「広報ちづ 平成18年3月号」
差別のない社会へ 282
去る2月5日石)、鳥取県民文化会館の梨花ホールを会場に、部落解放同盟鳥取県連合会の主催による『差別事件を考えるシンポジウム』が1500人の参加者により開催されました。
このシンポジウムは、平成14年3月末をもって失効した「特別措置法」から今日まで、県内で80件を越える部落問題にかかわる差別事件が惹起しており、配慮して公にされていない結婚差別問題などの課題を含めればまさに氷山の一角であり、これらの差別事件の背景や課題を明らかにして、差別の原因に迫る取り組みや差別に苦しむ人々を救済する社会のシステムを確立しようと開催された集会です。
主催者を代表して、中田幸雄県連執行委員長のあいさつの後、(社)部落解放・人権研究所の友永健三所長による『差別や人権侵害に苦しむ人々を救済する社会システムを目指して』~鳥取県人権侵害救済推進及び手続きに関する条例制定の意義と課題~と題した講演では、昨年10月に全国で初めて制定された「鳥取県人権侵害救済条例」の歴史的な意義と共に、この条例の制定を求めて粘り強い運動を展開してきた関係者の努力に対し、まず敬意を表されました。その後、条例制定に至る主な経過や条例の内容、制定の意義などについて詳しく説明され、条例制定以降県弁護士会やマスメディアから寄せられている枇判に対して理論的な反批判をされました。
最後に、今後の課題として、県内における部落差別や人権侵害の実態を明らかにしていくことや条例の持つ積極的な意義を各方面に広めていくこと、人権侵害救済条例をよりよいものにしていくことの重要さを指摘されました。
『連続大量差別ハガキ(封書)事件の真相に迫る』のテーマで進められたシンポジウムでは、友永所長をコーデネーターに、部落解放同盟東京都連合会執行委員や鳥取県連合会執行委員など3名のパネラーが被害を受けた当事者として、ハガキや封書により送りつづけられた脅迫はがきの内容や被害者の名を騙った高価物品の送り付け実態、24時間に500件を上回る膨大なネットヘの差別書き込みなど550日も続き、家族もろともの「生き地獄」の毎日だったと語られました。
犯人は逮捕されましたが、東京地裁での裁判で、被告本人は事件をおこした動機について「大学卒業までエけ-ト街道を歩いてきたが、大学卒業後は自分が希望する職に就職できず、強いストレスを抱えた生活が続き、自身の抱えるストレス解消のために、図書館で読んだ本の著者であった見も知らずの被害者に向けて徹底的に部落差別をし続けた」と証言したそうです。
最後に、友永所長が「鳥取県人権侵害救済条例」は、基本的に評価されるものでありこの取り組みの全国化、国のレベルでの「人権救済法」の早期制定に向けて取り組もうと結ばれました。
とある方から情報を頂きました。
「差別のない社会へ」は「広報ちづ」の連載記事です。町の広報でありながら、人権擁護法や人権救済条例の制定を推進するなど、解放同盟の政治的な主張を毎回載せています。
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