大手企業も名を連ねる同和問題企業連絡会(同企連)の謎

「同和問題企業連絡会」(同企連)という組織があります。よく混同されるのが「部落解放企業連合会」(企業連あるいは企連)ですが、前者は「一般企業」により構成されているのに対し、後者は経営者が部落解放同盟に属している、いわゆる「同和系」の企業です。

企業連会員企業は同和対策事業による利益に預かることができたのですが、同企連会員企業はむしろ逆に「同和枠」などの利益を提供する立場にありました。

いずれも現在では「同和」や「部落」という名前を団体名から外しつつあり、必ずしも「同和問題企業連絡会」「部落解放企業連合会」という名前ではありません。

同企連は各地にあるのですが、「東京人権啓発企業連絡会」「大阪同和・人権問題企業連絡会」という大きな団体が東西にあります。驚くべきはその会員企業です。以下に会員企業一覧があります。

東京人権企業連会員企業一覧

大阪同和・人権問題企業連絡会会員企業一覧

大阪ではいきなり宇宙産業や防衛産業で有名な「IHI」の名前が出てきますし、三井や三菱の旧財閥系の大手企業も名を連ねています。

東京も同様でIMAGICA、電通、吉本興業などマスメディアと関わりの深い企業名も出てきます。

さらに、「愛知人権啓発企業連絡会」ではトヨタおよび系列企業が名を連ねています。

愛知人権啓発企業連絡会会員企業一覧

その活動内容は、要は部落解放同盟の政治運動の支援です。かつては「部落解放基本法」制定運動のために各企業が人員を動員していましたし、現在でも「人権擁護法案」あるいは「人権救済機関設置法案」を推進しています。

そのような活動に動員されるのは、会員企業の中でも一部の「担当者」なわけですが、大手企業に務めている方で同和研修・人権研修を経験しているのであれば、あなたの所属企業はかなりの確率で前述の会員リストに入っていると思います。

なぜ同企連が結成されたかというと、それは昭和50年の「部落地名総鑑事件」に遡ります。部落地名総鑑を買った企業は部落解放同盟により糾弾されました。企業の採用担当者だけでなく、当時の労働省の職員も呼び出されて、徹夜で何日も糾弾会が行われることもあったと当時の記録にはあります。そして、落とし所としてこのような会が結成されて、同和事業の推進に企業も協力させられることになったわけです。

同企連会員企業と部落地名総鑑を買った企業を見比べてみると、その多くは重なります。特に多いのが日本生命などの保険会社。かつて保険会社は共同で部落出身かどうかなどの社員の身元調査をしていたためです。

一方で中にはそれとは関係なく、最近になって入った企業もあります。例えば、社員が大阪の八尾市で「同和地区の自動販売機は壊されやすい」と解放同盟西郡支部員の前で発言して糾弾された「コカ・コーラウエスト(株)」、放火事件の処理に伴ってコンプライアンス責任者が会社の金を着服していた「ドン・キホーテ」、ヤクザがらみでいろいろとあった「吉本興業」が代表的なところでしょう。この3社が、いずれも不祥事があった直後に同企連に入っているのは偶然ではないと思います。

なぜ名だたる企業が同企連に入っているのか、長年人権運動に携わってきたとある事情通はこのように語ります。

「解放新聞を見ると、なかなか同企連の会員企業の名前って出てこないでしょ。人権啓発をやっていたからって、大きな企業でそうそう差別事件がなくなるわけがない。解放同盟は同企連の会員企業には手加減するんですよ。だって、同企連の会員企業を糾弾したら、会費を払うメリットがなくなってしまうでしょ」

要は不祥事のもみ消しがあるということなのです。それを裏付けるような話として、とあるトヨタ系企業の関係者の談。

「うちの会社では要注意地域を書いた地図が配られたことがありました。出勤の時など、同和地区は避けるようにということです」

そして、さらなる謎は同企連の会費についてです。そのお話は、また次の機会にすることにしましょう、