八頭町同和問題講演会

「広報やず」平成18年9月号より

8月6日(日)、郡家公民館で、「八頭町同和問題講演会」を開催し、374名が参加しました。山口県人権啓発センター事務局長の川口泰司さんを講師に「差別っていったいなんやねん?」という演題で講演していただきました。
講演で川口さんは、『2002年3月末をもって、同和対策事業に係わる特別措置法が終わりました。そのとたん各地では、同和という文言をどんどん人権に替えています。今すごく気になっているのは学校教育や社会啓発の中で、これまでの同和教育・同和行政の成果や手法を生かして人権教育・人権行政に広げていくんだ、同和教育を大事にしてきたことを受け継いで、と言いながら、肝心要な部落問題がどっかへ行ってしまったんじゃないかということです。
10年前、先生が学校で部落問題の授業なんかするって言ったら、うちらの地域の父ちゃん母ちゃん、「先生、頼むけそんな同和や部落だって言うてくれるな」って、地区外の人が、「もう
そんなん教えんでもええ」って言うのと同じ言葉ですが、意味が1 8 0 度違うんです。頼むけそっとしとけっていうのは、それだけ周囲の差別意識が強かった。そんな授業で、この辺でも部落あるんかと話になったら、うちの子明日から学校行けんようになるって。頼むから、そっとしとけという厳しい差別の裏返しです。部落問題の解決された姿というのは、部落出身ということを隠していろんな人と仲良くなることと違います。自分が部落に生まれたということを言っても、差別で悩んだときでも、一緒になって悩んでくれ闘ってくれる、そういった人間関係で生きていくとき、初めて解決された状態です。多くの人は、部落が差別をされてきた歴史ばかり勉強してきたんですが、差別されてきた歴史と同じ数だけその差別と闘ってきた歴史があるんです。その差別の中でも人間としての誇りを奪われず、生き抜いてきた歴史がある。いろんな時代的な制限・条件の中でも、日本に誇る文化や産業や芸能を担ってきました。今の学校教育では、そういうことも教えています。それぞれに差別との出合いがあると思いますが、最初の出合いが大事です。
最初、マイナスで出合ったら、そんな問題係わりたくない、そんなん関係ないってなります。でもそうなら、プラスの出合いをしてほしいです。
私の貴重な出合いは福岡でした。その方は僕にこう言ったんです。「部落に生まれたっていうことを恥じとらーせんか、何恥ずかしいことがある。差別は、する人がいるからされる人がいるんだぞ。部落があるけ差別があるんではない。同和の人とワシ等とは違うって差別でもしとらんと生きていけれん、自分に自信の無い追い込まれた人がいるから差別されてるだけだ。下向かないで、胸張って生きんさい。」ガツーンと殴られる衝撃でした。
差別問題を考えるときにすごく大事な視点は、差別は、する側に100%問題があるという点です。
同和教育が大切にしてきたもの、差別によって奪われてきたものは何だったんですか。差別で一番奪われたのは、人と人との温かい人間関係を切られたことです。同和教育、解放運動はその切られた糸をもう一回紡ぎ直したんです。人って信じてもいいんじゃないかって。
ありのままの自分を出しても、差別や疎外されない、そんな人間関係を作ってみませんか。それが人権のまちづくりなんです。地域には間違ったマイナスの情報が流れ、圧倒的に真実の情報が欠けています。だから学んでほしいです。
研修を受ければ受けるほど、差別が何か見えるようになります。やらんかったら見えてないだけです。結婚の時など直接自分の身にふりかかった時に表面に現れるんです。でもそれじゃあ遅いんです。だから今のうちに、もっともっと自分のために美しく生きませんか。』と話されました。

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関係ない そんな心に 差別がひそむ

タイトルは、鳥取市内の小学6年生が作った人権標語です。このように、鳥取市では何も知らない人も、何もしない人も差別者というような理屈が堂々と市報に載せられます。そういった記述を抜き出してみました。記事の全文はリンク先をご覧ください。

講座を聴講して同和問題に無関心でいたり、自分には関係ないから避けて通ればよいという考え方自体がすでに差別をしている事だとわかりました。
やはり、人と人とのつながりや、信頼関係から解決の糸口が見つかるのではないでしょうか。
誰もが参加し、心を開いていかなければと思いました。

