東京高裁判決

人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、東京高裁の判決が出ました。判決文はこちらです。

東京高裁判決-H25-7-31.pdf

結論から言えば私の控訴は棄却なので、第1審判決とほとんど同じです。ただ、若干追記されているところもあります。主要な部分を要約すると

  • 同和地区一覧は真実であればなおのこと差別を助長する情報。
  • 同和地区名は同和地区出身者という「個人情報」が分かるので「個人に関する情報」である。
  • 大阪市が繰り返し同和地区一覧を公表していたことはそれはまた別の問題。
  • 法務局の削除要請に法的強制力はないので国民の権利を制限するものではない。
  • ということです。

    本人がネットで大々的に公表したような情報でも、同和絡みなら行政機関個人情報保護法上は不開示情報になるという高裁判例ができました。また、大阪市が過去に公表しまくった同和地区一覧は、そこに住んでいる人間は同和地区出身という個人情報が暴かれることになるので、個人に関する情報であると認定されました。一方、同和地区一覧をネットに載せて法務局から削除要請されても、法的拘束力はないので無視しても構わないということです。今後大阪市の同和地区に住む人は、法的に同和地区というのはこのような扱いであると心しておきましょう。

    面白いので上告して最高裁で確定させます。

    広島高裁松江支部第1回口頭弁論

    鳥取市下味野の旧赤池部落の同和減免の関連文書の公開について争っていた件、控訴しまして去る7月31日に第1回口頭弁論がありました。とは言ってもやり取りはほとんどなく、1回結審でした。判決は10月9日13時10分に下される予定です。

    原告側から提出した書面はこちらです。

    控訴理由書-H25-5-17.pdf
    甲31-1 とっとり市報S52.11.pdf
    甲31-2 とっとり市報S53.3.pdf
    甲31-3 とっとり市報S54.2.pdf
    甲31-4 とっとり市報S54.9.pdf
    甲31-5 とっとり市報S57.2.pdf
    甲31-6 とっとり市報S57.10.pdf
    甲32 因幡誌.pdf
    甲33 市報による啓発活動.pdf
    甲34 部落解放1998-12-下味野保護者会.pdf
    甲35 部落1984-8-鳥取県における部落問題.pdf

    一方、被告の提出した答弁書は1枚ペラでした。

    鳥取市答弁書-H25-7-29.pdf

    原告の主張の重要な点は、もし差別につながるからという理由で同和減免の対象地域を非公開でよいのなら、市長は秘密裏にいくらでも恣意的に減免対象区域を設定可能なので、固定資産税の帳簿の縦覧制度が意味をなさなくなってしまうということです。例えば仮に土地建物評価額が適正であっても、市長のさじ加減でいくらでも同和減免対象区域を設定でき、しかも秘密にしておくことができるのなら、不公正な固定資産税の賦課をやり放題になるということです。同和特権のみならず、在日コリアンの家だけ減免対象に指定する「在日特権」のようなものがあったとしても隠蔽し放題なので、「在日特権などない!」といくら地方自治体が主張しようが、信用できなくなってしまうわけです。これは租税法律主義の根幹を壊してしまいます。

    もう1つは、昭和50年代の「とっとり市報」には下味野が同和地区であることが盛大に書かれており、9割の市民が読んでいたという調査結果も出ています。また、平成に入ってからも解放同盟系の出版物には、「下味野は非差別部落」ともろに書いてあって国立国会図書館の蔵書検索で検索可能になっています。

    高裁の判決は事実上下位の裁判所を拘束する判例となってしまうのですが、本当にこのまま高裁を通ってしまうのか、注目すべき裁判でしょう。

    鳥取地裁第9回口頭弁論

    情報公開請求の件を入れると第9回め、鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判の5回めとなる口頭弁論が行われました。

    今回の裁判は地方自治法242条の2第1項第3号による、違法確認を求める裁判なのですが、地方自治法によれば裁判の被告は地方自治体の職員ということになります。一般的な意味でも「職員」のイメージとは違いますが、同和減免については市長の権限で行われるため、法律上は鳥取市長が裁判の被告となります。

    原告は訴状に「被告 鳥取市」と書いていたため、その点が裁判官から指摘がありました。ということで、ささいなことですが訴状のその部分は「被告 鳥取市長 竹内功」に修正されることになります。

