鳥取市は「解放同盟」市か

鳥取県は人権教育、同和教育がさかんな県ですが、西部と東部ではその内容にかなり差があるようです。東部ではどこの誰が同和地区なのか、といったことが学校で教えられます。私の高校時代、他の中学や小学校出身の人もこういった話を知っていたので、おそらく東部のかなりの学校で同様の授業が行われているのでしょう。しかし、西部の方からは、そういった事はありえない、といった声が聞かれます。
2005年4月の大合併により、今や東部のほとんどの人口と面積を占める鳥取市のウェブサイトで、「部落問題はいま…。」という冊子が公開されています。このページには「それぞれの研修の場でご活用ください。」と書いてあることから、この資料が鳥取市の人権研修で教えられる内容であることが分かります。
また、「『部落解放・人権政策確立』運動をさらに発展させるために作成しました。」と書かれています。この「部落解放・人権政策確立」運動の前身が「部落解放基本法」制定要求国民運動であり、1993年に鳥取県の各地で制定された部落差別関連条例に深く関わっていることは過去の記事にも書きました。
「部落問題はいま…。」には、部落解放・人権政策確立要求鳥取市実行委員会の会長が竹内功・現鳥取市長であることが書かれています。なお、この団体の前身である部落解放基本法制定要求国民運動鳥取県実行委員会の会長は西尾迢富・前鳥取市長です。
おそらく多くの方はご存知の通り、部落解放基本法制定要求国民運動は部落解放同盟によって主導されました。現在の部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会の役員には解放同盟の中央共闘会議議長、中央執行委員長、中央書記長が名を連ねていることが「部落問題はいま…。」にも書かれており、未だに部落解放同盟と密接な関係のある団体であることが分かります。
言うまでもなく、「部落問題はいま…。」は解放同盟の主張をそっくり代弁したような内容になっています。例えば、ウェブ上で見ることができる部落解放同盟の綱領には次のような記述があります。

3.われわれは、部落差別を支える非民主的な諸制度や不合理な迷信・慣習、またイエ意識や貴賤・ケガレ意識など差別文化を克服し、身分意識の強化につながる天皇制、戸籍制度に反対する。

これに対して、「部落問題はいま…。」には次の記述があります。

部落差別を温存助長する近現代の社会の仕組みとしては(略)因習や迷信による社会的慣行や伝統的差別思想、障害・難病などに対する排除や隔離などの制度、戸籍制度や「家」を単位とする諸制度などがあります

また、部落解放同盟綱領には次の記述があります。

4.われわれは、国際的な人権諸条約の早期締結ならびにその具体化と、部落差別をはじめ、あらゆる差別の撤廃に役立つ国内法制度の整備と司法の民主化を求める。

「部落問題はいま…。」には「国際人権の潮流は」というページがあり、国際的な人権諸条約について詳しく解説されています。
ところで、最近私の母校の教員(と言っても、私の知らない方ですが)と電話で話す機会がありました。私が地域改善対策特措法終了により、同和地区が公式には存在しないことを話題に出すと、「それは違うんじゃないか、そもそも部落の存在は法律とは無関係なもので、今も根強い差別意識があって…」と「公式見解」を延々と述べていました。ちなみに、「部落問題はいま…。」には、次のような記述があります。

「法」失効により、部落問題が解決したとするならば、「被差別部落」も「同和地区」も不適切な呼称となります。しかし、現に部落差別は存在します。よって、地区指定の必要がなくなっても「同和地区」は存在しており(略)

つまり、鳥取市の教員にはこの冊子の内容が徹底されていることが分かります。
行政ぐるみで、教育まで巻き込んで特定の政治団体の活動を支援するというのは尋常ではありません。早速、この冊子を発行している鳥取市の人権推進課に聞いてみました。
Q. この冊子に書かれていることは、鳥取市の行政として推進していることなのか?
A. そうですね。はい。
Q. この中には部落解放基本法や人権救済法のことが書かれているが、それらを推進することも鳥取市の行政として行っていることか?
A. 発行当時の国や県の動向を踏まえて検討委員会の中でこの案が作られた。
Q. 推進運動には市長も関わっている。
A. そうですね、市が関わっていますから、その最高責任者が市長ということになります。
(つづく)

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