大阪法務局の人権侵犯事件記録

大阪市人権協会の冊子を引用したもの大阪法務局から削除要請された件で、大阪法務局の事件記録が届きました。

開示文書-H23-3-28.pdf

ほとんど黒塗りなのですが、いくつか興味深いことが読み取れます。

まず、例によって被害者は同和地区住民です。要はこの区域に住んでいる人ということでしょう。それから「非行政文書担当者メモ」という印に×印がしてありますが、形式的に非行政文書としたものの、やっぱり情報公開法や行政機関個人情報保護法の上では行政文書だったということだと思います。黒塗りにされたメールや聴取書は、通報者や、法務局と本省の間のやりとりと考えられます。

さて、問題は大阪市人権協会の「50年のあゆみ」に載っていた地図なども黒塗りにされていることです。以前、大津地方法務局で同様に部落地名総鑑のような文書が黒塗りにされたことがあったのですが、その理由がこうでした。

当該部分には特定の地域に関する情報が多数掲げられ、その内容からして、それが事実であるか否かを問わず、差別を助長する可能性のある情報として、人権擁護機関が長年にわたりその排除に取り組んできた対象となるものと認められる。当該部分の情報は、削除要請の対象であるから、同部分を開示することは、それ自体上記取組と相反するものと言わざるを得ない。

今回も開示決定書に事務事業情報であることが書いてあるので、おそらく同じ理由でないかと考えられます。ということは、大阪市人権協会は「50年のあゆみ」には大阪法務局が「排除に取り組んできた対象」となる地図を載せていたということになるのでしょうか。例によって審査請求して、はっきりとしたことが判明するまで1年ほど待つことになりそうです。

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・実践同和のあしらい方
・行政が出てきてもたじろがない 知っておきたい国民の権利
・行政不服審査と行政訴訟
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・はじめに
・準工業地域という抜け道
・多発する同様のトラブル
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・一般対策化されても同和関係者は一般人にはならない
●滋賀県同和行政バトル日記⑥
・被告第2準備書面 浮上してきた大阪の事例

大阪府の同和地区一覧

去る16、大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例で、土地に関係する事業者が同和地区の場所を調査することを禁止する改正案が大阪府議会で成立しました。今後、法律上の余計なトラブルを回避するためにも、大阪府内の同和地区の場所を知りたい、という要求が増えることが予想されますので、大阪府の同和地区一覧を掲載します。

以下の表は、1977年5月10日に解放出版社から発売された「大阪の同和事業と解放運動」に掲載されていたものです。奥付によれば、この本は財団法人大阪府同和事業促進協議会(現在の財団法人大阪府人権協会)が編纂したもので、発行所は社団法人部落解放研究所(現在の社団法人部落解放・人権研究所)とあります。

本の冒頭では、当時の大阪府知事であった故・黒田了一氏により「この図書が、関係者はもとより、広く府民各位に読まれ、同和問題の理解と同和事業の推進にとって大いに役立てられんことを期待しています」と書かれているので、大阪府民であれば、ぜひ読むべき資料と言えるでしょう。

