鳥取県議会で鳥取県の部落マップのことが話題になる

3月12日、鳥取県議会の本会議で、私が掲載している鳥取県内の同和地区(被差別部落)のことが話題になりました。

こちらのページの下の方で公開されている、長谷川稔議員の質問です。40分ころから、この話題が出てきます。

http://www.pref.tottori.lg.jp/207483.htm

議論されたのは、いかにしてグーグル等に対して働きかけて、この地図を消させるかという事柄だけでした。これは全く意味のない議論です。

まず、技術的に言えば、グーグルに働きかけても消えません。今はたまたまグーグルのサーバー上に全てのデータを置いていますが、グーグル以外のサーバー上にデータを置くことも可能だからです。実際、隣保館.comはその方式で運営しています。そして、あちこちのサーバーにコピーしまくってしまえば、グーグルに削除要請をして仕事しているふりをすることも、“ガス抜き”も出来なくなります。

また、社会的な視点で見てもこれは消せないでしょう。「国民は同和対策で作られた施設のあった場所を公言してはいけない」という法律を作ることは現実的には無理です。大阪府のいわゆる興信所条例でさえ、業者以外の一般国民は対象としていません。同和施設について公言することを例外なく禁止するならば、同和行政も部落解放運動も巻き添えにして、完全に再起不能にするしかありません。

平井知事は部落マップについて「社会病理」と言っていますが、本質的な議論を避けて、全く現実的でなく、何の解決にもならない、削除のための議論を延々と続けざるを得ないことこそが社会病理ではないのかと思います。

たぶん、こんなことを続けても無駄だということは、多くの人が気付いていると思うのですが、言えないんでしょうね。多くの人のメンツに関わりますし、「場の空気」を乱すことにもなりますし。何より、同和が絡むことなので、下手なことを言うのは恐いという意識があると思います。

人権侵害投稿 閲覧可能状態に 県公式ツイッターサイト

日本海新聞に以下の記事が出ていました。

鳥取県の公式ツイッターポータルサイト「toritter(トリッター)」に人権侵害の書き込みがあることが、29日に県庁で開かれた差別事象検討小委員会(委員長・一盛真鳥取大学地域学部准教授)で取り上げられた。有識者委員がサイトの閉鎖を県に求めたが、この日は結論を持ち越した。情報交換の場として一定の利用もあり、県は難しい判断を迫られる。

続きはこちらで

私のことと思いますが、この件については鳥取県からも一切連絡はありませんし、日本海新聞からも取材を受けていません。なので、何が「人権侵害の書き込み」なのか分かりません。

同和問題に絡んで特定の個人名を挙げて差別的な発言をしたり、別の差別的なサイトへ誘導したりする投稿で、ごく少数の投稿者が投稿している。ハッシュタグさえ付ければ自動的に投稿が表示され、県が削除できない仕組みのため、検索すれば問題の投稿が2~3週間は閲覧できる状態になってしまう。

 委員会では、問題の書き込みに対し弁護士の吉岡伸幸委員が「刑事でも民事でも名誉毀損(きそん)で裁判できるレベル」と指摘。県ケータイインターネット教育推進員の今度珠美委員も「人権侵害の落書きがあれば問題になるのに、個人名が出るような状態は放置するのか」などとして、サイトの閉鎖を提案した。

「個人名を挙げて差別的な発言」が何なのかということも、「差別的なサイト」のどこが差別的なのかも分かりません。これでは新聞の読者も何のことか分からないだろうし、どうして「鳥取ループ」とはっきり言わないのかと思います。5W1Hを押さえていない、よくない記事の例です。

本当に吉岡伸幸氏が「刑事でも民事でも名誉毀損(きそん)で裁判できるレベル」と指摘したのかどうか分かりませんが、要は私のサイトの内容について反論したくないから、日本海新聞を使って脅しをかけたつもりなんだな、としか取れません。

私はいかに鳥取県の同和行政と、同和問題についての啓発が矛盾しているかということを、証拠と根拠を示しつつ淡々と指摘してきました。例えば同和地区の場所を調べるなと言っているのに、行政が隣保館や地区会館の場所として同和地区の場所を事実上公開しているということ。過去の学校教育との整合性の問題伏せ字の解放令なんかもそうです。

