鳥取県同和地区マップを消させるための対策会議資料

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さて、鳥取県では鳥取県内の同和地区マップを消させるための対策会議が行われています。最新の会議録はこちらで見ることができます。

また、過去の会議資料を鳥取県に情報公開請求していたのですが、全て公開されました。以下からご覧ください。

鳥取県同和地区マップ削除会議.pdf

注目すべきは、会議の資料として提出された各種同和地区マップも全て公開されていることです。鳥取だけでなく、以下のような大阪の同和地区マップも公開されました。

法務局の場合は個人情報開示請求に対して同様の情報を非開示としましたが、それを公開してしまうのがさすが鳥取県という気がします。重要なのは、個人情報の「開示」ではなく、情報の「公開」をしているところです。これが何を意味するのか、月刊「同和と在日」8月号で詳しく解説しております。

また、対策会議では鳥取県立図書館等が所蔵している同和関係の資料や、歴史資料の利用制限について検討されています。鳥取県に限らないですが、残念ながら日本では同和事業や歴史の研究について「学問の自由」というのは存在しないようで、「許可」が必要なことが度々あります。今後ますますその動きが強まりそうです。

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復興担当大臣になったものの、暴言が原因で辞任した松本龍。メディアで語られない彼の素顔を地元福岡の事情通「なめ猫」氏から特別寄稿。
連載「自演」ではまさかのあの人物に直撃する。
滋賀県の裁判のレポートでは、同和地区の境界を示した地図の存在が明らかになる。
※掲載予定だった朝鮮学校への補助金支出問題の記事は都合により次号に持ち越しとなりました。

●松本龍 「解放の議席」と「同和減免」
●ネット規制に法律は不要! 同和地区マップを巡る行政・プロバイダの攻防
・何が「部落差別」かということが拡大解釈され、恣意的に判断される危うさ
・鳥取県の対策の稚拙さ
・自主規制がむしろ行政の介入を助長してきた
●シリーズ「自演」 立花町連続差別ハガキ事件 第3回
・二戸一住宅ができた理由
・八女市役所係長暴言事件
・卑屈なる言葉と怯懦なる行為
●ワイド 関西同和よもやま話
・大阪土地差別調査事件のその後
・八尾のコカコーラが糾弾される
・草津市隣保館嘱託職員の同和枠と高待遇が明るみに
●滋賀県同和行政バトル日記⑨
・「部落民」はどう特定されるか
・地図上で緑色で記された「地区界」

草津市の嘱託職員募集で就職差別

今から2年ほど前、滋賀県内の高速道路サービスエリアに、こんなポスターがありました。

「どこの人」ではなく、「どんな人」 信じ合い、認め合う心、それが宝物。

一方、こちらのコメント欄をご覧の方はすでにお気づきのとおり、滋賀県草津市では「西一の人」という条件で嘱託職員の募集が行われておりました。しかも、なぜか市の嘱託職員なのに部落解放同盟西一支部の支部役員が選考を行うとされています。

コメントによれば「同僚が転職するというので同和地域の会館の職員に応募したら開放同盟の方から数年前に引っ越してきて会員でないのが理由で断られたと相談をされた」とあるのですが、上記のチラシが’配布された時点では同盟員以外でも採用するつもりだったのですが、後で待ったがかかってしまったようです。結局、複数の応募者のうち同盟員だけが採用されています。

滋賀県では、公正採用ということに力を入れており、民間企業にも同和問題の啓発と、就職差別の防止のために「企業内同和問題研修窓口担当者」というのが設置されております。県の基準では20人以上の事業所に設置されることになっているのですが、草津市では10人以上の場合と、より強い基準になっています。企業が不公正な採用方法を行っていることが分かると、行政から指導があったりするわけです。

とは言え、民間の企業がどこの誰をどんな方法で雇用しようと、それは原則自由です。しかし、行政職員の採用で、しかも事前に知らせなかった条件を応募の後に明らかにして落とすというのは、かなりまずいのではないかという気がします。

この件の深層は月刊「同和と在日」でレポートする予定です。

同和地区の調査禁止が大阪から鳥取県にも進出中

最近「宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針の策定について」という文書が出されています。

宅地建物取引上の人権問題に関する鳥取県行動指針の策定について.pdf

最近、人が差別されるという事案が減ってしまったので「いや、人ではなく土地が差別されているんだ!」ということが、新たな啓発ビジネスの種となりつつあります。アクションプログラムによれば今年の7月には土地差別問題に詳しい大学教授の講演が行われることになっていますが、7月14日午後1時50分からとりぎん文化会館小ホールで、近畿大学の奥田均氏の講演が行われます。

アクションプランによれば、調査会社が建設業者への報告書の中で同和地区等を「不人気エリア」「敬遠されるエリア」などの差別的な記載をしていたということなのですが、これらの地域は、そこに住むと結婚や就職で差別されたり、商取引も敬遠されるエリアと鳥取県が認定しているので、調査会社の報告書は間違っていないように思います。

あるいは、行政が同和地区を調査する「同和地区実態調査」を、2005年を最後に鳥取県がやめてしまったので、民間に対して調査をするなと堂々と言えるようになったのではないか、そんなことも感じています。