ちなみに、黒田了一氏と言えば、共産党の単独支持で当選した初の知事でした。

大阪府下部落概況

分かりやすいように、グーグルマイマップに掲載したので、ご利用ください。

より大きな地図で 大阪府の同和地区一覧 を表示

自治労鳥取が人権侵害救済法の制定を求める署名活動

自治労鳥取が人権侵害救済法の制定を求める署名活動を行なっております。組合員1名につき、1名以上の署名の要請をする文書が配布されています。以下をご覧ください。

鳥取市署名の取り組みについてH23-3-9.pdf

署名用紙には「部落解放同盟鳥取県連合会」とあり、次のことが書かれています。

第177通常国会での「人権侵害救済法」の制定を求めます

内閣総理大臣 様

インターネット上における差別・人権侵害をはじめ、差別落書きや脅迫などの部落差別事件が、全国で相次いでいます。
鳥取県でもインターネット版「部落地名総鑑」ともいうべき、「鳥取県内の同和地区(被差別部落)」と題するマップが流布されています。現在のプロバイダ責任制限法では限界があり、再三の削除要請にもかかわらず放置されており、差別がばら撒かれ続けているという状態です。また、せん称語を用いての差別落書きや「同和地区」かどうかの問い合わせ事件、電話による「人間じゃないだかいやぁ、エタ非人か」などの差別発言事件、「エタゴお前ら全員車でひき殺したる、誰も文句は言わぁせん」等の脅迫・差別ハガキなど、顔の見えない誰がしたのかわからない、陰湿で悪質な差別事件が多発しています。これらの背景に、根強い差別意識と生活の中にある被差別部落を避けるという差別実態が存在しています。
これらの事件の発生に、2002年3月の「法」失効後の部落問題解決に向けた取り組みの後退が大きく関係しています。内閣同和対策審議会答申に謳われている「社会悪であり許すことのできない差別である」ことを明確にせず、また差別の法的規制も不十分なことから、何が差別なのか、人権とはどういうことなのか、国としての基準が明確でないが故、「差別」「人権侵害」を見抜けず、見過ごしてしまう、放置してしまうという現状や差別はもうないという風潮を生んできています。そして、このような中で、被差別当事者は厳しい差別の中を生きることを余儀なくされています。
そこで、部落差別を野放し状態にせず、一日も早くなくし人権確立社会を築くため、第177国会での「人権侵害救済法」の制定とインターネット上における差別・人権侵害を禁止する新たな措置を講じられることを要請します。

インターネット版「部落地名総鑑」ともいうべき、「鳥取県内の同和地区(被差別部落)」と題するマップというのは、おそらくこれなのですが、部落解放同盟鳥取県連からの「再三の削除要請」は私のところには来ていません。

ただ、私の職場宛に、法的措置やマスコミで取り上げることを匂わす匿名のメールが送られてきまして、添付されていたワードファイルの作成者の名前から清見久雄という方が送っていたことが判明したということがありました。メールの全文は「同和はタブーではない」に掲載しておりますので、ぜひお読みください。

実際は、私には直接せずに、法務局とかグーグルといったところに削除要請していたようです。また、去年の11月に新潟で行われた部落解放研究第44回全国集会の分科会で、部落解放同盟倉吉市協議会が報告していたというような話を聞いております。

それにしても、「差別・人権侵害」とは言いますが、鳥取県内の同和地区施設の場所を示しただけのマップが具体的に誰を差別したり人権侵害をするものなのか分からないのが気になるところです。

大阪府下の隣保館の詳細資料

月刊「同和と在日」3月号でご紹介した、「一般対策」として行われている隣保館運営事業費等補助金の詳細資料をアップロードしました。泉佐野市、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市を除いた各市町に設置された隣保館の予算、人員数、事業内容が非常によく分かります。

大阪府隣保館運営事業費等補助金実績報告書-H21.pdf

大阪府というより、これは国の事業でして、半分が国、4分の1が都道府県、残り4分の1が市町村という配分になっています。最近、「国の事業のためにどうして地方が負担を強いられるんだ」、と地方の首長が不満を口にすることが多いのですが、これもそういった事業の1つと言えると思います。

こういった事業が続く背景に、隣保館が設置されている地域から国への働きかけがあります。一般対策と言いながら大阪府の場合、対象となっている施設は全てかつての「解放会館」、つまりは同和地区の隣保館です。

一方、同和対策の対象となった地域が、ほぼ例外なく整備されきってしまった現状で、当然、隣保館の存在意義には疑問をもたれています。こういった補助金が自立するべき地域の自立を阻んでいるという側面もあります。そこで指定管理者を入れたり、公民館に用途変更する自治体もあるのですが、老朽化していたり、地域に不釣合な建物で維持管理にコストがかかることから、廃止してしまう自治体が多いようです。

隣保館運営事業費

大津地方法務局に個人情報利用停止請求しました

本サイトに掲載した偽の部落地名総鑑が削除要請された件で、当該事件記録に対して利用停止請求をしました。利用停止請求の理由は次のとおりです。

人権侵犯のおそれが生じた事実がなく、本人が指導、啓発を拒否していることから、事件記録として利用する理由がないため。

根拠法令は行政機関個人情報保護法です。法律では「行政機関は、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、その利用の目的をできる限り特定しなければならない。」さらに「行政機関は、利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならない。」とされておりまして、これに反する場合は個人情報の利用停止または消去を請求できるとされています。

これまで行った個人情報開示請求では、個人情報を収集したこと自体の是非は争点ではありませんでしたが、利用停止請求の場合はその点が、請求が認められるかどうかの基準になると考えられます。「偽の部落地名総鑑」をネットに公開する行為は「人権侵犯事件」と言えるのか、問題の核心に近づいてきました。

さて、月刊「同和と在日」のオンデマンド印刷版を発売開始しました。手元に並べておきたい方は、ぜひご利用ください。