第1回口頭弁論準備中

私も訴訟の経験は初めてですし、自分へのメモ書きと、行政裁判をされる方の参考のために、裁判の経過や説明を逐次行うことにしたいと思います。何か疑問がありましたら、素朴な質問でも構いませんのでコメント欄をご利用ください。なお、私は弁護士でも何でもありませんので、法律的な知識については何ら保証できません。あくまで参考ということでお願いいたします。
行政裁判は民事裁判と同じく、原告(今回の場合は鳥取ループ)が裁判所に、裁判所に求める判決や、事実関係を説明した訴状を提出することから始まります。平成19年11月16日付けで裁判所に提出した訴状はこちらかからご覧になれます。行政裁判の場合、訴状を提出す裁判所は、被告の自治体(今回は鳥取県)を管轄する地方裁判所か、または原告の住所を管轄する地方裁判所のいずれかです。今回は鳥取県を管轄する鳥取地方裁判所に提出しました。
後で知ったことですが、訴状などの書面は裁判所に提出すると同時に、被告と原告の間で直接やりとりするのが一般的なようです。訴状は裁判所で受理されて被告に届けられるまで若干の日数がかかるので、裁判書に提出すると同時に被告(今回は鳥取県)にファックスしておくと、被告は自分が訴えられているということと、訴状の内容をいち早く知ることができます。こうすることで、被告はいち早く弁護士を選任したり、答弁書(訴状に対する応答)を準備することができ、裁判がスムーズにすすみます。
また、裁判が開始した後も、訴状のミスを訂正したり、主張や反論のための書面(準備書面)を裁判所に提出します。準備書面は2通用意して裁判所に提出し、1通を裁判所から被告に送ってもらうということができますが、郵送のための費用や時間がかかるので、1通だけ裁判所に郵送すると同時に被告にファックスした方が経済的です。
ということで昨日、県側の担当となる予定の弁護士さん(まだ正式決定ではないそうです)に書面をファックスで直接やりとりしたい旨を伝えました。
最初の口頭弁論で訴状のミスをいくつか訂正する予定です。訂正は逐次
訴状のページに反映します。

第1回口頭弁論

期日 平成20年1月29日午後1時30分
場所 鳥取地方裁判所民事部32号法廷
ぜひ傍聴にいらしてください。

訴状

ということで、以下の訴状を鳥取地裁に提出してみました。

平成19年11月16日

鳥取地方裁判所 御中

〒680-8570 鳥取市東町1丁目220
被告         鳥取県
上記代表者知事         平井伸治
処分行政庁         鳥取県知事
         平井伸治

(甲事件)公文書不開示処分取消請求事件
(乙事件)公文書開示義務付け請求事件
訴訟物の価額       160万円
貼用印紙額        1万3000円
予納郵便切手       6120円
第1 請求の趣旨
(甲事件)
1 被告は原告宮部慎太郎に対し、平成18年11月29日付けで行った、公文書部分開示決定(第200600119607号)処分のうち「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」に関する部分を取り消す。
2 被告は原告宮部慎太郎に対し、平成19年5月30日付けで行った、公文書部分開示決定を求める異議申し立ての棄却決定(第200700029687号)処分を取り消す。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
(乙事件)
1 被告は原告に対し、「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」の全ての内容を開示する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

