写真は真の人権を守るインターネットの会による竹内功鳥取市長への申し入れと、その回答です。
鳥取市が、公用車両を部落解放同盟鳥取市協議会に無償で貸与していました。貸与されていたのは、鳥取市同和対策課所有のマイクロバス1台です。貸借契約は鳥取市と解放同盟鳥取市協との間に一年契約で交わされ、毎年更新されてきました。
消息筋によれば、車両の貸与はかなり前から行われており、以前貸与された車両が耐用期限切れになった後、再度市が購入したものであるということです。現在の車両は新車のときから解放同盟に貸与されていたことになります。
部落解放同盟鳥取市協議会は2度の電話取材に対し「市協関係者が不在なので答えられない」としています。
通常、市が所有する資産を貸与することは貸付料を納付させることになっています。今回明らかになった無償貸与について市は、「鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例」に「関係団体との連携」という記述があることを挙げ、「部落解放同盟鳥取市協議会へのマイクロバスの貸与は、諸施策を効果的に推進するために必要であり、十分公共性のあるものであると思っています。」と答えています(写真参照)。
しかし、市在住者からはマイクロバスは解放同盟からさらに貸し出され市職員の親睦会等で使われることがあった、という証言が得られています。
一方去年の6月に鳥取市は、「子どもたちのスポ小(スポーツ少年団)等の活動のために、鳥取市所有のマイクロバスを貸してもらえませんか。」という市民の問い合わせに対して「貸し出しの基準としては、各課が公務・事業を行う際に、それに伴う送迎が必要と認められる場合に限り、マイクロバス使用の申請をすることになっています。」という貸し出し基準を示しています。結論として、この市民の問い合わせに対して市は「貸し出しする事は困難」としました。
「鳥取市における部落差別をはじめあらゆる差別をなくする条例」は、皮肉にも市の資産をめぐり一般市民と特定団体との間で不平等な扱いをする根拠となっているようです。
鳥取市が解放同盟鳥取市協に公用車両を無償貸与
鳥取市に意見書を提出しました
鳥取市人権施策基本方針(案)について意見書を提出しました。
1. 人権施策基本方針(案)の修正・削除を求める箇所
1.1. 鳥取市内の差別や人権侵害の実態を正しく記述していない
2ページ目の「現状と課題」にある「21世紀を迎えた今日、部落差別や在日韓国・朝鮮人に対する差別をはじめ、社会的差別の実態は未だ解消するに至っていないばかりか、子どもや女性、障害のある人や高齢者への差別や暴力、虐待など、重大な人権侵害や人権問題が生じています。」ということの例として差別落書や戸籍謄本等の不正取得が挙げられているが、「社会的差別」や「暴力、虐待」の例になっていない。差別落書や戸籍謄本等の不正取得によって、具体的に誰が「重大な人権侵害」を受けたのか不明である。また、5ページ目には「結婚に対する差別意識も依然として存在します」と書いてあるが、あくまで「差別意識」であって、差別が存在するとは書かれていない。
市が真に重大な人権侵害の例を把握しているなら、それを例示すべきであるし、「差別落書や戸籍謄本等の不正取得」といった例しかないのであれば「重大な人権侵害や人権問題が生じている」という認識が誤りであり、この記述を削除するか、市が認識している実情に合わせて表現を改めるべきである。
13ページ目の「9 そのほかの人権問題」は「日本社会には」として現状と課題が列挙してあるが、鳥取市の基本方針には無関係なことである。「アイヌに対する偏見や差別、格差」など、鳥取市の実情とはかけ離れたことが書かれており、誤解を招く恐れがある。
1.2. 意識調査のデータの解釈に矛盾がある
3ページめの最初の部分では、鳥取市が人権施策の推進が必要とする根拠として、多くの市民が「差別が存在していると感じている」ということを挙げているが、これを問題視することは県の同和教育と矛盾する。
平成14年3月に鳥取県教育委員会が発行した「人権・同和教育の指導のあり方」には、同和問題等に関する指導で「偏見や差別があることに気づく」という記述が各所にある。実際に「差別に気づく」という指導は鳥取市においても学校や社会研修の場で行われており、「差別が存在していると感じている」市民が多いことは、今までの人権施策の結果が反映されたものである。
