平成12年3月、鳥取県教育委員会から部落解放同盟鳥取県連の杉根修委員長(当時)に宛てられた「学校における差別事象に係る鳥取県教育委員会の見解について」という文書に次の記述があります。
平成10年度以降、中学校や高等学校で、「賤称語」等を使用した差別事象が多発しています。これらの事象は、同和問題学習や部落史学習の中で学んだ「賤称語」や「被差別部落」という言葉を、その言葉の持つ重みを十分に認識せず、自分たちの生活や遊びの中で、安易に発言したり、人を見下したりするために使用するといった差別事象です。
想像に難くないことですが、鳥取県の特に教育関係者は「エタ・ヒニン」という言葉に異常なまでに敏感です。一方で、「エタ・ヒニン」という言葉は授業の中で、非常に詳しく教えられます。鳥取の同和教育の特殊性はここにあります。例えば、「気違い」という言葉の意味を学校で詳しく教えられて、「気違い」と言うと激しく非難される状況を想像してみてください。ちなみに、私が高校の頃は「チョン校」という言葉も習いました。
そういった言葉を使えば全校集会など、重大な事態になる、ということは児童生徒の間でもよく知られていました。もちろん、いい加減に対処すると教師もただでは済みません。
実は、この文書は「鳥取の部落史第4号」に掲載されていたものです。この冊子には差別事件を「隠蔽工作」した校長先生が糾弾された例が書かれています。
小学校で発覚した三件の事象のうち、倉吉市小鴨小学校の児童による差別発言事件意外は、外部の大人による犯行の可能性が強い。このうち西郷小学校の事件では、校長が事件を隠蔽したと言う意味で重大な問題を含んでいる。この事件ではせっかく児童が発見し、学校に届けたにもかかわらず、校長は事件を隠蔽する工作を行っており、二〇〇二年八月二〇日に開催された「差別事件並びに人権・同和教育推進確立集会」(以下「集会」と略す)では、参加者から集中的な抗議の的になった。
この一件のあらましは次の通りです。
児童が「えたの○○○○かたわの○○○おまえらがおるから世の中が乱れる だまっとけ」と書かれた紙を拾った。この紙を児童は教頭へ渡した。教頭は校長へ渡したが、校長はこれを隠蔽してしまった。公民館に投げ込まれた同様の差別投書について学習しているとき、児童Aが「同じものを見た。教頭先生に持っていった。」と発言したことで、学校にも差別投書があったことが判明した。
小学校で公民館の差別投書について学習するというのもなかなか凄いですが、実はこれは鳥取県同和対策課・人権同和教育課(現在は人権局)が作成した文書の一部です。この件で「差別した者等」は「西郷小学校校長」となっています。
なぜここまで差別事象について激烈な対応をするのか?それはやはり、「部落解放同盟との緊密な連携」が関係しています。
最近鳥取県のホームーページに「差別落書き対応要領」というものが掲載されており、それには「当該市町村内の部落解放同盟市町村協議会へ現場確認の立会を依頼すること。」という記述があります。これは強制ではないはずですが、対応を怠ればこれまで述べたとおり糾弾という「罰則」があり得るので、事実上の強制と言えます。