。概要については、追ってレポートします。)市関係者によれば、こういったことは県内の建設業者、公共事業に携わる役所関係者であればほとんど周知のことであろう、ということでした。
なお、鳥取県管理課によれば、そのような実態は把握していないということです。2004年7月13日の「県民の声」でも、県は以下の回答をしていました。
部落解放鳥取県企業連合会の配点についての御質問にお答えします。部落解放鳥取県企業連合会は、任意団体なので、その設立運営について公的な許認可や監督は受けず、加入条件等は専ら同団体自身が定めています。当該団体は、社会的に弱い立場に置かれがちな同和地区業者の経営の安定・強化を促進して同和問題の解決を図ることを目的として、様々な活動を行っています。建設業者を対象とした同和地区建設業者育成連絡協議会の開催も、そうした活動の一つですが、県の格付においては、当該協議会に出席した建設業者について、格付点数を加点しています。
これは、当該団体の会員に対する加点ではなく、あくまで当該協議会に出席し、同和問題や零細業者の育成等について理解を深めようとする建設業者に対する加点なので、会員であっても当該協議会に出席しない者は加点されません。同和問題の解決を図るためには、当該協議会を会員でない者の意識啓発の場にもすることの方が効果的と思われますので、会員ではない企業が当該協議会へ出席した場合にも、加点するかどうかについて関係者と相談してみたいと思います。いずれにしましても、地域改善対策に関する特別措置法は失効しましたが、同和問題が完全にはなくなっていない現状においては、その解消のため、ソフト面を中心とした特別な対策もある程度必要だと考えています。これについては、特別な立法措置がなくてもできることはあり、当該協議会の受講加点もそうした施策の一つと位置づけています。
しかし、実態は「会員でない者」どころか、同和地区企業しか加点研修に参加できない状態が続いています。
このことについて、企業連に電話取材を申し込みましたが、受付担当者によれば、「執行部とも協議したが一切コメントできない」と答えています。
(次回に続きます…)
部落解放鳥取県企業連合会(企業連)による研修の内容が分かってきました。詳細は鳥取県より開示された研修実績報告書をPDFファイルにしたものをご覧ください。
企業連については、会員企業が県や鳥取市の入札で非常に優遇されていること、鳥取市解放センターにあり、鳥取商工会議所から職員が派遣されていることが分かっています。さらに、取材をすすめると、部落解放同盟鳥取市協議会の肩書きを持つ人物が事務を行っているなど、解放同盟との関係が非常に強い団体であることが分かってきました。
開示された文書でも、部落問題についての研修は鳥取市人権課推進課職員によるものを除き、解放同盟鳥取県連の中田幸雄執行委員長または山田幸夫書記長が講師を務めています。つまりは、企業関係者が出席せざるをえない加点研修の場でも、教えられるのは解放同盟の主張です。
また、企業連の研修に度々出席しているという県内企業関係者からは、次のような話を聴くことができました。
「部落問題の研修もあるけど、自分は税務だとか経営についての研修に出ている。ただ、そういった研修の最後に、自分は部落出身で苦労してきたというような話をする講師がいる。あちこちの企業から、何も事情を知らないような人も集まってくるのに、言わないでもいいことを言う。」
その後、かなり憤慨した様子で、あいつは頭がおかしいと講師をこき下ろしていました。
それはさておき、確かに研修の内容は部落問題だけではありません。「鳥取県の公共工事の動向について」「環境問題と施工管理について」さらには「取引先の倒産から自社を守る方法」といったものまであります。
