直方市 同和施設所在地 HPに 条例に番地 全文を削除 九州21自治体も

西日本新聞に、このような記事が掲載されていました。

福岡県直方市が、市内の同和地区内にある公共施設に関する条例を、施設の詳細な所在地を記載したままホームページ(HP)で公開していたため、部落解放同盟から「被差別部落が特定される恐れがある」と指摘を受け、HPから条例全文を削除していたことが29日分かった。西日本新聞の取材では、少なくとも九州の21の自治体が所在地を含めて同様の条例をHPで公開していた。識者は、1970年代に同和地区の地名を記載して差別を助長したと批判された書籍「部落地名総鑑」問題を挙げ、「第2の地名総鑑になる危険性がある」と指摘している。

直方市によると、問題の条例は72年施行の同和対策施設等改善条例。集会所など41カ所の施設について、設置目的と小字(こあざ)や番地まで記載。情報公開の一環で、他の条例と一緒に2003年からHPに公開していた。

向野敏昭市長は、「条例制定時と違い、不特定多数がインターネットで自由に検索できるようになり、人権上の配慮が必要と判断した」ということで名称を含めて条例改正も検討しているとのことですが、条例を「公布する」ということの意味がよく分かっていないものと思われます。

公開することが問題なのではなくて、隠すという行為と、隠す理由が問題だという発想がないのでしょうか。条例は便所の落書きではないのですから、消すことができるわけではなく、改正したところで、過去に公布された内容は永久に残ります。そのことは、東近江市に対する裁判で証明したことです。

解放同盟直方市協議会が「施設の周辺が被差別部落だと特定される可能性がある」、直方市が「人権上問題がある」、部落解放同盟福岡県連合会の吉岡正博書記長が「HPに掲載する条例に被差別部落の施設所在地を載せる必要は全くない。差別を助長する恐れがある」、福岡県人権研究所理事長の森山沾一・福岡県立大教授が「『部落地名総鑑』と同じだ。人権侵害を再び繰り返す危険がある」と言っている条例の全文は以下のとおりです。

○直方市同和地区等改善施設条例
(昭和47年3月29日直方市条例第3号)
改正
昭和47年7月1日条例第13号
昭和48年7月16日条例第18号
昭和49年3月16日条例第3号
昭和49年6月25日条例第20号
昭和50年8月18日条例第17号
昭和51年1月5日条例第1号
昭和51年5月24日条例第21号
昭和51年10月8日条例第34号
昭和52年3月31日条例第4号
昭和52年6月30日条例第19号
昭和53年4月1日条例第2号
昭和54年3月31日条例第3号
昭和55年7月15日条例第17号
昭和56年10月1日条例第21号
昭和57年3月15日条例第2号
昭和58年12月17日条例第18号
平成17年3月18日条例第9号

集会所
名称 位置
直方市中泉集会所 直方市大字中泉1040番地1
直方市貴船集会所 直方市大字下新入566番地3
直方市二字町集会所 直方市大字山部1405番地
直方市山部教育集会所 直方市大字山部911番地4
直方市下境集会所 直方市大字下境3234番地
直方市中泉牟田集会所 直方市大字中泉1120番地
直方市川北集会所 直方市大字上頓野4846番地3
直方市下境三区集会所 直方市大字下境3910番地3
直方市植木光田集会所 直方市大字植木2107番地2
直方市江口集会所 直方市大字知古1281番地9
直方市天神山教育集会所 直方市大字植木171番地17
直方市赤地集会所 直方市大字赤地61番地1
直方市行定教育集会所 直方市大字下新入507番地6
直方市本洞集会所 直方市大字下境4078番地6
直方市日焼集会所 直方市大字下境3910番地28
直方市中泉八反田集会所 直方市大字中泉1264番地15
直方市中泉教育集会所 直方市大字中泉1028番地6
直方市感田中牟田集会所 直方市大字感田1472番地4
直方市感田若柳集会所 直方市大字感田2167番地2
直方市中泉犬田教育集会所 直方市大字中泉1018番地45
直方市日焼教育集会所 直方市大字下境3910番地401
直方市山部二区集会所 直方市大字山部835番地1
生活館
名称 位置
直方市感田生活館 直方市大字感田2194番地1
直方市本洞生活館 直方市大字下境3825番地1
直方市赤地生活館 直方市大字赤地16番地3
納骨堂
名称 位置
直方市下境納骨堂 直方市大字下境3227番地
直方市植木光田納骨堂 直方市大字植木2298番地1
直方市山部納骨堂 直方市大字山部1438番地3
直方市感田納骨堂 直方市大字感田1899番地6
直方市中泉納骨堂 直方市大字中泉1144番地2
直方市貴船納骨堂 直方市大字下新入559番地
直方市中泉今林納骨堂 直方市大字中泉848番地2
直方市中泉牟田納骨堂 直方市大字中泉1027番地3
直方市行定納骨堂 直方市大字下新入500番地1
直方市北打向納骨堂 直方市大字山部879番地6
直方市植木天神山納骨堂 直方市大字植木744番地4
直方市新感田納骨堂 直方市大字感田1902番地10
直方市江口納骨堂 直方市大字感田3229番地1
直方市本洞納骨堂 直方市大字下境3978番地265
直方市日焼納骨堂 直方市大字下境3909番地43
研修センター
名称 位置
直方市人権研修センター 直方市殿町7番45号