続きを読む

企業連は、規約上、同和地区内の「中小商工、農林水産業者で組織する任意団体」

以前に質問してみた内容ですが、6月28日付で回答が来ました。以下がその内容です。

1 「なぜ同和地区出身者と推定されるのか」について
 県が収集する受講者の名簿は、研修に参加した会員企業に属す役員や職員の名簿
であり、地区出身の事実の有無を明記した情報ではありません。従って、個人情報
保護条例第7条第2項第2号の「収集が禁止されている個人情報の収集」には抵触
しません。
 一方、企業連は、規約上、同和地区内の「中小商工、農林水産業者で組織する任
意団体」であり、県が公文書開示決定する際には、平成19年5月7日付けの鳥取
県情報公開審議会答申書(答申第19-1号)でも判断されているように、「企業
連加入企業の役員等は必ずしも同和地区出身であるとは言えないものの、ある程度
そのように推定されてしまう」ため、企業連の企業名とともに、その研修参加者名
は公開しないこととしたものです。
県職員の発言については、前後の経緯等が不明ですが、上記のような事情から「
同和地区と関連のある企業」という意味ではないかと思われます。
2 企業連加入企業の情報を入手することについて
 繰り返しになりますが、同和地区の企業のリストを作成し公開することはもちろ
ん、そのための情報を、当該企業の知らないところで入手する行為自体、許されな
いものと考えます。
3 「企業連による加入企業の選別」について
 企業連は任意団体であり、その設立運営については公的な許認可を受けていない
ため、加入条件等について県が指導監督する立場にありません。
 「加入企業を選別する」とありましたが、任意団体が加入企業を選別(制限)す
ることは、他の事業者の取引における競争を制限することではなく、独占禁止法に
規定されている不当な取引制限に抵触するとは考えておりません。
 また、企業連加入企業への加点については、本年1月に回答したとおり、部落差
別の解消のための必要な施策の一環と考えており、独占禁止法に規定する不当な取
引制限に抵触するとは考えていません。

ここまできて、ようやく核心に触れる答えが返ってきました。重要な事実は次の2点です。
・企業連会員は(企業連)の規約上同和地区の業者で構成されるということになっている。
・いわゆる「企業連加点」は同和対策である。

続きを読む

再度「県民の声」に単刀直入に質問してみました

今更回りくどい言い方をしてもしょうがないので、そのものズバリな質問を投げてみました。
今回は質問内容を以下のとおり事前に公開いたします。

企業連の受講者名簿は「同和地区の出身である事実の有無等に関する情報」ではない、ということと「必ずしも同和地区出身者であるとは言えないものの、ある程度そのように推定される」ということは矛盾していると思います。企業連の会員が、同和地区の出身である事実の有無とは無関係であるなら、なぜ同和地区出身者と推定されるのでしょうか。また、県の職員が企業連の所属企業について「同和地区の企業」と言ったのはどういう意味なのか説明してください。
税金の使い道に関わる入札の加点対象となっている企業を知ることは、国民の権利であり、そのことを「社会的に許されない」と公務員から指摘されるのは異常なことです。社会的に許されないのは同和地区の企業のリストを作成し、公開する行為ではないでしょうか。誰も同和地区の企業という理由で差別したくないし、どこが同和地区の企業か言いふらすようなことはしないと思います。しかし、そのことを逆手にとって、公共工事の加点対象企業を公開できなくすることは、納税者の善意を裏切る反社会的な行為ではありませんか。
また、企業連が問い合わせをしてきた企業に対して住所等を聞いて、同和地区以外の企業を排除している事実は私個人としては確認済みです。しかし、県も企業連も同和地区企業であるという理由で不利益を受けている実態を把握しておらず、合理的な理由もなく加入企業を選別することは独占禁止法で禁止されている不当な取引制限に抵触しないでしょうか。県はその事実について名言を避けているような印象を受けますが、あくまで県が把握していないという立場であるなら、なぜ企業連の企業は「同和地区の企業」と分かるのか説明してください。

