片山知事「県外のことは仕方ないなと」

引き続き各委員から、条例の県外適用の問題に限らず、社会作り協議会の意見が十分に反映されていないという不満が出されました。例えば、福間委員からは「検討委員会や協議会の意見が八割以上、八割が適当かわからないが、入っていないと検討委員会や協議会の意味が無くなってしまうと思う。」という発言がされています。
そして、松田委員が再び県外も対象とするべきだといった趣旨の主張を行っています。

松田委員 私が最初に問題提起したことは、条例の適用外の県外で発生したものについて、それを拾い上げるような正に救済の申し出があった場合には、当該県と連絡、調整し協議するということを運用として残しておかないと、県外の人権侵害は対象外だという文言を示されたり、知事が納得したとか、パブリックコメントにこれを出しますとか言うことになれば、大騒動になる。我々も責任はもてない。運用上のこととしてそういう考え方を持っていてほしい。
中島局長 それは分かりますが、先ほどから言っていますように、本来の制度というものをちゃんと県民に理解してもらわないと、できないことまでできるように期待されていてもそれは困る。制度がはじまって、どれくらいの相談が上がってくるのか、それに対して、相談員なり、事務局がどんな対応をするのかそれは動かしてみないと分からない部分もある。その時点で県外で発生したものまで人権委員会が対象にして動きますよとは今の時点ではそこまではいえない。

そして、条例の県外適用が不可能であることを知事が認識していたことを示す発言が、中島局長よりされています。

松田委員 これは知事さんが、OKしているのですか。
中島局長 既に、見てもらっている。基本的な考え方で、細かいところまではまだだが、これに沿って了解はもらっています。
松田委員 こんなことを、OKしているのですか。
中島局長 知事も制度は分かっていますから、県外のことは仕方ないなと。
松田委員 だから、さっきから言うように、条例外のことだけども申立てがあった場合は、人権委員会が運用上その世話をするということを残しておいたらどうですかということで、無理なことではない。

条例の県外適用は松田委員がくりかえし要請したことにより、条例に組み込まれました。そして、皮肉にも松田委員の予想とは正反対に、県外からの苦情が殺到し「大騒動」になったのはご存知の通りです。
松田氏は、なぜここまで強硬に条例の県外適用を主張したのか?これについては追って取材予定です。

社会作り協議会が暴走 「県外条項」が入ってしまった過程

検討会議事録の原文をアップロードしました
人権侵害救済検討会(情報公開請求による資料).pdf
(2~5回目の議事録は開示されていません)
条例の県外への適用について、不可能であることを説明した中島人権局長(当時)ですが、さらに松田委員が食い下がります。

松田委員 条例の効力が及ばないことは、委員のみなさんは知っているところだ。ただ、運用で、県外での県民の被害に対して、該当県に対しての問い合わせ、調整、あっせんなど、場合によっては出向いていくようなことを、運用としてできるという認識を持つ必要がある。
中島局長 実務上は、可能な場合もあると思われる。それはケースバイケースだと思う。

前回まで検討会の座長を務めてきた國歳委員、さらに椋田委員も松田委員を擁護する発言をします。

國歳委員 条例が、その範囲内でしか効力がないことはみんな知っているところ。ただ、そのことを、こういう形でどこかに書き表すことが必要かどうかということ。当然必要な対応はするのだろうと思うが、ここにこうしてきちんと書かれると、何もできないのではないかと思われてしまうのではないか。松田先生は、そういうことをわざわざ書く必要がないのではないかということ。
中島局長 条例の条文上は、でてこない。ただこの制度の基本的な考え方そのものは、県民の人にパブリックコメントの時に理解してもらわないと、県外で発生したものについても、この条例が適用になると誤解されると、期待を裏切ることになる。法制と協議をするが条文上は出てこないことになると思う。
椋田委員 局長が言われたことは、我々は認識していることだ。認識したうえで、松田委員の発言があったもの。それを国の法律は国内、県の条例は県内でしか通用しませんというのは、血の通った制度になっていないのではないか。(以下略)