なお、出席者の名簿も開示されましたが、プライバシーの問題があり、全ての欄は塗りつぶされていました。受講者の部分に書き込まれている数字は、分母が出席者、分子が合格者を表しています。見る限り、出席すればよほどのことがない限り合格、といったもののようです。
前回に引き続き、入札制度に関する問題について採り上げます。
実は、同様の入札制度について、最初に私が目をつけたのは鳥取市の方でした。鳥取市にも鳥取県と同様の制度があり、こちらは平成17年2月1日に施行されています。
「鳥取市建設工事入札参加資格者格付要綱」の第4条3項3号を以下に引用します。
(3)次に掲げる研修受講による加点(30点を限度とする。)
格付日の属する年度の前年度及び前々年度に行われた下記の研修について、次式のとおり算定を行う。
研修受講点数=(前年度点数+前々年度点数)÷2
…(省略)…
ウ 企業内人権・同和問題研修(研修時間が1時間以上のものに限る。)を実施した者
当該研修の内容に応じ次の表の左欄の点数と右欄の点数を合計した点数
研修の講師 役職員の参加率
外部講師 5点 80%以上 2点
内部講師 3点 50%以上80%未満 1点
50%未満 0点
エ 市長が指定する研修を役職員に受講させた者 別に定めるところにより算定した点数(13点を限度とする。)
部落解放鳥取県企業連合会の名前は、「市長が別に定めるもの」という文書に出てきます。その中の「4 第4条第3項第3号エ関係(指定研修の加点)」という部分です。平成16年度指定研修の主催者名として「部落開放(ママ)鳥取県企業連合会」と書かれており、加点については「常勤役員(監事は含まない)が受講した場合3点」となっています。
会員企業に余計に加点している鳥取県に比べると、優遇の度合いは低いです。しかし、この研修は企業連の会員しか受けられないため、非会員の企業が不利になるのは確かです。
この件について、鳥取市都市政策課に問い合わせてみました。
私) 格付要綱の「市長が別に定めるもの」にある部落解放鳥取県企業連合会について、所在地を教えていただけますか?
都市政策課) 鳥取市幸町151番地です。
私) 解放センター内ですよね。
都市政策課) はい。
私) この団体は、鳥取商工会議所の同和対策課の窓口も兼ねてないですか?
都市政策課) 解放センターは同和対策課の所管なので、そちらの方が詳しいと思います。
…ということなので、同和対策課に問い合わせてみました。
私) 部落解放鳥取県企業連合会とは、どういった団体でしょうか?
同和対策課) 市とは別個の団体でして、こちらではちょっと…
私) 直接この団体に電話したのですけど、市の方に聞いて欲しいと言われたんですよ。この団体について、鳥取商工会議所の同和対策課の窓口にもなっていると思うのですが、どうでしょうか?
同和対策課) 少しお待ちください… 問い合わせをメールでしていただければありがたいです。
私) えーと、どうしましょうか…こちらから…
同和対策課) 企業連さんは、同和対策課が所管というわけではないです。
私) 所管ではないんですか?
同和対策課) 鳥取市とは別個の団体です。補助金を出しているというわけではないです。
私) ただ、入札の制度に関することであれば得体の知れない団体というわけはないので、把握していると思ったのですが。
同和対策課) 問い合わせ事項を書類で出していただけるとありがたいですが。
私) 以前、お送りしてちゃんと答えていただけなかったことがあるので、できればこの場で答えていただきたいのですが。市としてはどういった団体か把握していらっしゃらないのでしょうか。
同和対策課) 答えるべき立場でないというかね。
私) お答えしてはいただけない。
同和対策課) 把握していないという立場になると思いますけどね、別個の団体ですので。その団体の方に問い合わせしていただいた方がよろしいと思います。
さて、市が把握していない団体が入札制度に関わっているのはどういうことでしょうか?