同和地区の出身である事実の有無等に関する情報ではないが、ある程度そのように推定される

要約するとタイトルの通りです。
先日の県民の声への質問に対する県の回答を掲載します。

まず、受講者名簿が鳥取県個人情報保護条例施行規則第5条第4号の「同和地区の出身であることに関する情報」に抵触しないかについてですが、同条例の運用・解釈において、当該情報は「同和地区の出身である事実の有無等に関する情報」と解釈されています。
お尋ねの受講者名簿は研修参加者の名簿であり、研修参加者が同和地区の出身かどうかがわかるものではありませんので、当該名簿の収集は同条例第7条第2項第2号の「収集が禁止されている個人情報の収集」には該当しません。
情報公開審議会の答申で当該名簿の所属企業名が非開示とされた理由については、鳥取県情報公開条例(以下「条例」と略します。)第9条第2項第2号及び第3号アに該当するとされたためです。
条例第9条第2項第2号に該当するとされたのは、当該企業名の開示により、企業の役員等個人が特定され、これらの役員等は必ずしも同和地区出身者であるとは言えないものの、ある程度そのように推定されることにより当該役員等の権利利益を侵害するおそれがあるとされたためです。
また、条例第9条第2項第3号アに該当するとされたのは、当該企業名の開示による企業の権利利益の侵害のおそれを否定できず、当該規定への該当性は否定できないとされたためです。
なお、以前お寄せいただいていた、「受講者が同和地区の出身かどうかわからないのであれば、受講者の所属事業者を非開示としたことと矛盾するのではないか」というご質問については、上記説明のとおり、矛盾するものではありません。
次に、「個人が取材目的のために具体的に企業が特定できる情報を入手することの違法性」についてですが、違法性の有無について県は判断する立場にはありません。
前回もお答えしたように、会員企業を特定できる内容をウェブサイトに掲載することは、その企業の権利利益を不当に害するおそれのある行為であり、当該企業の知らないところで、そのために情報を入手する行為自体、社会的に許されないものと考えます。
平成19年6月7日

鳥取県情報公開審議会会議録

鳥取県情報公開審議会の会議録が公開されています。先日の答申に係る審議会の議事録や委員を知りたい方は以下をご覧ください。
平成18年度第4回鳥取県情報公開審議会会議録(平成19年03月06日)
平成19年度第1回鳥取県情報公開審議会会議録(平成19年04月05日)
おおよその流れは以下のとおりです。
委員: (企業連の会員企業名を出した場合、当該法人が不利益を受ける)おそれについて、具体的な事例を挙げての説明が必要

事務局: (企業連や管理課から)法人が受けた具体的な不利益、従業員が受けた不利益の事例を提出してもらうことも可能
↓(翌月の審議会)
事務局: (企業連や管理課から)法人の不利益について具体的な事例は出ていない

委員: この問題は、同和問題としてとらえる必要がある。部落差別の事象は依然として発生している
委員: 差別事象は日常具体的に目にすることはないが、意識の面で残っている
委員: 政策的な判断というのも分かるので、結論として非開示はやむを得ない
委員: 結論は非開示として、事務局に案を作成してもらいたい
差別はあるという結論を出すのなら、何のために企業連に聞き取りをしたのか不明ですが、「これは同和問題」ということで、例によって同和対策の恩恵を被る側が有利になるように「柔軟に」法が解釈されたようです。
ただ、当初の管理課の説明と食い違い、企業連の研修の受講者名簿が同和地区だけでなく地区住民まで特定できるような情報であることは認めているので、これを受けて「県民の声」以下のような質問を送りました。
・鳥取県情報公開審議会の答申後も受講者名簿が個人情報保護条例施行規則の「同和地区の出身であることに関する情報」には抵触しないという判断に変わりはないか
・私が企業連の所属企業名の情報を県内の建設業者などから取得することに違法性はないか
・以前、仮に私が企業連の所属企業を公開することについて「その企業の権利利益を不当に害するおそれがありますので許されない」としていたが、個人情報保護条例に反しないのであれば、公開が許されない根拠は何か

