鳥取市には「総務部 人権政策監」という組織がある。これは2003年4月に発足したもので、人権教育、同和対策、男女共同参画といった人権問題に対処する専門の部署である。人権政策監の役職は部長級である。
この部署が扱う平成17年度の補助金額は6366万2千円である。この額は、総務部の他の部署(危機管理、総務、職員、収税)の合計(4964万2千円)よりも大きい。
以下はその内訳である。
名称 | 金額(円) |
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研究集会等開催事業補助金 | 250,000 |
市同和教育協議会補助金 | 4,277,000 |
世界人権宣言推進負担金 | 754,000 |
市人権情報センター補助金 | 35,047,000 |
鳥取市同和問題企業連絡会運営補助金 | 1,404,000 |
部落解放同盟鳥取市協議会補助金 | 18,000,000 |
同和地区学習活動事業補助金 | 840,000 |
同和地区青年・女性研修派遣及び学習活動事業補助金 | 900,000 |
部落解放・人権政策確立要求市実行委員会補助金 | 900,000 |
市男女共同参画登録団体補助金 | 1,200,000 |
鳥取県婦人大会開催費補助金 | 90,000 |
ご覧の通り、同和対策の補助金額が大きい。額が3504万7千円と突出している「市人権情報センター」は鳥取市解放センター内にあり、理事長は林由紀子副市長であるが、副理事長が徳田秀雄鳥取市同和教育協議会会長、理事に山田幸夫部落解放同盟鳥取市協議会議長が名前を連ねるなど、やはり同和団体と関わりの深い団体である。予算の用途の内訳を見ると、人件費が2448万8154円となっており、他は消耗品の購入費や印刷製本費用などである。
そして、1800万円もの金額が交付されている部落解放同盟鳥取市協議会については言うまでもないであろう。これについては、平成17年度の用途の内訳は示されておらず。前年度の内訳を見ると「女性啓発研修事業」「子ども会等を対象とした啓発活動」「全国人権・同和教育研究大会」の割合が大きくなっている。ちなみに前年度の額は460万であり、大幅に増額になっているのは、市町村の合併によるものである。合併により鳥取市の人口は約15万人から20万人に増えたのであるが、人口比率から考えて旧郡部(国府町、福部村、河原町、用瀬町、佐治村、気高町、鹿野町、青谷町)の補助金額がいかに大きかったかが分かる。
もう1つ、忘れてはいけない部署がある。教育委員会の人権・同和教育課である。教育委員会事務局が扱う補助金総額は3億1188万6千円であるが、そのうちの約20%、6356万2千円が人権、同和教育(というよりは、全て同和教育関連)に使われている。
以下がその内訳である。
名称 | 金額(円) |
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通学費補助(同和教育課) | 302,000 |
市地区同和教育推進協議会連合会補助金 | 10,648,000 |
同和奨学生研修補助金 | 630,000 |
同和地区保護者育成事業補助金 | 1,300,000 |
高校大学等進学奨励補助金 | 47,022,000 |
大学入学支度金補助金 | 2,895,000 |
部落解放全国子ども集会派遣補助金 | 360,000 |
部落解放全国識字経験交流会派遣補助金 | 405,000 |
突出しているのは「高校大学等進学奨励補助金」である。この補助金の目的は、次のように説明されている。
同和地区の生徒は、長年の厳しい差別のため教育の権利が奪われ、高校・大学への進学率はきわめて低い状態にあった。この制度は、この状態を改善するために設けたものです。
具体的な進学奨励金の給付額は以下の通りである。
- 高校
- 月額9千円
- 大学
- 月額3万3千円
- 専修学校
- 月額2万円
- 大学院進学予備校
- 月額1万8千円
ちなみに前々年度の給付総額は2604万9千円であったが、合併後は4702万2千円になっている。これも人口比率から考えると、旧郡部の給付金依存度が高かったことが伺える。