同和対策課の名誉のために注意しておきますと、文書で質問してちゃんと答えなかったというのは鳥取市の別の部署のことです。
ところで、企業連の所在地と鳥取商工会議所の同和対策課の窓口について私が質問しているのが気になったと思います。実は、企業連については、鳥取市の企業支援制度に関しても、奇妙な事実があります。それについては、次回お話します。
本サイトが行ってきた多くの訴訟について、結局どうなったのか分かりにくいので、確定したものを一覧にまとめて欲しいというリクエストがありました。以下、参考にしてください。
裁判所 | 事件の概要 | 事件番号・判決日 | 結果 | 判決について鳥取ループの解釈 |
広島高等裁判所 松江支部 (最高裁は上告棄却) |
鳥取県に対して、部落解放鳥取県企業連合会(企業連)の研修の参加企業名の公開を求めた | 平成20年 (行コ)第4号 平成21年2月13日 判決文 |
一部勝訴(50%) | 企業連の研修参加企業は、事実上企業連会員企業であり、なおかつ会員企業の経営者は同和地区出身者と考えられ、公開されると商取引を忌避されるなどを差別を受けて企業が不利益を受ける蓋然性が高いので非公開とした。 一方、研修の合否は公開しても支障はないので、企業名・担当者を黒塗りの上公開とした。 |
大津地方裁判所 | 滋賀県東近江市に対して同和対策施設(隣保館・教育集会所・人権啓発センター)の設置管理条例の公開を求めた | 平成21年 (行ウ)第16号 平成22年4月13日 判決文 |
勝訴 | 情報公開条例は、法律や条例により公開されている情報は個人に関する情報であっても公開することを定めているから、公の施設として設置された同和対策施設の設置管理条例は個人に関する情報であるかどうかを判断するまでもなく公開されなければならない。 |
東京高等裁判所 (最高裁は上告棄却) |
鳥取ループブログに対して大阪法務局削除要請した大阪同和地区マップ等について、法務局が取得した情報の行政機関個人情報保護法による開示を求めた。 | 平成25年 (行コ)第89号 平成25年7月31日 判決文 |
一部勝訴(40%) | 大阪同和地区マップを開示すると、それが事実かどうかに関わらず(事実であればなおのこと)、当該地域の住民が差別を受けて権利利益を侵害される。 また、法務局が同和地区マップを開示して差別助長したように誤解されるので、法務局の事務事業に支障が出る。 よって、大阪同和地区マップなどは開示できない。 ただし、同和地区マップ等以外で法務局の事務事業に支障のない部分の情報は開示しなければならない。 なお、法務局に同和地区マップの削除要請をされても従う義務はないので、法務局の行為は検閲にあたらない。 大阪市や大阪府が同和地区マップや同和地区名一覧を出版しているが、それは別問題。 |
広島高等裁判所 松江支部 (最高裁は上告棄却) |
下味野の同和対策固定資産税減免(同和減免)の対象地域の公開、あるいは住民による個人情報開示を求めた。 | 平成25年 (行コ)第6号 平成25年10月9日 判決文 |
敗訴 | 租税法律主義は、課税要件の公開を政府に義務付けるものではない。 同和減免の対象地域は同和地区と考えられるので、下味野に同和地区があると分かると住民の権利利益が侵害される。 同和減免の対象地域は個人情報ではないので個人情報開示の対象とはならない。 |
鳥取県の企業連の研修については、この裁判があったためかどうか分かりませんが、廃止となりました。実は、企業連の研修を受けた企業には、指名競争入札の基準となる点数が加点されていたので、企業連会員に限らず、県に登録されている業者の点数と加点基準を全て公開させておけば、丸裸にできたのにと悔やんでおります。
大阪法務局に対する裁判では、東京高等裁判所が同和地区マップや同和地区一覧をインターネットで公開する行為について、事実上違法性がないと判断したのは画期的なことでした。
下味野の同和減免については、減免自体に違法性がなかったかどうか問う住民訴訟はまだ継続中です。
なぜ裁判で同和地区の公開を求めるのかということについて、今までの経過と、その意義について開設して欲しいというリクエストがありました。そこで、今さらですが詳しく解説いたします。
進行中の裁判に関する資料の生データは以下のアドレスからご覧ください。