続きを読む

鳥取県情報公開審議会答申 part2

以下、鳥取県情報公開審議会答申の全文です。

答申第19-1号
平成19年5月7日
第1 審議会の結論
「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」(以下「本件公文書」という。)について鳥取県知事(以下「実施機関」という。)が行った公文書部分開示決定処分については、妥当であると判断する。
第2 審査請求に至る経緯
平成18年10月25日 公文書開示請求
    11月29日 公文書部分開示決定通知
  19年 1月16日 行政不服審査法第14条の規定による異議申立
第3 実施機関の部分開示決定理由
鳥取県情報公開条例(以下「条例」という。)第9条第2項第2号(個人情報)に該当するため。
受講者の所属については、上記理由に併せて、条例第9条第2項第3号ア(法人不利益情報)に該当するため。
第4 異議申立人の主張
異議申立人の主張は、異議申立書、意見書によると概ね以下のとおりである。
部落解放鳥取県企業連合会(以下「企業連」という。)による加点研修の実績報告書の受講者の所属について開示を求める。
(1)公共工事入札資格者の格付けの点数に係る加点について、部落解放鳥取県企業連合会による加点研修により加点を受けた企業(受講者所属)名のみ公表されないのは、著しく不公正である。
(2)企業連から会員企業の受講者名簿を取得するという行為が、個人情報保護条例で禁止されている同和地区出身者の情報の収集に当たる可能性があるのではないかとの県民の声に対し、県は「部落解放鳥取県企業連合会」は同和地区の事業者で組織する任意団体で、加点研修には同事業者の役員や従業員が参加し、受講するが、そのことから直接受講者が同和地区の出身であるかどうかはわからないと回答しているが、鳥取市などの説明等と矛盾する。企業連会員企業の役員や従業員の情報を収集することは同和地区住民の情報を収集するのと同等以上の確度がある。
(3)事実上同和地区出身者を特定する情報が収集されているのであれば、鳥取県個人情報保護条例違反である。
(4)実施機関は受講者所属の非開示理由として「電話帳など他の情報と組み合わせることにより所在地等が判明し同和地区の特定につながる」としているが、他の情報と組み合わせて同和地区産特定するような行為をするかどうかは見る人のモラルの問題である。
(5)同和地区が特定されることが問題なのであれば、県立公文書館や県立図書館の郷土資料室で閲覧できる書類でも同和地区の特定は可能である。入札制度が公正に運用されていることを検証するために同和地区が推測される資料の開示を拒むことは不当である。
(6)受講者所属を開示することによる害される「当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益」について明確な説明を求める。
(7)実施機関は「同和地区の企業と言うことが公開されることにより、取引等において相手先から不利益な扱いを受ける等のおそれがないとはいえない。」としているが、それこそ根拠のない思いこみである。全国的にも同和地区の企業という理由で不利益を受けたことが問題になった事例は自分が把握する限りない。
第5 実施機関の主張
実施機関の主張は、理由説明書及び意見陳述によると、概ね以下のとおりである。
(1)受講者所属事業者を非開示とした根拠は、当該事業者を公開し、同事業者が同和地区の企業であることが公になることにより、その正当な利益が害されるおそれがあるため及び当該事業者を公開すると、電話帳等他の情報と組み合わせることによりその所在地等が判明し同和地区の特定につながるなど、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがあるためであり、当該非開示情報は同和地区出身者を直接特定する個人情報として非開示としたものではない。
(2)「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」は平成14年3月31日をもって失効したが、部落差別が完全になくなったとは言えない現状であり、同和地区の企業ということが公開されることにより、取引等において相手先から不利益な扱いを受ける等のおそれがないとは言えない。
(3)県民の声に対する回答の趣旨は、鳥取県個人情報保護条例で収集が制限されているのは、同和地区の出身かどうかという事実の有無(見なされるかどうかではない)に関する情報であり、出席者名簿では当該事実の有無は確認できないため、当該収集は同条例に抵触するものではない、というものである。
