週刊朝日、完敗

10月16日発売の週刊朝日で始まった連載、「ハシシタ 奴の本性」ですが、早くも終わってしまいました。あれだけ派手に「緊急連載」と銘打って、こういう結末は恥ずかしいでしょう。

どうしてこうなってしまったか、これは三品純のブログ「週刊朝日報道についての考え」で説明していることが的確なので、そちらをご覧になるのがよいと思います。

週刊朝日は「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました」としてますが、三品純が説明している通り、それが問題ではありません。新潮・文春なら単に橋下の同和ネタで売ってやろうという意図が見え見えで可愛げがありましたが、週刊朝日の場合は、普段から敵対するメディアが、部落ネタを人格批判の材料に使ったことが橋本氏の怒りを大きくしたものと考えられます。

今後週刊朝日がどうなるかと言えば、結局は、同和地区名は隠す、行政や運動団体の主張の受け売りの記事を垂れ流すという、安直な姿勢に戻るのではないかと思います。

同和地区を特定する表現に関しては本ブログに右に出るものはいないと自負しています。何度も行政から削除要請を受け、運動団体からも名指しで批判され、グーグルマップに載せている大阪府同和地区マップの閲覧数は優に週刊朝日の発行部数を超えているわけですが、それでも本ブログは続いております。

なぜ続けられるかというと、いくら袋叩きにされても、言い返す言葉があるからです。一方、去年の部落解放研究第45回全国集会では、会場にいたある隣保館職員が「鳥取ループと議論しようにも理論がない」と嘆いていました。そう、行政にもメディアには欠けているのは理論なのです。

何年か前から「コンプライアンス」という言葉が流行っていますが、これは単に決められたガイドラインに従うだけ。なぜそうあるべきなのかという、深い思慮は何もありません。そいうものが一般企業だけでなく、メディアにも蔓延しています。

週刊朝日はガイドラインを打ち破ったつもりなのでしょうが、新潮―文春がやったからウチも大丈夫だろうという、これも結局はメディアが持つ暗黙のガイドラインである「横並び」に従っただけに過ぎないでしょう。私だったら、同和地区の場所を特定したことを問題視されたら、50年のあゆみの件を持ちだしてガンガン言い返すでしょうが、週刊朝日にそこまでやる覚悟はありませんでした。

ちなみに、書籍版「同和と在日4」では橋下徹ゆかりの同和地区、八尾市安中を訪れていますが、地元の運動団体の目線から見た彼の姿をレポートしています。安中に興味のある方はどうぞ。