しかも、基本方針案自体も5ページでは同和問題と自分自身とのかかわりについて、「同和問題と自分自身とのかかわりについて自分とは関係ない」と捉えている人が多いことを問題視している。
従って、3ページ目で「人権施策の推進が必要」という結論を出すことは循環論法であり、鳥取市は部落差別の有無に関わらず同和教育を継続しようとしていると受け取らざるを得ない。以上の理由から、2ページ目と3ページ目にまたがる段落と、5ページ目の「しかし、本市が」で始まる段落を削除することを求める。
1.3. 被差別集団を指定するような内容がある
人権問題の例として「女性、障害のある人、子ども、高齢者」といった記述はあたかもある集団が一方的に人権侵害を受けているような表現であり、中立性を欠いている。また、「障害のある人」といっても程度や種類は様々であり、ひとくくりにすべきでない。全体についても、「性別、身体的特徴、年齢」といった中立的な表現を用いても矛盾がないものに改めるべきである。
1.4. 「民間団体」などの文言について
文章中に出てくる、「民間団体」や「地域住民団体」といった文言について、鳥取市の実態として「部落解放同盟鳥取県連合会」および「部落解放同盟鳥取市協議会」が大きな役割を担っていることは明らかなことであるから、今後とも同様の状態が継続されるのであれば、そのことを周知できるよう、はっきりと団体名を明記していただきたい。
同和関連補助金に対して鳥取市がずさん処理
鳥取市は部落解放同盟鳥取市協議会、鳥取市同和問題企業連絡会、部落解放・人権政策確立要求鳥取市実行委員会、鳥取市人権情報センターの補助金に関連する証憑書類に対する開示請求に対して不開示処分としましたが、これらの補助金に対して、点検記録を残していないことが分かりました。今年の6月1日、開示請求を行った鳥取市内の男性が市役所を訪問し、職員に問いただしたところ、明らかになったものです。
鳥取市が交付する補助金概要票には、これらの補助金の点検方法について「会計証憑書類等により点検した。」「証憑書類(領収書等)との計数の確認を行った。」と記載されていますが、鳥取市人権推進課は点検内容等の記録を一切残していないことを認めています。市関係者によれば、補助金などの用途について点検する際は必ず記録を残すということで、実質的に点検自体が行われなかった疑いが持たれています。
男性は同日、鳥取市解放センターで部落解放同盟鳥取県連の山田幸夫書記長(鳥取県議会議員)と面会しました。この際、山田書記長は男性に対して手を突いて「(証憑書類等を開示することについて)勘弁してほしい」と陳謝しました。
部落解放同盟補助金については、解放同盟青年部関係者によりインターネット上に、「今、親(市協)からの助成金でほとんどの活動を展開しているわけですが…今後、どうやら今までみたいなお金の使い方が出来ないような状況になっているみたいです」と、ずさんに扱われていたことを示唆する書き込みがされています。
また、鳥取市同和問題企業連絡会の証憑書類は鳥取市人権推進課内に存在することが明らかになっています。
市民オンブズ鳥取によれば、市関連団体の証憑書類は通常なら情報公開条例による開示対象になるということで、同和行政にからむ補助金の使途の不明朗さが際立っています。
同和行政の恩恵を受ける県民(3)
智頭町では、人権政策を推進する目的として、役人として率直に財政措置を期待する一方で、「地元で差別があれば出来る限りのことはしたい」という答えが返ってきました。鳥取県内の全ての市町村に共通することですが、部落差別については、智頭町は現存するという立場で施策をすすめています。
具体的な問題について聞いてみると、かつて同和地区では日雇い労働が多かったことから、高齢世帯で年金の給付額が少なく、高齢化の影響をもろに受けてしまう、ということでした。若い人はどうかと言えば、同和地区に限らず町内に職がないので、よそに行ってしまうといった状態です。
再び、同和減免に話題を戻します。「被差別物件」に対する固定資産税の減免制度は、本来は部落差別により売ろうにも売れない物件を売りやすくするために設けられたものでした。現に同和地区に建てられた物件に対して適用される「属地主義」が原則ですが、鳥取市あるいは智頭町でも、同和関係住民が同和地区外に建てた物件にも適用される「属地主義」的な運用がされていました。しかし、関係者は次のように語ります。