http://files.tottoriloop.miya.be/data/H22-9-15%E8%A3%81%E5%88%A4/
http://files.tottoriloop.miya.be/data/2012/%E9%B3%A5%E5%8F%96%E5%9C%B0%E8%A3%81-H24-3-8/
http://files.tottoriloop.miya.be/data/2012/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%9C%B0%E8%A3%81-H24-4-6/
本ブログで最初に裁判をやったのは2007年のことです。これは端的に言えば、解放同盟員が経営する土建屋で組織される部落解放鳥取県企業連合会(企業連)の会員名を鳥取県に公開させようとするものでした。当時、企業連は公共事業の入札で優遇を受けており、会員企業は指名競争入札で優先的に指名されていたため、その実態を解明しようとしたものです。結局、実質的には原告敗訴で目的の情報は公開されませんでした(ただし裁判の過程で、加入企業はおおよそ見当がつくし、企業に直接聞けば加入しているかどうか教えてもらえるようなものだと分かりました。これは「寝た子を起こす」を徹底した鳥取の解放運動と、それに由来する「隠そうとすること自体が差別だ」という考え方が関係しているものと思います)。
そして2009年には、同和地区施設(隣保館・教育集会所)の位置の公開を求めて東近江市を提訴しました(大津地裁)。これは、滋賀県で同和地区の場所を町役場に問い合わせた東近江の市民が解放同盟に糾弾されるという事件があったので、それなら「情報公開請求で同和地区の場所の公開を求めても糾弾できるのか」という問題を検証するために行ったものです。この裁判に関しては私の全面勝訴であり、施設の場所が同和地区かどうかはともかくとして、「隣保館などは公の施設であって、条例によりその位置と名称が公開されている」と判断されたことが勝因でした。
それ以来、「同和地区の場所を正式に公開させる」というのが1つのミッションとなりました。2010年には滋賀県内の同和地区の公開を求めて滋賀県を提訴(大津地裁)、2012年には鳥取市下味野の同和地区の区域の公開と、さらに同和地区で行われていた同和対策固定資産税減免の違法確認求めて鳥取市を提訴(鳥取地裁)、同年に大阪市の同和地区の位置の開示を求めて国を提訴(東京地裁)し、現在に至っています。
同和対策固定資産税減免の違法確認に関してはまだ鳥取地裁に継続中ですが、他の件は高裁に控訴し、さらに最高裁に上告しています。最高裁は通常は審理しないまま半年程度でいわゆる「三行決定」により上告を棄却してしまうのですが、滋賀県を提訴した件については1年以上何の判断もされていないという、やや異例な状態にあります。最高裁もどう判断するべきか迷っているのかも知れません。
現在、問題となっている滋賀県の同和地区、大阪市の同和地区、鳥取市下味野の同和地区については、事実として既にその場所が明らかになっており、裁判に勝ったからといって直接新たな情報が得られるわけではありません。ただし、これらの情報が建前上は秘密であったものが、正式に公開されることに意義があります。
同和地区に関することは、同和タブーのベールに包まれて自治体による公開がされ難いという実態があり、もし今回の件で公開させることに成功すれば、お役所特有の「前例踏襲」「横並び」により、他の地域の情報も次々と公開される可能性があります。すると、過去の同和対策事業の実態が広く公開されることとなり、同和事業の歴史や福祉行政の研究の発展に大いに貢献することになります。どこで、どのような施策が行われ、どのような結果があったのかということは、非常に重要なデータとなります。なかなか一般の方には分かりづらいかと思いますが、「同和」というのは日本の歴史や行政に大きく関わって、その実態が公になることは、歴史や行政の研究者にとっては実に大きなインパクトがあります(分かりやすい例としては、新選組隊士の戸籍が同和問題を理由に非公開とされた事例があり、もし同和問題を突破できるのであれば、新選組隊士の血縁関係が明らかとなり、研究が大いに飛躍することになるでしょう)。
