「部落問題の解決を願う・ねっとわーく・とっとり」の清見久夫さんが企業に圧力を加えるように鳥取県に要請

1周年を過ぎたので、もう一度蒸し返します。(2013年8月31日追記)

2012年5月のこと、「部落問題の解決を願う・ねっとわーく・とっとり」の清見久夫さんから鳥取県や鳥取市に「「宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針」に基づく対処をお願いする件」という要請文が提出されました。その文書がこれです。

「宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針」に基づく対処をお願いする件-2012-5-15.pdf

要は鳥取ループのブログや出版物が気に入らないから、鳥取市下味野の同和減免の関係書類の公開を求めた訴状で気付とされている不動産業者が関係しているらしいから、鳥取県と鳥取市、宅建協会、全日、部落解放同盟は圧力をかけて欲しいということのようです。同じ文書が鳥取市にも出されていまして、おそらくは宅建協会にも送られているでしょう。

去年から今年の年末年始にかけて清見久夫さんらが作成したサイトの中に「クラフト」というのがありまして、こう書かれています。

法律とか、正義とか、潔いとか、正義とか、そんな感覚はいらない。要は、「差別情報の阻止」であろう。鳥取ループ(宮部龍彦氏)は、これらの言葉を手繰っているが。そう、彼には、正義なぞはない。持とうともしていない。彼が嫌がる方法を考えればいい。いろいろやってみたらいい。会社役員全員、取引先、家族、実家、すべてに訴えたらいい。何処かにぶちあたる可能性はある。要は「差別情報の阻止」であろう。

これを実行しているものと考えられます。とにかく他人の考え方が気に入らなければ嫌がらせをすればいい。裁判をする権利は誰にでも認められてているのに、それに対抗するために企業に圧力をかけよう。―そういう考えを持ち、それを実行する人物が鳥取県政だより人権・同和教育講座で県民に偉そうに人権を語っているのが鳥取県の実態なわけです。

ただ、注意しなければならないのは、この文書を提出した清見久夫さんは本人も言っているように東京都出身で、同和地区出身者ではありません。エセ同和行為を行なって部落を貶めているのが誰なのか、その一端が垣間見えた稀有な例ではないかと思います。

奥田均教授の講演会に行ってきました

7月10日から8月9日は部落解放月間でして、同和と関わりの深い自治体では、毎年講演会などのイベントが開催されます。「土地差別」とか「福島差別」というのを強調している、近畿大学の奥田均教授の講演会が、去る7月23日に鳥取市でありましたので、行ってきました。テーマは個人情報保護と身元調査です。

その中で、質問タイムがありまして、このようなやりとりがありました。

会場からの質問 先日、国立国会図書館のホームページで私の出身地名で検索したら、部落問題についての本や雑誌が多く出てきた。私の出身地を知る人にはそこが部落と分かってしまうので、不安や。図書館に言っても何もしてくれへん。

奥田さんの答え 図書館が、そういう意味では地名を言うとそれに関する本を紹介してくれる。ところが、その地名を言うと結構部落問題に関する本が出てくる。そうすると、自分が言った地名が部落だと分かるんじゃないかというご心配であります。

まあ、そういう意味では厳密にはそんな風に悪意を持って理解する人がいてないとも限りません。ただし、取り組みのおおきな目標は、たとえ自分の生まれ育ったところが部落だと分かっても差別されないような社会を作るということが目標であります。部落を隠したりすることが、差別からの解放ではない。部落だと分かっても差別されない社会を作ろう。家族に障害者がおっても障害者差別を受けないような社会をつくろう。こういうことであります。

そういう意味では、このようなことを悪用する人がいてるということはけしからんわけであります。このことをきっかけに差別行為に及んだ場合には私はしっかりと差別禁止法で取り締まらなければいけない気がします。

部落問題に関して、同和とか部落とかいう言葉は使用しないで人間形成、社会教育といった基本的な取り組みを発展させたらいいのではないか。社会教育、自由平等の基本的な立場というか人間形成を高めていくというのは全く賛成であります。問題は、同和とか部落という言葉を使うかどうかとは別の議論ではないかということであります。部落ということで差別があるわけですから、同和と呼ぼうが部落と呼ぼうが大差ないわけでありますけど、この差別をどう呼ぶかというネーミングがいるわけで、そういう意味では部落差別が現にある以上、同和問題、部落問題という言い方は社会現象を説明する言わばネーミングとしてやっぱりいい悪いは別に必要。そうしないとこの問題をうまく伝えたり、お互いに議論をする共通の土壌が出来ないのではないかと思います。

子供の結婚の際に部落出身ということを告げたほうがよいのか、理解のない人に告げると避けられてしまうのではと思うので、当人同士が知っていればよいのではないのか、相手の家のお婆さんにまで伝える必要はないのではないか。そういう質問がある。

私は自由だと思いますね。言わなければいけないわけではないんです。言おうと思ったら言えばいい、部落出身者は部落出身者だと言わなければ騙したことになるなんてことはないわけで、私は大阪府八尾市の住民ですなんて言わなくてもいいし、私の両親は奈良県の出身ですなんて言わなくていいし、言う言わないは本人の自由であります。自分のことを理解してもらうのに自分の何について話すのかは全く自由です。

