東近江市の同和地区関係施設の開示を命じた判決が確定

4月13日の大津地裁判決の控訴期限は4月29日でしたが、本日大津地裁に確認したところ、東近江市は控訴していませんでした。これにより、過去の条例に記載された同和地区関係施設(地域総合センター)の名称、位置は公開しなければならないという判決が確定しました。
少なくとも今後滋賀県内の自治体に対して、地域総合センターがあった場所が記載された例規を公開するように請求があった場合、自治体がそれを拒むためには、大津地裁に提訴されたら敗訴することを覚悟しなければならないということになります。
ただし、判決では周囲が同和地区であるとか、住民が差別対象になるといったことには触れられていません。地域総合センター周辺が被差別地域だということは、あくまで東近江市が(滋賀県もですが)言っている話です。

大阪法務局とのやりとり(音声)

大阪法務局との会話を録音しました。通常は個人的な会話を録音したり、公開ということはしないのですが、それなりの覚悟があって削除要請してきたと思いますので、今回は遠慮しなくてもよいと思います。
法務局の人権擁護活動がどのようなものか、非常に参考になります。例によってニコニコ動画でお聞きください。
Youtubeにもアップロードしました。
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大阪市内の同和地区一覧

大阪法務局からブログ運営会社経由で削除要請が来ました。

下記記載の情報を掲載することは,同和地区住民に対する差別を助長する行為に該当するものですので削除願います。
1 URL:/?p=291.html
「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」は「ざる法」に掲載された地図「大阪市内同和地区の概況」,地図「大阪市内の同和地区(被差別落)」及び「50年のあゆみ」(pdf)。
2 URL:/?p= 292.html
「大阪市の消滅した同和地区(中津・舟場)」に掲載された地図「地区の所在地」及び「10年のあゆみ」(pdf)。

大阪法務局に連絡して事情を聞いてみたのですが、法務局によれば「これは「お願い」であって行政指導ではない、従う義務はない」「記事の削除はブログ運営会社の責任で行うことであって、法務局に責任はない」そうです。
「ネットに同和地区の場所を書いても、削除要請には従わなくてもよい」と、大阪法務局のお墨付きが得られましたので、Twitterに大阪市の同和地区の場所をつぶやくボットを設置しました。こんなつぶやきでも、米議会図書館に収蔵されるそうです。
私は常々、この種の要請に従わないことは、国民の権利ではなく、義務だと思っていますので、削除を要請された情報を以下に再掲載します。
大阪市内同和地区の概況
引用元50年のあゆみ.pdf


より大きな地図で 大阪市同和地区(被差別部落)ツアー を表示
10年の歩み
引用元10年の歩み.pdf
詳しい地番が書かれた資料はこちらです

法務省に対して、さらに審査請求しました

「人権侵犯事件」の相手方および被害者として通知を請求したものの、断られた件について、相手方または被害者から請求があれば通知すると法務省の規程に書いてあり、行政不服審査の対象になるようなので、4月19日付けで審査請求しました。
特に、事件の被害者は「同和地区住民」と書いてありますが、何を根拠に私が被害者ではないと判断できたのか、答えてもらおうと思います。

1 審査請求人
…略…
2 審査請求に係る処分
(1) 大津地方法務局が、特別事件「インターネット上の掲示板を悪用した差別助長行為」(平成21年第174号、以降「事件」という)について、人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号、以降「規程」という)第20条第2項に基づく相手方への通知の請求を却下した処分(甲処分)
(2) 大津地方法務局が、事件について、規程第20条第2項に基づく被害者への通知の請求を却下した処分(乙処分)
3 審査請求に係る処分があったことを知った日
(1) 平成22年3月1日(甲処分)
(2) 平成22年3月30日(乙処分)
4 審査請求の趣旨
以下の採決を求める。
(1) 甲処分を取り消す
(2) 乙処分を取り消す
(3) あらためて相当な処分を行う。
5 審査請求の理由
(1) 甲処分について
処分庁が却下の理由とした、審査請求人が事件の相手方ではないというのは失当である。事件記録によれば、インターネット上の掲示板を悪用したとされているのは、審査請求人であるから、審査請求人は相手方である。
(2) 乙処分について
事件の被害者は同和地区住民とされているところ、審査請求人は同和地区住民として通知を請求したが、理由を示されずに却下された。理由を示さずに不利益処分を行った処分庁の行為は、行政手続法第14条第1項に違反する。
6 処分庁の教示の有無及びその内容
なし