また、同和地区の場所を問い合わせたら糾弾されるということは滋賀県に限ったことではなく、同和地区の場所を知ろうとするとそれが差別だと非難され、企業や行政への言いがかりの「ネタ」として悪用されている実態があります。正式に同和地区が公開されるということは、そのような言いがかりができなくなるということであって、いわゆる「えせ同和行為」の防止のために大きな成果を挙げることができます。
一方で、同和地区の場所が明らかになることで、結婚などの際の身元調査に悪用されるということが度々指摘されますが、少なくとも裁判の対象となっている地区は事実として明らかになっているものばかりです。探偵等が同和地区であるかどうか調べようとすればすぐに分かるものなので、調査出来るかどうかという問題に関していて言えば今さら影響はありません。
むしろ、裁判で白黒付けることは部落問題の解決に意義があります。なぜそうなのか説明するためには、この裁判の法的な意味を説明しなければいけません。
私が裁判により同和地区の場所の公開を行政に求められるのは、各自治体の情報公開条例という法律上の根拠があるためです。各自治体の情報公開条例は、行政が保有する情報は原則として公開であって、あえてそれを非公開とするのであれば、その理由を行政が説明しなければならないという枠組みになっています。つまり情報を公開する理由は不要だが、非公開とするには理由が必要…書面に書いて説明しないといけないと条例で決められているということです。もし理由がないのに情報を非公開にする自治体があれば、その自治体は違法行為を行っていることになり、裁判で争うことができるわけです。もちろん、理由というのはいい加減なものではだめで、それが合理的なものだと裁判所を納得させられるものでなければなりません。
同和地区を公開しない理由は、「これを公開しても直接特定の個人を識別することはできないが、同和地区に対する差別意識の解消が十分に進んでいない状況からすれば、公開すると特定個人の権利利益を害するおそれのある情報に該当する」という説明がされることが多いようです。例えば島根県はそのような説明をしています。
しかし、この説明は別のところで問題を起こします。
この「権利利益を害するおそれ」というのは判例上は「単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が必要」ということになっています。ご存知のとおり、裁判所は最終的には憲法の番人ということもあって、「左翼的」なところがあります。そこで、国民の権利を最大限に尊重するとそうなるわけです。
これを同和地区の場所の問題に当てはめると、同和地区の場所が分かるということは、そこに住む住人に対して法的保護に値するほどの「権利利益を害するおそれ」を生じさせるということです。
ということは、例えば大阪のように同和地区の場所を自ら行政が明らかにしてきたような地域では、その「同和地区に住むことは法的保護に値するほどに権利利益が侵害されるおそれがある」ということになってしまいます。すると、不動産を購入しようとする人が同和地区を避ける事には合理的な理由があると言えてしまうわけです。
だからと言って、「そのような不利益が生ずるのに、説明なしに同和地区の土地を売りつけられた」と不動産屋を訴える人が出たとしても、裁判所はその人を勝たせるわけにはいかないでしょう。とすると、不動産屋を勝訴させるためには「同和地区に住むことには不利益があるけど、客は不利益を受容しなければならない」という判決を出さざるを得ないわけです。しかし、これでは形式的には不動産屋の勝訴であっても、「不動産屋が客に不利益が生ずる土地を説明なし売った」という事実は変わらないので、法廷の外では不動産屋は信用を失うことになります。また、「同和地区の土地を買って住むと不利益を受ける」と言いふらしても、それは「司法も認めた事実」ということになります。
本来であれば「同和地区に住んでいると分かっても不利益を受けるわけではない」と説明すれば(私は実際それが事実だと思いますが)、不動産屋が同和に絡む顧客とのトラブルで裁判になっても「同和地区に住んでも不利益はないとの最高裁判例がある」と堂々と主張できるわけですが、そうすると、情報公開訴訟の判断と整合性が取れなくなってしまいます。