とっとり市報平成14年3月1日号より。隣保館の同和研修会に参加した男性の感想。

意識的・意図的な差別だけではなく、「知らない」、「無関心」、そして「何もしない」ということも差別だということを学んだように思います。

とっとり市報平成14年9月1日号より。鳥取県東部在日外国人教育研究会に参加した方の感想。

「もう差別はない」といった考えは、差別を助長するものです。

とっとり市報平成13年8月1日号より引用。

やめよう 差別落書き
それは人を深く傷つける行為です
鳥取市では、部落問題をはじめあらゆる差別をなくすため、家庭、学校、地域、職場で同和教育を進めるなどさまざまな施策に取り組んでいます。しかし、今でも差別落書きや差別発言などが後を絶ちません。このことは、人々の意識の中に今なお根強く残っている差別意識が、文字や言葉の形で現れたものといえます。
今回は、差別落書きについて考えてみたいと思います。
鳥取市では毎年、数件の差別落書きが発見されています。その内容は、せん称語を書いたもの、個人名を挙げて攻撃するもの、中には見た人に差別を扇動するようなきわめて悪質なものもあります。
また、書かれている場所は、市内の公衆トイレや、バス停のように、多数の人の目に触れる可能性の高いところもあります。
このような落書きは、名指しで落書きされた人のみならず、見た人をも深く傷つけ、あるいは、新たな差別意識を植えつけてしまう卑劣な人権侵害です。そのため、それらの落書きをそのまま放置しておくことは絶対に許されません。
「放っておけば差別は自然になくなる」とか「もう差別はない」といった考えは、差別を助長するものです。毎年発生しているこのような落書きや発言は、差別が今でも厳しく存在していることを示しています。
こうした差別落書きをなくすためには、一人ひとりが身近な人権侵害に気づき、差別をなくしていくよう努力するとともに、自らの差別意識の解消にも努めることが大切です。
差別のない、明るくにぎわいのある鳥取市を実現するためには、このような差別落書きは絶対なくしていかなければなりません。
差別落書きを発見した場合は、直ちに人目につかないように遮へいするなどの措置をとるとともに、現場を保存することが必要です。
そして、確認などを行った後、関係行政機関および関係団体との合議のうえ消去するなどの処置を行います。
差別落書きを見つけた場合は、至急ご連絡ください。

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差別は存在するという結果を出すための意識調査

2004年7月1日のとっとり市報より。
県民意識調査

根強く存在する部落差別
「もう部落差別はなくなった」 「私は差別をしていません」と言う言葉を耳にすることがあります。
でも、本当に差別をする人はいなくなり、差別はなくなったのでしょうか。
いいえ、差別は形や方法を変えて現存しており、地域や学校、企業などでは、 差別落書きや差別発言、差別投書などの事件が相次いで起こっています。 また、最近は、パソコンの普及に伴って、インターネットのホームページや 掲示板を利用した部落差別事件も増加しています。 中には、被差別部落の人に対して生命を脅かす卑劣で悪質な内容のものもあります。
このように、私たちが生活する社会には、あらゆる差別が見え隠れし、 「差別をしていません」という人の中には、自分の発言や行動の中に潜む差別意識に 気付いていない人も少なくありません。
県民意識調査から
平成十二年七月に鳥取県が行った県民意識調査(右下図参照)に次のような集計結果が出ています。
「今の時代、部落差別はもはや存在するはずがない」という質問に対して、「そう思う」(部落差別は存在していない)と回答した人は約二十五パーセント、「そうは思わない」約四十二パーセント、「どちらとも言えない」約三十一パーセントとなっています。その内「そうは思わない」「どちらとも言えない」と回答した人を対象に、「世間の人々は、口先でいいことを言っても、腹のそこでは差別している」という質問をしたところ、「そう思う」と回答した人が約五十一%もいました。この回答結果からも、部落差別が今なお、根強く残っていることが伺えます。
部落解放月間を機に
鳥取県が部落差別の解決に向け啓発活動を行うために、部落解放月間を定めてから三十余年が経ちます。
鳥取市同和教育協議会でもこの月間中に、部落解放鳥取市研究集会を開催して、今年で三十一回を迎えます。研修会では、同和問題への理解を深め、差別をなくするための取組みの討議を行っており、毎年多くの市民が参加しています。差別のない明るいまちをつくるためにも、私たち自らが差別を許さない取組みのための新たな一歩が、今、必要なのです。