「やはり、おかしいのではないかという発想が出ています。地元に固定資産を持つのと、地元から出てきて駅前に土地を買われたのと、どちらとも減免をしないといけないような土地かというと違います。同和地区の土地だと売りにくいけれども、駅前の土地ならすぐにでも売れますから、それはおかしいということで見直しが進められています。ただ、個人のものですので、難しいところですが、基本的にはやめる方向です。」
智頭町同和対策に係る固定資産税の減免措置要綱を見ると、確かに減免の割合は減る一方です。智頭町は過疎や産業の衰退という今そこにある問題に直面しているためか、鳥取市よりも危機感は強いのかも知れません。
同和行政の恩恵を受ける県民(2)
なぜ、鳥取県はこれほどまで熱心に同和対策を行ってきたのか?その理由の1つとして、鳥取県が「貧乏県」であることが挙げられます。ご存知のとおり、鳥取県は日本で最も人口が少なく、県民所得も低い方で、県税のような自主財源は期待できません。そこで、地方交付税をはじめとする国からの歳入に頼ることになります。
2002年以前、同和対策や地域改善などの特措法があった時代には、国庫からの補助が受けられる同和対策事業は地方の役人にとって、非常に魅力的なものでした。1980年代、同和対策により同和地区の環境が改善され、一部では地区内と地区外の逆転現象が出るほどになると、「なぜ同和地区だけが…」という不公平感が広がり始めました。そういった声に対して、同和教育や研修などの「啓発」の場で主張されたのが、同和対策によって周辺地域にも恩恵があるということでした。
県内の役所・役場では「同和対策は国からの補助が出るので県民の懐は痛まない、どんどん同和対策を推進しよう。」といった趣旨の研修が行われたと言います。実際、同和地区指定されている地域での施設の建設、道路の整備などを同和対策という名目で行えば、自治体の負担は軽くて済みました。結果として、浮いた予算を周辺地域に回すことができました。「どちらにしても国民の税金じゃないか…」と陰口を叩かれつつも、やはり国から予算を取ってこれるという魅力に勝るものはありませんでした。
鳥取県では、特措法が切れた現在でも、環境改善補助事業といった名目で事実上の同和対策事業が行われています。
人権救済条例や国の人権擁護法案を推進してきた「部落解放・人権政策確立要求」運動に鳥取市をはじめとする自治体が肩入れするのも、そういった事情があるようです。このことについて、鳥取県東部の県境の町、智頭町人権同和政策室からお話を伺うことができました。
私: 役場の横に「部落解放基本法を制定しよう」といった横断幕が出てるんですけど、あれは町が出しているものなのでしょうか?
智頭町: あれは早くから、国の方や県レベルでも(部落解放基本法制定要求)国民運動がありまして、町として入っているものです。今は(部落解放・人権政策確立要求運動に)名前が変わっていますが、鳥取県の市町村はみんな入っていると思います。
私: 鳥取市では竹内市長が入っていますが、智頭町はどうですか?
智頭町: トップ(町長)と教育長が入ってます。
私: (部落解放・人権政策確立要求運動は)人権救済条例や人権擁護法を推進していますが、それは自治体として行っていることなのでしょうか。
智頭町: 差別解消に向けて、全国的な流れの中で人権擁護法案を推進したわけですが、鳥取県が条例を作ったもの国の法案が廃案になって、流れてしまったから全国ネットになってしまったんでしょうね。
私: (部落解放・人権政策確立要求運動は)実質解放同盟ですよね?
智頭町: いや、これは行政ですよ。国の法律があって、補助金など財政措置が欲しいですからね。県レベルでも、法律があって、財政措置は欲しいでしょ。そして、鳥取県だけではできないことですから、全国的な運動として取り組んでいるわけです。
私: 役人としては、予算が欲しいでしょうから、やめられないのでは。
智頭町: そうでもないですよ。今は予算措置もないですから。地元で差別があれば出来る限りのことはしたいし、高齢者や障害者の問題にしても要求があれば出来る限りのことをするのが行政でしょう。
次回に続く…
同和行政の恩恵を受ける県民(1)
去る4月14日、鳥取県内の方から、2通のメールを頂きました。
送信者:ぽち
件名:あほか!!
