解放同盟鳥取県連の集会に鳥取市職員を動員

鳥取県人権救済条例について、知事が凍結の方針を示すなど、その是非が問題になっている最中、今年の2月5日に鳥取県民文化会館・梨花ホールで行われた部落解放同盟鳥取県連合会の集会について、市役所職員に動員がかかっていました。市役所職員に集会への参加を呼びかけるメールが配信されていたという情報を得たため、鳥取市在住者と協力して情報開示を求めたところ、その全文が開示されました。その内容は以下の通りです(左右にスクロールします)。

18年1月30日
職員の皆さんへ
同和対策課長
差別事件を考えるシンポジウムについて
 標記のことにつきまして、部落解放同盟鳥取県連合会から出席要請がありました。
つきましては、下記のとおり開催されますので、職員の皆様の積極的な自主参加をお願いいたします。
 なお、参加資料代として1,000円が必要ですので、出席いただける方は2月3日(金)までに同和対策課へお申し込みください。
記
1.日 時 平成18年2月5日(日)午後1時から4時30分まで
2.場 所 鳥取県民文化会館 梨花ホール
3.主 催 部落解放同盟鳥取県連合会
4.日 程
12:00 受付
13:00 開会行事 
      主催者代表挨拶 中田 幸雄(部落解放同盟鳥取県連合会委員長)
      来賓挨拶       片山 善博(鳥取県知事)
13:20 講演
      「差別や人権侵害に苦しむ人々を救済する社会システムを目指して」
-鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例制定の意義と課題-
      講師 友永 健三(〔社〕部落解放・人権研究所 所長)
14:10 シンポジウム
      「連続大量差別ハガキ(封書)事件の真相に迫る」
(被害を受けた当事者の報告と対談)
      パネラー
        浦本 誉至史(部落解放同盟東京都連合会執行委員)
        友永 健三 (〔社〕部落解放・人権研究所 所長)
        山田 幸夫(部落解放同盟鳥取県連合会書記長)
16:30 閉会
※日曜日ですが、多数のご参加お願いします。
                 担当:同和対策課企画調整係 大谷、遠藤
                 TEL 20-3141内線(2271)

メールは鳥取市「同和対策課長」から「職員の皆さんへ」となっており、部落解放同盟鳥取県連合会から出席要請があったとしています。なお、メールでは片山善博知事が来賓挨拶をすることになっていますが、実際は藤井喜臣副知事が来賓として挨拶しています。

市内消息筋によれば、「この種の動員はしょっちゅうあり、勤務時間中の場合は出勤扱いとなる」ということです。また、別の証言によれば市教委においても同推協などの集会や研修へ公費で職員を派遣することも常態化しているといいます。

さて、このメールには「参加資料代として1,000円が必要ですので、出席いただける方は2月3日(金)までに同和対策課へお申し込みください。」と書かれています。しかし、当日個人的に参加した方の話によれば、予約は不要で、当日入り口で参加資料代を支払っています。

同和対策課によれば、参加資料代は個々の職員の負担であったということです。

自治労鳥取による条例推進署名は3倍増し

※2006年3月31日 連合からの署名要請について追記しました。

市役所労組署名

解放同盟と連合による、人権条例の早期施行を求める署名集めの一端をうかがわせるものを入手しました。
画像は、鳥取市役所内で配布されたと思われる、鳥取市役所職員労働組合が組合員に対して署名を要請した文書です。
以下に文面を記します。

2006年3月22日
代議員・支部役員
分会役員・組合員
各位
鳥取市役所職員労働組合
執行委員長 有 本 公 博

署名の実施について

別紙署名について、自治労県本部より要請がありました。
つきましては、各職場組合員のご協力をお願いします。

○集約期限   3月29日(水)まで

☆署名数    組合員1人:3名(本人、家族等)

