滋賀県同和地区情報公開裁判の判決が出ました

12日、大津地裁で地域総合センターの名称・位置、同和地区名等の公開を求め滋賀県を提訴した裁判の判決が出ました。結論から言ってしまえば、原告の請求は全て棄却、同和対策地域総合センター要覧等は公開されることなく、原告の全面敗訴です。

判決文は以下にアップロードしました。

大津地裁判決-H24-4-12.pdf

なぜ棄却されたかということですが、ポイントは次のとおりです。

同和地区名が滋賀県情報公開条例第6条1号、つまり「個人に関する情報」に該当するかどうかについては、裁判所は判断を避けました。代わりに第6条6号、つまり「事務事業支障情報」としました。同和地区を公開することは差別につながるから、部落差別を解消しようという県の「事務事業」(実際は事務事業ではなくて、単に「政策」に過ぎないと思います)と相反するということです。

そして、注目すべきは、判決文28ページの次の記述です。

なお、センターとの名称を付した独立した施設、隣保館、教育集会所、児童館および老人憩の家の名称及び所在地については、前記1(4)記載のとおり、市町の設置管理条例が設けられ、条例上はこれが明らかにされているとはいえるが、これらの条例については、公報による公布がされたほか、特段の周知活動が行われているわけでもなく、現実問題として条例の存在及び規定の内容につき認識を欠く住民が相当数存することは否定し難いから、上記非開示情報が公開されることによって本件同和対策事業の適正な遂行に支障を与えるおそれはなお存在するというべきである。

条例上は「明らかにされ」、公報による「公布がされた」情報が、「現実問題として条例の存在及び規定の内容につき認識を欠く住民が相当数存する」から情報公開条例により「公開」してはいけないというのは、かなり無理があるように思います。条例は議会の議決を経て首長が公布するという決まりになっているのは、条例の内容を住民に周知させるためですし、現に周知されていなかったとしても住民は「知らなかった」という言い訳をすることは許されないわけです。常識的に考えて、内容を周知させることが「差別助長行為」になってしまうような条例というのは何なのでしょうか? また、同じ大津地裁で東近江市の隣保館設置管理条例に対して情報公開条例により公開命令が出されたこととも矛盾します。

2週間以内に、大阪高裁に控訴する予定です。地裁と違って高裁の判決の場合は「判例」になりますから、条例が住民に周知されていないものだということを高裁も判決文に書けるのか、試してみようと思います。

コメント

コメント(5)

  1. K on

    確かに変な判決ですね。「公報による公布がされたほか、特段の周知活動が行われているわけでもなく」というが、公報による公布は立派な周知活動なのに、それをなぜ勝手に「ほか」の一語で例外扱いするのか、デタラメな論理という他ないと思います。最高裁まで行くかもしれませんが、ぜひ頑張ってください。

  2. 鳥取ループ on

    しかも、市町によっては公報以外でも周知活動は行われているはずなんですよね。
    今度は隣保館のパンフレットでも収集しましょうか。

  3. 匿名 on

    私なら、
    普通、そこ出身であれば、そこに住みません。
    そこ出身でなくても、大きなメリットがあれば、そこに住むかもしれないでしょう。

    意外や意外、・・・

  4. ムスカ on

    住所でポン!を消す方が良いんじゃないですか。それとも謝罪して、消すかだと思うんじゃないんですか。

  5. 匿名 on

    差別主義者発狂の判決でしたねw
    そもそも差別しなけりゃ気にしない場所だろうに…知って何をしたいんですか?