おかしい事をおかしいと言っているのに、問題に向き合わずに、他人を黙らせることばかりをして、矛盾に矛盾を積み重ねているから、いつまでたっても同和問題を解決できないのです。そのことを実証することが名誉毀損だとか差別だというのであれば、どうぞ刑事でも民事でも裁判してくださいとしか言い様がありません。私も出版人である以上「思想犯」になる覚悟は出来ていますので。

とっとり県政だより2月号「人権が尊重される社会へ」

とっとり県政だより2012(平成24)年2月号より。

本サイトを「差別行為」と名指しで批判して、昨年末から年を越しながら匿名で自作自演の批判サイトを立ちあげていた人の言葉が載っています。

新しい課題に、インターネットによる人権侵害があります。現在、わが国には差別行為を禁止する法律がなく、ネット上では匿名性を悪用した人権侵害が野放しに行われ、被害者は泣き寝入りの状態です。冷やかしやからかいの情報が掲載され、画面上のイメージが偏見や差別意識を植え付けます。県民や行政が長い時間をかけて築いた施策や教育の成果が安易に壊され、悔しいです。部落差別をはじめ、あらゆる差別をなくすために法律の整備が望まれます。

誰でも分かること、誰でも知るべきことについて、黙ったり、嘘をついたり、ごまかしたり、白々しいことを言ったりして、しかもそれを他人にも強要するような施策や教育が壊されるのは当然のこと。

「法律の整備が望まれます」というのは、要は反論できなくて悔しいから、自分らの考えと相容れない人間を警察に逮捕してもらって、罰金を取るか刑務所に入れたいということなのでしょうが、それのどこが「人権が尊重される社会」なんだと思うわけです。

鳥取市が児童館名・道路名を非公開にした理由

鳥取市が合併特例債を財源に行った同和地区環境整備事業の対象地域名を黒塗りにした件、理由説明書が送られてきて、意見書を提出するように通知が来ております。

鳥取市情報法公開審査会平成23年10月27日.pdf

同和地区と推測される対象地域を公表することは、差別を助長するおそれがあると説明されていますが、そもそも黒塗りにしたから西品治の児童館や国安の市道が同和地区名を冠したものだと確実になったけわけで、矛盾しております。とは言え、前回の経験から同和がからむと、鳥取市の情報公開審査会は非公開という結論ありきで審議するということが分かっているので、無駄な意見書は出さずに放置します。

ついでに、法務省の方は、人権侵犯事件記録を利用停止しないと採決しました。

裁決書平成23年10月31日.pdf

要約すると、「役所の内規で定めてあるので問題ない」という理屈ですが、そんなものであろうと思います。役所でも民間企業でも「それがうちの仕事なんだ!」と言ってしまえば、どんな個人情報を収集しようと「正当な業務」ということになるのが実情です。そうでなければ、調査業というものは成り立たないですしね。

史料 鳥取藩における被差別部落の歴史

鳥取県の図書館では同和関係の資料に利用制限がかけられ始めているようですが、そのような資料の1つを、とあるルートから入手しました。
史料 鳥取藩における被差別部落の歴史

題名は「史料 鳥取藩における被差別部落の歴史」。著者は宇田川宏氏で、鳥取では有名な部落史研究者です。発行されたのは昭和54年で、非売品でした。図書館などに配布されたようです。
史料 鳥取藩における被差別部落の歴史

エタ村の地図です。「古海エタ村」という記述があります。もし県立博物館などにこの地図が置かれていたら、今なら大問題になってしまうでしょう。

史料 鳥取藩における被差別部落の歴史

左側のページには鳥取市田島、西品治町、倉吉市福吉町2丁目、米子市富士見町2丁目が「都市部落」であることが明記されています。昭和54年と言えば「部落地名総鑑事件」から4年後の年だったはずですが、それでも当時はこれだけ大らかでした。

右側のページにもよく知っている地名が列挙されています。私の認識が正しければ、「同和地区」でない地名もあるようですが、おそらく穢多の世帯数が非常に少なかったために、戦後には被差別部落として認識されておらず、地区指定されなかったのではないかと思います。