ここに書いている人たちは平面的にしか物事を捉えたいないですね。もっと現実を捉えてください。なぜ、このようなことが必要なのか。誰が差別を 残してきたのかをきたのかを。まさにここの意見に賛同している人たちでしょうね。このような作る暇があるのならば一日も早く加差別者の手で根絶してくださいな。あくまでも、部落差別は部落外社会が生んでいることが、悲劇を生み出している。哀れなホームページをザーメン。
送信者:部落外利権の真相
件名:さしで勝負しようや
M部とk川さしで勝負しようや。己がおるから差別がなくならへんのや。おのれこそ真の差別者や。おのれこそやっていることが被差別の当事者を苦しめているかわからんのかか。本当に利権のあるのであれば、わしら貧乏な生活をしとらへんわ。どあほ。己こそこれで一儲けしようという思っているのとちゃうか。だいたいこのようなやるやつはねたみ意識を持った周辺地域のやつちゃうか。卑しいものたち。部落外社会の真相を暴いたろうか。とある神社の宮司が祭りのあとで賽銭を洗う行為など。また、部落において、獅子舞を行うときは避けていたが、最近は神社の収益が少なくなってきたために、収益をあげるために部落においても参るようになったとか。銭は差別を超えて背に腹は返らなくって来たわけね。みな周辺地域の氏子たちが考え出したこと。利権は部落外に流失し、その恩恵で超えているのであります。どや。
返信しようと思ったのですが、返信先のメールアドレスは架空のものでした。そこで、今回はこのメールにお答えして「部落外利権」について触れてみたいと思います。
県内のとある事情通は「同和地区は徐々に拡大している」と語ります。鳥取市では「被差別物件」である土地や建物に対する固定資産税が半額免除される制度があり、年間5000万円程度の税が免除されています。固定資産税の減免の対象となる物件は原則として同和地区内にあるものですが、同和関係者が所有する物件であれば地区外であっても減免の対象となります。
実際、同和地区から近隣地区に移り住んでも減免を受けているケースがあります。さらに、県内の事情通は、こう語ります。
「誰とは言わんけどな、同和(関係者)じゃないのにそういう補助を受けとるもんがおるぞ。地番が同和地区で、○○とか△△というような(どこでもある)名字なら分からせんだろ?」
何をもって行政上の「同和関係者」とするかは、とてもいい加減なところがあります。同和関係者の要件として、同和地区に住んでいるということだけでなく、かつての下層身分の祖先であるという条件がありますが、そういった身分が記された古い戸籍は見てはいけないことになっているので、調べようがありません。よく「名字で分かる」と言われますが、地域に固有の名字がいくつかあるくらいで、実際はあまり参考になりません。
特に平成17年の県の実態調査では25歳未満の既婚者の83.9%が夫婦のうち片方だけが同和地区の生まれとなっており、混在が進んでいます。同和関係者の祖先が同和関係者だとすれば、同和関係者は際限なく増え続けることになりますが、固定資産税減免のような優遇制度は希望者が申請して受けることになっています。よって行政上の同和関係者として扱いを受けるかどうかは、血縁関係だけでなく、本人が同和関係者を自称するかどうかにもよります。
次回は、鳥取の行政が同和対策だけでなく「部落解放・人権政策確立」のような政治運動を支援してきた理由に迫ります。
鳥取市同和対策総合計画(3)
鳥取市同和対策総合計画では、同和地区の子供の学習状況についいて、次のように書かれている。
平成12年( 2000 年)に実施した「学力・生活実態調査(小学校4年生・中学校3年生)によると、地区児童・生徒の学力( 国語・算数・数学)は、地区外と比べて、小学校4年生の正答率の平均においては差が見られませんが、5段階評定で見ると、二極分化の傾向が見られます。一方、中学校3年生の偏差値の平均においては差が見られ、5段階評定でも、学力の低い層が地区外生徒に比べて多く見られます。このように、学力の問題は依然と解決していません。また、生活面においても、家庭学習や読書の習慣が確立していない、テレビ視聴の時間が多いなどの児童・生徒が地区外より多くあり、部落差別の結果として生じてきた生活実態の改善や向上を図ります。
