広島高裁松江支部が鳥取市下味野の同和減免関連文書について不開示とした件について上告および上告受理申し立てをした件、上告理由書と上告受理申立理由書を提出しました。
上告は憲法違反など特殊な事例の場合しかできないのですが、今回は憲法の「納税の義務」がもろに絡んでくる話なので、理由書を書くのが楽でした。
これであとは最高裁がどう処理するかを待つだけです。
広島高裁松江支部が鳥取市下味野の同和減免関連文書について不開示とした件について上告および上告受理申し立てをした件、上告理由書と上告受理申立理由書を提出しました。
上告は憲法違反など特殊な事例の場合しかできないのですが、今回は憲法の「納税の義務」がもろに絡んでくる話なので、理由書を書くのが楽でした。
これであとは最高裁がどう処理するかを待つだけです。
情報公開請求の件を入れると第11回め、鳥取市が同和減免された固定資産税を徴収しなかったことの違法確認を求めた裁判の7回めとなる口頭弁論が行われました。
双方の書面はこちらです。
原告第4準備書面.pdf
訴え変更申立書.pdf
鳥取市-乙17~18-H24(行ウ)6.pdf
鳥取市-証拠説明書・証拠意見書(4)-H251111.pdf
鳥取市-被告第4準備書面-H251111.pdf
今回は書面のやりとりに手違いがありまして、上記のうち最後の2つの書類についてファックスで届いていたのを原告が見落として、受領書を提出していなかったために、裁判所の証拠調べが保留になりましたとりあえず証拠については証拠説明書を裁判官が読み上げて証拠調べはすすめることになりました。
まず、原告は同和減免について違法確認だけではなく徴収を求めています。とすると地方自治法242条の2、4号「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合にあつては、当該賠償の命令をすることを求める請求」を適用することになるのですが、今回の場合は税金なのでこれを適用するのは問題があると裁判官から指摘がありました。なので、おそらく地方自治法242条の2、2号「行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求」を適用して、減免措置を取り消しまたは無効にするということになると思います。いずれにしても、鳥取市が減免した分の税を徴収しなければいけなくなることは変わりありません。
そして、請求の対象を下味野地区に限定し、対象地域を特定する文書の提出命令を申し立てている件、このこと自体については裁判官からこれ以上の追求はなく「高裁に控訴することもありうるので、それなりに考えなければいけない」ということで来年早々に文書提出命令を出すかどうか裁判所が判断することになりました。
被告側は情報公開訴訟に関する広島高裁松江支部の判決を提出しているのですが、これについては高裁も「同和減免の対象地域を特定する文書は当該地区の居住者や出身者が差別にさらされる」ような文書と認めているという趣旨のようです。
もっと重要な点は、被告証拠意見書で「解放令は「法律」としての効力を持たず」と主張されていることです。
来年までにこれに対する意見を原告側から提出することになります。
鳥取市が「解放令は無効」と主張するのは、部落解放運動家にとっては衝撃的かもしれません。これが通ってしまえば、今でも穢多・非人は存在する、部落差別は不法行為ではないということになりかねませんから。おそらく現在でも有効な法律では最古のものと思われる解放令について、裁判所がどのように扱うのか、注目されるところです。
次回口頭弁論は2014年2月5日10時15分です。
「同和問題企業連絡会」(同企連)という組織があります。よく混同されるのが「部落解放企業連合会」(企業連あるいは企連)ですが、前者は「一般企業」により構成されているのに対し、後者は経営者が部落解放同盟に属している、いわゆる「同和系」の企業です。
企業連会員企業は同和対策事業による利益に預かることができたのですが、同企連会員企業はむしろ逆に「同和枠」などの利益を提供する立場にありました。
いずれも現在では「同和」や「部落」という名前を団体名から外しつつあり、必ずしも「同和問題企業連絡会」「部落解放企業連合会」という名前ではありません。
同企連は各地にあるのですが、「東京人権啓発企業連絡会」「大阪同和・人権問題企業連絡会」という大きな団体が東西にあります。驚くべきはその会員企業です。以下に会員企業一覧があります。
大阪ではいきなり宇宙産業や防衛産業で有名な「IHI」の名前が出てきますし、三井や三菱の旧財閥系の大手企業も名を連ねています。
東京も同様でIMAGICA、電通、吉本興業などマスメディアと関わりの深い企業名も出てきます。
さらに、「愛知人権啓発企業連絡会」ではトヨタおよび系列企業が名を連ねています。
その活動内容は、要は部落解放同盟の政治運動の支援です。かつては「部落解放基本法」制定運動のために各企業が人員を動員していましたし、現在でも「人権擁護法案」あるいは「人権救済機関設置法案」を推進しています。
そのような活動に動員されるのは、会員企業の中でも一部の「担当者」なわけですが、大手企業に務めている方で同和研修・人権研修を経験しているのであれば、あなたの所属企業はかなりの確率で前述の会員リストに入っていると思います。
なぜ同企連が結成されたかというと、それは昭和50年の「部落地名総鑑事件」に遡ります。部落地名総鑑を買った企業は部落解放同盟により糾弾されました。企業の採用担当者だけでなく、当時の労働省の職員も呼び出されて、徹夜で何日も糾弾会が行われることもあったと当時の記録にはあります。そして、落とし所としてこのような会が結成されて、同和事業の推進に企業も協力させられることになったわけです。
同企連会員企業と部落地名総鑑を買った企業を見比べてみると、その多くは重なります。特に多いのが日本生命などの保険会社。かつて保険会社は共同で部落出身かどうかなどの社員の身元調査をしていたためです。
一方で中にはそれとは関係なく、最近になって入った企業もあります。例えば、社員が大阪の八尾市で「同和地区の自動販売機は壊されやすい」と解放同盟西郡支部員の前で発言して糾弾された「コカ・コーラウエスト(株)」、放火事件の処理に伴ってコンプライアンス責任者が会社の金を着服していた「ドン・キホーテ」、ヤクザがらみでいろいろとあった「吉本興業」が代表的なところでしょう。この3社が、いずれも不祥事があった直後に同企連に入っているのは偶然ではないと思います。
なぜ名だたる企業が同企連に入っているのか、長年人権運動に携わってきたとある事情通はこのように語ります。
「解放新聞を見ると、なかなか同企連の会員企業の名前って出てこないでしょ。人権啓発をやっていたからって、大きな企業でそうそう差別事件がなくなるわけがない。解放同盟は同企連の会員企業には手加減するんですよ。だって、同企連の会員企業を糾弾したら、会費を払うメリットがなくなってしまうでしょ」
要は不祥事のもみ消しがあるということなのです。それを裏付けるような話として、とあるトヨタ系企業の関係者の談。
「うちの会社では要注意地域を書いた地図が配られたことがありました。出勤の時など、同和地区は避けるようにということです」
そして、さらなる謎は同企連の会費についてです。そのお話は、また次の機会にすることにしましょう、