鳥取県同和地区マップを消させるための対策会議資料

月刊「同和と在日」8月号のAndroidマーケット版を発売しました。Androidスマートフォンをお持ちの方はこちらからどうぞ

さて、鳥取県では鳥取県内の同和地区マップを消させるための対策会議が行われています。最新の会議録はこちらで見ることができます。

また、過去の会議資料を鳥取県に情報公開請求していたのですが、全て公開されました。以下からご覧ください。

鳥取県同和地区マップ削除会議.pdf

注目すべきは、会議の資料として提出された各種同和地区マップも全て公開されていることです。鳥取だけでなく、以下のような大阪の同和地区マップも公開されました。

法務局の場合は個人情報開示請求に対して同様の情報を非開示としましたが、それを公開してしまうのがさすが鳥取県という気がします。重要なのは、個人情報の「開示」ではなく、情報の「公開」をしているところです。これが何を意味するのか、月刊「同和と在日」8月号で詳しく解説しております。

また、対策会議では鳥取県立図書館等が所蔵している同和関係の資料や、歴史資料の利用制限について検討されています。鳥取県に限らないですが、残念ながら日本では同和事業や歴史の研究について「学問の自由」というのは存在しないようで、「許可」が必要なことが度々あります。今後ますますその動きが強まりそうです。

同和地区の調査禁止が大阪から鳥取県にも進出中

最近「宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針の策定について」という文書が出されています。

宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針の策定について.pdf

最近、人が差別されるという事案が減ってしまったので「いや、人ではなく土地が差別されているんだ!」ということが、新たな啓発ビジネスの種となりつつあります。アクションプログラムによれば今年の7月には土地差別問題に詳しい大学教授の講演が行われることになっていますが、7月14日午後1時50分からとりぎん文化会館小ホールで、近畿大学の奥田均氏の講演が行われます。

アクションプランによれば、調査会社が建設業者への報告書の中で同和地区等を「不人気エリア」「敬遠されるエリア」などの差別的な記載をしていたということなのですが、これらの地域は、そこに住むと結婚や就職で差別されたり、商取引も敬遠されるエリアと鳥取県が認定しているので、調査会社の報告書は間違っていないように思います。

あるいは、行政が同和地区を調査する「同和地区実態調査」を、2005年を最後に鳥取県がやめてしまったので、民間に対して調査をするなと堂々と言えるようになったのではないか、そんなことも感じています。

鳥取市の合併特例債で行われた同和地区環境整備事業

鳥取市で最近「同和地区環境整備事業」なるものが行われたという話を聞き、情報公開請求で関係書類を入手しました。

国から「地方改善施設整備費補助金」「児童厚生施設等整備費補助金」というのが出ています。それぞれ、隣保館、児童館の整備費用として出されるものです。本来は「一般対策事業」のはずなのですが、現場ではこのように同和対策事業に化けております。

児童館名が黒塗りにされていますが、これは西品治児童館です。一度児童館を解体し、隣の児童遊園に建てなおして、古い児童館の跡地に再度児童遊園を整備するという工事が行われています。黒塗りにされた道路は、市道国安11号線です。いずれも一般の公共工事なので、他の予算関係書類や入札関係の書類から、時期や予算が一致する事業を調べればすぐに分かります。倉田、富桑隣保館はいずれも小学校区名を冠したものなので黒塗りにされておらず、他が黒塗りにされたことで、西品治と国安が同和地区名であるということが分かってしまいました。

それにしても、隣保館も児童館もとっくに一般事業化されているのに、なぜ同和地区環境整備事業という分類になっているのか、不思議です。想像ですが、同和という名目の予算なら市民から異論が出にくく、市議会を通りやすいという事情があるのかも知れません。

鳥取県人権局長によるGoogleへの削除要請文と回答

鳥取県内の同和地区マップを消させるために鳥取県が総務部人権局長名でGoogle社へ出した要請文と、Google社による回答が手に入りましたのでご覧ください。

鳥取県によるグーグルに対する削除要請.pdf

見所は6枚目のGoogle社への照会です。削除要請に対して「規約類への違反があるとは判断できませんでした」と回答したGoogle社に対して、鳥取県人権局長としては規約の違反があると考えている、そうでないなら具体的な理由を答えて欲しいと求めているわけです。

非常に奇妙なことは、規約はGoogle社と私との間の契約であって、鳥取県は無関係です。なおかつ、「人権」と名のつく部署が、局長級の職名で大企業に対して「消費者に対して不利な解釈をしないのはどういうことだ!」と問いただしているわけですね。同和絡みでなければ、こんなことはまずあり得ないでしょう。

