横須賀市の同和住宅について、こんな記事が…

全日本同和会大阪府連合会の機関紙、「あけぼのKANSAI」2011年3月1日号を読んでいたら、このような記事がありました。
あけぼのKANSAI
神奈川県でYの付く市と言えば横浜市と横須賀市しかないので、同和と在日をご覧になった方は、ご存知のことかと思います。

横須賀市の担当者にしてみれば、自分が担当の時だけ何事も無く終わればいいと考えるのが人情で、行政のトップが決断を下さない限りはズルズルと問題は長引いでしまうでしょう。何より、問題の存在自体がメディアに採り上げらることはなく、横須賀市民にほとんど知られていません。

隣保館世帯票

三品純が今年の初め頃大阪で見つけた隣保館世帯票です。

隣保館世帯票

たぶん、隣保館の相談事業に使うものでしょう。これは未記入のものですが、隣保館の近くにお住まいの方は、隣保館を設置した市町村に対して個人情報開示請求をすると、記入したものが見られるかも知れません。

ちなみに高知では、隣保館世帯票を指して、共産党が「現代版人別帳だ!部落民名簿だ!」と批判しておりました。

存否応答拒否をすると非公開情報を公開することになる事例

この堂々たる石碑と…

下味野改良事業

鳥取市の情報公開拒否処分の通知の内容。

拒否処分

石碑には「地区改良事業」と書かれており、その横にある石碑(リンク先)には昭和46年から59年まで23億5000万円の予算を投じて「小集落改良事業」を行ったことが誇らしげに説明してあるのですが、「同和対策事業」であるとは書かれていません。

ところが、鳥取市の開示請求拒否処分決定通知書には「同和対策事業」と明記されています。結果的に、拒否処分により鳥取市において小集落改良事業が行われた地域が同和地区であると分かってしまいました。

情報公開請求に対する拒否処分を行う場合は、同種の情報に対しては原則として拒否処分を行わないといけなくなってしまうので、ここで同和対策事業と書かなければ、鳥取市では特定の地域を対象とした公共事業に関する文書は全て開示を拒否することになってしまいます。なので、「同和対策事業だけは特別だ」と言わなければならなくなってしまうのです。

それにしても、存否応答拒否処分により非公開情報が公開されてしまう事例というのは初めて見ました。貴重な事例だと思います。

参考:グローマー拒否

これは情報公開制度の矛盾によるものではなくて、制度が「公然の秘密」の存在を許さないように非常によく出来ているので、公然の秘密となっている同和の矛盾がこういった形で現れたのではないかと思います。

同和対策審議会答申 フルバージョン

同和対策審議会答申は、昭和44年の同和対策事業特別措置法制定の4年前に出されました。答申はその前文で、同和問題の解決は「国の責務であり、同時に国民的課題である」と述べていました。

それゆえに同和対策事業推進の根拠とされ、行政闘争に大いに活用されました。各地の自治体の交渉の現場では「同対審答申も知らないのか!」と役人に食って掛かる場面が度々見られたと言います。また、教育の現場でも「国民的課題である」というフレーズが叩きこまれ、一般国民も同和対策事業に協力すべき根拠とされてきました。

ただ、実際のところ同対審答申は内閣府の一審議会の提言に過ぎないもので、国会が議決したものではなく、法的拘束力は何もありません。答申の提出先は内閣総理大臣なので、地方自治体や一般国民には何の関係もありません。それなのに、金科玉条のように扱われました。これは同和に限らないことなのですが、審議会の答申というのはその内容が都合が良ければ、あたかも錦の御旗のように、権威に弱く無知な人々を従わせるよい道具となる一方で、都合が悪ければ、拘束力はないからと足蹴にされる程度のものです。

しかし、現実には「同和」と名前がつくような部署がある市役所等では、未だに同対審答申が影響を持ち続けています。

そんな同対審答申ですが、よく知られているのは実は抜粋で、その完全版を読んだことがある人はほとんどいないのではないかと思います。以下の文書は、部落問題研究所が製本して会員に配った同対審答申です。付属資料も含めた完全版です。