これは少し不可解なことである。鳥取市では同和地区を有する学校には同和加配教員が配置され、教育面では優遇されている。私が実際に見てきた例では、同和地区の子供は週一回、放課後の学習会に通っていた。実際に、次のような記述がされている。
また、学力向上推進事業として、夏期学習会と補助教員の配置・保護者学習講座等を開設してきましたが、今後とも地区進出学習等では、個別指導を徹底するとともに、児童・生徒が主体的に学習に取り組んでいけるよう自主性を育てること、自ら差別を解消しようとする学力や態度を育てること、将来への確かな目標を持ち、それを実現しようとする意欲を育てることを重点とした指導を行います。
こういった施策は何十年も前から行われているはずで、今さら「部落差別の結果として生じてきた」といった判断をするのは妙である。学習能力に格差があることに原因があるとするなら、「自ら差別を解消しようとする学力や態度を育てること」というのがイデオロギー的なもので、基礎的な学習能力につながってこなかったか、あるいはそもそも学力に問題があるという認識自体が間違っているかのどちらかである。
あまりに変な記述だったので前回は無視したが、「同和地区における差別実態の課題」として次のように書かれている。
保育所児童については、「保育所児童実態調査」の結果で、片付けや当番活動を最後までやりとげようとする姿や、自分の気持ちを表現しようとする姿などがうかがえますが、我慢することや絵本を楽しみ、話の内容を遊びにとりいれたり、イメ-ジ豊かに表現したりすることなどに課題がみられます。
また、前回平成7年(1995年)の調査では、地区外児童にくらべて数値の高かった異年齢児とかかわる姿も減少してきていると思われます。このことは、おとなのかかわりや語りかけのあり方、おとな同士の人間関係の希薄化などに要因があると考えられます。
幼児の行動まで「差別実態」に結びつけるのがそもそも間違いな気がするが、鳥取では実際に「同和保育」や「解放保育」といったことが行われている。
鳥取にはいわゆる「同和保育所」というものが存在する。行政的にそのような区分があるわけではないが、同和地区の子供のために建設された保育所のことを一般に同和保育所と呼ぶようである。とは言え、実際のところ現在では同和地区関係者以外の子供が80%以上を占めている。
かつて、このような保育所では、ひな祭りや節分といった行事をしない、運動会で順位をつけないといった偏向した保育が行われ問題となったが、現在ではそのような実態はないようである。一般の保育所との違いと言えば、保護者会で同和問題が話題に上るくらいである。
もちろん、一般の保育所でも職員が同和保育の研修に参加する、といったことは度々ある。時には、同和保育に非常に熱心な保母さんもいらっしゃるようである。
鳥取市同和対策総合計画(2)
前回に引き続き、鳥取市同和対策総合計画について採り上げる。
第3章の「総合同和対策の推進」という部分では、同和教育・啓発について書かれている。
市民に対する啓発を行っているのは1959年に結成された鳥取市同和教育協議会(市同教)である。2001年3月現在で684団体が加入と書かれているが、現在は731団体となっている。会員が増えたのは、主に市町村合併の影響によるものと考えられる。
市同教の会員は年間一律3000円の会費を支払い、運営費に当てられるが、多くの部分は市の一般財源から出ている補助金でまかなわれている。平成17年度の運営費用は686万2千円であるが、そのうち427万7千円を市が補助金として交付予定となっている。
市同教の役割は、その名の通り、鳥取市における同和教育の推進である。そのために、市内外での集会や研修会、公民館における人権講座といった研修を行っている。
ただし、その成果については次のように書かれている。
しかし、これらの啓発活動にもかかわらず、企業内における差別事象、市民による差別発言、公共施設への差別落書き等数多くの差別事象が発生してきています。このことは、市民の中に差別意識が根深く残っていることを示すものであり、より一層同和問題に対する正しい理解と認識を深め、人権意識を高めていかなければなりません。
市同教のうち、企業の加入する「企業部会」には490社が加入しているとある。この数は、現在でもさほど変わっていないようで、会員の67%という割合である。
