行政が見解書のテンプレートを用意して行われる糾弾会

同和と在日9月号でレポートした「糾弾ビジネスの正体見たり!総力取材 「同和と企業」解放同盟に狙われたエイブルとパナホーム」。糾弾された企業、業界団体、そして行政は「見解書」を用意させられました。こちらにそれをアップロードしております。

パナホーム&エイブル事件行政見解書.pdf

パナホーム見解書.pdf

これらを見て、最初に思ったことは、妙に立派な見解書だということです。滋賀県と始めとする行政に関しては、この手の「差別事件」は初めてではないですし、人権擁護局からも支援を得られるので手馴れたものでしょう。しかし、民間団体である宅建協会、全日本不動産協会、さらにパナホームの見解書までもが、言ってみればベタベタの文章になっているのは不思議な事です。

これには裏がありました。これら民間企業や団体に対しては行政側から「テンプレート」が用意され、この文例に沿って見解書が作られるわけです。

見解書テンプレ.pdf

ちなみにこの見解書、本ブログでも以前に紹介したオイレスECO株式会社の「従業員差別発言事件」のものです。こうやって、作成された見解書はまた後々の「学習資料」として使われます。

さて、糾弾会の中盤になって企業側が見解書の作成や糾弾会への参加を徹底拒否したらどうなるのでしょうか? 当然、解放同盟の面子は立たないし、解放同盟の矛先は企業から行政に向かうことになります。そこで、行政としてはこのようにわざわざ「テンプレート」を用意してでも、何とか見解書を書いて下さいとなるわけです。

しかし、これがどのように「部落解放」につながるのか、地区住民の権利利益につながるのか、そういう視点は全く無いように思われます。全ては「差別事件の処理」というマニュアルに従って、行政と運動団体のメンツを立てるために、形式的に事が進められていくのが現状です。

週刊朝日、完敗

10月16日発売の週刊朝日で始まった連載、「ハシシタ 奴の本性」ですが、早くも終わってしまいました。あれだけ派手に「緊急連載」と銘打って、こういう結末は恥ずかしいでしょう。

どうしてこうなってしまったか、これは三品純のブログ「週刊朝日報道についての考え」で説明していることが的確なので、そちらをご覧になるのがよいと思います。

週刊朝日は「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました」としてますが、三品純が説明している通り、それが問題ではありません。新潮・文春なら単に橋下の同和ネタで売ってやろうという意図が見え見えで可愛げがありましたが、週刊朝日の場合は、普段から敵対するメディアが、部落ネタを人格批判の材料に使ったことが橋本氏の怒りを大きくしたものと考えられます。

今後週刊朝日がどうなるかと言えば、結局は、同和地区名は隠す、行政や運動団体の主張の受け売りの記事を垂れ流すという、安直な姿勢に戻るのではないかと思います。

同和地区を特定する表現に関しては本ブログに右に出るものはいないと自負しています。何度も行政から削除要請を受け、運動団体からも名指しで批判され、グーグルマップに載せている大阪府同和地区マップの閲覧数は優に週刊朝日の発行部数を超えているわけですが、それでも本ブログは続いております。

なぜ続けられるかというと、いくら袋叩きにされても、言い返す言葉があるからです。一方、去年の部落解放研究第45回全国集会では、会場にいたある隣保館職員が「鳥取ループと議論しようにも理論がない」と嘆いていました。そう、行政にもメディアには欠けているのは理論なのです。

何年か前から「コンプライアンス」という言葉が流行っていますが、これは単に決められたガイドラインに従うだけ。なぜそうあるべきなのかという、深い思慮は何もありません。そいうものが一般企業だけでなく、メディアにも蔓延しています。

週刊朝日はガイドラインを打ち破ったつもりなのでしょうが、新潮―文春がやったからウチも大丈夫だろうという、これも結局はメディアが持つ暗黙のガイドラインである「横並び」に従っただけに過ぎないでしょう。私だったら、同和地区の場所を特定したことを問題視されたら、50年のあゆみの件を持ちだしてガンガン言い返すでしょうが、週刊朝日にそこまでやる覚悟はありませんでした。

ちなみに、書籍版「同和と在日4」では橋下徹ゆかりの同和地区、八尾市安中を訪れていますが、地元の運動団体の目線から見た彼の姿をレポートしています。安中に興味のある方はどうぞ。

糾弾ビジネスと近江商人

滋賀県といえば近江商人。近江商人といえば「売り手よし、買い手よし、世間よし」の“三方良し”の精神が有名ですが…
請求書
この“糾弾ビジネス”については、いったい誰が得をしているのかよく分かりません。「三方」どころか、いろいろな個人・団体が入り乱れていますが、どれが売り手で、どれが買い手なのか。