同和対策審議会答申(附属書類全文)昭和40年8月11日.pdf

注目すべきは108ページ以降で、「同和地区精密調査報告」として同和地区の実名を出して、各地区の状況を解説しています。さらに332ページ以降には岡山県内の同和地区名が列挙されています。

この資料からは「寝た子を起こすな」という考えがあった一方で、同和事業の実施を求めるにあたって、「ここが部落なんだ」と地区名を明らかにしてきた経緯が読み取れます。そして、実際に事業が実施され、そのことにより大いに勢力を拡大した運動団体や、国からの補助により恩恵を受けた自治体が、現在同和地区の場所を必死に隠しているというのは、大きな矛盾です。

ちなみに、部落問題研究所は現在では共産党系、反解放同盟と見られていますが、この答申が出された当時はまだ解放同盟と協力関係にありました。皮肉にも、同対審答申に対する評価が運動団体の中で割れたことが、部落問題研究所と解放同盟の対立、そして解放同盟の分裂の原因になりました。

岡山同和事業

隣保館と社会資源等の連携状況アンケート調査

一昨年、「隣保館と社会資源等の連携状況アンケート調査」が行われまして、最近その結果報告書が厚生労働省地域福祉課から国立国会図書館に納本されました。以下はその結果の抜粋です。

2010(平成22)年度隣保館と社会資源等の連携状況アンケート調査.pdf

この資料で興味深いのは、全国隣保館連絡協議会(全隣協)の加盟館一覧が掲載されていることです。本サイトからリンクしている隣保館.comが何なのか気になっている方がいらっしゃるかも知れませんが、実はこれは2010年度の全隣協加盟館をもとにしています。

全隣協は隣保館について「同和地区およびその周辺地域の住民を含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発のための住民交流の拠点となる地域に密着した福祉センター」と位置づけています。そのため、隣保館.comの隣保館の分布は、ほぼ同和地区の分布に対応します。岐阜以西に多く、中山道善光寺街道東海道に添って存在するのは、被差別部落が西日本発祥であり、死牛馬の処理などのために街道沿いに置かれたという歴史を反映したものと考えることができます。

もちろん、全ての被差別部落に隣保館があるわけではなく、また全隣協に加盟していない隣保館も数多くあります。例えば中山道において、長野県中南部から岐阜県東部にかけて全隣協加盟館の分布が途切れているのは、被差別部落がなかったからではなく、この地域の同和行政に対する取り組み方を反映したものと考えられます。

さて、隣保館の実態調査は昨年も行われました。そのために各隣保館に配布された文書がこちらです。

2011実態調査協力願い.pdf

この文書によれば、隣保館周辺の地域住民についての調査を行うとし、地域住民とは「同和対策事業対象地区の指定を受けていた地域の住民をさす」としています。つまり、事実上の同和地区実態調査なわけです。

このことからも「隣保館は同和地区のランドマーク」ということが、概ね事実であることが分かります。

同和地区精密調査報告書

昭和52年、「同和地区精密調査報告書」という本が国会で問題になりました。その議事録をこちらから読むことができます。その議事録から少し抜き出してみます。

○矢山委員 私は、これから給与法の審議に関連をいたしまして、日本国民の生存、生活にかかわる重要な課題でありますので、十分納得のいくまで所見を承りたい問題がございます。それは部落解放対策の問題でございますので、ひとつ当局におかれましては、そのつもりで御答弁をいただきたいと思うわけです。
 まず第一にお伺いしたいと思いますのは、政府がこれまで極秘扱いにしてきたと言われております「同和地区精密調査報告書」が、最近相次いで都内の古本屋に出回って、高値で販売をされております。東京都の同和対策部や部落解放同盟大阪府連によって現在五冊が回収されたと言われておるのでありますが、この経緯について総理府の長官からの詳細な説明を聞きたいと存じます。
○藤田国務大臣 経緯の説明につきましては、同和対策室長からやらせますので、御了承いただきます。
○黒川政府委員 「同和地区精密調査報告書」についてでございますが、この報告書は同和対策事業特別措置法施行後の同和対策事業の実施状況を明らかにするとともに、この事業の今後におきますあり方等に関する基礎資料を得ることを目的といたしまして、昭和四十九年度に、同和問題についての深い見識を持っていらっしゃる学識経験者に調査を依頼いたしまして、その結果をまとめた報告書でございます。
 これは、同和対策協議会の委員、それから関係省庁等の関係者に配付したものでございますが、御指摘のように、この報告書が古書籍商において販売されていることが判明したわけでございますけれども、総理府といたしましては、現在どんな経路でこの報告書が販売されるようになったかということにつきまして鋭意調査しているところでございます。今後その調査結果をもとにいたしまして、どのような措置をとるか慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。

