子どもを支える人権のまちづくり促進事業

滋賀県に対して同和地区の場所を情報公開請求したわけですが、その際気になる事業を見つけました。事業名は「子どもを支える人権のまちづくり促進事業」です。
全国的に同和対策は廃止の方向へすすみ、一般対策へと移行されていますが、その際に一般対策という名目で、事実上の同和対策が継続されることがあります。書類上は一般対策とされているため、見分けがつきにくいのですが、対象地域や対象団体が公開されない事業はその可能性が高いです。
子どもを支える人権のまちづくり促進事業も、対象地域を情報公開請求したところ案の定対象地域は公開されませんでした。部分開示された資料によれば事業の内容は公民館や地域総合センターの周辺地域の子供を対象とした学習会や旅行といったことです。滋賀県内では「同和地区の子供だけ税金で卒業旅行できる」といった噂があるようですが、この事業に関しては特に同和地区に限っているわけではなく、事実上自治体全域が対象となっているものもあります。
しかし、野洲市、甲賀市、草津市については、鳥取でも最近まで行われてきた同和地区の児童生徒だけを対象とした学習会と同様の内容がありました。これは、事実上の同和対策ということになると思います。以下に部分公開された事業実績書を公開していますので、実際にご覧になってみてください。
子どもを支える人権のまちづくり促進事業-実績書


例によって、7月30日付で審査請求しました。審査請求の趣旨及び理由は以下の通りです。

(1) 趣旨
以下の採決を求める。
ア 審査請求に係る処分のうち、子どもを支える人権のまちづくり促進事業補助金の対象地域が特定できる情報を公開しないとした処分を取り消す。
イ 平成19年度の子どもを支える人権のまちづくり促進事業補助金の対象地域と計画書、実績書、収支決算書等の内容を全て公開する。
(2) 理由
以下に説明するとおり、審査請求に係る処分の理由に不服がある。
ア  平成19年度の子どもを支える人権のまちづくり促進事業補助金の対象地域と計画書、実績書、収支決算書等(以降「本件文書」という)のうち対象地域が特定できる情報は滋賀県情報公開条例(以降「条例」という)第6条第1号に該当しないと考えられる。
 個人の権利利益が侵害されるということについて、審査請求人が所管課に電話で問い合わせたところでは、要綱により「困難を抱える児童生徒が多く、特別な配慮を必要すると市町が認める地域」を対象としているため、そのような地域を公開すれば地域住民の権利利益が侵害されるという主旨の説明を口頭で受けた。
 しかし、例えば現地の表札や学校の文集等で対象地域の子供を特定できたとしても、その子が「困難を抱える児童生徒」であると思われるほどの実態がある地域が存在すると考えるのは合理的でない。また、現時点で一部公開された事業実績書の内容を見る限り、ほとんどの地域では要綱に記載された通りの実態があるとは考えにくい。
 安土町の特別支援教育推進事業について、施設名、管内区域が非公開とされているが、同町には対象となりうる施設が安土町公民館しかなく、管内区域も町内全域と考えられる。従って管内の状況や実施場所を公開しても支障はないものと認められる。
 湖南市で行われている日本語指導について、日本語が母国語でない住民がいることは確かに困難を抱えるということにはなるが、地域が公になることで個人の人格権が侵害される性質のものではない。
 東近江市、米原市、豊郷町、甲良町、木之本町で行われた事業は社会科見学やバス旅行、クリスマス会、野外活動、調理実習といった内容で、どこにでもある「子ども会活動」のようなものと見分けが付かない。また、栗東市、虎姫町、長浜市で行われている事業も一般的な人権教育である。これらの事業について、対象者が困難を抱える児童生徒と考えるのは相当でない。
 以上のように、要綱にある「困難を抱える児童生徒が多く、特別な配慮を必要する」ということを拡大解釈して運用している実態があることが計画書や実績書から明らかで、そのことを半ば承知の上で県が補助金を交付しているのであれば、(拡大解釈して運用することの是非は別として)対象地域を公開しない理由とすることは不公正であるように思われる。
イ  本件文書のうち対象地域が特定できる情報が条例第6条第6号に該当する根拠がない。
 本件処分が条例第6条第6号のうちアからオのどれに該当するのかが説明されていないが、本件文書に係る事業は監査、契約、取締り、交渉、調査研究、人事管理のいずれにも該当しておらず、地方公共団体や独立行政法人等が経営する企業が事業に関与していないので、条例第6条第6号の各要件には該当しない。
ウ  滋賀県情報公開条例の前文には「そもそも県の保有する情報は、県民の共有財産である。したがって、県の保有する情報は公開が原則であり、県は県政の諸活動を県民に説明する責務を負う。」とあり、情報公開は行政が諸活動についての説明責任を果たすための制度である。
 本件文書に係る事業については事実上の同和対策の継続である疑いがあったため、審査請求人は所管課に説明を求めたところ、口頭で一般対策であるとの主旨の説明を受けたが、部分公開された文書には、かつて学力保証として同和地区の児童生徒に対して行われた同和教育と変わらないと思われる内容がある。
 野洲市の保護者学集会の事業実績書には「子どもには絶対差別を受けさせたくない。差別を見逃さず、差別をゆるさない子に育ってほしい」という、事業対象者がいわゆる同和関係者に限られていることを示す記述がある。また、草津市の収支決算書には社会同和教育費という項目がある。甲賀市の事業実績所について、全面公開されないため確証は持てないところではあるが、地域名以外に同和教育と関係する文言を消したと思われる箇所がいくつかある。
 何を持って同和対策か、一般対策かという明確な線引きは難しいが、特に同和地区や同和地区住民を対象として事業が行われているとすれば、「同和対策ではない、一般対策である」と言われても説明責任という観点からは納得できるものではない。
 本件文書から、かつての同和対策事業の対象地域、対象住民が明らかになるような実態があるのなら、不適切な事業運営によって情報公開に支障をきたしているものとして行政不服審査法第40条の6に基づいて処分不当との採決をしていただくか、事業のあり方を改めるよう付帯意見をつけていただきたい。

コメント

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  1. 子どもを支える人権のまちづくり促進事業の非公開地域 - 鳥取ループ on

    […] 一部では事実上の同和対策となっている「子どもを支える人権のまちづくり促進事業」の関係書類を情報公開請求して、地域名や施設名が非公開とされ、さらに審査請求をした件。 […]

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