その後、椋田委員からは、県の資料に「不当な差別」と書かれていることについて「差別に不当なものも不当でないものはないということで、『差別』とすることで、基本合意がされたと思う。」とした上で、検討会の意見を反映しない県の市政を批判する意見が述べられました。
しばらく、検討会の位置づけについて、椋田委員と中島委員の間で議論が交わされますが、再び松田委員は県外への適用に固執します。

松田委員 これまで議論を重ねてきて、それを踏まえて条例をつくることは専門家に任せればいいが、出来上がったものがパブリックコメントにでて、それが我々が協議してきたものと違うということになれば、我々は責任がもてない。これまで意見を聞いてきたのであとは事務局でしますよという考えもあるかもしれないが、出来上がったものを示していただいて、これで出しますよという機会がもう一度あるのが当然ではないか。今日のこの基本的な考え方は、これが出てしまってはやばいですよ。幾つか指摘したい箇所はあるけれど、この県内で発生したものが対象というようなことが一人歩きしては困る。そんなことを話し合ってきた覚えは無い。
中島局長 ただ、これは法制度うえの当然のことでありどうしようもいないこと。法律や条令の制度というものは、我々が行政をやっていくうえで、根本、基本になるもの。
松田委員 ただ、一般県民にそういうことを行っても総攻撃を受けるのでは・・・
中島局長 だからこそ、しっかりと説明をしなければならない。
松田委員 例えば制度の運用として、県外で起こったものについて、連絡、斡旋、調整をやるということは考えていたのか。
中島局長 事実上は可能なこともあろうが、基本的に条例で作る救済制度では及ばない。法制度上、効力の及ばないものを規定して県民にいかにもできそうな期待を与えるということは、本来のあるべき姿ではない。できること、できないことをしっかり認識してもらうことは、制度を県民に有効活用してもらう上で大前提である。

そして、藤村委員がさらに強硬な主張をします。

藤村委員 正直言って委員を辞めたい。余りにもひどい。今まで話をしたことが全然はいっていない。まず、事務局の対応が今まで話したことを採り上げてそれを?するならいいが、事務局で作ったものをこれでやりますからと言われて、これまでの話が全然入っていないような感じを受ける。これまでは、もらったこの案(3月までの条例素案)で、文言等も議論し、こういうものができるんだと思いながら話し合いをしてきたが、いきなりそんなものは知りませんよ、これでいきますよと言われて、はいそうですかでは私たしが委員である意味が全然ない。
西村係長 これまでは条例の素案をともにしてきましたが、それを基本的な考え方にまとめさせてもらったという認識をしています。
藤村委員 例えば素案では、何人も県民の人権に関する問題について人権委員会に相談することができる、となっている。県民のとは書いているが、県内のとは書いていない。そのへんのことは福間先生も言われたが、枠のなかだけでは難しくできないこともあるので枠を超えなければならないところもでてくるけど、やってみようという気持ちできたと思う。そういうことで一生懸命話をしてきたけど、枠の中でしかできませんよと言うことなんですね。
中島局長 そのとおりです。
藤村委員 それだったら、委員を辞めたい。これをだされて、委員会で話し合ってきたと言われたら、私は堪えられない。話を聞きましたから事務局が勝手に作くりましたというのであればそれでかまわないが、やり方が余りにもひどい。いままでのことが意味がない。

(次回に続きます)

人権局は「県外条項」が無効であることを早くから認識していた

鳥取県人権局が早くから人権救済条例を県外の事案に適用することは不可能であることを認識していたことが分かりました。人権救済条例の県外適用に関する条文は以下の通りです。

第17条 何人も、本人が人権侵害の被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、委員会に対し救済又は予防の申立てをすることができる。
…略…
3 第1項の申立て又は前項の通報(以下「申立て又は通報」という。)は、当該申立て又は通報に係る事案が次のいずれかに該当する場合は、行うことができない。
…略…
(5) 申立て又は通報の原因となる事実が本県以外で起こったものであること(人権侵害の被害を受け、又は受けるおそれのある者が県民である場合を除く。)。