ひとまず、現在進行中の訴訟では、どの裁判所も「同和地区に対する差別意識の解消が十分に進んでいない状況からすれば、公開すると特定個人の権利利益を害するおそれのある情報に該当する」という見解で一致しているようです。これが確定すると、やはり同和地区に関わることは「権利利益を害する」ということになります。
そこで、裁判所は別の逃げ道を考えないといけないのですが、それが同和地区の場所は秘密であるということです。同和地区の場所が誰にも知られていないのなら、誰も不利益を受けないということになります。
しかし、本ブログで説明してきたとおり、とてもそうであるとは思えない実態があります。滋賀県においては滋賀県内の同和地区名を列挙した本が出版されていましたし、大阪市に至っては「何丁目」というところまで詳しく説明された本が出版されていました。滋賀県草津市に関しては地図上で同和地区の区域を示した、まさにそのまんまの資料が公開されました。
そもそも、かつては「同和地区の場所を隠す」という概念自体がなく、部落問題や同和事業に関する古い書籍には同和地区名が躊躇なく書かれていることが多く、時代や地域によってはむしろ「寝た子を起こす」という解放運動の理念や「同和事業の対象として予算を得るために認定してもらう」という目的で、同和地区の場所情報を積極的に広めようとしたことがありました。現在でも、当時の資料を図書館や古書店でいくらでも発掘できる実態があります。あまりに多くあることと、別の意味でも歴史的価値のある資料と混ざってしまっているので、それを「焚書」することは不可能と考えられます(顕著な例として江戸時代に書かれた「因幡誌」があり、この本にはどこが穢多村だったということが書かれていますが、これを焚書すると旧因幡国の近代の地誌の多くが失われることになります)。
裁判で問題としている滋賀県、大阪市、鳥取市下味野は、全て文献により同和地区地名が特定可能な地域です。鳥取市下味野に関しては、民間の出版物ではなくて行政が出版した市史や公報に掲載されていますし、滋賀県や大阪市もほとんどそれに近い状況にあります。
また、「公務員の守秘義務」ということが関わってきます。国家公務員法や地方公務員法の守秘義務について、判例上は「秘密とは実質秘である」とされてきました。これは、役人が「これは秘密だ」と言えば秘密になるわけではなく、事実として民間人が知ることはできず、秘密にするほどの価値がある情報でなければならないということです。これも裁判所が「左翼的」であって、国民の権利を最大限に尊重し、国が恣意的な情報隠しをできないように判断しているためです。
情報公開制度もそのことを前提に作られており、実質秘でないものは常に公開され得るということになっています。なので、情報公開法や情報公開条例によって情報を公開した公務員が守秘義務違反に問われることはありません(外国の情報公開法ではそのことを明示している場合もありますが、日本の場合は法律には明示せずに過去の裁判例に頼っているようです)。
どう考えても公になっているとしか思えない同和地区の場所について、裁判所が秘密だと言うのであれば、過去の判例を変えたか、そうでなければ同和については特別扱いをしたと見られるでしょう。
この点に関して、各裁判所は次のように判断しています。
大阪高裁:滋賀県の同和地区施設の場所は実質秘にはあたらない。(しかし同和地区名は秘密であるとしている)
東京高裁:大阪市の同和地区名は秘密、確かに出版物に同和地区名が書かれているがこれは別問題。
広島高裁松江支部:おそらく東京高裁と同じような判断。
鳥取地裁:鳥取市下味野の同和地区の場所は実質秘である。
大阪高裁は唯一私の全面敗訴となっておらず、1%だけ私に理があるといった判断をしているので、それを反映した曖昧な判断になっています。
鳥取地裁だけは明確な判断をしてる理由は、鳥取地裁の場合は情報公開訴訟ではなくて、税の徴収を求めるという別の意味合いでの裁判をしていることが関係していると思います。たまたま、鳥取地裁は明確な判断をしなければならない状況に追い込まれただけであって、東京高裁も広島高裁松江支部も同じ状況になれば鳥取地裁と同じ判断をしたかったのだと思います。しかし、現実には同和地区の場所を公言した公務員が、守秘義務違反に問われて立件されることはないと私は考えています。どう考えても同和地区の場所が公になっているという事実は変わらないので、事件にすればさらに情報拡散に手を貸すことになりますし、刑事事件は私がやっているような民事事件よりももっと厳格な判断が求められるので、有罪にするのは難しいでしょう。