鳥取市の合併特例債で行われた同和地区環境整備事業

鳥取市で最近「同和地区環境整備事業」なるものが行われたという話を聞き、情報公開請求で関係書類を入手しました。

国から「地方改善施設整備費補助金」「児童厚生施設等整備費補助金」というのが出ています。それぞれ、隣保館、児童館の整備費用として出されるものです。本来は「一般対策事業」のはずなのですが、現場ではこのように同和対策事業に化けております。

児童館名が黒塗りにされていますが、これは西品治児童館です。一度児童館を解体し、隣の児童遊園に建てなおして、古い児童館の跡地に再度児童遊園を整備するという工事が行われています。黒塗りにされた道路は、市道国安11号線です。いずれも一般の公共工事なので、他の予算関係書類や入札関係の書類から、時期や予算が一致する事業を調べればすぐに分かります。倉田、富桑隣保館はいずれも小学校区名を冠したものなので黒塗りにされておらず、他が黒塗りにされたことで、西品治と国安が同和地区名であるということが分かってしまいました。

それにしても、隣保館も児童館もとっくに一般事業化されているのに、なぜ同和地区環境整備事業という分類になっているのか、不思議です。想像ですが、同和という名目の予算なら市民から異論が出にくく、市議会を通りやすいという事情があるのかも知れません。

解説・同和地区マップが消えない理由

グーグルマップを利用した同和地区マップに対して、私が知る限り公的機関だけでも、大阪法務局、大津地方法務局、鳥取地方法務局、鳥取県人権局、滋賀県人権施策推進課から削除要請がされておりますが、どうしても消えないようです。鳥取県では2年も前から対策会議が開かれており、さすがに税金と労力の無駄ではないかと感じています。そこで、なぜ消えないのかということを、技術的な面と法的な面から解説していきます。

技術的な問題

グーグルマップの地図データ、航空写真などは常にグーグルのサーバー上にあります。同和地区マップもそうで、さらに今のところは同和地区施設の場所を示すデータ(目印データ)もグーグルのサーバー上にあります。「今のところ」というのは、目印データはグーグルのサーバー上に置く必要はなく、別の場所に置くことができるからです。

実際に、別のサーバー(Dropbox)に置いてみました。こちらをご覧ください。

地図データとマップ上の目印は一体のものではなく、それぞれ別々のデータとなっており、ブラウザ上で動作するプログラムにより重ね合わせられるというのがグーグルマップの仕組みです。それぞれデータは別のサーバーにあっても構わないわけで、前述の例では地図はグーグル、目印はDropboxのサーバーにあります。ということは、グーグルに削除要請をしてもグーグルはどうにもできないわけで、Dropboxに削除要請をしなければいけません。

さらに、地図とマップ上のデータを合成するプログラム(HTML, JavaScript)を別のサーバーに配置することができます。こうなると、ぱっと見たところではどこに削除要請をすればいいのか分かりませんね。しかも、どれか1つのデータが消されても、別のサーバーに移せばよく、そのようなサービスは世界中にいくらでもあるのでいくらでも復活できます。

グーグルが鳥取県人権局に対して「マイマップに関するクレーム、ご意見等にいては、マイマップを作成したユーザーに直接ご連絡いただくようにお願い致します」と答えているのは、そういう意味ではないかと思われます。「ユーザーを逮捕してインターネットから遮断しない限り、こちらが消しても無駄ですよ」ということなのです。

法的な問題

日本の法律では言論の自由というのは非常に強力な権利です。憲法21条で「言論、出版その他一切の表現の自由」が保障されており、さらに「検閲は、これをしてはならない」とされているためです。一方で、削除要請の根拠となっているプライバシーや個人情報の保護は憲法では直接規定されていません。従って、2つの権利が衝突する場合は、前者のほうが優先されやすいと言えると思います。さらに、憲法82条は裁判の対審及び判決は原則として公開法廷で行うことを規定しており、特に憲法21条を含む国民の権利が関わるものは一切例外を認めないという強力な規定になっているので、行政が争訟になるような強制力のある措置というのもいろいろな意味でやりにくいわけです。

同和問題では憲法14条(法の下の平等)が錦の御旗にされる一方で、なぜか前述のような規定は邪魔なものとされているようで、そこで行政は回避策を考えました。大阪法務局、鳥取地方法務局、鳥取県人権局が私に直接削除要請をせずに、グーグルなどのプロバイダに削除要請をするのは、もし実際に同和地区マップが削除された場合「消したのはプロバイダだ、こちらは直接手を下していないので検閲ではない」と責任回避をする意味があるものと思われます。

削除要請が「行政処分」ということになって、それが検閲かどうかが問題にされるようなことがあると、都合の悪いことについて説明を求められることになってしまいます。例えば、同和地区マップの載せている情報は、もともとは自治体がインターネットで公表しているものだったり、部落解放運動団体や同和対策事業団体の出版物に掲載されているものだったりすることです。

すると、「部落地名総鑑事件」以降の教育、啓発、解放運動といったものが、根底部分からおかしかった、そのために無駄な税金と労力を費やしてきたということが明らかになってしまいます。様々な人、団体のメンツが丸つぶれですよね。それをライフワークとして人生の大半をかけてきた人もいるようですが、これでは馬鹿みたいです。そこで、いろいろな人が必死になって、なるべく自分の手を汚さない方法で同和地区マップを消させようとしているのですが、そもそもその行為自体が矛盾と欠陥だらけの教育、啓発、解放運動の中で行われているものなので、どうしても消えないというわけです。