《記入にあたって》

◎ 住所等が同じ場合でも「同上」「〃」などは、署名として無効となりますので、略すことなく記入してください。

☆ 空欄がある場合は、家族等で必ず全て埋めてください。


※ 期限厳守で組合書記局まで提出して下さい。

この件について、要請を出したとされる自治労鳥取県本部に問い合わせたところ、確かに組合員1人あたり3名を目標に署名を要請しているということです。

自治労は連合の傘下であるため、これも連合による署名集めの1つかと思われます。労組の署名集めで、このような3倍増しは珍しくないようです。

鳥取市役所職員労働組合の組合員数は約1300人、自治労鳥取全体では約9千人であるため、署名収集能力は2万7千人程度であることが分かります。

市役所労組署名1
市役所労組署名2

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差別事件を考えるシンポジウム

差別事件を考えるシンポジウム冊子

去る2月5日、鳥取県民文化会館・梨花ホールにおいて、部落解放同盟鳥取県連が主催した「差別事件を考えるシンポジウム」が開催されました。この集会には藤井喜臣副知事が来賓として挨拶しています。人権救済条例について知事が凍結の方針を示すなど、微妙な時期での開催でしたが、特にこれといった混乱はありませんでした。

一民間団体の集会として行われたことですが、実態として鳥取県下の自治体によるバックアップがありました。解放同盟鳥取県連から自治体職員に対する参加要請があり、同和対策関連の部署から各職員に通知されています。また、当日現地では、大山町、伯耆町、湯梨浜町、江府町、南部町、琴浦町、倉吉市の車両が見られました。

当日の委員長挨拶、副知事挨拶、講演、パネルディスカッションを録音したファイルが、インターネット上で公開されています。
さて、この集会で配布されたパンフレットには、「鳥取県内であいつぐ差別事件一覧」として、2004年以降の「差別事件」が10件書かれています。以下、その一部を引用します。

(1) 旧関金町立関金小学校児童差別発言事件

発生年月日 2004年12月10日
発生場所 関金町立関金小学校
事件の内容 給食の準備中、6年生男子生徒A、Bがふざけている時にAが「お前の好きな人○○だら」と何度もしくこく言ったので、Bが「差別だ」と言うと、Aが「部落の人」とBに対して言った。Bは「先生に言ったるけんな」と言って担任のところに行った。Aは「ごめん、ごめん。ふざけていっただけ」と謝ったがBには聞こえなかった。(○○は個人名)

(2) JR大山町トイレ差別落書き事件

発生年月日 2005年2月28日
発生場所 JR大山口駅男子大便用トイレ
事件の内容 JR大山口駅男子大便用トイレ内壁面に10cm×23cm角で「○○町は部落だ皆で差別しよう エタ ヒニンだ!!」と黒のボールペンで書かれていた。(○○は米子市内の町名)

(3) JR米子駅男子用トイレ差別落書き事件

発生年月日 2005年5月3日
発生場所 JR米子駅男子大便用トイレ
事件の内容 JR米子駅男子大便用トイレ内の付け棚上面に黒いマジックで「0852-△△-△△△△ 柴 チョーセン殺せ」と書かれていた。(△△は電話番号)

他の7件の概要は次のようなものです。

(4) 2005年5月26日に鳥取県東京事務所に職員に同和地区出身者がいるかどうか問い合わせる電話があった。
(5) 2005年5月から6月にかけて、県立鳥取商業高校の校舎内に、「えた」「死ネ部落民学校祭ニ出テクンナ」などという落書きがあった。
(6) 2005年7月21日に倉吉の同和問題講演会のチラシに「人お差別する町(倉吉)」と落書きがあった。
(7) 2005年8月27日に倉吉体育文化会館に「同和の人間は汚い」などと書かれた投書がされた。
(8) 2005年9月13日にJR鳥取駅やJR智頭駅のトイレに「外人使うな」などと書かれた落書きがあった。
(9) 2005年11月15日に解放同盟鳥取県連に鳥取市河原町のある地域について、同和地区であるかどうか問い合わせる電話があった。
(10) 2005年11月から12月にかけて、鳥取市の鉄道記念公園に「四 エタ」などの落書きが書かれた。