    また、被告側から証拠意見書が出されました。

    鳥取市-証拠意見書(2)-H250701.pdf

    これは原告側の文書提出命令申立書に対するものです。

    原告としては下味野の同和減免の対象地域を具体的に示して欲しい、被告としてはそれはやりたくないということで、攻防が起きているわけです。

    次回口頭弁論は9月11日10時に設定されました、それに先立って8月12日までに原告側が被告に対する反論の書面を提出することになります。そして、9月4日までに被告が再反論という流れです。

    今回の裁判のポイントは、原告はあくまで下味野の同和減免の違法確認を求めているということです。被告証拠意見書(2)よれば、鳥取市は裁判の争点はあくまで同和減免全般の適法性だとしていますが、もしそうであるなら、原告の主張が認められる場合は下味野に限らず全ての地区の同和減免が違法だと裁判所が判断することになります。

    しかしそれは問題があって、裁判の大原則として原告の請求の範囲を越える判決を裁判所が出すということはあり得ないはずです。また、もし鳥取市内に部落差別のために全ての世帯が例外なく困窮しているような同和地区があれば、その地区に関しては同和減免を適法とする余地もあるのかも知れませんが、下味野に関しては明らかにそうではなくて、単に旧穢多村という要件だけで減免したから問題なのです。従って、地区を特定しなければ裁判自体が成り立ちません。

    他にも突っ込みどころがあるので、次回の書面で原告はそれらについて1つ1つ追求することになります。

    ということで、まだまだ続きます。

    鳥取地裁 被告第3準備書面

    鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判の次回口頭弁論は7月3日13時50分です。それに向けた書面が届きました。

    鳥取市-被告第3準備書面-H250619.pdf
    鳥取市-証拠説明書-H250621.pdf
    鳥取市-乙11-H24(行ウ)6.pdf
    鳥取市-乙12~16-H24(行ウ)6.pdf

    以前に裁判官から「減免しなくても固定資産税の評価額に反映させればいいのでは?」という突っ込みがありまして、これはそれに対する回答となっています。鳥取市の主張を要約すると、鳥取県の調査では同和地区では経済レベルが低い一方で、不動産鑑定士が同和地区であることを理由に評価額を上下させることはないということです。ただ、減免の主な理由は「同和地区に存在する固定資産が一般市民との間に容易に取引が行われ難い」としている一方で、「個々の取引事例における売買当事者間で同和地区であることが考慮されていることもあれば考慮されていないこともあり、同和地区であることが必然的に「取引価格」に反映されるわけではない」とも言っていて、何が言いたいのかよく分からないことになっています。

    「鳥取県の調査」については、過去の記事をご覧ください。

    東京高裁第1回口頭弁論

    人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、東京高裁に私と法務省の両方が控訴していましたが、その第1回口頭弁論が5月27日に行われました。

    最初は型どおりに双方ともに書面の通りに陳述で、証拠の確認をしました。

    双方が提出した書面はこちらこちらにあります。

    今回、担当となった加藤新太郎裁判官が興味を持っていたのは、法務省が一審での開示対象文書にも同和地区名が含まれているとした点です。具体的にはこの記事を大阪法務局がコピーした文書です。

    一審では非開示対象を地図と地図へのハイパーリンクに限定したのですが、タイトルからして「中津」「舟場」と書いてありますね。この点について、法務省は一審では全て不開示を求めたので、文書の中身の詳細について主張しなかったためと説明しました。

    今回の裁判官は多弁な方で、「裁判所は現物を見ることができないので、中身について詳しく説明して下さい。まあ、インカメラ(裁判官が現物を見ること)での審議について法律の定めがないので、こんな法律を作った人がおかしいんですけどね」というようなことをぶっちゃけてました。

    また、法務省に対しては「不可分一体論というのは古いのではないのか」と苦言を呈していました。つまり、情報公開法や行政機関個人情報保護法で文書の公開や開示にあたっては、できるかぎり部分開示をするのが実務上の常識になっているので、一部不開示情報があるからと言って全て不開示にするということは今では通らないということです。