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現存する差別の実態に気づかない智頭町民

広報ちづ2005年4月号より、あまりに凄いので、全文引用します。太字にした部分は、原文でも太字です。

差別のない社会へ271
~差別解消のためには 学習を積み重ねることが大切です~
智頭町同和問題意識調査
智頭町では、同和問題に関する町民意識調査を5年ごとに実施しています。今回は昨年度に実施された町民意識調査の結果から見えてくる差別の実態について考えてみたいと思います。
部落差別の問題については年齢を問わずほぼ全町民が「知っている」と回答しています。どのように「知る」かについては、町民の84%が小中学校の間に「知り」その「知り方」は35%が学校の授業で、29%が父母や祖父母から、10%強が学校の友達や先輩から聞いた、となっています。学校の授業と違い、家族や友人から聞くということは、『偏見』や『誤った知識』として「知る」という実態を生みやすくなります。また、部落差別について、約62%の人がだいたいわかったと回答し、差別がある原因は、約41%が『因習や風習にとらわれているから』約43%が『差別をする人がいるから』であり、差別をなくすためには約41%が同和教育を徹底し、人権意識を高めることだと回答しています。では、自分や自分の家族が差別を受けたり差別をした経験についてはどうかというと、どの年代も半数近くの人が差別をしたことも受けたこともないと回答しているのです。現存する差別の実態に気づかない、或いは見ようとしない私たちの姿がここに現れています。差別が残っている原因は『差別をする人がいるから』と回答していながら、だいたいわかったからもう学習はしなくて良い(約33%)という考えでは、自分や家族が結婚問題に出会ったとき、賛成しない約34%、何もしない約36%となってしまい、祝福して応援する約30%という実態を変えることはできません。差別に対する怒りを持ち、解消に向けた積極的な行動をするためには、差別のおかしさに気づき、差別の実態から深く学ぶことが大切です。

[2006.9.23] 2006年5月号以降「広報ちづ」から「差別のない社会へ」が姿を消しているようです。

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鳥取工業高校と鳥取西工業高校の差別事件

2000年3月20日解放新聞より

学校で差別発言事件が多発 「おまえ、エタかいや」など
【鳥取】「おまえ、エタかいや」など、連続して五件の生徒による差別発言事件(別掲)が発覚した、県立鳥取工業高校などにたいする糾弾会を二月二十六日午後、鳥取市解放センターでひらいた。そのなかで、①「同和」教育は特設の授業だけどの認識で学校全体のとりくみになっておらず②差別発言や問題発言がその場で私的される状況になく③そのため部落出身者がみずからの立場を明らかにすることや差別発言を指摘し問題を提起することが困難になっている、ことなどが明らかになり、学校側との共通認識として確認した。さらに、生徒が安心して通える学校へと変革するために、①差別発言をした生徒の認識を分析し、学校としての課題を明らかにする②そのさい、PTAや保護者会へのとりくみがみえていないことをふまえて文書にする③県教委の見解はきわめて不十分であり、県教委としての責任を明らかにした見解をあらためて提出する、ことなどを確認。三月二十日までに文書を提出し、それをもとにひきつづき糾弾会をもつこととした。
鳥取県内、2年間に16件
鳥取県内では、この二年間で十六件の差別事件が中・高校で発覚。時間が経過してから部落解放研究交流会で打ち明けられるケースも目立ったため、教育現場でのとりくみの形骸化が指摘され、東部、中部、西部の県内三地協で糾弾会を積みあげ課題を明らかにし、最終的に県連が糾弾会を集約していくことにしている。今回の糾弾会はその一環で、東部地区協議会が主催。県立鳥取工業高校の五件、県立鳥取西工業高校の一件を対象にもったもの。二校の校長はじめ教職員、県教委、鳥取市行政など百二十人と他校の教職員ら七十人が出席、部落解放同盟からは中田幸雄・東部地協議長を先頭に百六十人が参加した。
マイナスイメージにもとづいて
糾弾会では、六つの事件の事実関係を確認。山田幸夫・東部地協書記長が、発言は部落のマイナスイメージにもとづき、相手に打撃を与えることを意図しておこなわれた差別発言であり、その背景に、①「同和」教育が全領域で位置づかず、特設ロングホームルームに矮小化されている②そのため、日常的に人をおとしめる発言などが無批判におこなわれており、部落差別は他人事という意識が根強くあり③部落出身生徒が自らの立場を明らかにしたり、問題を提起しにくい状況がある、ことを指摘した。
さらに今後の課題として、①全教職員のとりくみにする必要性②マイナスイメージさけの高校「同和」教育の見直し③差別事件の教材化と保護者啓発④関係団体との連携、などを提起し、共通の認識として確認した。
不安を指摘する声もあいついで
参加者からは、生徒が学校に問題提起できないぐらい不安をもっている現状を指摘する声があいついだ。「学校では問題発言、差別発言が飛びかっており、この状況では学校に何もいえない」と涙を流しながらの高校生からの青年への訴えがあったこと。差別発言した生徒が聞きとりのなかで「特設ロングホームルーム」について「またか。たいぎい」と感じていたことなどを示し、この場は「これからやります」ということをいう場ではなく、なぜできなかったのか、その問題点をだす場であることを訴え、率直な対応をと重ねて求めた。
学校からは「信頼関係でなく『対策』をしてきたところに原因がある」などの発言はあったものの、解放研交流会の存在を知っていた教職員は五分の一程度であったことも明らかになった。
さらに、鳥取工業高校が差別事件発覚後におこなった研修のなかで、部落差別を助長すると思われる講座が実施され、その問題点をだれも指摘していないことも示され、問題の根深さが浮きぼりになった。
このため、今回の糾弾集会での提起をふまえ、三月二十日までに文書を提出し、あらためて糾弾集会をもつことを確認。一日も早く生徒が安心して学校へ行けるような状況にするよう強く求め、第一回目の糾弾会を終えた。