「同和と在日」電子版2012年9月号で詳しくレポートしています。その中でも不可解なのは、上の請求書。「(不動産差別撤廃・人権擁護)学習会実行委員会」なる団体名で出され、振込先もこの団体なのですが、連絡先として記載されているのはなぜか野洲市役所。野洲市が、この団体の受付業務をしているということなのでしょうか? また、ここで「学習会実行委員会 委員長」とされている山口敏樹氏は、「部落解放同盟滋賀県連合会差別事件糾弾闘争本部 本部長」として企業に「対策会議」への開催案内を送っているのですが、なぜ請求書では別の肩書きなのか。

この研修会は主に滋賀県人権センターの職員により行われているのですが、センターの職員は固定給で働いているので、費用はかからないはず。とすると、研修会の最後に講師として出てきた奥田均近畿大学教授に支払われているのではないかと思いますが、なぜ滋賀県人権センターでもなく野洲市でもなく、正体不明の団体を介する必要があるのか。

残念ながら、野洲市にも、滋賀県人権センターにも、山口氏にも答えてはもらえませんでした。

ビジネスというのは、一見すると私利私欲に基づく行為に見えて、売手と買手の要求を満たすことはもちろん、社会全体の公益につながっています。私も本を売っていますが、私のところにお金が入って、読者も楽しめるというだけではなく、アマゾンにもいくらか渡っていますし、印刷にも何十万円という費用がかかっています。それで、ほんの少しだけですが出版業界の活性化にも貢献しているわけです。一部では「差別を利用して小銭を稼ぐ」だとか揶揄されていますが、押し売りしているわけでもなく、買ってもらえるような内容にするように努力しているつもりですので、別にやましい事は何もありません。

しかし、あの“糾弾ビジネス”はどうなのか。わざわざ作文例を渡して見解書や反省文を書かせることで、企業や業界団体の「人権意識」が高まるわけでもないですし、行政側の人間も所詮は定期的に異動しており、たまたま今の部署にいるだけ。“糾弾”ってそういうものだったのでしょうか。

少なくとも「買い手」は喜んでいるように見えないし、「売り手」も誇れるようなビジネスではないようです。

大阪市都島区長就任予定の田畑龍生氏の問題論文

毎日新聞が、7月7日に「大阪市:同和地区明記、HP公表 区長公募論文、指摘で削除」と報じています

大阪市の区長公募で都島区長に就任予定の元コンサルタント、田畑龍生(りゅうせい)氏(37)が応募時に提出した論文に、都島区とは別の区の地域が同和地区だとの記述があり、区長内定者の論文を市のホームページ(HP)上に掲載していた同市が外部の指摘を受けて5日に削除していたことが分かった。

で、その削除された論文というのがこちらです。

東淀川区長 公募論文 田畑龍生

現在、大阪市のサイトに掲載されているのはこれを修正した後のものです。

修正前の論文を読んでみたのですが、確かに問題ですね。

  • 東淀川区は日の出、飛鳥、西中島という同和地区と呼ばれる地域が3つ隣接するエリアを有しているが(2ページ目)
  • 実際、未利用地や築年数が30年を超える市営住宅などは、中島(飛鳥)・淡路(日の出)といった同和地区と呼ばれるエリアに集中している(4ページ目)
  • 尚、日の出、飛鳥という同和地区と呼ばれる地域に付随している“暗いイメージ”に関しては前節で述べたエリア開発案により大幅に改善が見込めると考える(5ページ目)

予想以上に同和地区、同和地区と連呼しているあたりに何とも味わいがあります。しかし、問題なのは同和地区でないところを同和地区としている事実の誤りや、地名表記の間違いがあるところです。

なお、作家の塩見鮮一郎氏も神奈川県小田原市で同じような間違いを犯しまして、詳しくは今月号の同和と在日で記事にしております。(追記:塩見氏の場合は地元の解放同盟から「部落ではない」と指摘されたのですが、実は塩見氏の方が正しい余地が残されております)

それにしても、中田宏・前横浜市長、千代松大耕・泉佐野市長だけでなく、飛鳥地区に住んでいた橋下市長も論文に目を通したというのに、気付かなかったというのが驚きです。本当に読んだのでしょうか? あるいはわざとなのかも知れません。

大阪市の同和地区に関しては、部落解放同盟の事業サイドである大阪市人権協会から、以下の詳細な解説が出版されているので、これを読んでしっかりと勉強していただきたいものです。拙著「大阪同和大帝国」もお勧めです。