全てについて、「差別身元調べ事件」「投書事件」などと「事件」と題目がついていましたが、事件と言うに値するようなものは1つもありません。

(1)については、自分も小学生の頃覚えがありますね。6年生と言えば、学校によっては「立場宣言」が行われ、誰が同和地区の子か分かります。同和教育で差別という言葉を叩き込まれるので、この事例に出てきたBのように、何かにつけて「差別だ」と言う人がちらほら出てきます。

(6)は「差別落書き事件」と書かれていますが、何が差別落書きなのか意味が分かりません。

(9)については、宅地の競売物件にからむ問い合わせだったとのことです。鳥取市の場合「被差別物件」というものが行政によって指定されていますが、この問い合わせの件に関しては「同和地区に住んでいる人や友達が、地区に住んでいることでいやな思いをしたことがあった」というのが理由のようです。これに関しては、非常に複雑で根深い問題がありますので、おいおい触れてゆくことにします。

智頭町広報の連載記事

「広報ちづ 平成18年3月号」
差別のない社会へ 282

~『差別事件を考えるシンポジウム』が開催される~

去る2月5日石)、鳥取県民文化会館の梨花ホールを会場に、部落解放同盟鳥取県連合会の主催による『差別事件を考えるシンポジウム』が1500人の参加者により開催されました。
このシンポジウムは、平成14年3月末をもって失効した「特別措置法」から今日まで、県内で80件を越える部落問題にかかわる差別事件が惹起しており、配慮して公にされていない結婚差別問題などの課題を含めればまさに氷山の一角であり、これらの差別事件の背景や課題を明らかにして、差別の原因に迫る取り組みや差別に苦しむ人々を救済する社会のシステムを確立しようと開催された集会です。
主催者を代表して、中田幸雄県連執行委員長のあいさつの後、(社)部落解放・人権研究所の友永健三所長による『差別や人権侵害に苦しむ人々を救済する社会システムを目指して』~鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例制定の意義と課題~と題した講演では、昨年10月に全国で初めて制定された「鳥取県人権侵害救済条例」の歴史的な意義と共に、この条例の制定を求めて粘り強い運動を展開してきた関係者の努力に対し、まず敬意を表されました。その後、条例制定に至る主な経過や条例の内容、制定の意義などについて詳しく説明され、条例制定以降県弁護士会やマスメディアから寄せられている枇判に対して理論的な反批判をされました。
最後に、今後の課題として、県内における部落差別や人権侵害の実態を明らかにしていくことや条例の持つ積極的な意義を各方面に広めていくこと、人権侵害救済条例をよりよいものにしていくことの重要さを指摘されました。
『連続大量差別ハガキ(封書)事件の真相に迫る』のテーマで進められたシンポジウムでは、友永所長をコーデネーターに、部落解放同盟東京都連合会執行委員や鳥取県連合会執行委員など3名のパネラーが被害を受けた当事者として、ハガキや封書により送りつづけられた脅迫はがきの内容や被害者の名を騙った高価物品の送り付け実態、24時間に500件を上回る膨大なネットヘの差別書き込みなど550日も続き、家族もろともの「生き地獄」の毎日だったと語られました。
犯人は逮捕されましたが、東京地裁での裁判で、被告本人は事件をおこした動機について「大学卒業までエけ-ト街道を歩いてきたが、大学卒業後は自分が希望する職に就職できず、強いストレスを抱えた生活が続き、自身の抱えるストレス解消のために、図書館で読んだ本の著者であった見も知らずの被害者に向けて徹底的に部落差別をし続けた」と証言したそうです。
最後に、友永所長が「鳥取県人権侵害救済条例」は、基本的に評価されるものでありこの取り組みの全国化、国のレベルでの「人権救済法」の早期制定に向けて取り組もうと結ばれました。