当時は「部落地名総鑑事件」の最中で、政府が発行したこの種の本が部落地名総鑑のもとになっていたとして問題とされました。例えばこんな風に。

○矢山委員 そこでもう一つ聞いておきたいのですが、私は、この「地名総鑑」なるものの内容をちょっと見たのですが、この内容を見ると、これはちょっとやそっとで調べられるような内容じゃないのですよ。これだけの資料のもとというのは、これを握っておるのは政府しかないと私は思う。先ほどの「地名総鑑」等の中に、一つの問題については、大阪府の調査機関の方が調査をした資料が漏れたのかもしれないというような意味の御発言がありましたが、私は、やはり公的機関、特に国が調査したその資料が漏れておるのではないかという疑いを強く持つのです。なぜそういう疑いをよけい強められるかと言うと、今度のような同和対策地区の「精密調査報告書」が、発行部数も限定され、配付先も限定されて、しかも極秘扱いにして国会議員の資料要求にも応じない、地方自治体の部落解放対策担当者の要求にも応じておらない、それほど極秘扱いに厳重に扱っておるものが漏れるぐらいでありますから、したがって、「地名総鑑」のもとというものも政府の方から漏れておるのではないか、私はこういうふうに思うのですが、その点で、ここまで事態が発展している以上、政府としてはそういう点はなかったのかどうか、真剣に調査をされましたか。

で、その「同和地区精密調査報告書」がこれです。3センチくらいの厚さの本で、特に「マル秘」のようなことは書かれていません。

全国を網羅したのではなく、サンプル調査だったことが分かります。調査員には当時の部落解放同盟書記長、上杉佐一郎氏の名前が。

しかし、調査は詳細で、当時の同和地区の様子が赤裸々に書かれています。

○○は差別だ!と糾弾したら、それがそのまま行政や運動団体に跳ね返ってくる。それは当時も今も変わらないことだったようです。

隣保館の対象となる地域住民は同和地区住民

去年の12月のことですが、隣保館とはどういった位置づけの施設なのかということを大阪府が厚生労働省に質問し、厚生労働省がそれに答えたということがありました。これがその文書です。

隣保館厚労省見解H22.pdf

中央省庁特有の曖昧な言い回しですが、隣保館の対象となる地域住民は「同和対策事業対象地区の指定を受けていた地域や何らかの事情で地区指定は受けなかったが差別の実態が生じていた地域の住民を示しています」と書いてあります。「隣保館はただの社会福祉施設だ、同和地区とは関係ない」と自治体が口が裂けても言えないのは、やっぱりこのような事情からだと思います。

資料の最後の方を読むと、厚生労働省がこのような見解を出したのは、部落解放同盟の顔色をうかがってのことだということが分かります。「隣保館の周囲は被差別部落だ、部落差別はまだあるんだ」という見解を政府に維持してもらわないと、事実上の同和対策事業も終わってしまい、隣保館への補助を続けてもらう理由もなくなってしまうという危機感があります

法律上は一般の社会福祉施設であるはずの隣保館は、事実上は間違いなく同和地区の「ランドマーク」。そんなことを政府のお墨付きを得てまで強調するのは地域の恥と考えるのが普通の感覚だとは思いますが、いつまでもそうせざるを得ない理由は「カネ」と「メンツ」なのでしょうか。

鳥取市が同和減免の対象地域を開示できない理由

鳥取の下味野地区で行われてきた固定資産税の同和対策減免の対象書類の開示を求めていた件で、鳥取市情報公開・個人情報保護審査会の答申が出されました。もちろん結果は不開示です。以下に決定と答申内容をアップロードしました。