第6 本件異議申立て審議の経過
平成19年 1月26日 諮問書の受理
     2月 9日 実施機関から理由説明書提出
     2月26日 異議申立者から意見書提出
     3月 6日 実施機関の意見陳述・審議
     4月 5日 審議
第7 審議会の判断
(1)本件公文書について
本件公文書は、「部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書、受講者名簿」である。当該文書は鳥取県が建設業者指名選定に当たり、その選定基準となる採点に対する加点項目の一つである「同和問題解決への積極的な取り組み」を実施した届出(報告)として、部落解放鳥取県企業連合会から鳥取県に対して提出されたものであり、受講者の氏名、役職、合否、所属等が記録されている。
申立人は「企業連による加点研修の実績報告書の受講者の所属」の開示を求めており、実施機関は、受論者所属を非開示とした根拠を、当該所属(企業名)を公開し、同所属(企業)が同和地区の企業であることが公になることにより、その正当な利益が侵害されるおそれがあること及び当該所属(企業名)を公開すると、電話帳等他の情報と組み合わせることによりその所在地等が判明し同和地区の特定につながるなど、個人の権利利益を不当に僅害するおそれがあるためなどとしている。
このため、当該所属(企業名)の条例第9条第2項第2号(個人情報)及び第9条第2項第3号(法人不利益情報)該当性について検討する。
(2)条例第9条第2項第2号(個人情報)該当性について
所属(企業名)自体は個人識別性が低い情報と思料されるが、実施機関は電話帳等他の情報と組み合わせることによりその所在地等が判明し同和地区の特定につながるなど、個人の権利利益を不当に侵害するおそれがあると主張するため、当該情報が特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を侵害するおそれがある情報(以下「非識別情報」という。)に該当するかどうか検討する。
非識別情報は、個人識別性がなくても、個人の人格等と密接に関連する情報あるいは開示により財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれのある情報などと解される。更に政策的に、広く開示対象情報と個人の利益侵害との関連性を認めて、当該情報を非開示とする解釈もあるものの、本県条例の原則開示の理念を勘案すると、実施機関の主張するように当該情報(所属(企業名))と直接結びつかない不特定の同和地区関係者まで関連性を認め、個人の権利利益を侵害するおそれがあるとして、当該情報を非開示とできるかどうかは議論の分かれるところである。
しかし、所属(企業名)は法人登記簿等他の情報と組み合わせることにより少なくとも当該企業の役員、職員(以下「役員等」という。)が特定されうる情報である。また、企業連は部落解放同盟の関連組織であるが、企業連加入企業の役員等は必ずしも同和地区出身者であるとは言えないものの、ある程度そのように推定されてしまうことを勘案すると、部落差別の意識が解消されているとは言えない現状において、所属(企業名)の開示により、当該役員等が不利益を受けるおそれがあることは否定できない。
このため、所属(企業名)は当該企業の役員等にとって、非識別情報に該当すると言える。
よって、当該情報は条例第9条第2項第2号に該当する。
(3)条例第9条第2項第3号(法人不利益情報)該当性について
所属名の開示により当該所属(企業)の権利利益が侵害されるかどうかについて、実施機関は実際に権利利益が侵害される事象が生じていると主張しており、企業連からの聞き取り等により、その事象が存在することは推測できるものの、実施機関は具体的に権利利益を侵害された企業名等は特定していない。
しかし、部落差別の意識が解消されているとは言えない現状があり、また、こうした事象が潜在化する傾向があることを勘案すると、実施機関の主張を全く根拠がないとして、開示による所属(企業)の権利利益の侵害のおそれを否定することはできない。
このため、当該情報の条例第9条第2項第3号該当性は否定できない。
(4)異議申立人のその他の主張について
異議申立人は、本件研修に係る名簿の作成等に関連して種々の主張をしているところであるが、当審議会は実施機関が行った部分開示決定について、条例に則り開示・非開示の判断の妥当性等について判断するものであり、当該主張は当審議会の判断を左右するものではない。
以上より、第1「審議会の結論」のとおり答申する。