大津地裁の判決文

4月13日に出された、大津地裁の判決文が届きました。以下に掲載します。
大津地裁判決-H22-4-13.pdf
要は、地域総合センターの位置を定めた例規の内容を全て開示せよという判決です。判決の主な理由は、非公開とされた情報は、公の施設の名称および位置にすぎないから、個人に関する情報には該当しないということです。
今月中に東近江市が控訴しなければ判決が確定しますし、控訴すれば次は大阪高裁です。
この裁判により分かってきたのは、情報を公開しないという行為自体が情報を公開することになるということです。情報公開制度には存否応答拒否というのがありますが、今回のケースはそれよりも高度で、存否応答拒否さえも情報の公開になってしまいます。なぜなら、公の施設の名称や位置が公開されないということは通常はあり得ないはずで、公開以外の処分が出た時点で、同和地区関係施設だと明らかになってしまうからです。
さらに、情報を公開することをあくまで拒むのであれば、その施設の近辺の住民が差別される惨めな存在であるということを、事実として延々と主張しなければならなくなります。例えば、これから同和地区に住もうとしている人に対して「同和地区に関わるとろくなことがない」と言っても、行政としては否定できません。「差別発言だ」とか「そんなことを言ってはいけない」という言葉の意味は、「間違ったことを言うな」という意味ではなくて、「事実だけど言うな」という意味になってしまうわけです。
しかも、実際は秘密でも何でもなくて、東近江市の場合は石塔町、梅林町、御園町、野口町、小脇町、平田町だと分かっているのですから、その建前だけの秘密に、ある意味公の場で特定の地域の住民を中傷するような主張をするという代償を払うだけの価値があるのか、よくよく考えてみる必要があると思います。

東近江市の同和地区関連施設の位置・名称について大津地裁が開示を命令

2月4日に結審した東近江市に対する情報公開裁判ですが、判決は17日ではなくて今日だったようです。17日は土曜日なので、おかしいと思っていました…。
裁判の結果、原告の請求が全て認められ、「東近江市長は同和対策が行われていた時期の隣保館と教育集会所の名称と位置を全て開示せよ」との判決が下りました。全面勝訴ということになります。
判決理由の要旨は、非公開とされた情報は、地方自治法で定められた公の施設の名称と位置であり、個人に関する情報ではないので、情報公開条例が定める非公開情報にはあたらないということです。
判決文は、届き次第掲載します。

法務省に対して審査請求しました

法務局からの削除要請について、法務局に対して個人情報開示請求し、大部分が黒塗りで開示された件について、審査請求しました。
また、「同和地区出身者」とは具体的にどのような人のことなのか問い合せた件ですが、やはり法務局は答えられませんでした。私が「部落地名総鑑」により人権侵害を受けた「同和地区住民」として人権侵犯事件の経過を通知するように請求した件も却下され、行政手続法違反だとは思いますが「理由は答えられない」そうです。