大阪市内同和地区の概況

50年のあゆみ.pdf

昭和45年の北九州市の同和行政と各地の同和事業予算

国の同和対策事業が始まって2年後の昭和45年の福岡県北九州市の同和行政の資料を入手しました。以下にアップロードしています。

部内資料同和行政の概要昭和45年北九州市民生局.pdf

この資料は、当時の北九州市の同和行政に関する、財政データ及び関係例規集です。14~17ページには同和対策のために設置された施設の名称、所在地の一覧が掲載されています。

個人給付的な事業としては、地区住民の職業訓練、住宅修繕、高等教育の学費、中小企業、農業・漁業のために公金が支出されていました。

8ページに予算の推移が出ていますが、昭和45年度の同和対策予算は6億99万8000円。前年の2倍近くになっていますが、実は国の事業が始まる前にも、それなりに事業が行われていたことが分かります。

同和対策事業に国が支出した予算は33年で15兆円と言われますが、このように地方自治体独自の事業もあるので、実際の金額はもっと大きいわけです。

107ページ以降にある、国や他の自治体のデータも興味深いです。ダントツなのはやっぱり大阪市で、昭和45年の予算が109億2793万5000円となっています。2番手の神戸市の23億9563万2000円を大きく引き離しています。

大阪市ではその予算の大部分が、今でも残っている同和地区の学校、同和地区解放会館(現在の市民交流センター)、公営住宅の建設に使われました。

2012年度の部落解放滋賀県連合会の要求書

部落解放滋賀県連合会から滋賀県下の各自治体や教育委員会に要求書が出されています。

全文はこちらをご覧下さい。
2012解放同盟滋賀県連要求書.pdf

要求は15項目あります。

例えば(3)の人権侵害救済法の制定の要求は毎度のことです。(4)では2000年に制定された人権教育啓発推進法が持ち出されていますが、「人権」と名のつく法律が、同和団体が行政に何か要求をする場合の錦の御旗として利用されていることがよく分かります。

注目すべきは(5)の項目で、隣保館の事業対象となる「地域住民」が「同和地区住民」であることが強調されています。行政も運動団体も対外的には隣保館は「開かれた施設」だと強調するのですが、内輪ではまだ「同和の施設」と言っているわけです。この点については、別の資料を分析中なので、近いうちに結果を明らかにしたいと思います。

15項目の中には、解放同盟の名簿流出や、滋賀県の同和地区一覧のことは触れられていません。この理由について関係者によれば、一言で言うと「金にならへんから」だそうです。

解放同盟は支部から協議会、県連、中央と事案が報告されるボトムアップ型の組織なのですが、事案が途中で止められることがあります。滋賀県連に関して言えば通過するかどうかの基準は、行政交渉の材料として利用価値があるかどうかということだと言います。何をもって利用価値があるかというと、事案が深刻かどうかよりも、まず「分かりやすい案件」ということと「行政の責任を問える」あるいは「企業から金をとれる」ということが重要になります。

滋賀県の同和地区一覧に関しては、もともとの情報の出どころが解放同盟なので、行政の責任は問えません。また、鳥取ループは金を持ってなさそうです。

一方で、湖南市の相談員差別発言事件は一見どうでもいいような事例ですが、役所の中で起こったことなので役所の責任が問えました。

企業がらみの案件でも、例えば別の同和団体がからんできて「分かりやすい案件」から「ややこしい案件」になると解放同盟が手を引くということもあるようです。

公務員ダイアリー関西仕様

主に自治体を顧客とする出版社、ぎょうせいの販促チラシです。よく読んでみると…

関西仕様

「関西仕様」でなければ六曜が記載されているのかどうかは分かりませんが、誰かの人権を守るためではなく、関西の解放同盟とのトラブル防止のためというのがよく分かりますね。「人権」というのは企業にとっては実のところ、クレーマー対策の1つを指す言葉なわけです。

今でも滋賀県人権センターでは役所などで使われているカレンダーを1つ1つチェックして、六曜のあるものとないものに振り分けているとか。

部落地名総鑑のセールストークと八鹿高校事件

1970年代に企業に出回ったという、「部落地名総鑑」。今となっては現物が残っているかどうかも分からないので、どのような内容だったのか調べようがないのですが、その購入案内の一部が滋賀県の「採用にあたって」(74、75ページ)に、滋賀県・滋賀県教育委員会の見解の中で引用されています。