    私に対しては「宮部さんはジャーナリストなんですか?」と聞かれました。そういう事は裁判資料には書かなかったので、たぶん裁判官が独自に調べたのではないかと思います。それに対しては、「ジャーナリストは中立ではあるけれども、物事を皆さんに知ってもらって考えてもらうということだけはジャーナリストとしての唯一の正義であるし、裸の王様や王様の耳はロバの耳の話のような、公然の秘密を認めることは、実質的な秘密を保護するという法律の仕組みからしておかしい」と答えておきました。

    判決は7月31日13時ちょうどに、東京高裁第717法廷で言い渡されます。

    鳥取地裁第8回口頭弁論

    情報公開請求の件を入れると8回めなのですが、鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判の4回めとなる口頭弁論が行われました。

    今回は、裁判官から鳥取市に対して疑問が呈されています。

    というのは、同和減免の要綱には「同和地区内に存在する固定資産税が一般市民との間に容易に取引が行われ難い財産であるという実体に鑑み」とあるのですが、もしそうであるなら、固定資産税の評価額にそのことを反映させればよいのであって、特別に減免する合理的な理由があるのかということです。

    また、鳥取市に対しては原告の文書提出命令の申立とその意見書に対するさらなる意見が求められました。

    鳥取市側の書面提出期限は6月19日、次回口頭弁論は7月3日13時15分に設定されました。

    これは私の所見ですが、「一般市民との間に容易に取引が行われ難い財産」というのは建前です。なぜなら、同和地区に限らず、郊外にある物件というのはもともと取引がされ難いです。一方で西品治や田島のような都市部落は同和地区であっても頻繁に取引がされています。

    それでも同和減免が行われたのは、1つは改良事業により従来は固定資産税がかからなかった物件に急にかかるようになったため、緩和措置として行われたものがズルズルと続いてきたというのがあるかと思います。他の理由としては、「右へならえ」ですね。他の地区や県下の他の自治体がやっているから、ウチもということです。

    「固定資産税の評価額にそのことを反映させればよい」という点については、本当にそれをやると、毎年4月ごろに公開される土地価格等縦覧帳簿を見れば、どの区域が同和地区なのか分かるようになります。つまり、周辺の同じような条件の物件よりも評価額が割安となる物件が固まっている地域が同和地区というわけです。

    ということで、まだまだ続きます。

    法務省側も控訴してきました

    人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、現在は東京高裁に控訴していますが、法務省側も控訴しています。控訴状と控訴理由書はこちらです。

    法務省控訴状-H25-2-20.pdf
    法務省控訴理由書-H45-4-10.pdf

    それに対する、私の答弁書はこちらです。

    答弁書.pdf

    一審東京地裁では大阪市同和地区マップ以外の情報について開示命令が出ており、その部分については法務省側の敗訴となっています。そのため、法務省側は開示請求対象の文書は不可分のものなので、部分開示はできないと、過去の判例を2つ出して主張しているわけです。

    それに対して私は、次の主張をしています。

    1つ目の判例については、大阪府情報公開条例に関するものである一方、今回の裁判で問題となっている行政機関個人情報保護法とは部分公開の条件が異なっていることがあります。情報公開条例(あるいは情報公開法)の部分公開では、非公開部分を除いたときに「有意の情報が記録されていない」場合は部分公開をしなくてもよいのに対し、行政機関個人情報保護法では非公開部分を除いた情報が有意かどうかを問題にしていません。また、大阪の判例では、府知事の交際費に関する情報が問題となって、表形式で書かれた交際費の支出先の個人名、日付、金額などを合わせた1行の情報が不可分とされたもので、文書1枚がまるごと不可分とされたわけではありません。

    2つ目の判例については、学校でのいじめに関する報告書に関するもので、その性質上個人名だけを除外しても誰が誰なのか推測できるし、報告書全体がプライバシーに関わることなので不可分のものとされた事例です。これは逆に一部を除外しても他の部分が他人のプライバシーに関する情報として意味があるものになってしまうからということで、これも今回の件とは違います。そもそも、私が開示請求した文書は私自身が作ったものなので、他人のプライバシーに関する情報など最初から入っていません。