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鳥取市内の高校講師の「差別発言」に対する人権救済

部落解放同盟鳥取県連が示してきた「被害者が救済されなかった具体的事例」についての続報です。事のあらましは過去の記事を参照してください。
この件については、市教委に不適切な対応があったとして、共産党の市議により議会で追求されています。鳥取市議会の議事録などをもとに、この件の詳細をお伝えします。
3人の生徒からの告発があったのは1999年2月で、当時の市教委の同和教育指導主事によりまとめられ、部落解放同盟(市議会議事録では「運動団体」とされていますが、解放同盟のことです)に報告されました。この際、差別発言をしたとされる講師に確認せず、生徒の告発を鵜呑みにして、講師が差別発言をしたと断定していたことが問題とされています。
その後、講師に対する確認会が行われました。そのとき、市教委や学校長から確認会への参加を強要するような発言があったとされています。以下は、市議会議事録からの引用です。

1回目の確認会は3月12日、沖縄での同窓会に参加を予定していたため、「出席できない」と断ったところ、「欠席したら沖縄なんかに行けないようになりますよ」。
2回目の3月30日では、A氏は「出る必要はない。尋ねたいことがあれば文書で聞いてほしい」。と言いましたら、「そんなことをしていたら、この問題は糾弾会に行くかもしれない」、家族の職業を挙げまして、「家族にまで害が及びますよ」。

解放同盟側の資料では講師が「自らの人権が侵害されたとしてその後の聞き取りや話し合いを拒否した。 」とされていますが、共産党鳥取市議員団が市長と市教育長に対して、講師に対する同和問題にかかわる人権侵害を止めるように申し入れた、というのが正確なところです。
最初のうち、講師は不適切な発言があったとして、生徒との話し合いを希望していましたが、市教委はそれを拒否しました。その後、講師は発言は事実無根であると主張しました。
しかし、差別発言について告発する内容をまとめたメモを指導主事が紛失してしまい、真相はうやむやになっています。解放同盟側の資料にもある通り、差別発言が本当にあったのかどうか、最後まで誰も確認できませんでした。市教委も取材に対して「その件については現在はノータッチである」と答えています。
教育関係者の証言によれば、この指導主事は市教委の中でも「解放同盟寄り」と見なされていました。現在、教頭として現場に復帰しています。本来の出世コースであれば、校長となるところですが、この一件が影響したのかどうかはさだかではありません。
なお、当事者の講師(50代)は既に病死しています。

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被害者が救済されなかった具体的事例

「鳥取県人権侵害救済条例の制定について」
部落解放同盟鳥取県連合会
06年2月「部落解放」561号
一九九九年、卒業式を目前にひかえた鳥取県立A高校に通う鳥取市内の被差別部落の三人の生徒から、一九九八年ごろより、この高校のB講師より差別的な言動を受けたとの告発があった(三人の生徒は、やっとB講師から離れられるという思いから卒業式の直前での告発となった)。
この告発を受けて市教委が生徒から聞き取りを行った結果、三人の生徒から、それぞれB講師によるA高校での英語の授業の際の発言内容、B講師の自宅塾での発言内容など、生徒に対する差別的言動の内容が告発された。
その事実を確認するために、県教委、市教委がA高校に出向き、B講師から聞き取りを行うとともに、その後、報告を受けた部落解放同盟も加わり事実確認を行おうとした(この聞き取りは、あくまで三人の生徒の告発内容をもとにすすめられてきた。しかも、B講師から事実関係を語ってもらうため、B講師にも配慮しながら話し合いの場をもつなど、時間をかけた聞き取りが行われた)。
しかしながら、B講師は、教育者でありながら、三人の生徒が傷ついていること自体を真筆に受け止めようとせず、それどころか、聞き取りによって、自らの人権が侵害されたとしてその後の聞き取りや話し合いを拒否した。
一方、生徒たちはその後卒業し、それぞれの進路を歩んではいるが、大切な「思い出」としてあるはずの高校三年生の時に、しかも卒業式直前までB講師によって心を傷つけられたことがいまでも心に重く残っている。
その中の一人の生徒は、卒業後、街でB講師と顔を合わせた際、B講師ににらみつけられたため、当時のことがふたたび思い出され、衝撃を受けた。
その後、事実確認も進展せず、卒業した三人の生徒もその保護者も、心に深い傷をもったままとなり、この問題は解決されなかった。
さらに、生徒の告発内容だけでは事実確認ができないままとなり、結局、事実関係については、B講師への配慮もあり、公表されることはなかった。
 