「差別発言事件」の内容は次のようなものです。

  • 生徒数人がふざけあう中で、ある生徒が「お前、被差別部落だろう」と発言した。
  • 休憩時間中に生徒が他の生徒に「お前、エタかいや」と発言。
  • 「世界を征服したら何をするか」という話題で「お前の住んでいるところを被差別部落にするぞ」と発言。

…などです。

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人権アンケートに不適切質問(山口)

古い記事ですが、興味深かったので掲載します。
2003年1月14日、朝日新聞より引用。

山口県玖珂(くが)町教委が町民を対象に実施した「人権問題に関するアンケート」で、心身障害者や「同和地区の人」との結婚についての意識を尋ねていたことがわかった。
町教委は町民から「差別や偏見を助長する質問で、不適切」との指摘を受け、13日までにアンケートの中止と用紙の回収を決めた。
町教委によると、アンケートは昨年12月、人権教育の新たな指針を作るために、無作為に抽出した20歳以上の男女計1000人を対象に、実施された。無記名で今月末までに回答するように求めていた。
問題の質問は、「人権の個別的な課題について」の項目のひとつ。「次のような人(心身障害者、外国人、感染症患者、罪や非行を犯した人、同和地区の人)との結婚についてお聞きします」とある。
回答者が既婚なら自分の子ども、未婚なら本人が、その立場の人と結婚する場合の対応を尋ねたもので、既婚の場合は「子どもの意志を尊重する」「家族や親戚(しんせき)の者が反対なら認めない」「誰が何と言っても絶対に反対する」など5つの選択肢から選ぶ。未婚の場合も同様に「自分の意志を貫き結婚する」「家族や親戚の者が絶対反対なら仕方なく結婚をあきらめる」などの4通りの回答が用意されている。
このアンケートに対し、町民の男性が「列挙された人たちに対する差別や偏見を助長する質問で適切ではない」と抗議。町教委は県教委と相談し、10日に中止と用紙の回収を決定した。担当職員が「質問事項に不適切な項目が含まれていた」とする謝罪文を持って各家庭を回り、ほぼ回収し終えたという。
町教委の伊藤卓男・教育次長は「具体的にどの質問が不適切だったかは言えないが、一部質問に配慮が足りなかった。深く反省し心からおわびしたい」と話している。