固定資産税課-情報公開決定書-H230921.pdf
固定資産税課-個人情報開示決定書-H230921.pdf

鳥取の行政関係者は未だに「同和に逆らうと街宣車がやってきて大変なことになる」と、同和に対する恐怖心が植えつけられておりまして、それを考慮すると開示されるということはあり得ない話だったのですが、やっぱりそうなりました。

今回は趣向を凝らして情報公開請求に加えて、下味野住民の立場で個人情報開示請求をしています。非公開とされた理由を要約すると、下味野という行政区画内に同和地区があることが分かると、下味野地域の住民の権利利益を侵害するということだそうです。

驚くべきことに、個人情報開示請求についても「開示請求者本人が通常知っているかどうかの問題ではない」として不開示としています。もしそうなら、個別的開示制度である個人情報開示制度と、情報公開制度の違いがなくなってしまうので、明らかに法解釈の誤りだと思うのですが。また、減免の基準が開示されないのに、実際に減免を受けた人はどうやって自分が減免対象であることを知るんだという問題もあります(答申には、とにかく申請すればいいみないなことが書いてありますが、実際は申請しようとすると理由も告げられずに門前払いされます)。

他にも突っ込みどころがたくさんありまして、今月号の同和と在日で解説しております。

この問題については、来年の3月までに鳥取地裁に提訴できることになっております。

草津市の嘱託職員募集で就職差別

今から2年ほど前、滋賀県内の高速道路サービスエリアに、こんなポスターがありました。

「どこの人」ではなく、「どんな人」 信じ合い、認め合う心、それが宝物。

一方、こちらのコメント欄をご覧の方はすでにお気づきのとおり、滋賀県草津市では「西一の人」という条件で嘱託職員の募集が行われておりました。しかも、なぜか市の嘱託職員なのに部落解放同盟西一支部の支部役員が選考を行うとされています。

コメントによれば「同僚が転職するというので同和地域の会館の職員に応募したら開放同盟の方から数年前に引っ越してきて会員でないのが理由で断られたと相談をされた」とあるのですが、上記のチラシが’配布された時点では同盟員以外でも採用するつもりだったのですが、後で待ったがかかってしまったようです。結局、複数の応募者のうち同盟員だけが採用されています。

滋賀県では、公正採用ということに力を入れており、民間企業にも同和問題の啓発と、就職差別の防止のために「企業内同和問題研修窓口担当者」というのが設置されております。県の基準では20人以上の事業所に設置されることになっているのですが、草津市では10人以上の場合と、より強い基準になっています。企業が不公正な採用方法を行っていることが分かると、行政から指導があったりするわけです。

とは言え、民間の企業がどこの誰をどんな方法で雇用しようと、それは原則自由です。しかし、行政職員の採用で、しかも事前に知らせなかった条件を応募の後に明らかにして落とすというのは、かなりまずいのではないかという気がします。

この件の深層は月刊「同和と在日」でレポートする予定です。

同和地区出身だと失業手当が延長される制度

「俺は同和だ」とハローワークに言えば、失業手当が延長されるという制度、詳細な資料を読者からご提供頂きました。おそらく、どこかの政治団体向けに厚生労働省就労支援室が提供したデータと思われます。厚生労働省就労支援室に確認したところ、確かに「うちが持っているデータと一致する」とのことでした。

以下の表は、各都道府県別に同和関係者向けに失業手当の延長給付が認められた件数です。

月刊「同和と在日」4月号で報じたとおり、同和関係者であれば、失業保険への加入期間が1年に満たない場合は通常はもらえない失業手当がもらえたり、通常は90から150日支給される失業手当が300~360日まで延長されたりと非常にお得な制度です。私が知っているのは高知の例だけでしたが、この資料によれば全国でやっているようです。

職を失った方は、ぜひ「俺は同和だ」と言って延長を申請してみることをおすすめします。行政手続法により、申請は拒否できませんし、却下される場合は理由が示されなければいけません。運がよければ失業手当が多よりく貰えますし、そうでなくても「あなたは同和関係者ではない」とハローワークが証明してくれるかも知れません。

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