私は、裁判所による同和に対する特別扱いがあると考えています。特定秘密保護法について、国が恣意的な情報隠しをするとの批判がありましたが、同和に関してはそれが堂々と行われているにも関わらず、同和タブーがあるために、あれほど騒いだメディアも話題にすらしません。
これを最高裁がどう扱うかは、同和問題のみならず「秘密とはなにか」という根源的な問題にも関わってくるでしょう。
そして、鳥取地裁では憲法が定める国民の3大義務(教育、納税、勤労)のうちの1つである、納税の義務に関する問題が問われています。
国民に納税の義務があることは中学校くらいで習うと思います。これは国民の大変重要な義務なので、通常はとても厳格に扱われます。納税については「租税法律主義」という大原則が憲法で定められています。これは税をどのように納めるか(課税要件)は法律で定めなければいけない、国で言うなら国会で審議して法律として通さなければならず、総理大臣でも勝手に国民に税を課したり税率を変えたりは出来ないということです。
鳥取地裁で問題になっている固定資産税は市町村が住民に課す地方税なので、本来はその要件を地方議会による条例で定めなければならず、市町村長が勝手に手を出せないものです。税を課すだけでなく、逆に税を減らしたり税を課さないということも勝手にやってはいけません。例えば条例で誰にでも課すことになっている税を、市町村長が勝手に減免できるなら、市町村長が課税対象や税額を勝手に決めているのと同じことになってしまうためです。
それでも市町村長が条例に反して勝手に税を減免したのなら、「住民監査請求」さらに「住民訴訟」により税の徴収を求めることができるというルールになっています。鳥取地裁で行ったのはこれです。
しかし、実際に裁判所で争うためには何が違法な税の減免であったのかということと、徴収すべき税の対象と金額を確定する必要があります。鳥取地裁で原告が問題としたのは鳥取市下味野で行われた税の減免なので、鳥取市下味野で行われた同和減免の実態を明らかにしなければなりません。しかし、そうすると必然的に鳥取市下味野の同和地区がどこにあるのか分かってしまうわけです。その情報は鳥取市が持っているのですが、前述のとおり鳥取地裁はそれが秘密であると判断してしまったので、同和減免の違法性が問われない可能性が出てしまっているわけです。
知る人は知っていると思いますが、固定資産税については毎年年度初めになると「土地・家屋価格等縦覧帳簿」というのが公開されまして、例えばどこそこの誰の家の土地にどれだけの固定資産税が課されているかということが誰にでも分かるようになっています。必然的に、その家の資産価値がどれくらいかということも分かります。そこまでして税の公平性が確保されているのに、同和地区に関しては税の減免対象自体が秘密とされました。すると、同和を隠れ蓑にして、市町村長はいくらでも恣意的に固定資産税を減免でき、違法行為をしている証拠を秘密として隠蔽することができるので、やりたい放題ということになってしまいます。
鳥取地裁の判断に関しては、現在高裁に抗告しているところですが、認められなければさらに最高裁に抗告します。最終的に鳥取地裁の判断が否定されれば、同和と言えど違法行為の隠れ蓑にはできないと言えるわけですが、そうでなければ同和を違法行為の隠れ蓑にできると司法が証明することになります。もちろん、前者の判断をすれば、下味野の同和対策固定資産税減免の対象地域(≒同和地区)を公開する必要があります。裁判所は重要な判断を求められているわけです。
租税法律主義が「課税要件の公開」を求めているかということは、過去の判例がないようなので、これは同和問題のみならず、国民の納税の義務全般に関わる重要な判断になるでしょう。私の考えでは、租税法律主義に従えば課税要件は公開しなければいけないと思います。もし、課税要件を秘密にしてよいと裁判所が判断するなら、誰にも分からないように税を課すことができるということになるわけで、誰も知らない→法律違反を発見できない、ということになるので租税法律主義は完全に無意味化してしまいます。特に鳥取地裁の例では、下味野で同和減免が行われたことは誰でも分かることなのに裁判所が知らん振りをすることになるのでさらに悪質です。