月刊「同和と在日」1月号印刷版発売開始

例によって月刊「同和と在日」1月号のオンデマンド印刷版を発売開始しました。

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滋賀県の準備書面と乙号証

地域総合センターの名称・位置、同和地区名等の公開を求め滋賀県を提訴した裁判で、2011年1月27日13:20開廷予定の第2回口頭弁論に向けた被告準備書面と証拠書類をアップロードしました。

こちらからご覧ください。

準備書面の内容をつぎの通り要約しました。口頭弁論の1週間くらい前までに、これに対する反論の準備書面を用意することになります。

第1 請求の原因などに対する認否等

3 同和地区の定義について、同和対策審議会答申(乙5)によれば「当該地方において一般に同和地区であると考えれているもの」である。
県は「同和対策事業の対象地域を含む被差別部落をいう」と定義する(甲3)。
しかし、定義により差別が起こるのではなく、同和地区と見なされた地区に関係を持つ人が同和地区出身者と認識されて差別され得る。

4 同和対策地域総合センター要覧は部外秘として番号管理のうえ配布し、不要になったら廃棄するように徹底されていた。

7 原告の以下の説明は認める。
・部落解放同盟滋賀県連の名簿が流出したが、大きな問題にはなっていないこと。
・単純に住所だけで同和地区出身者を識別できないこと。
・住宅地図だけで地域総合センターの周辺住民が特定できること。
・県に説明通りなら、地域総合センターの周辺に住むと就職や結婚で差別を受けること。

第2 被告の主張
1 同和問題
(1) 同和対策審議会答申の説明
(2) 同対法、地対法、地対財特法の説明
(3) 同和対策事業の終了と、地域改善対策協議会意見具申の説明

2 差別事業および意識調査結果等
(1) 昭和50年以降の部落地名総鑑事件の説明
(2) 滋賀県の意識調査で同和地区の家を買うことの是非について「いちがいにはいえない」という答えが多い。
奈良県の意識調査でも「問題があるとは一概にいえない」という答えが多い。
また結婚について考えないすように言うが11.7%あった。
兵庫県、岐阜県の意識調査でも結婚については奈良県とほぼ同様。

3 現在被告が実施している同和対策事業等
(1) 同和対策の一般対策への移行、人権教育のための国連10年、人権教育法の説明
(2) 滋賀県の今後の同和行政に関する基本方針、人権教育のための国連10年滋賀県行動計画、滋賀県人権尊重の社会づくり条例、滋賀県人権施策基本方針、人権意識高揚のための教育・啓発基本計画についての説明。

4 本件対処公文書および非公開部分について
(1) 請求対象文書
本件公文書1 同和対策事業の地図
本件公文書2 滋賀県同和対策新総合推進計画
本件公文書3 同和対策地域総合センター要覧

(2) 同和対策事業の地図は工事が集中している場所が同和地区だと分かるので、個人不利益情報、事務事業情報として非公開とした。
(3) 滋賀県同和対策新総合推進計画は同和地区名が一覧できるので、個人不利益情報、事務事業情報として非公開とした。
(4) 同和対策地域総合センター要覧は同和地区名が一覧できるのと、センターの位置から同和地区の場所が分かるので、個人不利益情報、事務事業情報として非公開とした。

5 非公開理由1(個人不利益情報関係)
(1) 条例第6条第1号の説明
(2) 個人不利益情報が広範に渡ること、法令等で公にされている情報は閲覧制限が設けられている情報ではなく、また時間の経過により非公開とされることもあることの説明。
(3) 本件情報の類型
類型ア 同和地区名
類型イ 同和対策事業に関する地図
類型ウ 地域総合センターの位置
類型エ その他同和地区名や所在地を推測させる情報