基本は結婚は両性の合意ですからね。夫や妻になる人に言えばいい。お爺ちゃんお婆ちゃんや親戚まわっていとこ連中にまで言う必要はない。ただし、尋ねられたら答えたらいいし、話の中でそういうことになったら趣味を伝えてもいいし好きな野球の球団を言ってもいいし、卒業した学校を言ってもいいし、それは別に知りたいと思って尋ねられるんだから。その尋ねられる理由に不信感を持ったなら、なんでそんなことをお尋ねになるんですかと聞いてから答えたらいい。

部落の出身ということを少なくとも自分自身が自覚している。そのことについて自分の言わば大切な一面だということがもし心の中にあるんなら自分と人生を共にする人に言うのがある意味自然かも知れませんけど、別にお爺ちゃんお婆ちゃんと人生を共にするわけではありませんので、そこまではあえて必要ではないんでないのかなと思います。そして、お父さんやお母さんにまで言っておいたほうがいいのかは、彼や彼女の問題として二人で相談されて対処されたらいいのではないか。

その時はもう個人の問題ではなくて、結婚する二人の問題になってくるわけですから、子供にはどう伝えるのかと同じように、両親に言うとこかと二人で相談されたらよいのではないかと思います。

あくまで、部落を隠すことが目的ではないということで、なかなか興味深いやりとりでした。

もちろん、質問したのは私なのですが。

ちなみに、個人情報保護がテーマだったので、「住所でポン!」についてどう思うかも聞いてみましたが、奥田氏をはじめ会場の誰も「住所でポン!」の存在を知りませんでした。世間の認識は、まあこんなもんでしょう。

東京高裁判決

人権侵犯事件の証拠開示を求めて法務省と争っていた裁判で、東京高裁の判決が出ました。判決文はこちらです。

東京高裁判決-H25-7-31.pdf

結論から言えば私の控訴は棄却なので、第1審判決とほとんど同じです。ただ、若干追記されているところもあります。主要な部分を要約すると

  • 同和地区一覧は真実であればなおのこと差別を助長する情報。
  • 同和地区名は同和地区出身者という「個人情報」が分かるので「個人に関する情報」である。
  • 大阪市が繰り返し同和地区一覧を公表していたことはそれはまた別の問題。
  • 法務局の削除要請に法的強制力はないので国民の権利を制限するものではない。
  • ということです。

    本人がネットで大々的に公表したような情報でも、同和絡みなら行政機関個人情報保護法上は不開示情報になるという高裁判例ができました。また、大阪市が過去に公表しまくった同和地区一覧は、そこに住んでいる人間は同和地区出身という個人情報が暴かれることになるので、個人に関する情報であると認定されました。一方、同和地区一覧をネットに載せて法務局から削除要請されても、法的拘束力はないので無視しても構わないということです。今後大阪市の同和地区に住む人は、法的に同和地区というのはこのような扱いであると心しておきましょう。

    面白いので上告して最高裁で確定させます。

    広島高裁松江支部第1回口頭弁論

    鳥取市下味野の旧赤池部落の同和減免の関連文書の公開について争っていた件、控訴しまして去る7月31日に第1回口頭弁論がありました。とは言ってもやり取りはほとんどなく、1回結審でした。判決は10月9日13時10分に下される予定です。

    原告側から提出した書面はこちらです。

    控訴理由書-H25-5-17.pdf
    甲31-1 とっとり市報S52.11.pdf
    甲31-2 とっとり市報S53.3.pdf
    甲31-3 とっとり市報S54.2.pdf
    甲31-4 とっとり市報S54.9.pdf
    甲31-5 とっとり市報S57.2.pdf
    甲31-6 とっとり市報S57.10.pdf
    甲32 因幡誌.pdf
    甲33 市報による啓発活動.pdf
    甲34 部落解放1998-12-下味野保護者会.pdf
    甲35 部落1984-8-鳥取県における部落問題.pdf

    一方、被告の提出した答弁書は1枚ペラでした。

    鳥取市答弁書-H25-7-29.pdf

    原告の主張の重要な点は、もし差別につながるからという理由で同和減免の対象地域を非公開でよいのなら、市長は秘密裏にいくらでも恣意的に減免対象区域を設定可能なので、固定資産税の帳簿の縦覧制度が意味をなさなくなってしまうということです。例えば仮に土地建物評価額が適正であっても、市長のさじ加減でいくらでも同和減免対象区域を設定でき、しかも秘密にしておくことができるのなら、不公正な固定資産税の賦課をやり放題になるということです。同和特権のみならず、在日コリアンの家だけ減免対象に指定する「在日特権」のようなものがあったとしても隠蔽し放題なので、「在日特権などない!」といくら地方自治体が主張しようが、信用できなくなってしまうわけです。これは租税法律主義の根幹を壊してしまいます。

    もう1つは、昭和50年代の「とっとり市報」には下味野が同和地区であることが盛大に書かれており、9割の市民が読んでいたという調査結果も出ています。また、平成に入ってからも解放同盟系の出版物には、「下味野は非差別部落」ともろに書いてあって国立国会図書館の蔵書検索で検索可能になっています。

    高裁の判決は事実上下位の裁判所を拘束する判例となってしまうのですが、本当にこのまま高裁を通ってしまうのか、注目すべき裁判でしょう。