「なぜ、部落差別だけを大きく取り上げるのか」は差別的な意見?

以下は平成11年8月6日に東郷町(現 湯梨浜町)公民館で行われた社会同和教育熟年指導者養成講座の資料です。

この講座のねらい
同和問題を学習する手法に参加型学習を取り入れ習得し、地域で実践しながら個々の体験を発言できる力を要請することをねらいに企画しました。また、自分自身が高齢者だという気持ちを持つ方はほとんどいらっしゃいませんでしたが、同和問題の関連を意識するために「高齢者問題と同和問題」の分科会も設定しました。
ア 講座と演習「これからの啓発に求められる手法―参加型学習―」
講師 鳥取県人権文化センター専任研究員 ■■■■ さん
○講演
(1)人権文化を育むために
 ①人権文化の社会とは、人権意識、人権感覚にあふれた人々で、地域が満たされ、人権を尊重する心や態度が日常生活の隅々まで行き渡るような社会
 ②人権文化をはぐくむための2つのアプローチ
  ・人権の視点から新しい価値観の創造=「差別の文化」を弱める
  ・人権のための新しい社会的ネットワークを育てる
(2)体験的参加学習を活用した人権学習
 ①体験的参加型学習は、学習者が主人公となる学習
 ②めざすもの
  ・人権のための基本的技能習得訓練の場
  ・鋭い人権感覚を養う「気づき」の場
  ・人権文化の町づくりへの参画、行動へ
○演習
(1)アイスブレイキング
  輪になって座る―→人権肩たたき、4つのコーナー、ふりかえり、自己紹介ゲーム、グループ分け
(2)文章完成法、フォトランゲージ
イ 分科会
第1分科会
演習「参加型で学ぶ同和教育」
地域でよく聞かれる差別的な意見にどう答えるかグループごとに討議していただきました。
討議の一例
テーマ「なぜ、部落差別だけを大きく取り上げるのか」
原因・背景
 ねたみ意識……同和対策事業に対する地区外のねたみを取り除く心情的な教育は不足していた。
 おしつけの同和教育……受身の学習で、自分の問題としてとらえられていなかった。
 学習会のマンネリ化……もういい
 長期的なものとして、条例を具体化する。
対策
 心の壁を取り除く……参加型学習
 「部落差別・同和問題」と他の差別とのちがいを明らかにする。
 同和問題を核として、自分とのかかわりにつなげる。
ウ 第2分科会
講演「高齢者問題と同和教育」
鳥取県社会同和教育指導委員■■■さん
意識調査結果を分析したところ、人権意識の低さ・差別の自由がありすぎる今の県民意識の現状が分かったそうです。高齢者の人権の現状と課題・「国際障害者年は地域のあり方についてのすべての住民参加による議論から構成されることを求めていること」など国際高齢者年の趣旨について教えていただきました。人権問題を自分自身の問題とするためには生命の感受性を大切にしていくことが大切になってくるということを御自身の体験も交えながら話していただきました。
(4)受講生の声
ア 今日、私がうれしかったのは……?
 ・体験的参加学習とは、その意義とはという疑問をもってきたが、少し理解できたように思ったこと。
 ・志を同じくする方と話せ、誰も苦労なさっていることがわかったこと。
 ・午後の講演が素晴らしかった。特に水平者宣言の1節についてと先生の人間としての生き方・考え方に共鳴しました。
 ・参加型学習によって受身ではなく少しでも仲間(グループ)のなかで自分の思いが言えたこと。
イ これから私が実行しようと決めたことは……?
 ・差別への気づき
 ・自分の中に気づかない固定観念がここまであったことに気づいた
 ・本気で学習する気になった。
 ・小地域懇談会・座談会で参加型学習をしていきたい。
 ・多くの人間と触れ合って、人間らしく生きる姿勢を共に探っていきたい。
ウ 気づいたこと・考えたこと。書いておきたいこと
 ・人に学ぶことが多いこと、大切なことに気づきました。
 ・同じ熟年といっても直接同和教育に携わっていない人もたくさんある。基本的な考え方にも大きな違いがある。このような集団でいずれも和気あいあいと話していく中で自分の意識を変えていく場にしたい。
 ・固定観念(思い込み)の払拭を取り上げることが部落差別を考える一方法であり―→自分との関係として考えられる。
 ・①心の壁を取り除くこと②テーマに迫る③ふりかえるというプログラムを考えることが大切であると思った。
 ・国際的にも同和問題の現実を深めながら行動していきたいと思います。
 ・固定観念による偏見の打破をしていきたい。
(5)まとめ
この研修に参加して、面識もない他市町村の方と知り合いになり気分がほぐれてよかったです。
参加型学習の手法を学習させていただき、その要領がわかりはじめました。講演もよいですが、受講生が相互の幅広い経験を出し合えるこの手法は素晴らしいと思いました。今後、自分の地域でも取り入れていきたいと思います。
国内はもちろん国際的な幅広い内容も視野に入れた内容に触れることができました。自分自身を含めて多くの人は、固定観念・偏見をもっています。柔軟な考えをし、間違った観念を打破していきたいです。自分の価値基準を見直す作業が苦痛ではありませんでした。他人の心の痛みがわかるような自分でありたいと思いました。

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