この県外適用の規定が地方自治法上無効であることは、条例の成立後の批判を受けて片山県知事が認めています。しかし、県人権局と片山知事は平成15年から平成16年にかけて鳥取県人権尊重の社会づくり協議会の一部委員による「人権救済制度検討委員会」が行われていた段階で、既にこのことを認識していました。
県が公開した平成16年6月22日の第6回人権救済制度検討委員会議事録から、県外への適用は不可能であることを主張する人権局と、あくまで県外の事案への適用を主張する協議会委員とのやりとりを読み取ることができます。
なお、この検討会の委員は以下の通りです(肩書きは平成17年の「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会名簿」によるものです)。

椋田昇一 (財)鳥取市人権情報センター
安田寿子 特定非営利活動法人女性と子どもの民間支援みもざの会
相見寿子 レディースあすか鳥取
光岡芳晶 特定非営利活動法人「すてっぷ」
松田章義 (財)とっとり政策総合研究センター
福間裕隆 鳥取県断酒連合会
國歳眞臣 鳥取大学名誉教授
藤村梨沙 (性同一性障害者の問題に関する取組)

県からは、当時の中島人権局長、堀部人権推進課長、西村人権推進課企画調整係長が参加していました。
会議では以前の検討会をもとに県側がまとめた資料が配布されますが、松田委員から異議が出されます。

松田委員 読ませていただいて、今までの委員会で協議していないことやこういう議論だったかなと思うところがある。たとえば、県外で発生した人権侵害で、県民が被害者・加害者の場合は対象外などいう(ママ)ようなことは話し合っていないと思う。事務局のほうでまとめられたと思うが、冷たいのではないか。さきほど、発生県での対応が原則であると説明されたが、県民が県外で差別被害を被った場合に、県外の役所に申し出ることはないと思う。県内に帰ってきてから、県や人権委員会などに申し出るのが普通ではないか。そのときに、県外の人権侵害は対象としないので、そこの役所に行ってくれというのは実際どうなのか。やっぱり、県民が県外で被害を受けた場合、人権委員会に申し出た場合は、それを受けて、県外の役所にこういう申し出があったが調べてくれないかというような、県外の役所との調整とか斡旋とかいうことを進めていかないと、被害者の救済などできないのではないか。特に、調査が困難だから適用外などというのは冷たい。こんな文言が出てきたらふくろ叩きにあるのでは。ほかにもたくさんある。こういうことを我々がいままでの議論の中で話したかなという疑問を持ちながら、もし我々が話しをしていたとするならば、えらい不見識なことをしたと思う。お尋ねと意見表明ということで、以上。

このことについて県側の西村係長は、県外の事案まで調査するのは手間も時間がかかるので対象外としたと説明しますが、中島局長がそれを遮り、改めて法律上の問題であることを説明します。

中島局長 今の説明は違う。県の条例というものは、基本的に鳥取県の中でしか効力が及ばない。だから、県外で発生したものは、基本的にこの条例の効力が及ばない。ただ、言われたように鳥取県が他県に対し、県民の人権侵害の相談を受けて必要な対応をとるように言うなどの事実上の行為は行うが、条例にしても、法律にしても、法律なら国の区域内、県の条例なら県の区域内、市町村の条例なら市町村の区域内にしか及ばない。だから限界がある。そういう意味で県外のものは対象としないとしたもの。

しかし、これがきっかけで、県側は他の委員からも集中攻撃を浴びることになります。
(次回に続く)

男女参画認定企業の入札優遇 施行延期を要請

日本海新聞より。

鳥取県議会企画土木常任委員会は二十一日、県が二〇〇七年度から実施を予定している男女共同参画推進認定企業を対象に公共工事の入札を優遇する新制度について、「認定企業が限られ時期尚早」などの理由で、全会一致で延期を執行部に要請した。
新制度は、〇七年度から県建設工事入札参加資格者の格付けを行う際に認定企業に加点。認定企業は受注を得る機会が増えるなどのメリットがある。新制度は今年の二月県議会で承認されたが、「建設業者の新たな負担となる」として慎重に対応するよう付帯意見が付けられた。
委員会では、石村祐輔議員(清風)が「認定企業は県内の建設業者の数%に限られている。認定企業が増えてからでも遅くない」と実施延期を提案。他の委員からも「二月議会の付帯意見が無視されている」などの批判が相次ぎ、執行部に再考を求めた。
一方、県県土整備部の田所正部長は「知事と相談して方針を決めたい」と答えた。
男女共同参画推進企業の認定制度は〇四年度に創設。女性管理職の登用や採用拡大の推進、育児・介護休業制度の整備推進などを審査し、知事が認定する。現在までに建設業者は、県内約二千七百社のうち十八社が認定されている。

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性別の記載が消えたのは何のためか?