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湯梨浜町の「同和問題についての住民意識調査」

湯梨浜町で「同和問題についての住民意識調査」が行われているとのことです。地元の方から調査票がアップロードされました。以下を、ご覧下さい。

質問内容は以下の通りです。選択肢や小さな子項目については省略しています。

問1.自分自身の人権は守られてると思いますか。
問2.今までに他人の人権を侵したことがあると思いますか。
問3.「結婚式は対案の日にする」とか「葬式は友引の日にしない」などの風習について、どう思いますか。
問4.就職や結婚のときに家柄・財産・親の仕事や地位などの身元調査をすることを、あなたはどう思いますか。
問5.同和地区や同和問題について意識することがありますか。
問6.同和地区や同和問題のことについて初めて知ったのはいつごろですか。
問7.同和地区や同和問題のことをあなたが始めて知ったのは、どのようにしてですか。
問8.同和地区の人たちに対する差別が今でもあると思いますか。
問9.過去3年間のうちに、同和問題を学習する会(推進大会、講演会、研修会、部落座談会、部落問題懇談会、学習会、訪宅実践など)に何回ぐらい参加されましたか。
問10.あなたは湯梨浜町内で発生している差別事象について知っていますか。
問11.同和問題について、ここ2~3年の間に家族で話題になったことがありますか。
問12.あなたはここ2~3年の日常生活の中で、部落差別をするような発言や態度の場に居合わせたことがありますか。
問13.学校等(保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校)での同和教育について、あなたのお考えに近いものはどれですか。
問14.同和地区を中心に周辺地域を含めた生活環境の改善や生活の向上のために国や県、町が行ってきた同和対策事業(道路整備・環境改善事業等)についてどう思いますか。
問15.同和問題について、これからあなた自身が知りたいことや勉強したいことを最大3つまで選んでください。
問16.同和問題についての理解を深めるためにはどのような方法がよいと思いますか、特に重要と思われるものを最大2つまで選んでください。
問17.同和問題を解決するにはどうしたらよいとお考えですか。お考えに近いものを最大3つまで選んでください。
問18.同和問題についてのご意見をお聞かせ下さい。

ちなみに問8については「まだまだ多くの課題を抱えており差別事象も発生しているのが現状です」という「正解」が送状に書いてあります。
鳥取県は全件でも意識調査を実施しています。平成16年度の調査では湯梨浜町内で回収されたサンプルは82件に過ぎないので、町が独自にさらに詳細な調査をやろうということだと思います。私の知る限り、こういった独自の調査は智頭町や旧船岡町でも行われていました。

結婚差別をテーマにした詩

これは、「もっとすてきになるために」の1998年版に掲載されていたものです。これは鳥取市(旧市)の全戸に配布されました。「もっとすてきになるために」の作成は現在は鳥取市人権情報センターにより行われていますが、当時は鳥取市教育委員会が担当していました。
なお、この冊子には何の説明もありませんでしたが、この詩の作者の井上泰子氏は大阪の部落解放同盟関係者です。もちろん、詩の内容は鳥取のものではありません。北芝は、大阪府箕面市に実在する同和地区です。

きっと笑って会える日を 井上泰子
お兄さん
元気ですか
二年前の六月 八年ぶりに会えた時の
感激は忘れません
お互い 言葉もなく
なつかしさと 嬉しさで
胸がはりさけそうでした
言葉が なかなか 見つからず
ただ 涙ばかり あふれました
私が「北芝」の人と
結婚がしないといった時
「親に こんな想いまでさせて…」と
ショックで 床にふせた
お母さんの前で 言われましたね
今でも 私を恨んでいますか
親不孝な 妹だと思っていますか
そのお母さんも 今は
“部落問題”にぶつかって
「人間にとって いちばん大切なことが 見えてきた
自分の中の何かが 変わってきた」
と言ってくれています
でも…
このあいだ 家に帰ったとき
「お兄さんの結婚話が また だめになった」
と聞きました
「私のことが 原因しているのかなぁ」と聞いたら
「そんなこと ないと思うけど…」と
私に よけいな心配をかけまいとしながらも
言葉を 濁してしまいました
そのことを聞くたびに 胸が痛みます
決して 後悔したり
卑下 しているのではないのです
むしろここに来て 本当に よかった と
誇りをもって 言いきれます
だけど
お兄さんの 結婚話が
うまくいかない と聞くのは
本当に 辛いです
お兄さん!
もっと強くなって!
そんなことで、結婚をためらうような人
こっちから おことわりや!
勝手な 言いぐさかもしれないけれど…
そのくらいの気持ちに なってほしい
もし そのことで
お兄さんが 私を恨んだり 憎んだり
しているとしたら…
部落に嫁いだ妹より
「部落差別」を憎んでください
でも
きっと いい人が現れると思います
私と「北芝」の出逢いがあったように
やさしいお兄さんだからこそ
きっと きっと いい出逢いが…
お姉さん
「部落の人とは 親せきになりたくない」
と猛反対した お姉さん
あれっきり
一度も 会ってないけど
子どもたちは 大きくなったでしょうね
Tちゃんは もうすぐ 高校生?
私みたいな 妹がいることは
知らないのかなぁ
でも
Tちゃんたちも 大きくなって
学校で 社会で “部落問題”にぶつかった時
子どもに どう 言いますか?
「差別しろ」と言うのですか
もし
万が一 そうだとしたら
あと 何十年たっても
会えることは ないでしょうね
でも
私は 信じています
お姉さんは 私のこと
“かたときも 忘れてはいないし
いちばん 気にしてくれている”と
いつか 会える日を
楽しみにしています
きっと 笑って 会える日を

