1970年代後半は、同和教育が学校だけでなく家庭や地域にも入り込むようになった時期でもありました。
その背景をうかがわせる記述が「同和教育実践事例集」(昭和55年3月)にあります。
(昭和)51年、52年頃は、ロングホームルームにおける同和問題についての討議にはたびたび同和奨学金制度に関する問題の質問(「あなた達部落の生徒より貧しい地区外の生徒もたくさんいるのに、なぜあなた達に限って同和奨学金がもらえるのか」等)が出され、さらに発展して特別措置法による各種補助金、優遇措置から土地改良の負担金に至るまで親からの聞きかじりが飛び出す有様で、同和奨学生は勿論、指導者の担任教師自身が即答に困るという状況もあり、同和研の会員を中心として同和奨学生の融資がこれらの疑問に正面から取組み、校内討論会を開いて問題解決に当たり、同和奨学生全体が本気になって取り組んできた。このころから俗に言う逆差別論が台頭し、家庭からの影響が生徒に強く現れ、学校としても保護者の同和教育に対する協力を得ることを真剣に考えなければならなかった。
52年後半になると地区外生徒の理解も進み、奨学金制度についての疑問はルーム討議の中から姿を消していったが、今度は同和奨学生自身の無気力、無責任が目立ち始め、地区生徒が現状に甘える姿勢が問題となるようになった。
当時、「逆差別論」が出るのはそれなりの理由がありました。
同資料によるデータでは、昭和50年には経済的理由で学校を長期欠席する児童・生徒は地区内外ともほとんどいなくなっていました。また、中学校卒業者の高校への進学率は、昭和50年で地区内91.1%、94.0%と格差はほとんどなくなっています。これは、奨学金の効果がそれなりに出ているものと思われます。しかし、高校卒業者の大学への進学率は昭和49年で地区内15.7%、地区外35.9%、昭和54年で地区内16.4%、地区外38.8%と、格差が横ばい状態であり、奨学金が意味をなしているのか疑問を持たざるをえない状況でした。(註:大学進学率の格差が変わらない理由は諸説ありますが、私は地区内の産業構造が建設・製造業に偏っていることと、就職上の優遇措置のために大学進学の必要性が低いことが原因ではないかと思います。)
また、同和地区に対する優遇措置としては、当時以下の貸付制度がありました。
住宅新築資金貸付
- 年利2%
- 償還期間25年以内
- 貸付金額30万円以上500万円以下
宅地取得資金貸付
- 年利2%
- 償還期間25年以内
- 貸付金額30万円以上300万円以下
住宅改修資金貸付
- 年利2%
- 償還期間15年以内
- 貸付金額4万円以上250万円以下
また、2万円の就職支度金といった個人給付もありました(これは一部自治体では現在も継続されています)。こういった制度に対する批判も「家庭に対する同和教育」によって鳴りを潜めて行きました。
この時期、運動団体とは距離を置いていた県教委に対して、部落解放同盟の主張が公然と入り込むようになります。この「同和教育実践事例集」の編集委員には部落解放同盟鳥取県連書記長、前田俊政氏の名前があります。同じく1982年の指導書には当時の県連書記長の森下冷蔵氏の名前があります。
こういった解放同盟との関係は現在も続いているのでしょうか?5年前に鳥取県教委が作成した「同和教育事業概要」(平成12年度)に決定的な記述がありました。
同和問題の根本的解決を図るため、同和地区住民の自発的意思に基づいて運動を進めている部落解放同盟と緊密な連携を保ちながら、同和教育の推進に努める。
この点について鳥取県教育委員会に問い合わせたところ、今現在の方針として、「鳥取県人権教育基本方針」(平成16年11月)の一文を紹介されました。
関係諸機関・諸団体等との緊密な連携に努めます。また、教育の主体性を維持し、教育活動と政治運動・社会運動との関係を明確に区別し、教育の中立性を確保しながら人権教育の取組を充実していきます。
一応「教育の中立性」を掲げているわけですが、この「鳥取県人権教育基本方針」自体が編集委員に部落解放同盟鳥取県連合会副委員長の中野俊夫氏が加わっており、在日本大韓民国民団鳥取県地方本部団長、在日本朝鮮人総聯合会鳥取県本部委員長も名前を連ねるなど、自己矛盾を含んでいます。
なめ猫♪ on 2006年3月24日 10:43 PM
人権・同和教育の政治的中立を
福岡県の教育現場は全国的に見てかなり正常化が進んでいます。しかし、それも完全とはいえず、主任制が有名無実化していたり、偏向した教育が行われている学校も少なくありません
あきログ on 2006年3月24日 10:45 PM
施行する気満々の鳥取県人権条例
鳥取県の人権救済条例が無期限停止されたようです。しかし・・・J( ‘ー`)し「しかし、何?」(‘A`)「記事の下から2番目をお読みください」--------------転載---