昨年の9月、鳥取県で人権に配慮した申請書類等にするための関係規則の整備に関する規則というものが出され、県の行政機関の書類から性別の記載が消えました。「突き詰めて行けば、そういった情報の記入は必要ないので、必要のない個人の情報は取らないという観点からそうなった。」と県は説明していますが、どうやらそうではないようです。
県の規則では、ある福祉施設のデイケアサービスに関する申請書からも性別の記載が削除されていました。福祉や医療の現場で性別を把握しないというのはさすがに不可解なので、この福祉施設に問い合わせてみました。担当者によれば、今年から業務内容が変わってデイケアサービスから学習講座に変わっているとのことです。そして、「去年まで行われていたデイケアサービスと、現在行われている学習講座でも、必要なので性別の記載をしている」ということでした。
早速、人権局の人権推進課に問い合わせてみました。担当者によれば、性別の記載が必要かどうかといった判断は人権推進課ではなくて各書類の所管課で行ったそうです。では、人権推進課がとりまとめてこういったことを行った過程については、意見書が出されたり、検討会が行われたといった記録は残っていないということです。ただ、いずれにしてもこれは行政レベルで行われたことです。
県の文書を調べていると、平成16年の鳥取県人権施策基本方針に手がかりとなりそうな記述がありました。

鳥取市など県内4市では、性に関する差別と偏見をなくすため、行政文書などから不要な性別記載を削除するなど市町村独自の取組が始まりました。平成15(2003)年7月には、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(性同一性障害者性別特例法)」が成立し、戸籍上の性別変更が可能となりましたが、変更には「現に子どもがいないこと」など適用条件の問題が指摘されており、適用除外を求める動きもでています。また、性同一性障害に関しては診療を受けられる医療機関が限られているなど、医療福祉分野で検討すべき点もあります。

これは県の書類から性別の記載が消える前のことで、県下の市の取り組みに触れたものですが、「性に関する差別と偏見をなくすため」と書かれています。なお、この記載を入れるよう県に求めたのは、男女共同参画や子供の人権に関する取組みをしている元鳥取県人権尊重の社会づくり協議会委員の松田章義氏(これが人権救済条例にもリンクしてくるので名前を覚えておいてください)であることが、平成15年度第3回鳥取県人権尊重の社会づくり協議会議事録から明らかになっています。
また、以前から上記引用部分と一致する主張を続けてきた人物がいます。現鳥取県人権尊重の社会づくり協議会委員である藤村梨沙氏です。彼女が取り組んできたことはこちらのページによくまとめられています。
「性別の記載が消えたのは何のためか?」その答えはおそらく、「彼女のため」です。なぜそうなのかいうと、そもそも鳥取県は県内に性同一性障害の患者がどれだけいるかさえ把握していないからです。