    また、ここでも同和地区云々の話があったので、以下のとおり主張しました。

    大阪市の同和地区の位置は公然のものであることが誰の目から見ても明らかであるにもかかわらず,大阪市の同和地区の位置情報の開示を拒み「裸でのパレード」を続けることがむしろ法務省の人権擁護機関の信頼を失墜させることである。法務省の人権擁護機関は,行政の継続性の名のもとに,同和問題の本当の実態を直視することなく漫然と前例踏襲を続け,真理よりも場の空気や心情に流され,耳障りの良い言葉だけを並べながら困難な問題から逃げ続けて,同和問題の解決を遅らせてきたことを猛省するべきである。

    次回口頭弁論は5月27日14時30分、東京高裁424法廷で行われる予定です。

    鳥取地裁に提出した文書提出命令申立書

    鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判で、文書提出命令申立書を提出しました。

    これは、裁判所から鳥取市に対して下味野の同和減免の対象区域の地図を提出するように命令して欲しいと、原告から申し立てたものです。この申し立てが必要な理由は、この裁判は12日で4回目の口頭弁論が行われるにも拘らず今だに「下味野で同和減免が行われていた」という重要な事実がぼやかされており、また情報公開請求・個人情報開示請求に対しても鳥取地裁が非公開とする判決を出してしまったからです。

    それなら、情報公開請求・個人情報開示請求でもなく、裁判所の文書提出命令ならどうなるかということです。

    そもそも住民監査請求でも、住民訴訟でも、原告(鳥取ループ)側は下味野の同和減免の違法確認を求めています。もし、下味野で同和減免があるという事実をぼやかしたまま違法確認をするのであれば、鳥取市内の全ての同和地区に行われた同和減免を違法としなければならず、これはおかしなことになります。裁判所が原告の請求を越えるような判決を出して、しかもその影響による不利益が他の人(ここでは下味野以外の同和地区の属人)にも及ぶ例というのは、たぶん他にないと思います。

    そうでなければ、裁判所は原告の請求を棄却せざるを得ないので、結果が分かっている裁判を続ける意味がありません。

    以下が、文書提出命令の関係書類です。
    文書提出命令申立書.pdf
    鳥取市-証拠意見書(1)-H250501.pdf
    原告証拠意見書.pdf

    また、鳥取市からは以下の書面が提出されています。要は、同和であれば固定資産税を減免する特別な事情になるということです。
    鳥取市-被告第2準備書面-H250426.pdf
    鳥取市-証拠説明書-H250430.pdf
    鳥取市-乙4~5-H24(行ウ)6.pdf
    鳥取市-乙6~10-H24(行ウ)6.pdf

    他の自治体で固定資産税の減免が認められる場合というのを調べてみていますが、類型としては生活保護受給者の居住する固定資産、火事などの災害にあった固定資産、公園や公民館のような公益のために供出されている固定資産があります。特定の地域だけ減免がされるというのは、過疎地減免くらいで、しかもこれは自治体の条例ではできないと解されているようで、国による特別立法がされています。

    広島高裁松江支部に控訴しました & 次回口頭弁論準備書面

    鳥取市下味野の旧赤池部落の同和減免の関連文書の公開について争っていた件で、鳥取地裁で全面敗訴してしまいましたが、3月29日に広島高裁松江支部に控訴しました。控訴状は以下の通りです。

    控訴状-H24-3-29.pdf

    控訴の目的ですが、鳥取地裁の判決によれば、地域を対象とした税の減免であっても、対象地域を公開しなくてもよいという判断がありまして、これが判例として確立されれば地方自治体の税務担当者はかなり楽になるので、ぜひ高裁判例にして最終的には最高裁判例にしてみようということです。これで、市町村がこっそりと特定の地域の固定資産税を減免できるようになり、地方自治体の権限が広がります。

    広島高裁松江支部が本当にこれを高裁判例とするのか、あるいはどんな屁理屈をこねて判断を避けるのかが注目されます。

    また、鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判について、次回の口頭弁論は5月15日になりますが、準備書面を提出しました。

    原告第2準備書面.pdf

    前回の書面で、鳥取市が同和減免の件数と総額を答えていますが、これがどうも下味野だけではなくて、鳥取市全体のもののようなので、裁判の対象であるところの下味野の総額を答えるように求釈明しています。また、平成20年3月の鳥取市議会で田中克己総務庁調整監が言っている「属地・属人」というのは具体的にどういう意味なのか、固定資産税の減免の申請書に人権福祉センター所長の署名捺印が必要なのはなぜなのか、それぞれ求釈明を求めています。

