同和地区実態把握等調査とは(2)

同和地区実態把握等調査は、県が市町村に委託して行われます。対象となる世帯は市町村長が作成した「同和関係世帯主名簿」に記載された世帯です。つまり誰が同和関係者であるかを明確にしたリストが存在するということです。もちろん、同和関係者や同和地区の存在の根拠となる法律はありません。2002年に3月に失効した旧地対財特法の対象地域を拠り所にしているのが実情です。しかし、法律的な根拠とは無関係に「歴史的な事実」を拠り所にこれからも行政上の同和地区や同和関係者は存在し続けるでしょう。もっとも県ではなく市町村レベルでは、条例によって部落差別の存在や実態調査の必要性を規定しているところもあります。
それでは、調査の手順を順に追っていきましょう。
まず、「調査員」と「協力員」が市町村長によって推薦されます。調査票への記入など、実際の調査業務を行うのが調査員で、これは必ず市町村職員が務めます。協力員は調査員の補佐・案内役で、民間人が務めることができます。
調査が始まる前に、市町村で調査員と協力員に対する説明会が行われます。説明会では具体的な調査手順の指示のほか、守秘義務の徹底や情報管理、事故防止について指導が行われます。
調査員や協力員には手引書や調査票、受け持ち世帯リスト、筆記用具などの物品が支給され、いよいよ調査がはじまります。調査員は多くの場合、市町村の同和対策課や隣保館、人権文化センターの職員が務めるわけですが、必ずしも調査対象地域に馴染みがあるわけではありません。一般採用の職員であればなおさらのことです。国勢調査に比べれば、かなり突っ込んだ調査項目もあるので、いきなり訪問しても協力してもらえるとは限りません。そこで、事前に各世帯に調査の趣旨などを記載した依頼状を配布します。この事前協力依頼は協力員の仕事です。協力員は町内会長、区長、部落長などの地元精通者が務めます。実際に調査が行われる前に、近所の顔なじみのおじさんが「こういう調査をやりますので、ひとつよろしくお願いします」という感じで依頼状を持って各世帯を回ることになります。
調査員が対象世帯を訪問する前に、まず家の前の道路の幅を見ます。これも重要な調査項目であるからです。世帯訪問は大抵昼間に行われるので、その家のお年寄りや主婦が出てきます。調査員証を見せて身分を明らかにした後、「先日ご案内した通り、調査に伺いました~」という感じで面接調査をはじめます。ここで協力を得られ、無事に調査票を埋めることができたら、お礼を言って謝礼品(タオル)を渡して世帯訪問は終わりです。
もしも住人が「そういう調査には協力できん」と言ってきたら、後日協力員と共に訪れて「粘り強く」説得し、それでも追い返された場合は調査拒否として処理することになります。あるいは、その前に調査員は協力員からある程度対象世帯の状況を把握しておきます。例えば「あん家(ね)は奥さんや娘さんにはここが被差別部落だっちゅうことは言っとらんだけぇ、旦那さんに直接聞かないけん」だとか「あそこは共産党だけぇ、なんぼ言ったって駄目だわいや」といった具合です。
(次回につづく)

コメント

コメント(1)

  1. なめ猫♪ on

    法失効後も続く同和教育研究協議会への補助金

     戦後教育の問題点を考える上で人権教育のあり方を抜きにして見ることはできません。  福岡県では、日教組と行政の関係が切れない背景の一つに同和教育において教組が果たしてきた役割があるといわれます。 平成

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