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最近の身分制度に関する歴史教育の事情

私の小中学生の頃は、身分制度と言えば「士農工商えた非人」と教えられていた時代でした。おそらく、現在の二十代半ばくらいまでは、学校でそのように教えられていたはずです。しかし、最近は江戸時代の民衆史の研究が進むにつれて、かつての教科書の内容のかなりの部分が誤っていたことが分かってきています。
手元に、昭和61年の鳥取県内の小学校高学年向けの同和教育学習資料があります。その中には、おおよそつぎのような記述があります。
・えた、非人は士農工商よりもさらに低い身分に位置づけられていた。
・被差別部落は江戸時代の権力者が自分達に都合のよい政治をするために政策的につくられた。
・農民の年貢に対する不満をそらすらめに、「上見るな、下見てくらせ」という考えで「えた・非人」の身分が作られた。
私も、こういった指導を受けましたが、実は最近ではこのことは歴史的事実としては否定されつつあります。
まず、現在の小学校の教科書では「士農工商」という記述はありません。武士という支配階級の下に一般大衆がいたというのが実態で、例えば農民の下に町民が位置づけられていたわけではないからです。私は中学の頃の同和教育で「農民が武士の次に身分が高いのは、最も数が多かった農民の不満をそらすためだ」と教えられましたが、これは全くの誤りです。なおかつ、農民と言っても農業だけでなく漁業や林業に従事する人もいたはずなので、現在では「百姓(あるいは村人)」といった言い方をされます。同じ理由で「工商」の部分も「町人」と言われます。単に農村生活者と都市生活者という違いだけで、身分に上下があったわけではない、というのが実態をよく表しているようです。
また、現在の教科書では「えた・非人」という身分は「さらに低い身分に位置づけられていた」のではなく「外に存在した」といった言い方がされます。なぜなら、もし「えた・非人」が単に最下層身分であるなら、なぜ穢多頭弾左衛門のような権力者が被差別身分の中に存在したのか説明がつかないためです。弾左衛門は関東の人物ですが、鳥取でも同様に被差別身分の中の有力者というのは存在していました。こういった人物の中には明治になっても有力者であり続け、早くから同和対策事業に貢献していた者もいます。被差別身分と言うと皮革産業や警吏、渡し守ばかりをしていたイメージがありますが、実際は地域で商売のネットワークを作って成功していたり、普段は農民や小作人と同じように暮らしている人々もいました。しかし、多くの被差別身分は明治になってからも被差別身分として隔離される一方で、被差別身分特有の独占産業が自由化されたため、近代化から取り残されるといった結果になってしまいます。
そして、「被差別部落は江戸時代に作られた」という従来の説も崩れかかってきています。一番の矛盾点として、もし江戸時代に作られた制度なら、なぜ被差別部落が当時幕府が存在していた関東ではなく、関西に多いのか説明がつかないためです。実際は、室町時代に皮革などの産業を専門に扱う身分として京都で生まれ、それが民衆の間に徐々に広がっていたものを江戸幕府が制度として追認した、というのが正確なところのようです。

鳥取市同企連の証憑書類等の不開示が決定

鳥取市同企連の証憑書類等の開示請求に対する不開示処分に対して異議申し立てがされていましたが、平成18年8月8日付けで棄却されました。
決定書と情報公開・個人情報保護審査会答申(答申第1号)をご覧になるにはこちらをクリックしてください。
答申によれば、実施機関(人権推進課)の説明の要旨はおおよそ以下の通りです。

  • 同企連は会員企業が主体的に運営しているものであり、市とは別機関である。
  • 市の職員は必要な都度協力しているもので、市役所内に存在する文書は同企連に返還するという前提で預かっているものである。
    審議会は以上の点を認めて異議申し立てを棄却しています。しかしながら、審議会で出た少数意見、付帯意見として以下のことを指摘しています。
  • (市の職員による)同企連の事務が長期間にわたり継続することにより、市の職員の職務と解すべきである。
  • 情報公開条例第31条の規定に準じて、同企連の保有する情報の開示に必要な措置を講ずるよう努めることが望ましい。
    正確な内容は答申の全文をご覧下さい。
    なお、第31条というのは出資法人に関する以下の条文です。同企連の予算の42%が市の補助金であり、さらに人的な支援も行っていることが根拠になっていると思われます。

    第31条 市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人は、この条例の趣旨にのっとり、当該法人の保有する情報の開示に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
    2 市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの4分の1以上を出資している法人は、当該法人の業務及び財務に関する情報の提供に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

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  • 下味野上バス停にまつわる出来事 (2)

    バス停の名前の決定権は基本的にバス会社にあるはずなので、バス会社に電話してみました。

    私: どういった理由で変更されたのでしょうか?
    バス会社: 地元の方からの希望で変更しました。
    私: 西下味野という名前が差別的だという指摘があったと聞いています。ただ、地元の方も隣保館の館長も名称が変更されたこと自体知らないとおっしゃっていますが。
    バス会社: 隣保館というよりは、西下味野という名前がよくないということで、地元のみなさんで話し合って決めたわけです。
    私: みなさんといっても、地元の方に聞いてみたところ、知らないというんですよ。1人知っている人はいましたが、そもそも誰が言い出したかわからないし、バス会社の方からそんな話が出てきたそうですよ。
    バス会社:え?おかしいなぁ…。被差別の集落のからみでですね、西下味野はそうではないけれども、そこに近い方からおかしいんじゃないかというご意見を頂いたといういきさつです。ただ、隣保館の館長さんもご存知ないというのはちょっと変ですね。
    私: 最初のクレーム自体がイタズラの可能性はないですか?
    バス会社: バス停の名前はイタズラで変えられるようなものではなくて、地元の方に諮って変えたはずですけどね。

