去る2月5日、鳥取県民文化会館・梨花ホールにおいて、部落解放同盟鳥取県連が主催した「差別事件を考えるシンポジウム」が開催されました。この集会には藤井喜臣副知事が来賓として挨拶しています。人権救済条例について知事が凍結の方針を示すなど、微妙な時期での開催でしたが、特にこれといった混乱はありませんでした。
一民間団体の集会として行われたことですが、実態として鳥取県下の自治体によるバックアップがありました。解放同盟鳥取県連から自治体職員に対する参加要請があり、同和対策関連の部署から各職員に通知されています。また、当日現地では、大山町、伯耆町、湯梨浜町、江府町、南部町、琴浦町、倉吉市の車両が見られました。
当日の
さて、この集会で配布されたパンフレットには、「鳥取県内であいつぐ差別事件一覧」として、2004年以降の「差別事件」が10件書かれています。以下、その一部を引用します。
(1) 旧関金町立関金小学校児童差別発言事件
発生年月日 2004年12月10日 発生場所 関金町立関金小学校 事件の内容 給食の準備中、6年生男子生徒A、Bがふざけている時にAが「お前の好きな人○○だら」と何度もしくこく言ったので、Bが「差別だ」と言うと、Aが「部落の人」とBに対して言った。Bは「先生に言ったるけんな」と言って担任のところに行った。Aは「ごめん、ごめん。ふざけていっただけ」と謝ったがBには聞こえなかった。(○○は個人名) (2) JR大山町トイレ差別落書き事件
発生年月日 2005年2月28日 発生場所 JR大山口駅男子大便用トイレ 事件の内容 JR大山口駅男子大便用トイレ内壁面に10cm×23cm角で「○○町は部落だ皆で差別しよう エタ ヒニンだ!!」と黒のボールペンで書かれていた。(○○は米子市内の町名) (3) JR米子駅男子用トイレ差別落書き事件
発生年月日 2005年5月3日 発生場所 JR米子駅男子大便用トイレ 事件の内容 JR米子駅男子大便用トイレ内の付け棚上面に黒いマジックで「0852-△△-△△△△ 柴 チョーセン殺せ」と書かれていた。(△△は電話番号)
他の7件の概要は次のようなものです。
(4) 2005年5月26日に鳥取県東京事務所に職員に同和地区出身者がいるかどうか問い合わせる電話があった。
(5) 2005年5月から6月にかけて、県立鳥取商業高校の校舎内に、「えた」「死ネ部落民学校祭ニ出テクンナ」などという落書きがあった。
(6) 2005年7月21日に倉吉の同和問題講演会のチラシに「人お差別する町(倉吉)」と落書きがあった。
(7) 2005年8月27日に倉吉体育文化会館に「同和の人間は汚い」などと書かれた投書がされた。
(8) 2005年9月13日にJR鳥取駅やJR智頭駅のトイレに「外人使うな」などと書かれた落書きがあった。
(9) 2005年11月15日に解放同盟鳥取県連に鳥取市河原町のある地域について、同和地区であるかどうか問い合わせる電話があった。
(10) 2005年11月から12月にかけて、鳥取市の鉄道記念公園に「四 エタ」などの落書きが書かれた。
全てについて、「差別身元調べ事件」「投書事件」などと「事件」と題目がついていましたが、事件と言うに値するようなものは1つもありません。
(1)については、自分も小学生の頃覚えがありますね。6年生と言えば、学校によっては「立場宣言」が行われ、誰が同和地区の子か分かります。同和教育で差別という言葉を叩き込まれるので、この事例に出てきたBのように、何かにつけて「差別だ」と言う人がちらほら出てきます。
(6)は「差別落書き事件」と書かれていますが、何が差別落書きなのか意味が分かりません。
(9)については、宅地の競売物件にからむ問い合わせだったとのことです。鳥取市の場合「被差別物件」というものが行政によって指定されていますが、この問い合わせの件に関しては「同和地区に住んでいる人や友達が、地区に住んでいることでいやな思いをしたことがあった」というのが理由のようです。これに関しては、非常に複雑で根深い問題がありますので、おいおい触れてゆくことにします。