もう1つ、企業の加入する啓発推進組織は、中国電力の鳥取支社長が代表幹事を務める鳥取市同和問題企業連絡会(同企連)である。同企連に参加する企業は現在85社で、加入企業は従業員規模(資本金によるという情報もあり)に応じて5千~5万円の会費を支払っている。同企連にも市の一般財源から補助金が交付されており、平成17年度は運営費用350万8500円のうち、140万4千円が市からの補助である。同企連は鳥取市内で相次いだ企業内の差別事象をきっかけに設立され、「研修会や会員相互の交流事業などをとおして、各会員企業の取り組み等を情報交換し、自社の取り組みに活かす」活動をしているとされる。
市同教、同企連ともに、管轄課は鳥取市の人権推進課である(市同教、同企連の事務局は人権推進課内にある)。総合計画には「企業訪問等により推進組織への加入を促進」することが示されている。
実情については必ずしも全ての会員企業が活動しているというわけでもないようである。総合計画では、そのことを率直に認めている。
また、推進組織へ加入していても、自社研修はもとより、組織が主催する研修会へすら参加しない企業も多く、このような取り組み姿勢の不十分さもあって、市内の企業においても、部落差別の解消はおろか、今なお就職差別につながるような不適切な面接や差別事象が発生しています
市に問い合わせたところ、「同企連についてはそのような事はない」ということであるが、市同教については「実態はいろいろありますけど」と漏らすなど、一筋縄では行かないようである。
鳥取市同和対策総合計画(1)
鳥取市においては、平成14年に同和行政の指針として第三次鳥取市同和対策総合計画が策定されており、鳥取市のホームページから見ることができる。前書き部分には当時の西尾迢富市長のメッセージが書かれているが、その内容は同和地区と地区外に格差が見られるということと、県民の差別意識は根深いといったお決まりのものである。
現在問題となっている人権救済条例の国版である人権擁護法については、次のように述べられている。
一方、国においては、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」の施行及び「人権擁護法(案)」の検討が行われており、また地方公共団体では、部落差別の撤廃と人権尊重の社会づくりを目的とする条例がすでに施行されております。
鳥取市においては、これらの状況を十分に認識し、「市条例」及び人権に関する諸法をふまえ、部落差別が現存する限り同和行政を積極的に推進していきます。
しかし、以前にも指摘した通り、西尾前市長もこれらの動きを推し進めた張本人である。西尾前市長のもうひとつの肩書きは部落解放基本法制定要求国民運動鳥取県実行委員会会長であって、しかもそれは名目上のものではなく、実際に部落解放基本法制定要求国民運動の大会でスピーチするなど、積極的に活動している。
この文書の「同和問題の現状と課題」を見てゆくと、興味深い事実が分かってくる。
まず、「差別の実態」について次のように書かれた箇所がある。
教育については、「学力・生活実態調査」の結果をみると、5段階評定での二極分化の傾向や学力の低い層が地区外生徒に比べて多く見られるなど、学力の問題は依然として解決していません。また、高校進学率においては、長い期間で見れば地区と地区外の較差はほとんどなくなってきていますが、この2年間はひらく傾向にあります。そして、大学や短大などへの進学率においては、較差はだんだん縮小しているものの、まだ大きな較差があります。このことは、経済的諸問題のほか、学力の問題、子どもたちの進路について展望を持たせていないことなどに課題があると考えられます。
鳥取県、そして鳥取市は同和地区の児童生徒に対して多額の学費補助を行っている。そして、地区児童を抱える学校には同和加配教員を配置し、さらに「地区学習会」という同和地区の児童生徒向けに特別の学習の機会を設けているのである。にもかかわらず、学力の低い層が依然多く、しかも高校進学率の差が開いているということは何を意味しているのであろうか。それは、このような施策による効果は既に飽和状態だということである。つまり、これ以上施策を続行すことは無意味であり、根本的にやり方を変えるか、徐々に打ち切るべき時期に来ていることを意味する。
次に、「差別意識」について次のように書かれている。