    鳥取市がどのように釈明するのか、あるいは釈明を回避するのかが注目されます。

    東京高裁に提出した控訴理由書と大阪市の同和地区

    人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、2月7日に同和地区マップについては不開示とする判決が出されましたが、控訴しました。控訴理由書はこちらです。

    控訴理由書-H25-3-25.pdf

    私の控訴理由の論点は数多くありまして、主要なものを列挙すると次のとおりです。

    • 同和地区一覧は「真実であるか否かにかかわらず同和地区の住民や出身者に対するいわれなき差別を助長するおそれのある情報ということができる」と東京地裁は言うが、真実でなければ同和地区の住民や出身者は無関係なので、文章としておかしい。
    • 開示を求めている同和地区一覧は大阪市行政が公表している同和地区一覧と一致するので、間違いなく真実。
    • 同和地区一覧は「当該地区の住民又はその出身者の人格権その他の権利利益を著しく害するおそれのある情報」と東京地裁はいうが、法務省や裁判所が「権利利益を著しく害する」と認定するような場所なら、関わりたくないと思って当然ということになる。
    • 図書館で公表するのとインターネットで公表するのは違うというが、インターネット云々は裁判所の外の話で、話が脱線している。
    • 個人情報開示請求権は法律によるものである一方、法務局の人権擁護活動は訓令による役所の内規に過ぎないので、前者の方が優位にある。
    • 行政機関個人情報保護法14条2号イの「法令の規定により又は慣行として」知ることができるというのは、開示請求者が当然に知り得ていれば足りるので、個人に関する情報だからというのは開示しない理由にならない。
    • 同和地区一覧を開示したら「大阪法務局長が結果的に差別行為に加担したとの誤解を国民に与え」ると東京地裁は言うが、誤解まで考慮しないといけないなら事実や法律の判断ではない。誤解されないように説明すれば済む話。
    • 同和地区一覧を開示したら「部落地名総鑑事件と同様の問題が発生しても,任意の提出や自主廃棄等の協力を受けることができな」くなると東京地裁は言うが、既にFC2もGoogleも応じていないし、私も応じるつもりはないし、どんな判決が出ようと関係ない。
    • 法務局が同じ事を出版社にやったら間違いなく検閲で、ネットのブログだからと舐めている。

    特に重要なのは、やはり大阪市と部落解放同盟大阪府連合会が1度ならず、何度も、しかも部落地名総鑑事件の後も大阪市内の同和地区名を公表していることでしょう。

    私が証拠として提出したのは以下の資料です。

    この資料は国立国会図書館にありました。大阪市の行政文書で、地区ごとのデータが分かりやすくまとめられています。当然ですが、同和地区名は「50年のあゆみ」の記述と一致しています。

    甲24 大阪市の同和事業昭和44年度.pdf

    こちらは大阪市立図書館で借りることができる資料です。もとは昭和43年に1000円で売られていたものですが、部落地名総鑑事件の直後の昭和54年にわざわざ復刻出版されました。発行所は「大阪市同和対策部」となっており、どう考えても大阪市が行政ぐるみで多くの人に読んでもらうために発行したものです。

    甲25-1 大阪市同和事業史復刻.pdf

    いきなり中表紙に同和地区マップが印刷されており、文中にはしつこいほど同和地区一覧が繰り返し出てきます。

    WS000000

    大阪市民にとっては、もはや常識のレベルかと思いますが、いわゆる同和校の一覧もありました。他の地域ではあまり見られないのですが、同和地区についてはとにかく何でも一覧にするのが大阪市の方式のようです。

    WS000004

    なぜか、厚生省が指定した全国のモデル同和地区一覧も掲載されていました。実は私は昭和36年に厚生省が発行した「同和行政の手引き」を持っているのですが、それにも同じ一覧があります。

    WS000002

    WS000002

    細かくて見づらいですが、大阪府の同和地区マップもありました。何でも地図に落としこむのも大阪市の方式のようです。

    WS000003

    以下が続編ですが、同じように同和地区のデータを表にまとめたものが何度も出てきます。

    甲25-2 大阪市同和事業史続編.pdf

    次回に続きます。

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