    いきさつをさらに詳しく聞いたところ、最終的には公民館の地区の総会でバス会社に一任されたということです。そもそもの発端は「隣保館の方」から話が出てきたということなのですが、それでは隣保館側の言うことと食い違ってきます。再度隣保館に確認したところ「前任の館長にも聞いたけど分からない」という答えが返ってきて、さらには「本当に隣保館は関係ない」と念を押される始末でした。さらにバス会社に確認したところ、どうも隣保館関係者が直接関わっているというよりは、当時の地区の役員から話あったのがそもそもの発端のようです。ちなみに、バス会社に「もしかしてその人は解放同盟?」と単刀直入に聞いてみましたが「組織としては関わってないです」という答えでした。
    問題の公民館での総会の参加者によれば、「なんだそりゃ」といった状態で「面倒だからバス会社に一任」といった雰囲気だったということです。総会は「被差別でない側」の地区で持たれたそうですが、部落解放運動に関する雑誌などにも度々記事を書いている「被差別の集落」関係者にもコンタクトを取ってみました。

    私: 西下味野バス停の名前が変えられたことはご存知ですか?
    地元関係者: いやぁ、あまりバス停なんか見て通らんけぇね。普段バス使ってる人間ならあれなんでしょうけど。
    私: なんか西下味野という名前に変わったみたいで。
    地元関係者: ええ?だったらうちのバス停はどうなったですか(笑)。
    私: それが変わってないみたいでね(笑)。

    …と、終始こんな感じで拍子抜けしてしまいました。
    他の地元関係者によれば最近は通称名が使われなくなってきており、自治会などの名称も「被差別の集落」と「被差別でない側」で同じ名前になってきているのだとか。しかし、そもそも通称名は比較的最近、地元小学校の影響で使われていたものなので、結局はまた昔に戻るということになります。
    鳥取は車社会であり、特に近年ではバスの利用者の中心であった高齢者も免許保有者が多くなっているので、ますますバス離れが進行しています。それゆえ、地元住民が無関心になるのも無理はありません。
    この一件、あまり地元で対立を生むようなことはしたくないので、バス会社に「クレームをつけた人が誰なのか、あまり詮索したくはない。ただ、もし本人に会う機会があれば、私に連絡するよう伝えて欲しい」とだけ言い、深追いはやめることにしました。それから、私の元には何も連絡は来ていません…

    下味野上停にまつわる出来事 (1)

    今年の4月、鳥取に帰郷した際に妙な話を耳にしました。それは、「近くのバス停に行ってみろ、面白いことになっているぞ」ということです。そのいきさつを聞いたところ、そのバス停の名前について、同和地区住民の中に、部落差別に絡んで差別的だとクレームをつけた人がいて、それを受けてバス会社が名前を変えてしまったということです。
    すでにご承知の通り、鳥取県には同和地区あるいは被差別部落と呼ばれる地域がありますが、多くの同和地区は単に1つの地名をもって現されるわけではありません。地名が同一でも、その中に同和地区であるところと、そうでないところがあります。そして、地元での通称名として下国安と上国安だとか、倭文東と倭文西のように呼び分けられることがしばしばあります。件のバス停も、そういった通称名がつけられていたものでした。ちなみに、その通称名は近くの学校で登校班の名前として使われていた呼称が定着したことに由来しています。
    もちろん、そういう話を聞いてしまった以上、調べないわけにはいきません。やはり、部落問題と言えば、同和行政や啓発を担う隣保館だろうということで、地元の隣保館長に事前に質問内容をメールした上で、電話取材を敢行しました。