いかに行政において同和地区の扱いが特殊で異常であるかを証明する非常によい資料であると思います。

また、同和地区について「鳥取県も公認の差別対象地域です」というのは誤った記述だと書かれておりますが、公認でないなら人権・同和対策課という部署は不要ではないかと思うのです。また、「この近くに住むと、就職や結婚を断られたりする」「この付近の出身と分かると商売での取引も敬遠される」というのは鳥取県の公式見解のはずで、それが問題なら県として撤回すればよいのではないでしょうか。行政により公にされている公式見解を公言してはいけないというのであれば、私に対する著しい言論の自由の侵害です。

人権同和対策課

当サイトが部落解放で紹介されています

当サイトが部落解放研究第44回全国集会の分科会で紹介されまして、そのことが部落解放に掲載されています。

部落解放2011.2増刊号1.pdf

例によってこの地図が問題になっています。

突込みどころは多いのですが、一番の突込みどころは「企業を巻き込んで大きなうねりをつくることが必要だ」と言っている割にはいまいち盛り上がっていないこと。「グーグルマップには書き込める欄があるので、みなさんの思いをグーグルに届けることも大事な取り組みではないかと思う」と言っている割には、自分が書き込んでいないこと。そんなところでしょう。要は阿呆らしくて誰もあまり関わりたくないのです。

県議会でも山田幸夫議員(今年の統一地方選挙で落選)がこのことについて質問しておりまして、平井知事が以下のように答弁しています。

この点につきましては、我々も厳重に抗議をいたしております。今、プロバイダーのほうに対してサイトからの削除に関する法律がございまして、そういうような手続が整備をされてきておりますけれども、我々としても、今回のインターネットサイトへの掲載につきましては許されざるものがあるというふうに考えておりまして、削除を求めてきております。そして、今回の掲載の仕方、内容について、鳥取県の公認差別対象地域であるとか、そういう表現も用いられていまして、どうも事実にもふさわしくないところがある。そういう意味では虚偽の部分があるのではないかというふうに考えておりまして、今後も厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

はっきり言って、私のところには、全く抗議が来ていません。厳正な対処もされていません。

私が掲載した情報について「虚偽の部分がある」とのことですが、間違いなく事実です。虚偽ではありません。既に最高裁で確定した判決でこう述べられています。

平成17年12月に報告された鳥取県人権意識調査においても、自分の子が同和地区出身の人と結婚しようとする場合の対応につき、結婚に否定的な回答が約20%を占めているなど、同和地区出身者に対する差別がなくなったとはいえない現状においては、受講者が同和地区出身者であると認識させるおそれのある本件情報は、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められる情報に当たるということはできない。

 

同和地区出身者により経営されていると認識された企業は、他の企業から取引の相手方として選択することを忌避されるおそれがないとはいえない

これは裁判の中で鳥取県が述べたことで、判決を鳥取県も受け入れているので「鳥取県も公認の差別対象地域です。この近くに住むと、就職や結婚を断られたりする厳しい現実があるそうです。この付近の出身と分かると商売での取引も敬遠されるとのことです。」というのは事実なわけです。

隣保館や地区会館が同和地区の施設であることは公知のことで、目的、位置、名称は条例または規則により公布されています。

また、部落解放同盟は最近の綱領で「部落民とは、歴史的・社会的に形成された被差別部落に現在居住しているかあるいは過去に居住していたという事実などによって、部落差別をうける可能性をもつ人の総称である」としています。被差別部落と同和地区はほぼ同義語なので、同和地区の施設が近くにあるという事実は、そこに住む人にとって「同和地区出身者であると認識させるおそれのある」情報ということになります。

同和地区の施設の場所が地方自治法により公開されていることは繰り返し説明してきましたが、裁判の判決も憲法82条により公開されます。

ということで、鳥取ループは公開された事実を提示しているだけで、名誉毀損も人権侵害も行っていません。プロバイダに圧力をかけて鳥取ループを黙らせようとすることは、憲法第21条違反、つまり「言論、出版その他一切の表現の自由」という基本的人権の侵害であり、「検閲」ということになります。

行政がこういう行為をやったということは、後世の教訓にすべきだと思いますので、同和地区マップは永久に掲載を続けます。

次のページ →