県が平成12年(2000年)に実施した「同和地区生活実態調査(鳥取市分)」では、「同和地区の人である」ということで、約4割の人が人権侵害を受けているという調査結果が示されました。また、同時に実施した「同和問題についての県民意識調査」においても、部落差別についての正しい理解はある程度進んできましたが、同和対策事業など利害に関する部分や、同和地区出身者との結婚問題など、具体的な態度や行動を問われる問題に関しては、否定的もしくは消極的な回答がかなりの高率を占めており、これに関連して「ねたみ意識」や「寝た子を起こすな論」が地域、年齢、職業を問わず、かなりの高率を示しております。また、学校で同和教育を受けてきた若年層に、「同和問題・人権問題」の解決に向けての積極的な態度形成がなされていないものが少なからず見られ、これまでの同和教育の不十分さを示しています。また、「同和問題の解決のために何を行ったらよいか」との設問に対し、「自然になくなる」や「同和地区の人々が差別されないようにする」が、かなりの高率を示しており、近年の啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない状況があります。
「ねたみ意識」というのは、いわば同和地区への過剰な利益誘導に対する批判のことで、「寝た子を起こすな論」は共産党の言う国民融合論のことである。どちらも全国的には普通に議論されているものである。特に同和地区への過剰な利益誘導に対する批判を押さえ込むことが腐敗を生んだ例は、大阪、京都、高知などで明らかになっている。それを挙げて「啓発事業が必ずしも、十分な効果をあげているとはいえない」としている辺りから、鳥取市で行われる啓発の内容と、その達成基準が非常に偏向していることが分かる。
そして、「同和地区の人である」という理由で約4割の人が受けていると言われる人権侵害の中で、最も深刻と思われる差別事象にについては次のように書かれている。
鳥取市においても近年、学校、企業、地域等で数多くの差別事象が発生しています。最近の特徴としては、学校現場での生徒間の差別発言、職場上のつきあいの中での差別発言、公衆の場での差別落書き等、特に、特定の同和地区と個人を名指しした、あからさまな差別事象が目立ちます。
しかし、私が何度も指摘している通り、どこが同和地区で、誰が同和地区関係者かを明らかにすることを行っているのは他でもない行政側である。現在でも「立場の自覚」という指導の下に同和地区児童生徒のカミングアウトが行われているという実態が鳥取市にはある。
同和関連補助金(鳥取県、智頭町)
以下にウェブ上で収集した、鳥取県と八頭町の平成17年度の補助金交付状況をまとめておきます(決算額ではないので、若干変わる場合があります)。
鳥取県
部落解放同盟鳥取県連合会運営補助金 807万5千円
鳥取県同和対策協議会運営補助金 35万円
全国人権同和行政促進協議会運営補助金 20万円
財団法人鳥取県部落解放研究所運営補助金 1784万8千円
反差別女性国際フォーラム開催費補助事業 100万円
これらははっきり言って氷山の一角です。同和問題県民意識等調査事業費として2532万3千円、同和問題啓発推進事業費として448万3千円、専修学校等奨学資金貸付事業費として3221万8千円…といった予算が計上されています。それらの中には部落解放同盟が講師を派遣する講演会で講演費用が計上されていたり、「見直しの実施には、関係団体等(註:部落解放同盟関連団体のこと)との協議が不可欠」といった注意書きがされているものがあります。
智頭町
部落解放同盟智頭町協議会交付金 540万円
同和教育推進協議会委託料 279万円
智頭町保育園・学校同和教育推進協議会 30万円
小学校同和地区進出費交付金 45万円
小学校同和教育研究費交付金 59万5千円
中学校同和地区進出費交付金 45万円
中学校同和教育研究費交付金 17万円
同和地区中小企業特別融資貸付金 1千万円
以上は全額町の一般会計から出ているものです。
部落解放同盟智頭町協議会交付金の540万円というのは異例に大きな額です。例えば智頭町商工会の交付金額は2260万1千円ですが、そのうち町費は480万円だけで、他は県の補助や会員の支払う会費でまかなっています。
ちなみに同和地区中小企業特別融資については、ここ数年貸付実績がありません。