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「社員の結婚問題(被差別部落の方との)には最大限配慮する」企業

以下は「同和問題・人権問題研修資料-事業所における同和問題・人権問題の取り組み方-」(平成12年5月/鳥取県)に掲載されていた、鳥取県内の企業での啓発活動の例です。
この企業に関する情報を求めています。心当たりのある方はご連絡下さい。

D社における同和教育の取組み
(1) 同和教育推進における基本方針
私たちは事業活動を通じて、①『人権意識を高め、人間尊重を実践する』と共に国民的課題といわれる、②『同和問題の解決』を実現するよう努める。
(2)取組みの経過
わが社は創業者(初代社長)が身体障害者・学歴等の問題を克服しながら社業を発展させてきた経緯がある。そのため、従業員は学歴・出身地等に関係無く採用し家族的な仲間として共に苦しみ、喜び合ってきた。しかし、会社の発展と共にハード・ソフト両面共に近代化に努めてきたが、部落差別解消についえの取組みは別段していなかった。けれども、同和問題の解決は国民的課題といわれ企業として取り組むべく会社の最大課題という認識で労使一致し、1990(平成2)年より本格的に取り組んだ。まず、専任指導員を置きこれを中心に同和教育推進委員会を設置して、関連会社を含め全社員一体で取り組むこととした。
(3)推進委員会
D社における同和教育の取組み

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(4)研修
年度始めに、本部・事務局。各支部労組代表と共に昨年度の反省をもとに当該年度の推進計画をまとめる。内容は、基本方針・研修の内容・社内・社外研修の計画・情報活動その他等。
①全社員研修
a. 全職勤務時間内に同和問題を主とし同一内容で指導員を中心に行う。
b. 人権問題、人権尊重を主とし各推進員を中心に職場討議を行う。
②新入社員研修
新入社員研修(3月下旬)の一環として行う。また、各支部単位での地域の新入社員研修に参加する。
③全推進員研修(含む 本部委員)
外部団体主催の研修会に必ず1回は参加し、研修を深める。特に県外の
○部落解放西日本講座、部落解放全国研究集会、人権啓発研究集会には各支部から1名は参加し、そのうち本部委員が1名は参加する。
○部落解放鳥取県研究集会には、当該支部は10名、その他の支部で12名計22名の参加とする。
○鳥取・倉吉・米子市の研究集会には各支部で計画的に推進員の数は参加する。(できるだけ一般社員が参加できるよう配慮する)
参加者は、必ず報告書を事務局に提出する。「(同教だより)思い合い(愛)」に掲載する。
(5)推進員の責任
推進員は、上記の研修会だけでなく積極的に地域の研修会等に参加し、その内容等を職場で生かすよう努力する。具体的には、社員の結婚問題(被差別部落の方との)には最大の努力をする。お客さんと心の通い合う人間関係に努める。職場での人権問題・同和問題に対する討議の時間の確保に努める。
(6)地域社会・家庭への還元・協力
①自分の住む地域の懇談会・研修会には積極的に参加し、報告する。
②社員の子どもさんが通学する小・中学校の同和教育公開学習には、積極的に協力する。
社員が公開学習の通知を事前に提示した場合、勤務の一態様とみなそ、その学習を参観・研究会に参加をするめ、家庭で授業を中心に話し合うこととし、その結果を報告する。
(7)社員に対する啓発情報活動
①社内報「(同教だより)思い合い(愛)」を毎月発行する。内容は、研修会の内容・感想、外部団体の研修会の報告、新聞・啓発紙の紹介、公開学習報告、地域懇談会報告等。
②各支部に解放新聞・ヒューマンライツを配布し、回覧する。

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