鳥取地裁では、同和減免が違法である根拠として「明治4年8月28日太政官布告」いわゆる「解放令」を持ちだしています。これは穢多非人等の賤民の廃止を定めた太政官布告なのですが、同時に当時行われていた穢多非人等の土地に対する地租の減免の廃止も定められています。穢多非人等の廃止に伴って地租の減免も廃止されたのだから、同和減免はかつての地租の減免の蒸し返しであって解放令に反すると原告は主張しているわけです。
まだ日本に議会がなかった時代に定められた太政官布告が「法律」として有効であるかどうか問題となった事例として最古のものは「明治5年11月9日太政官布告」いわゆる「改暦ノ布告」のようです。もし、今回の裁判が最高裁まで持ち込まれて、解放令について何らかの判断がされることになれば、改暦ノ布告よりもさらに1年以上前の太政官布告が法律として効力があると認められる可能性があります。これは判例集のみならず、教科書に載せてもよいくらいの重要な判例になるでしょう。
以上の通り、法律が絡むのでやや難しい問題ではありますが、特に弁護士などの司法関係者にはいかに重要な意義のある裁判か分かって頂けると思います。どのような判決が出ても、非常に重要な判例として活用できるので、ぜひ注目して頂ければと思います。
最近、倉吉市役所人権政策課に電話したら、「部落出身で差別を受けてきた」という職員から「市役所まで謝罪に来なさい」というようなエセ同和顔負けの対応をされて延々と2時間ほど絡まれました。
同部署には部落解放同盟の役員が2人おりまして、以前から人権文化センターなどの人権・同和問題関係の部署に配属されています。同和地区マップの削除要請の取り組みは部落解放同盟としても、倉吉市役所としても行なっているということで、解放同盟の活動と市役所の業務の境目がありません。人権政策課が解放同盟の事務所と化しているような状態で、2人の団体役員が強い利害関係のある部署に配属され続けるという、ちょっと今まで聞いたことがないような実態が倉吉市役所にはあるようです。
詳しくは「月刊同和と在日」2月号「匿名で企業に圧力 大阪芸大「人権問題論」講師・北口学の「エセ同和行為」」の中でレポートしています。2月14日発売予定の書籍版「同和と在日3 ―直撃! 部落解放研究全国集会」にも、この2人が誰なのかということを加筆して掲載しています。
さて、鳥取県の部落史研究者の間では非常に有名な宇田川宏先生の論文に「鳥取縣における新部落の形成」というのがありまして、これは倉吉の部落の成り立ちを知る上では貴重な資料です。まず、以下の地図の中央辺りが倉吉市の被差別部落の分布です。
より大きな地図で 鳥取県内の同和地区(被差別部落) を表示
注目すべきは、天神川沿いに部落が多いことです。前述の論文にはこうあります。
次の述べようとするのは明治を中心とする倉吉周辺開田部落の成立についてである。その心軸をなしたものは天神野開田部落でありその中に天神野、西鴨、中田、生竹、安歩、紀穏、志津の七部落を含んでおり、ひとしく開田の名で呼ばれている。
そして、これらの部落は明治から大正にかけて鳥取市や八頭郡の部落から開拓のために移住してきた人により形成されたと説明されています。逆に倉吉市に古くからある部落は勝負谷で、その近くにある妻ノ神は勝負谷の富裕農家が大正時代に土地を買って移転してきたということです。
ちなみに以前、同和地区の企業が加入している部落解放鳥取県企業連合会の加点研修に参加した企業の一覧を鳥取県が黒塗りして公開した時に、鳥取県が消し忘れていた会員企業の秋山組がある「みどり町」も同和地区ですが、この地区は国土地理院の航空写真を見ると昭和になってから新しく整備されて宅地造成されています。
倉吉市役所の人(解放同盟役員)は、なぜか「同和地区」が判明することを異常に嫌いますが、実際は説明した通り倉吉市の同和地区のほとんどは明治以降に荒地を開拓してできたため、いわゆる「穢多地」であった経歴すらありません。倉吉市における「同和」というのは、ほとんどの場合いわゆる「属地」ではなく「属人」なわけです。
また、勝負谷は辺鄙な場所にある小戸数の集落ですが、「富裕農家」が移転してできた「妻ノ神」がなぜ同和対策対象地区とされたのかよく分かりません。妻ノ神も小戸数の集落で、戦後間もないころの航空写真を見ても、鳥取市の部落にありがちな住宅が密集しているということもありません。