「人権救済条例」が、まさにこの事例のような被害者を枚済するために必要であり、迅速かつ適切な救済が求められる。

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人権意識調査について聞いてみました

ということで、この調査の中身について鳥取県人権局に聞いてみました。
Q. この調査票を作ったのはどなたですか。
A. 県です。
Q. (問4-①の公的機関への相談希望の有無について)選択肢の中に「自分で解決したい」という項目がないですよね。
A. B(2番目の選択肢)の前段がそうなると思いますけども。あるいは、C(3番目の選択肢)もですね。
Q. 「ふらっと」などには相談を希望する方が64.1%となっていますが、この中には自分で解決したいという人が含まれていますね。
A. はい、この53.2%(2番目の選択肢を選んだ人)も含まれています。
Q. それでは、相談を希望する、というのは正確ではないのでは。
A. こちらとしては、県に相談したいということでAとBを取ったということです。そういった希望が潜在的にあるということです。
Q. 自分で解決したいという人は2を選ぶしかないのでは。
A. そこは調査票には出てこないか、あるいはC(3番目の選択肢)に出てくるものと思います。
Q. それでは64.1%というのは、とても信頼できる数字とは思えないのですが
A. 私どもは相談・支援を受けたいという潜在的需要があるものと取っています。
Q. なぜ、自分で解決するという選択肢がないのか。
A. 積極的に自分や家族だけで解決するという選択肢を入れることもあり得たけども、公的機関に相談希望があるかどうかということをお聞きしたかったので、こういった設問になっている。
Q. であれば、選択肢の2は必要ないと思いますが。何か誘導しようという意図があったのか。
A. それはないと思います。あくまで公的機関に相談希望があるかどうかということですので。公的機関への相談希望が非常に強くある方が10.9%、その後に自分で解決したいけども支援を受けたいという人が53.2%であろう、ということです。
Q. 鳥取県内において社会の仕組みとしてアイヌに対する差別があると答える人が10%もいるので驚いています。県内にあるアイヌを差別する社会のしくみとは何のことなのでしょうか。
A. おそらく偏見として意識の面でとらえられていたことが、社会の面でも出てきたのではないかと思います。具体的にどういったことかということは不明な点があります。
Q. 10人に一人と言うのは大きな数字ですが、人権局では具体的な内容は把握していないのですか。
A. この内容については意識の面が社会の面で出たのかなぁと…
Q. そもそも、鳥取にアイヌの人が何人いるのでしょうか?
A. それは把握しておりません。

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平成16年度鳥取県人権意識調査

追記2006年1月15日意識調査の報告書が公開されました。
平成16年度鳥取県人権意識調査は以下のアドレスから見ることができる。
http://www.pref.tottori.jp/jinken/ishikichosa.html
この意識調査について、非常に奇妙な部分がある。以下の調査項目を見ていただきたい。
問4-①(公的機関への相談希望の有無)
あなたは、自分や家族が差別や人権侵害を受けたとき、公的機関(国や県、市町村の相談機関)に相談したいと思いますか。(○は1つだけ)
その結果の内訳は

  • 公的機関へ相談し支援を受け解決したい: 10.9%
  • できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい: 53.2%
  • 公的機関には相談したくない: 13.0%
  • わからない: 14.2%
  • 無回答: 8.7%