    館長: 西下味野のバス停の名称変更については、隣保館は一切関与していないというか、全然聞かされてもいなくて、関係もしていなくて、そういう会にも出ていなくて、全く状態は分からないですね。
    私: 隣保館の知らないところで行われていたということですか?
    館長: そうですそうです。どこでどうというのは世間では聞いていますけれども、隣保館としては全然入ってないんです。
    私: 公式には関わっていないということですか?
    館長: いえいえ、公式にも私的にも隣保館の職員は関わってないです。全然。想像ですけどね、地域でやられていることだと思います。

    館長さんのお話によれば、隣保館はその地域にあると言っても、基本的に市の管轄であり、職員もあちこちの隣保館から異動してくるので、地域の問題と言うのを何から何まで把握できるものではないのだそうです。また、「バス停の名前が変更されたことについては、そもそもバスを使わないものだからそのこと自体知らなかった。それにしても下味野上に変わったというのはおかしいですね。」とおっしゃってました。
    続いて、地元住民に知り合いがいたので聞いてみました。

    私: 西下味野のバス停が下味野上に変わったようだけど知っているか?
    住民: 知らんかった。だいたいバスっちゃあな使わんしなぁ…
    私: なんか差別的だとかいちゃもんつけた人がいるらしいけど、心当たりあるか?
    住民: ああ、そういうおかしなことを言うのは○○の親父だ。あのもんは夫婦ともども村中から嫌われとってなぁ…

    …と、思いかけず近所の人の悪口を聞かされる展開になってしまいました。
    (次回に続く)

    同和対策事業に対する率直な感想

    以下は1991年、県内のとある小学校のPTAで行われたアンケートの結果の一部です。同和対策事業に対する意見(自由記入欄)が原文のママ書かれています。

    30代母
    (1) 平等にしてほしいと言いながら特別にするから差別になると思う。差別をなくそうと思うならそういうことはやめてほしい。
    (2) 改善事業が行われることで、それも差別ではないかという声を聞いたことがありました。
    (3) 被差別部落以外(例.過疎地域)にも同様、行政面等改善すべき点がある。
    (4) 融資等
    (5) 改善事業の目的を正しく理解する時も必要だと思います。
    (6) その地域を改善していくことはとてもいいことだが、形のない改善も大切なのではないでしょうか。
    (7) 良くなっている反面、その場所が目立つようになって公共的建物ができても行きにくい。
    (8) 以前の反省のつもりで良くしているのであろうが、かえってそれが特別であるように思われる。また、部落内の人は、それに対して当たり前という態度で、逆に自分たちは、特別なのだとひけらかしているように思う。
    (9) 改善事業が行われるのは、別に対象がどこであろうと良いことだと思う。
    40代母
    (1) 物資の問題ではなく、意識的に心のそこにある部落差別の言葉、思考など全て拭い去ることが大切に思います。
    (2) 同和対策事業でなく、改善すべき所は、同和、同和外関係なく、同じように行政の目を向けてよくしていくべきだと思います。
    30代父
    (1) 特別な事業をすることが、差別である。
    (2) 大きい、立派な家のある部落が、差別部落です。低利の金があったら差別なく。
    40代父
    (1) 同和対策事業の仕事をした。
    (2) 特別な事業をすることによって差別を助長している。
    (3) 部落差別、部落差別と騒ぎすぎる。
    (4) 現在、改善事業がどの様な条件で行われているかわからないが、考え方によれば、その事業こそ差別である。
    (5) 低金利での融資等いろいろ聞いています。仕事をあまりしなくても大変立派な家に住んでいる人がいます。C地区(註:この部分だけ修正して書き直してありました)に行ってみてください。
    (6) 被差別部落であることを口実にして、何かをしてもらうことはいかがかと思う。それを口実にしてまた、利用されることが多いと思う。自立が大切ではないか。
    (7) その部落だけが、差別を受けているという考えで、そんな事業が行われる。という考え方が、一般的に差別であり、部落というだけの事業は、疑問を感ずる。

    最後にアンケート集計者による「アンケートからみる成果と課題」には「妬み差別が依然として根深く残っている。」と書かれています。理解を求める、学習が必要ということだけで、事業自体のあり方を問うような記述はありませんでした。