鳥取県情報公開審議会答申 part1

部落解放鳥取県企業連合会による加点研修の実績報告書で受講した企業が開示されなかった件について、不開示となった理由を説明してもらう趣旨で提出していた異議申し立てに対し、鳥取県情報公開審議会の答申が出ました。結論からすれば、企業名は開示されなかった訳ですが、次の点が明らかとなりました。
受講した企業が公表されていない理由について、県管理課は「公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、鳥取県情報公開条例第9条第2項第3号アに該当するため」としていました。しかし、情報公開審議会の答申によれば、企業の役員等が同和地区出身者であると推定されることが特定の個人を識別する情報に当たり、同条例の第9条第2項第2号に当たるとしており、当初の不開示理由とは食い違っています。条例第9条第2項第3号に該当する可能性については「否定できない」としていますが、第9条第2項第2号とは異なり明言を避けています。
当初管理課は、同和地区出身者を特定できるような情報を収集していたのであれば個人情報保護条例に違反するのではないかという指摘に対して「研修には事業者の役員や従業員が参加し受講しますが、そのことから受講者が同和地区の出身であるかどうかがわかるものではありません。」と回答していたこととは矛盾する結果になっています。微妙な言い回しながら、情報公開審議会の答申では、受講者名簿が、誰が同和地区出身者なのかを推定できるようなものであったことを認めています。
部落差別により「個人の権利利益を不当に侵害するおそれ」について、県は具体的な事例を把握していません。答申では「実施機関は具体的に権利利益を侵害された企業名等は特定していない」としています。「企業連からの聞き取り等により、その事象が存在することは推測できる」ということだけを根拠としており、誰が、いつ、どのような権利利益を侵害されたという具体的な事例を全く示すことができないという状態です。
次回はこの答申の全文を掲載します。

続きを読む

企業連「被差別部落の労働は建設業によるところが大きく、仕事がなければ差別がぶり返す」

毎日新聞より
県:新入札案に業者反対 現行枠組み維持など求める--議会勉強会 /鳥取

県が来年度から導入を予定している新しい入札制度について、県内の建設関連3団体はいずれも反対を表明した。県議会の企画土木常任委員会が13日に開いた勉強会で、業界側は6000万円未満で入札参加資格を管内優先とする現行の枠組み維持と予定価格を非公表とするよう求めた。【松本杏】
県発注工事で起きた談合事件を受け、県は競争原理がより働くよう、業者に指名通知しない制度を24億1000万円から3000万円に引き下げ適用するほか、要件を満たす全業者が参加できる「制限付一般競争入札」を初導入する方針。県の出先5機関が250万円以上3000万円未満の工事を発注する「限定公募型指名競争入札」でも、来年度から管内業者優先を撤廃し、08年度以降は「制限付」に移行させる。
参加したのは▽県建設業協会(高力修一会長)▽部落解放県企業連合会(松田秋夫理事長)▽県測量設計業協会(山本敏憲会長)。
管内優先の撤廃について、建設業協会は「現状通りが望ましいが、せめて地域の業者は大事にして」とし、同連合会は「被差別部落の労働は建設業によるところが大きく、仕事がなければ差別がぶり返す」と主張した。測量設計業協会も「低品質で粗悪な物ができ、悪い意味の価格競争を激化させる。最低制限価格の導入を」と求め、“下請け丸投げ”の懸念も指摘した。
また、県が「県への隠微な働きかけを防ぐため」と説明する予定価格の公表に対し、3団体は「実勢価格を基に決められるのに、なぜ95%以上が談合となるのか」「各社で積算し、応札すべきだ。非公表こそ談合防止の特効薬ではないか」と不満を示し、「官製談合の防止は県自らえりを正すよう指導すべきだ」と述べ、公表しないよう訴えた。現行制度を維持し、罰則強化を希望する声もあった。

続きを読む

← 前のページ次のページ →