である。
そして、結果について。
「自分や家族が人権侵害を受けたとき公的機関に相談したいか聞いたところ、約64%の人が支援を求めたいと考えている。」
という見解が述べられている。
奇妙な点は「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答もこの64%に加えられていることである。「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢がないのである。
鳥取県人なら、鳥取には郊外や郡部で寄り合いの習慣が残っており、仲間内で物事を解決するしくみがあることをご存知だろう。にもかかわらず、「自分や家族・友人で解決したい」という選択肢が外されるのは不自然である。
仮に「できるだけ自分や家族・友人で解決したいが、公的機関への相談や支援も受けたい」という回答者のうち、本当に公的機関への相談を希望している人がごく少数であれば、「公的機関には相談したくない」という回答が「公的機関へ相談し支援を受け解決したい」を上回ることになる。
すなわち、人権救済条例の制定を意識して、わざと誘導的な設問にしたか、結果が歪曲されている可能性が高い。
2006年1月15日「誘導的な設問にした」が正解です。詳しくは追記を参照。
この意識調査には他にも不自然な点(例えば、鳥取県内にアイヌに対する差別が存在すると答える人が11.7%もいるなど)が多くあるが、ここでは詳しい説明は省略する。
詳しい説明はこちら→

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条例制定ありきで進んできた県教委

人権救済条例について、鳥取県庁から聞こえてくる声は、「議会が決めたこと」である。条例の可決前後に人権局に問い合わせたところ、「解放同盟からの圧力はあったのか」という問いに、職員は議会の方に要請があったようだが、特定団体から県庁に対して圧力があったということはないと答えている。
人権局に関しては最初から条例制定のために動いていたことを伺わせる事実が分かっているが、もう1つ条例制定ありきで動いてきた部署がある。鳥取県教育委員会である。
鳥取県人権教育基本方針には、次の記述がある。

人権教育とは、人権問題を解決し、すべての人の人権が尊重され、保障される社会を築くためのものです。
人権教育施策の立案に当たっては、誰のどんな人権が侵害されているのか、その原因、背景にある要因は何かについて、具体的に把握し分析することが必要です。
そのためには、人権侵害を明確に把握するための実態調査を実施したり、人権相談または人権侵害の申立窓口を設置したりすることが重要です。これらの窓口では、人権侵害の救済に取
り組むと同時に、一定期間に寄せられた相談・申立の個々のケースの背景をさまざまな角度から分析し、その結果を人権教育の課題としてフィードバックしていく必要があります。
したがって、人権侵害の相談を日常的に受けている機関と教育・啓発担当組織との連携を積極的に図っていくことが必要です。
国においては、平成9(1997)年3月に「人権擁護施策推進法*」が5年間の時限立法として施行され、同法に基づいて法務省に人権擁護推進審議会が設置されました。この審議会では、
法務大臣の諮問に応え「人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策」及び「人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策」について
審議されました。そして、救済に関しては、平成13(2001)年5月に「人権救済制度のありかた」、12月には「人権擁護委員制度の改革について」の答申が出されましたが、人権侵害事例
に対する現行制度の対応は十分なものとはいえません。
現在、女性に対する暴力や子ども、高齢者、障害者への虐待をはじめ、人権に関する相談件数が増加し、相談内容も多様化するのに伴い、相談機関の一層の充実や実効ある救済制度の創
設が求められており、県独自の救済制度の創設について検討しているところです。
鳥取県教育委員会としても、他部局と連携して具体的な人権侵害の実態の把握に努め、そこから明らかにされた課題を人権教育に明確に位置づけた取組の充実を図ります。

このように、県教委は露骨に条例制定を推進している。この基本方針は県下の各市町村にも通達されるため、当然、現場の教員もこれに従った教育を行う。つまり、こういうことである。
県教委が救済制度が必要であると県民を教育する

