愛荘町の同和対策固定資産税減免関係の書類が不存在として公開されなかった件で、あれから詳細を調査してみたのですが、どう考えても真っ黒です。違法行為がある場合は情報公開条例だけではどうにもならず、地元の方が住民監査請求するしかないのですが、事実関係を確認するために異議申し立てしました。
分かっていることは、愛荘町の同和減免が事実上「属人」であることです。つまり、原則として減免は山川原、長塚、川久保の各地区の住民が対象なのですが、対象物件が地区外にある場合も減免されることがあり、地区内であっても新しい住民の所有する物件は対象になっていないようです。
本当に何も書類を作らずに同和減免を行っていたのか愛荘町税務課に聞いてみたのですが、居留守を使われた上に完全にシャットアウトされました。事の顛末は、以下の異議申立書に書かれた通りです。
異議申立に係る処分
甲処分 平成21年9月11日付公文書非公開決定(愛税第168号)
乙処分 平成21年10月16日付公文書非公開決定(愛税第189号)
2の処分があったのを知った日
甲処分 平成21年9月14日
乙処分 平成21年10月20日
異議申立の趣旨
以下の採決を求める。
(1) 甲処分と乙処分を取り消す。
(2) 公文書公開請求に係る公文書を特定し、改めて相当な決定を行う。
異議申立の理由
(1) 事実経過
ア 申立人は平成21年8月30日付で、平成19年度、20年度の同和対策固定資産税減免措置に関する「対象資格の要件、事務手続きについて記載された書類(要綱、要領、マニュアル等)」「減免対象地域」「減免が行われた件数、総額等の統計資料」を、愛荘町情報公開条例により情報公開請求した。
イ 愛荘町長は甲処分により、「本件対象公文書は存在しない」として、対象公文書を非公開とした。
ウ 決定が議会議事録(後述)の内容と矛盾することから、申立人は9月15日の午前中に愛荘町税務課に確認のため電話をした。しかし、電話に出た職員から、担当者が不在のため午後3時くらいに折り返し電話すると言われた。しかし時間になっても連絡がなく、同日午後4時半に申立人から電話したところ、担当者が外に出ており、いつ戻るか分からないと言われた。
エ 9月20日、申立人は議会議事録をもとに、同和対策減免について質問した瀧すみ江町議会議員に電話をして議会議事録の内容が事実であることを確認した。また、9月28日までに、同議員から同和対策減免の要綱を税務課が紛失しているとの連絡をいただいた。
オ 9月28日午後2時、申立人は税務課に電話した。電話に出た職員は、担当者が会議に出ていると説明した。そこで同日午後4時半に電話すると、担当者が外出していると言われた。
カ 9月29日午後4時半、申立人は税務課に電話したが、この時も職員より担当者が不在であると言われた。この時担当者の名前が杉本氏であることを聞いた。
キ 10月1日午後4時半、申立人は税務課に電話したが、職員から杉本氏は離籍中と言われた。職員に情報公開の窓口である総務課を通して連絡する旨を伝えて、直後に総務課に電話したところ、総務課の職員からは文書を持っているのは税務課だから、税務課が対応しないことにはどうしようもないと言われた。そのため、同日午後4時50分に税務課に電話し、事情を話してようやく杉本氏と話すことができた。
申立人が、「請求した同和対策減免に関する文書は不存在ということですが、逆にどういった文書ならありますでしょうか。」と問うと、杉本氏は「本件につきましては、内部協議もさしていただいて、ご解答させていただいて、こちらから何ら申し上げることはないんですけども。」と答えた。申立人が「それは、文書の存在、不存在についても一切出せないということでしょうか。」と念を押しても「今ほど申し上げ
た通りでございます。」と答えるだけであった。
ク そのため、申立人は平成21年10月2日付で、「同和対策固定資産税減免措置に関する一切の文書」を情報公開請求した。同日に総務課に電話し、本来このような大雑把な請求では補正手続きが必要だが、今までの税務課の対応を見ると補正手続きをするとは思えないので、その場合でも書面での決定が欲しいという旨を伝えた。
ケ 愛荘町長は乙処分により、再度「本件対象公文書は存在しない」として、対象公文書を非公開とした。
(2) 公文書非公開決定を取り消すべき理由
愛荘町長は、公文書非公開決定の理由として本件対象公文書は存在しないというが、つぎに示す通り処分理由が事実であることに疑いがある。
ア 同和対策固定資産税減免対象資格の要件、事務手続きについて記載さ
れた書類(要綱、要領、マニュアル等)について平成20年3月愛荘町議会定例会議事録によれば、瀧すみ江議員が固定資産税の同和減免の廃止について質問したことに対し、小杉勝三税務課長がつぎのことを答えている。
「昭和53年から固定資産税の減免を実施してきているところでございます。」
「平成20年度から新たなスタート、50%ですけれども、からスタートするということとし、時限的、段階的に同和対策減免の激変緩和を行うべきと、町としては考えております。」
「また、同和減免の影響額と言いますか、どのぐらいの額になるかというようなご質問でございますけれども、平成19年度の固定資産税の減免の額ですけれども、件数に直しますと402件、金額に直すと1,770万円程度になっております。平成20年度も同額であります。」
以上のことから、約30年以上にわたって、一定の基準を定めて約400件もの固定資産税の減免をしてきたことが明らかである。これを、要件や事務手続き等を文書化せずに行えるという理由説明は不合理であり、仮に事実であれば、違法状態である。
地方税法3条1項は「地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならない。」としているため、固定資産税については、減免のような住民にとって有利となる処分であっても、具体的な条例の定めが必要である。同和対策固定資産税減免は、愛荘町税条例71条により行われているものだが、条例には具体的な定めがないため、せめて何らかの形で具体的な定めを告示することが必要である(仮にそうであっても合法とは言い難いが、本件は情報公開に関することであるため、詳しくは触れないことにする)。
また実際に減免の申請が行われ、愛荘町長が申請が認められるかどうかの判断をしているのであれば、愛荘町行政手続条例第5条の各号により、減免を行うにあたっての審査基準が定められ、公開されなければな
らない。要綱を紛失したとしても、現に相当数の減免を行っているのであるか
ら、職員が口伝えだけでこのような事務処理を行うことはできない。例えば対象住民への説明資料、申請書類の雛形などが存在するのが当然である。
イ 減免対象地域について
平成18年12月愛荘町議会定例会議事録によれば、瀧すみ江議員が同和対策固定資産税減免について「固定資産税の減免対象者を町内全域に広げること。」を要求している。これは、同和対策固定資産税減免が町内の一部の地域を対象としていることが知られていなければ、言うことができない。対象地域が限られているならば、減免の実施のために対象地域が文書として定められていないことは不合理である。
ウ 減免が行われた件数、総額などの統計資料
ア で示したとおり、平成20年3月愛荘町議会定例会で小杉勝三税務課長が平成19年度、20年度の同和減免の件数と金額を具体的に答えている。減免が行われた件数、総額などの統計資料が存在しなければ、このような答弁は不可能である。
(3) 所管課の対応について
甲処分の後、申立人は、文書が不存在とされた原因が対象文書の指定方法にあるのであれば、対象文書を明確にした上で再度請求しようという目的で税務課に電話で連絡したのであるが、折り返し連絡すると言って連絡しないなど、「居留守」を使っていると思われても仕方がないような、不当な対応であった。町が保有している文書は外部から見ることはできないのだから、文書の存在について適切に情報が提供されなければ、情報公開制度は無意味である。情報公開制度の趣旨に従い、相当な手続きによる処分のやり直しが必要である。
なめ猫♪ on 2009年10月30日 1:39 PM
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