1 審査請求人
…略…
2 審査請求に係る処分
平成22年2月19日付保有個人情報部分開示決定(大津地方法務局総庶第101
号)
3 審査請求に係る処分があったことを知った日
平成22年2月22日
4 審査請求の趣旨
以下の採決を求める。
(1) 審査請求に係る処分のうち、「大津地方法務局がインターネット上の掲示板「鳥取ループ」の管理者あてに削除要請した人権侵犯事件記録一式」(以降「本件文書」という)のうち、「職員間の協議、検討の内容」「法人その他の団体に関する情報」「開示請求者以外の者から聴取した事実及び被聴取者や聴取内容を推認させる情報」「特定の地域が表題とともに多数掲げられたもの」を不開示とした部分を取り消す。
5 審査請求の理由
(1) 審査請求に到るまでの経過
ア 平成21年11月13日、審査請求人が自身が運営するブログ「鳥取ループ」に、電子版の部落地名総鑑がいい加減なものであるという説明と共に「部落地名総鑑.zip」を掲載した。
イ 平成21年12月1日、処分庁から審査請求人に対して「部落地名総鑑.zip」中の「部落地名総鑑」「白山神社所在地」等について削除要請があった。
ウ 平成21年12月2日、審査請求人は削除要請を拒否した。
エ 平成21年12月21日、処分庁に対して「請求者が運営する鳥取ループへの削除要請についての一切の文書」を開示するよう、保有個人情報開示請求書を提出した。
オ 平成22年2月22日、審査請求人は本件処分についての通知(添付
書類第2号)を受け取った。カ平成22年2月27日、審査請求人は部分開示された本件文書を受け取った。
(2) 法人その他の団体に関する情報について
ア 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以降「法律」という)14条は国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く、法人その他の団体に適用されるものであるところ、本件文書の通報者は「関係行政機関」であるから、法律第14条第3号イには該当しない。
イ また、法律の趣旨は「国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人については、その公的性格にかんがみ、法人等とは異なる開示・不開示の基準を適用すべき」(「行政機関等個人情報保護法の解説」監修・総務省行政管理局、編集・社団法人行政情報システム研究所ISBN4-324-07581-6(以降「法の解説」という)85ページ)ということである。従って、法律第14条第7号柱書に該当するかどうかは、民間団体を除外して検討すべきであり、行政機関が調査に応じることを拒否することは通常あり得ないので、事務事業に支障を及ぼすという処分庁の主張は当たらない。
(3) 特定の地域が表題とともに多数掲げられたものについて
ア 処分庁のいわゆる人権擁護活動は「部落は単に今の住民が差別対象となるだけでなく、一度住もうものなら戸籍に住所が残るので、死ぬまで差別され続け、そこの住民と結婚しようものなら穢多・非人の系統と認識されて末代まで差別される厳しい現実が存在する」「部落は具体的にどこか分からないが、事実かどうかに関わらず、誰かが部落だと言ったら差別対象になる」という建前のもとに成立しているので、公開情報として扱われると建前が壊れて処分庁の事務事業に悪影響を及ぼすというのが、処分庁が説明する処分理由の意味である。
イ 一方、不開示とされた地域名はおそらくは「部落地名総鑑」と「白山神社所在地」の内容である(添付書類第4号)。しかし、「部落地名総鑑」は誰かがいたずらで作った、でたらめな住所の一覧であるし、白山神社の近くに住むと差別対象になるということが処分庁の公式な見解であったとしても、白山神社の場所は処分庁が開示するまでもなく、地図を見れば分かることである。
ウ また、法律が規定する開示請求権制度は、「不開示情報に該当するか否かの判断に当たって、特定の開示請求者に対する開示を前提としている」ものである(法の解説80ページ)。「部落地名総鑑」と「白山神社所在地」は既に審査請求人が保有している情報であり、審査請求人の責任において平成21年11月13日からインターネットで公開しているものであるから、審査請求人に開示しても、処分庁の事務事業には影響しない。
(4) 処分庁の認識の誤りと、職務権限の逸脱について
ア 平成22年の3月中、審査請求人が処分庁に電話で問い合わせたところ、処分庁の認識は次のとおりであった。
(ア) 審査請求人は事件の相手方ではないので、人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号)第20条による通知はできない。
(イ) 事件の相手方は「部落地名総鑑」と「白山神社所在地」を作成した人物である。
(ウ) 本件文書で被害者とされている同和地区住民が存在するかについては回答できない。
(エ) そもそも同和地区住民というものが国の立場として存在するのかということについて回答できない。
(オ) 審査請求人が被害者の同和地区住民の1人として、規程第20条に基づく請求をした場合、理由は言えないが却下する。
イ処分庁は審査請求人は事件の相手方ではないというが、事件記録(添付書類第3号)から相手方は審査請求人であることが明らかであり、処分庁は本件文書と審査請求人との関係を誤って開示・不開示の判断をしている。
ウまた、処分庁は被害者である同和地区住民を把握しておらず、人権侵犯の事実が確認できないにも関わらず、規定第15条および第17条に反して、審査請求人に対して削除要請をしたものである。これは、職務権限の逸脱であり、憲法第21条に反する、言論・出版の自由の侵害であるから、法的保護に値する事務事業の1つとして行われたとは言えない。
6 処分庁の教示の有無及びその内容
「この決定に不服がある場合は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)の規定により、この決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、法務大臣に対して審査請求をすることができます」との教示があった。
7 添付書類
(1) 審査請求書副本 1通
(2) 大津地方法務局総庶第101号の写し 2通
(3) 部分開示された本件文書の一部の写し 2通
(4) 「部落地名総鑑」と「白山神社所在地」の写し 2通

子どもを支える人権のまちづくり促進事業の一部は事実上の同和対策

既に滋賀県のサイトで公開されているものですが、滋賀県情報公開審査会答申第46号を掲載します。
滋賀県情報公開審査会答申第46号.pdf
これによれば、草津市、野洲市、甲賀市、木之本町(現長浜市)に関しては、対象地域が同和地区であるということで、施設名地名等は非公開で、他の地域は原則公開です。文字通り一般対策として事業を行った自治体は公開されて、隠れ同和対策をやった自治体は非公開という皮肉な結果になっています。
前回の答申第45号と同じく、「同和地区は非公開」という結論が最初から決まっていて、それに沿って形式的な判断をしただけで、関係者の権利利益が考慮されたとは言えないでしょう。なぜそうなのかは、いずれ解説します。
ひとまずは、審査会の答申を受けて、教育委員会がどう動くかを見守ることとします。