人権局が意識調査で救済制度が必要という結果を出す

救済制度を作り、県教委が人権教育に反映する

以下永久ループ
人権局は条例制定の根拠として「県民意識調査で、公的機関への相談を希望すると回答した人は約65%に上る」ということを挙げているが、実態はこのようなものである。
しかし、なぜ県教委がここまで露骨に条例制定を推進するのか?その背景は特定団体との癒着である。鳥取県のとある教育関係者は次のように語る。

「県自体が解放同盟の影響を受けていることは間違いのない事実です。これは、ある意味偏向ではありますが、むしろ県教委は『全同教』といった教育運動団体の影響も強く受けています。」

実際に鳥取の市町村の教育委員会が全同教大会に職員を派遣しているという実態がある。全同教は、解放同盟、自由同和会と共に「人権政策の確立を求める連絡会議」を構成しており、人権救済制度の設立を推進してきた団体である。
鳥取県下の全同教加盟団体と言えば「鳥取県同和教育推進協議会」である。そして、会長の宇山眞氏は、「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」の委員として、人権救済条例の制定に関与している。

「部落差別」条例に抵抗した兵庫県

鳥取県の全ての自治体が「部落差別」条例で埋め尽くされてしまった頃、隣の兵庫県でも部落差別撤廃のための条例を制定する運動が進められていましたが、兵庫県はこれに抵抗しました。1995年5月12日、兵庫県地域改善局が、兵庫県黒田庄町(今年10月1日に西脇市と合併)で制定が進められていた「部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする条例」についての問題点をまとめた文書を出しています。非常に興味深い資料ですので全文掲載します。
なお、部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする条例の原案も参照してください。