(類型ア)
同和地区名は通常は個人に関する情報ではない。
同和地区名は同和関係者に対する蔑称として使用されている。
差別が残っている現状では同和関係者には知られたくない情報である。
地区名が分かれば住宅地図や電話帳から同和関係者を確認できる。
結婚や就職で差別に利用される。
県内の同和地区名が網羅されたものは滋賀県版部落地名総鑑となり得る。
よって公にすることにより個人の権利利益が侵害される。

原告は同和地区名は滋賀の部落や設置管理条例から知ることができると主張する。
滋賀の部落は差別に使わない意図で出版されたものであり、滋賀県立図書館では閲覧制限され、国立国会図書館でも閲覧制限がされ得る。
設置管理条例は施設の名称や位置を定めているが、施設のある地域が同和地区であることを明らかにするものではない。
地域総合センターが同和対策事業として設置されたことを知るのは一部の人だけである。

(類型イ)
類型アの前半の説明と同様

(類型ウ)
地域総合センターは現在は地区住民の要望で名称変更や移転している例もある。
要覧の作成当時はセンターを同和地区内に置き、同和地区名を冠していることが大半だった。
昭和53年の部落地名総鑑は同和対策事業の資料(同和地区精密調査報告書のことと考えられる)をもとに作られた。
他は類型アの説明と同様。

(類型エ)
類型ウの説明と同様。

6 非公開理由2(事務事業情報)
(1) 条例第6条第6号の説明
(2) 当該条項が例示列挙であることの説明。
(3) 本件情報の公開は部落差別の解消を妨げる。
原告がブログに掲載した部落地名総鑑に対する法務省の削除要請を無視したり、部落解放同盟員の名簿を載せたことは差別を助長する悪質な行為である。

第3 結語
1 情報を非公開としたことは適法
2 原告の請求は棄却・却下されるべき

月刊「同和と在日」2011年1月号発売しました

ガチな日本が読める雑誌「同和と在日」第3弾。
被差別部落出身を明かしたタレント村崎太郎氏の故郷からの現地ルポ、知る人ぞ知る横須賀の同和住宅の謎を追うドキュメント 他

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http://p.booklog.jp/book/17238

目次
●現地ルポ “プロ同和”村崎太郎が語らざる共産党・人権連の不都合な関係
・これがほとんどノンフィクション!?
・村崎節炸裂! 松本人志は九九ができない
・著書ではふれられない共産党一家
・村崎家のふるさとを訪ねて
・未償還金6億円! 光市の同和行政の影
・部落差別以上のアカという差別
・参考資料・村崎太郎氏の事務所の回答全文(原文ママ)
●神奈川県の同和史&事件簿
・同和をかたって福祉施設に温泉水を販売
・同和対策特別融資を悪用した県内最大の不祥事
●横須賀市―同和地区が消えた街に残された同和住宅
・地域改善向住宅
・横須賀の部落解放運動が遺した物
・市営住宅の“裏メニュー”
・「一般棟」と「同和棟」
・横須賀市民の財産
●同和にああ言われたら、こう言い返せ!
・「自分は被差別の立場で、あなたは差別する側だ」
・「今でも就職や結婚などで根強い差別が存在する」
・「○○は差別だ!」
・「寝た子を起こすなで差別はなくならない」
●滋賀県同和行政バトル日記③
・滋賀県の本気
・法務局から部落地名総鑑が開示される!?

同和対策前夜?政府のアイヌ政策推進会議

政府の「アイヌ政策推進会議」の資料を分析中ですが、非常に同和対策事業と同じことになりそうな香りがします。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/index.html

違うのは、完全に「属人主義」になることで、なおかつ同和対策事業とは違って時限立法ではなく恒久立法となりそうなことです。

問題はどうやってアイヌを識別するかということですが、昭和63年に行われた「東京ウタリ実態調査」の例では、アイヌの血筋を戸籍などから証明することはほとんど不可能に近く、「機縁法」という「アイツはアイヌだ」という噂をたどってアイヌを探すという方法が用いられました。しかし、他人がそう言っても本人が否定すれば無理に調査するわけにもいかず、本人が「自分をアイヌ、またはアイヌの子孫だと思っている者」をアイヌとして定義しました。要は「言った者勝ち」なわけです。

現在北海道で行われているアイヌに対する住宅新改築資金の貸付や、進学給付金といった制度を全国に広げることを検討しているようですが、果たして実現できるものか、非常に疑問が多いところです。

