教師用指導書「人権・同和教育の指導のあり方」(平成14年3月 鳥取県教育委員会)より引用
「自らが置かれている社会的立場の自覚」とは、「現代社会には部落差別をはじめとするさまざまな差別があり、差別により、いろいろな面で自分や自分の周りの人たちの生き方が制約されている。そのため、自分たちの生き方をより豊かなものにしていくため、自分に直接関わる問題として、部落差別をはじめとするさまざまな差別をなくさなければならないという自覚」のことである。
1 指導にあたっての基本的な考え方
指導にあたっては、児童生徒の発達段階に応じて、次のような自覚を深めていくことをねらいとする。
①自分たちの間に起こる人権に関する問題に気づく。
②差別することが自らの人間性をゆがめ、人を悲しませたり傷つけたり自由を奪ったりする卑劣な行為であることを理解する。
③「児童生徒の間におこる人権に関する問題」と自分自身の関わりについて、自分自身の生活や行動を振り返り、差別をなくしていく行動をする。
④自分自身・親・友達の生き方や生活を見つめ直す中で、「社会にあるさまざまな人権に関する問題」に気づき、その問題を将来にわたって自分自身に直接かかわる問題として捉え、差別をなくしていく行動をする。
また、「自分自身に直接関わる問題として認識する」とは、
①以前に比べて、現在は人々の人権が保障されるようになってきた。それは、部落差別をはじめとするさまざまな差別をなくすための人々の運動があり、その運動を多くの人が支持してきたからである。従って、差別問題を解決していくことが、自分自身の人権の拡大に直接関わっている。
②自分自身の中にある人を決め付けたり見下したりする心に気づき、自分自身が豊かな人間関係やくらしを築いていくために、そのような心をなくしていかなければならない。
ことを認識することである。
2 取り組みにあたって
「自らが置かれている社会的立場の自覚を深める」指導では、一人一人の児童生徒が思いを出し合いお互いに共感しながら、学習を深めていくことが大切である。また、児童生徒にとって、全ての人権・同和問題に関する学習の機会が「自ら置かれている社会的立場の自覚を深める」学習になり得るものでなければならない。
指導にあたっては、次のような点に留意することが必要である。
①指導の必要性やねらい及び事前・事後の指導の手立てなどについて、全教職員が十分に協議し、共通理解を図ること。
②発達段階等に応じた指導内容の一貫性・系統性を図るとともに、児童生徒の学習の論理に適合した教材の開発に努めること。
③児童生徒一人一人の意識の変容を的確に把握するための手だてができていること。
④被差別の立場に立つ児童生徒については、個別指導等の手だてを図るとともに、家庭訪問等による保護者との話し合いを十分に行うこと。
⑤保護者等に対する啓発活動を積極的に推進し、指導の狙いについての正しい理解と協力を得ること。
⑥保幼・小・中・高等学校や・盲・聾・養護学校及び保護者や関係機関等との連携を図ること。
県教委の指導書の記述は地域や学校ごとに解釈が異なります。
県教委は公式には認めていませんが、鳥取県東部ではK小学校やM小学校で現在でも行われている「立場宣言」と呼ばれる同和地区出身児童によるカミングアウトのバックグラウンドとなる記述です。
この記述に含まれる「関係機関」とは、たびたび解放同盟のことを指します。特に鳥取市においては同和地区において重要な役割を果たす隣保館の館長はほぼ例外なく解放同盟員というのが実態です。そのようなところから「立場宣言」をするという要請があれば、県教委の指導書がよりどころとなります。
すなわち「被差別の立場に立つ児童生徒」というのは同和地区出身生徒と解釈され、立場というのは、必然的に「部落民というアイデンティティ」を指すことになります。
もちろん、この教師用指導書の編集委員には解放同盟の方が入っています。