「部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする条例」の問題点等について
第一 全体
一般的に条例の制定に当たっては、(1)目的の把握(2)現状の分析(3)効果の検討(4)体系上の検討の点に留意する必要がある。
黒田庄町の条例は、この点につき「町民一人ひとりの参加による人権を尊ぶ町づくりと、明るい地域社会の実現に寄与すること」を目的として制定するものであるが、その目的を実現するために、条例制定以外に方法がないか否かを慎重に検討する必要がある。
まず、部落差別を含めて他の差別についても多くの課題が残っていると言う前提に立っているが、その課題を解決するために、果たして対象地域や対象者の固定化という危険を犯してまで、特別対策としての条例を制定する必要があるのか疑問である。在日外国人、障害者、女性については一般対策でも実施しており、特別対策として実施するだけの理由が見出せない。
また、目的を実現するための施策が、部落差別だけでなく、あらゆる差別にまたがっているため、差別(定義が明らかではないが)を前提とした施策は、非常に広範囲のものとなり、町は大きな財政負担を強いられることが予想される。それに、これらの施策の中には、町独自の権能では実施しえず、国及び県の協力が必要なものがかなり含まれているため、今の状況では、町独自の条例を制定してもその効果については、はなはだ疑わしいと言わざるを得ない。結局、人権意識の高揚を図るための啓発活動が中心となってくることが予想されるが、これについては、敢えて条例を制定してまで実施する必要性があるのか疑問が残る。むしろ、人の心の問題を、条例で規定しても実質的な効果は上がらないと考えられるため、条例制定の意義は薄い。
第二 逐条
1 名称
(1) 「あらゆる差別」といった抽象的、包括的な名称は、一般的には使用しない。
(2) 差別の定義が明らかでない中で、条例を制定することに無理がある。
(3) 部落ということによって、法失効後も対象地域及び住民を固定化させてしまう。
(4) 「部落差別撤廃とあらゆる差別をなくする」というのは、日本語になっていない。
2 前文
(1) 同和対策事業を推進してきたのは、国と地方公共団体であって、住民(町民)ではない。住民は事業の推進に協力してきたものである。(同対法第3条、地対法第2条第3項)
(2) 環境改善などを中心に大きな成果を上げてきたのなら、今後特別対策として実施するだけの必要性はないと考えられる。
(3) 多くの課題が残されているとは言うが、具体的にどのようなものが残っているのか疑問である。
(4) 啓発事業の推進等のソフト面以外にも、ハード面での課題が残されているのか疑問がある。県としては、法失効後は少なくともハード面での課題はないと考えている。
(5) 差別のない明るい地域社会の実現とは、いかなる状態を意味するものであるのか不明である。これにより、条例は恒久のものとして残ってくる恐れがある。
3 第1条(目的)
(1) 「部落差別」と「あらゆる差別」の関係が不明である。
(2) 根本的に差別をなくすということの、意味が不明である。
(3) 差別の定義が明らかでない中で、町民一人ひとりの参加による人権を尊ぶ町づくりは不可能と考えられる。
4 第2条(町の責務)
(1) 「必要な施策」が明らかにされていないため、目的達成のためには、町はあらゆる施策を講じる責務が生じる恐れがある。
(2) 「必要な施策」を推進することにより、新たな組織、これによる人員増等が予想されるが、これに対して町が新たに財政措置を講じる必要が生じる。
5 第3条(町民の責務)
(1) 「差別」についての明確な規定がなく、しかも「差別」かどうかを具体的に判断する機関(者)が不明な中で、町民にあらゆる差別をなくするための施策への協力を求めることはできない。
(2) 人権意識の高揚に努めることは、町民の主体性において行われるべきものであって、条例で努力義務を課するのは適当でない。
6 第4条(施策の推進)
(1) 何の目的を達成するのか不明である。
(2) これまでの同和対策の経過の中で、特別対策を真に必要なものに限定してきたにもかかわらず、生活環境の改善、社会福祉の充実、教育文化の向上及び人権擁護等の施策を網羅的に特別対策として実施することの必要性があるのか疑問がある。また、これにより新たな財政措置が必要になってくる。
(3) 第2条の必要な施策を具体化したものが、第4条になっているのか疑問がある。
7 第5条(実態調査)
(1) 地域改善対策事業は25年間実施してきており、同町においても着実に進展がみられる。かかる状況下で、今後とも調査する地域の特別な事情があるのかどうか疑問がある。
(2) 部落差別以外のあらゆる差別についても調査することになるが、果たしていかなる調査が実施できるのか。また、その結果を踏まえて町としてどのような施策を講じることができるのか疑問である、
(3) 調査対象者を特定する必要があるため、調査することによって、かえって人権侵害を生じさせかねない。
8 第6条(啓発活動)
(1) きめ細かな啓発活動事業の取り組みは、現在でも啓発委託費、補助金等を通じて実施しており、これ以上の取り組みが必要なのか疑問である。
(2) 「差別を許さない」という文言は、県では昭和46年から52年まで使用していたが、昭和53年以降は使用していない。これは、同和問題を許すとか許さないとかの対立的な考え方でとらえるのではなく、県民が一体となって努力していくことを目ざすという考えに立ったものであり、現在は「差別をなくそう」という文言をしようしている。
(3) 差別を許さない社会的環境の世論づくりを促進するということの意味が不明である。
9 第7条(推進体制)
(1) 条例の制定に国及び県が反対している状況で、町との連携を強めることはできない。
(2) 人権関係団体等とは、いかなる団体を意味するのか疑問である。また、このような団体と連携を強めることによりいかなるメリットがあるのかも疑問である。
10 第8条(審議会)
(1) 審議会を設置する以上、明確な目的、必要性がいるが、差別の定義が明らかにされていない状況では、設置そのものに疑問がある。
(2) 敢えて審議会を設置しなくても、現実には議会等の中で審議がされているものと考える。

結局兵庫県の自治体では「部落差別」条例が作られることはありませんでした。兵庫県は1974年に八鹿高校事件という部落解放団体にからむ大規模な暴力事件を経験しており、部落解放という大義名分だけで特定団体と行政が癒着すれば、深刻な事態を引き起こすということを住民も行政もよく認識していたと思います。

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