アイヌという人種は存在せず、あくまで民族であり文化であるはずで、アイヌという「出自」を認定して国が補助をすることは、非常に無理があります。誰がアイヌかという問題は曖昧にして、純粋に文化に対する補助にとどめた方が当事者にとっては幸せなことだと思うのですが。

それでも同和対策みたいなことが始まれば、もちろん本サイトのネタになります。

情報公開・個人情報保護審査会で「部落地名総鑑」を開示との答申

去る12月3日に情報公開・個人情報保護審査会の答申が出されました。

情報公開・個人情報保護審査会-H22-12-3.pdf

法務局が取得した偽の部落地名総鑑を個人情報開示請求したところ、法務局が黒塗りにした件について、開示すべきという判断が出されています。

この答申のポイントは、情報公開・個人情報保護審査会は、あの「部落地名総鑑」が差別につながる情報だとは判断していないことです。条文で言えば行政機関個人情報保護法14条7号、つまり事務事業遂行情報と判断しています。該当部分を抜き出してみます。

文書4の不開示部分は,特定ブログに添付された電子ファイルの内容を印刷したものであるが,いずれも特定の地域に関する情報が部落地名総鑑等の標題とともに多数掲げられており,その内容からして,それが事実か否かを問わず,法務局等が部落差別を助長する可能性のある情報として,重点的にその排除に取り組んできている情報であると見ることができる。

部落差別を助長する可能性のある情報と書いてはありますが、主語が「法務局等が」であることから、審査会がそのように認定しているわけではありません。ある意味「差別につながる情報ではなく、事務事業というのは法務省の面子の問題に過ぎない」という私の主張が通ったとも言えます。

ただ、その上で開示という判断になったのは、部落地名総鑑は請求人がブログで盛大に公開しているものだから、今さら法務局が請求人に対して開示したところで、差別を助長する行為に加担したと誤解されることはないよ、ということです。

あとは法務局が答申を尊重して開示するか、それとも無視するか、近いうちに結果が出るものと考えられます。

滋賀同和問題企業連絡会理事会社一覧

「企業内同和問題研修啓発推進事業関係通知・通達等」という資料に掲載されていた、今年の同企連の理事会社の一覧です。就職活動の参考等にご利用ください。

株式会社平和堂
関西電力株式会社滋賀支店
株式会社関西アーバン銀行びわこ本部
東レ株式会社滋賀事業場
ルネサス関西セミコンダクタ株式会社
日本生命保険相互会社滋賀支社
オムロン株式会社草津事業所
ヤンマー株式会社小形エンジン事業部
日本電気硝子株式会社
近江鉄道株式会社
株式会社滋賀銀行
ダイハツ工業株式会社滋賀竜王工場

実は同じ資料に「職業安定行政に係る地域改善対策特例事業の一般対策への円滑な移行について 」(平成9年3月31日付け職発第230号、労働省職業安定局長通達、最終改正職発第0401003号)という通達文書が掲載されています。それによると、同和対策終了後、ハローワーク等で「同和関係者」という扱いが廃止されたわけではなくて、実は障害者などと同列の扱いにするということで「一般化」がなされたようです。次々号くらいになるかも知れませんが、徹底調査の上、月刊「同和と在日」で詳しくレポートする予定です。

12月5日東京都大田区産業プラザの文学フリマに出品します/他

月刊「同和と在日」2010年12月号のオンデマンド印刷版を提供開始しました。なんか表紙の表示がおかしくなっていますが、実際は上のとおりです。

「同和はタブーではない」の(1~3合本)を発売しました。3冊の同和はタブーではないをまとめて、若干修正したものです。こちらもオンデマンド印刷版を提供しています。

さらに、12月5日に開催される第十一回文学フリマに出品します。開催概要は次のとおりです。電子書籍とオンデマンド印刷本を対面販売します。高いオンデマンド版ですが、会場ではちょっとだけ安くします。その場で手渡しではなく後日郵送です。

プロ・アマの作家が多数出展しており、読書好きにはたまらないイベントですので、ぜひご来場くださいませ。

開催日 2010年12月5日(日)
開催時間 11:00開場~17:00終了
会場 大田区産業プラザPiO 大展示ホール・小展示ホール
ブース C-10 GNN『俺書店』事業部

※おまけ※

「同和はタブーではない」1~3を国立国会図書館に納本しました。文献としてもご活用ください。

第十一回文学フリマ