…同和行政については、各政党は重大な社会問題であるとして、激論をかわしているものの抜本的な解決策が何らなされていないのが現状である。…
…八鹿高校問題の様に暴力事件、リンチ事件が発生して社会的な問題となっている。
 これは一高校の問題であるとして見過ごすことはできない。この様な事は、企業においても起こりえないとは断言できない。これらの人々の採用が果たして妥当であるかということは、封建時代のイデオロギーとして残されたものであり問題ではないとすますことが出来るでしょうか。
 観念的、心情的に同情することも考えられるでしょう。八鹿事件に見る如く行動の多くに疑問が山積しているのではないでしょうか、問題は今、大きくクローズアップされている。企業において人事担当の各位にはこの点について如何様にお考えでしょうか。
 現在、我が国におきまして、昭和37年の総理府統計によると、4,160部落、111万人をこえる人口千人に対して11.8人という比率が出ている。実情は5,366部落を超えて現存している。私達は、この際、この様な事実関係を正確に認識して企業百年の将来のためにも誤りなきを期してゆかなければなりません。
 今般、企業の担当の各位に、その実態と実情を詳述した「部落地名総鑑」を提供して人事調査と人事考課に一助の資料としてお手許に届けたいと考えております。」

つまり、「部落民を会社に入れると、八鹿高校事件のような暴力行為を起こしかねないから、企業がリスクを回避するためのツールになる」というのが部落地名総鑑のセールストークだったわけですね。

当時、部落地名総鑑が出回ったのは、決して、「部落民が汚れているから」というような迷信に基づいたものではなくて、当時は(ある意味今でも)当たり前だった過激派や共産党排除のようなことの延長線上にあったわけです。

湖南市の同和地区出身者に「地区の人やないやろな」と言うと弁護士無しの欠席裁判で吊るし上げられる

相談員差別発言事件を考える学習会

表題の通りの差別事件がありまして、月刊「同和と在日」2011年12月号の「啓発・学習は弁護士無しの欠席裁判! 差別発言で退職に追い込まれた隣保館員」とう記事で採り上げました。学習会で配られた資料を以下にアップロードしています。

相談員差別発言事件を考える学習会-H23-11-21.pdf

参考までに、湖南市の同和地区は石部西、柑子袋、三雲、夏見、岩根東の5箇所にあります。

より大きな地図で 滋賀の部落(同和地区)一覧 を表示

今月21日に草津アミカホールで行われた学習会当日は周辺自治体に動員がかけられており、約300人が参加していたとのことです。この資料によれば、湖南市、草津市、滋賀県、部落解放同盟滋賀県連、そして公演を行った上杉聰氏が相談員の差別発言を認定しています。
資料を読んでいただくと分かるのですが、突っ込みどころが非常に多くあります。

  • 2人だけの会話なので、証拠はどこにもないこと。
  • 私的な会話なので名誉毀損ではなく、どこにも被害者がいないこと。
  • 湖南市の隣保館の出来事なのに、一報が草津市の住人だという理由だけで草津市が出てくること。
  • 隣保館員が個人的に縁故採用をしようとしたことを非難しているが、草津市は税金で盛大に縁故採用をやっていること。
  • 学習会という割には、「差別発言」をしたとされる本人が学習していないように見えること。
  • そもそも、この資料を見て学習になるのかどうか。逆に湖南市の隣保館や同和に関わるとヤバいと示すだけなのでは。

などです。他にも、この件を自治体職員と解放同盟関係者以外には知らせておらず、市民の目には触れないように処理しようとしていたフシがあるなど、突っ込みどころは他にも多いのですが、今後継続して調査していきたいと思います。

「部落解放」11月号で本サイトが紹介されています

同和地区を抱える自治体や同企連企業が定期購読していることで馴染み深い雑誌、「部落解放」で「インターネットと差別」という特集がされています。もちろん「鳥取ループ」のことがほとんどメインで詳細に書かれていますし、2ちゃんねるなどの「差別書き込み」に対する監視活動がどんなものかが分かる、大変面白い内容となっております。

グーグルマップに掲載している同和地区マップが「史上最悪の部落地名総鑑」と非難されています。実はこれらの地図は事情があって9月には削除されているのですが、なぜか「再三にわたって削除要請しているものの、いまさに削除されていない」と事実ではないことが書かれています。削除されたらまずかったのでしょうか?

掲示板の「差別書き込み」については匿名で反論書き込みをするのですが、その内容は「ときには人権詩歌を掲載するなど文学的に」といった手法を用いているそうです。

ぜひご覧になってみてください。アマゾンで買われる方は部落ってどこ? 部落民ってだれ?同和と在日2 ~大阪同和大帝国~も一緒にどうぞ。

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