一部では事実上の同和対策となっている「子どもを支える人権のまちづくり促進事業」の関係書類を情報公開請求して、地域名や施設名が非公開とされ、さらに審査請求をした件。
平成22 年3月31 日付けの滋賀県情報公開審査会答申第46号により、少し公開範囲が広けるように答申が出されましたが、未だに審査請求の結果が出ていません。所管課に問い合わせたところ、さらに教育委員会で審議中で、近いうちに結果が出るとのことですが、具体的にいつ審議が終わるかという目処は立っていない状況です。
滋賀県のウェブサイトでも公開されている情報公開審査会の答申ですが、実はこれが重要な意味を持つのです。
子どもを支える人権のまちづくり促進事業が行われた市町はつぎの通りです。
長浜市、草津市、栗東市、甲賀市、野洲市、湖南市、東近江市、米原市、旧安土町、豊郷町、甲良町、旧虎姫町、旧木之本町
そのうち、答申により地域名や施設名が非公開にされたのは、つぎの地域です。
長浜市の一部、草津市、栗東市、湖南市の一部、甲賀市、東近江市の一部、野洲市、豊郷町、旧木之本町
問題は複数あります。
1つめは、地域や施設名を非公開にしても、おおよそどこのことか分かってしまうということです。少なくとも、草津市、栗東市、野洲市、旧木之本町については、(鳥取ループ以外の)インターネット上に公開されている情報から特定可能です。実際に答申どおりに公開されれば「引き算」することでほとんど全部特定されてしまうでしょう。
2つめは、公開できない理由にごまかしがあることです。答申には「対象地域が同和地区であることが分かる」情報を非公開としたように書いてありますが、公開とされた施設の周辺も同和地区です。なぜなら、この事業が行われる施設は、かつての「同和対策地域総合センター」だからです。
3つめは、公開できないような教育とは何なのかということです。滋賀県内の同和地区がどこかということは、誰でも分かることですが、同和地区が全て同じというわけではありません。住んでいてもそこが同和地区だと分からないようなところもあれば、そうだと分かってしまうところもあります。公開できないような教育とは、そこが同和地区だと分かるような教育ということを意味します。
一部の同和地区が忌避される理由は「不愉快な同和教育」であることは事実です。大阪で越境入学が問題になったのも、これが原因でした。もし、あなたに小中学校に通う子供がいれば「公開できないような教育」が行われている場所に住みたいでしょうか?
情報公開制度の本来の意義は、不都合な現実を隠すのではなく、不都合な現実を改善して、公開に耐えられるようなものにすることです。県教委がどのような判断を下すにしても、このことをよく念頭に入れるべきだと思います。