朝鮮新報に、今年6月24日鳥取県立湖陵高等学校で在日朝鮮人の人権問題について講演が行われたという記事が掲載されました。そのことについて、地元の方から県庁に問い合わせたことが県民の声に掲載されていましたが、その詳しい内容が送られてきました。
以下にその内容を掲載します。
問い合わせ
先日、インターネットで、北朝鮮政府指導傘下におかれている朝鮮総連機関誌「朝鮮新報」を読んでいましたところ、大変気になる記事(http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2009/01/0901j0721-00002.htm)を見ましたので、是非とも、この高校と関連する窓口である県民室に質問と調査の要請をお願いしたいと、存じます(6月24日湖陵校人権問題講演記事)。
ごらんの通り、その記事の内容は、在日朝鮮人の人権問題として企画されたもののように推察されます。しかしながら、この記事の内容を読んでみると、奇妙なものとして受け止めざるを得ません。たとえば、▲ア、「日本が拉致問題に固執して六者会談が破綻した」▲イ、このことをうけて「朝日関係が類をみないほど硬直化し」ている▲ウ、「民族差別に関する啓蒙も大切だが・・「朝日平壌宣言」の実現のために尽力すること」等が、あげられます。
この内容のどれをとってみても、こん日の殆どの日本人から見ればとうてい納得できるものではありません。そもそも、万景号を使い日本人拉致の指示を受けて、多数の日本人拉致に手を貸してきたとされるのは総連であり、また六者会談の協議を、核の開発、ミサイル発射等で、日本人を恐怖に陥れているのは、総連を指揮指導している北朝鮮であります。これらこそ日本側にとって喫緊の重大な人権侵害問題ではないでしょうか。
ところが、この記事には、総連の機関誌であることを割り引いたとしても、それらしき形跡はまったくなく、いったい日本の教育機関に従事する、教師達が企画したものとは到底信じがたい内容であります。
こういったことから、このたびの湖陵校の人権に対する取り組みは、なんとも奇妙で不可解としか言いようがありません。つきましては、本当に、朝鮮新報に報道された通りなのかどうか、下記に示しますので、8月末日までに、質問と調査を致したく、頂きたくお願い申し上げます。
なお、重ねて申し上げますが、この質問した私の名前が特定されないよう、とりわけ総連並びにその関係者には、いかなることがあろうとも絶対に解らないよう、伏してお願い申し上げます。
記
1、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、この湖陵校が企画した、人権教育を事前に知らされていましたか。
2、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、この湖陵校が企画したこの人権教育についての報道について、どのように評価されるのでしょうか。
3、鳥取県(高等学校課又は人権局)は、湖陵校が企画したこの人権教育についての報道に関して、事実確認、実態調査されますか。
4、本報道からすれば、「・・サインした「朝・日平壌宣言」の実現のため尽力することだと強調・・」と講演されたようですが、これは政治的発言であり、地方公務員の政治活動に觝触する可能性があります。写真字幕の標題に「・・人についてどのように取り組むか」となっていることから、つまり政治的「取り組み」であり、許されますのでしょうか。
5、この人権教育を企画した主体は、どなたでしょうか。
6、この講演会で配布された資料の写しは情報公開の見地から、頂けますでしょうか。
以上
県の回答
ご質問いただいた件について次のとおりお答えいたします。
1 事前通知について
今回の研修会に係る事業計画書は事前に人権教育課が受理していました。
いじめ等がない人権に配慮された学校づくりは人権教育の柱の一つであり、教職員は自校のすべての生徒が安心して学校生活がすごせるよう配慮する必要があります。
現在、鳥取県立学校では、外国籍の生徒、同和地区出身の生徒、障害がある生徒、病気にかかっている生徒、一人親家庭の生徒など、配慮が必要な生徒が増えつつあり、色々な立場の方からお話を聞く教職員研修は必要と考えています。
しかしながら、社会情勢、国民感情などから見て講師選定に配慮が足りなかったものと県教育委員会としても反省しており、校長会等を通じて、今後は適正な講師選定を行うよう指導しました。
2 報道の評価及び事実確認について
7月22日に湖陵高校を訪問し事実確認をしたところ、当日の研修においては報道にあるような一方的な見解による政治的な話はなく、報道に誤りがあることが判明しましたので、7月23日に校長とともに朝鮮総連を訪問し、抗議の上、記事の訂正を申し入れました。
3 地方公務員の政治活動及び標題について
教職員に政治活動を促すことを目的にした研修会ではありません。
演題の「在日外国人問題についてどのように取り組むか」は人権に配慮された学校づくりに向けてどのように取り組んでいくかということを意味しています。
4 企画主体について
校内で実施される教職員研修はそれぞれの学校で企画します。
5 講演会資料の提供について
鳥取県情報公開条例に基づく開示請求手続をされた場合、審査の上開示の可否について決定します。
○公文書開示
6 校長の感想について
校長からは、「色々な立場の方からお話を聞くという主旨に沿って、在日外国人の方から福祉・教育などの面で困難な状況にあったことやその改善のための取組についてお話を聞くことができ、人権に配慮した学校づくりについて改めて考える機会になった」、「今回のケースについては、社会情勢、国民感情などからみて講師選定に配慮が足りず、反省している」と聞いています。
講演を行ったのは朝鮮総連鳥取県本部委員長の朴井愚氏です。朴氏と言えば、人権尊重の社会づくり協議会に参加して、人権条例の制定に関わっていた人物です。今は協議会の委員ではありません。
今回は湖陵高校の校長が講師を選定した経緯があって、教育委員会が校長会等を通じて、今後は適正な講師選定を行うよう指導したとありますが、朴氏のことは以前から「とっとり県民学習ネット」に、在日外国人の人権に関する諸問題の講師として掲載されています。
どのような基準で人権問題の講師として掲載されているのか、問い合わせ中です。