鳥取県男女共同参画推進員への申し出が凄いことになっているので紹介します。
鳥取県では鳥取県男女共同参画推進条例により、男女共同参画に関する苦情を男女共同参画推進員に申し出ることができます。
申し出の状況はこちらのページで公開されています。半分くらいは政策や施設に関する申し出なのですが、後の半分はポスターやパンフレットの図柄や新聞投書に対する苦情です。
以下、その申し出の例をいくつか抜き出します。
チラシのタイトルについての苦情(13年度第2号申出)
「鳥取県・○○○○」のチラシのタイトルに「お母さんひとりで悩まないで」とあり、子育ては女性の役割という固定的性別役割分担意識にサブリミナル効果を与えてしまうことを危惧する。
(参考)
サブリミナル効果とは、意識下に刺激を与えることで表れる効果。例えば、テレビなどに知覚できない程度の早さの広告を繰り返し挿入することで、視聴者の購買意欲を増すことなどがある
ポスターの図柄についての苦情(15年度第4号申出)
「第28回部落解放鳥取県研究集会」のポスターに描かれている男性が女性より、縦横ともにとても大きく描かれており、男女の体格のイメージを固定化する表現である。
「鳥取県行政広報物ガイドライン」の「2 必要以上に性別により区分する表現」の中に「男性を女性よりも背が高い、あるいは体格の立派な存在として描く表現」は避けるようにとある。
多様な個人の差異を無視し男女の体格を固定的にとらえ、差異を強調して描くことは人権を扱う研究集会のポスターとして問題である。
新聞投書への対応に関する苦情(平成17年度第2号申出)
1. 日本海新聞社の「ジェンダーフリー」という投稿には、「ジェンダーフリーは間違った言葉である」とか「女性には、繊細さ優しさなど男性にない特質があり、男性にも女性にはない特質がある。」「本当に男らしい男と本当に女らしい女が結婚して明るい家庭を築くのが、家族にとって一番の幸せだと思う。」など、個性を考慮しない固定的性別役割分担意識が表れている。県は男女共同参画を進めており、このような投書には反論すべきである。
2. 「ジェンダーフリー」という言葉は一般には理解されているとはいえず、読者の正しい理解のため、新聞社は言葉の解説を掲載をするべきである。県の男女共同参画条例で事業者にも男女共同参画を推進する責務があるとされている。県で指導できないか。
3. 県としても、こういう投書のような意識の人を啓発するため、ジェンダーフリーに対する県の考え方を示すなど、何らかの行動を起こすべきである。
4. 新聞投稿でなくても、県政だよりとかに鳥取県の男女共同参画を進める考えなどを特集されたらよい。それも、1回限りのものでなくコーナーを作って常時がよい。
5. 気づきの場が少ない。地域ごとに公民館や地域の学習会など、地域をあげて気づきの場を作っていく必要がある。そこで、県の考えを示すべき。
行政、事業所、市民みんなが研修する場を作っていく必要がある。
オカルトの類のサブリミナルを相手にする必要はないし、日本海新聞の投書は県とは関係ないと思うのですが、いずれも普及広報活動を実施するといった旨の審査結果が出ています。
ちなみに鳥取県男女共同参画推進条例には以下の条文があったりするのですが
第20条 何人も、いかなる場所においても、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、いかなる場所においても、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 何人も、いかなる場所においても、配偶者等に対して身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為を行ってはならない。
1号については銭湯や医療機関のようなところについては例外規定があるのかと思ったらありません。嫌がらせや暴力行為は性的なものや配偶者に対するものでなくても、民事で訴えられるか犯罪です。
かなり「ずさんな」条例で、金の無駄遣いですね。